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思考停止を考える ~蓮沼執太フィルと日高屋と東京ポッド許可局~

1月7日月曜日、蓮沼執太フィルのライブを見にリキッドルームへ行く途中の井の頭線内で、インタビューを読んでいた。

 

 

蓮沼さんはインタビューの中で「そもそも情緒って距離を置いている要素なんですよ。音楽自体が持っている情緒は受け入れるんですが、音楽以外の物語や情緒はできるかぎり排除していきたいんです。ただ世間の皆さんは、どちらかというと音楽を聴くというより情緒を聴くじゃないですか。人間としての物語を聴くというか。」と語っている。

 

情緒、エモ、感傷、多幸感…。人を思考停止にさせることが大衆に受け入れられることの条件なのかもしれない。蓮沼さんはそこと距離を取ろうとしたが、内包されてしまった。そんなことを反芻しながら蓮沼フィルのライブを見た。「ZERO CONCERTO」という躍り慣れない拍の曲で無茶苦茶に踊った。思考停止を振り払おうとしながら。

 

 

 

終演後、友人と恵比寿の日高屋に向かっていた。途中、松屋を見かけた。日高屋松屋は全然違うという話になった。「松屋は回転率が高い。回転率の高さは、店からのプレッシャーだ。何かに追われながら、腹一杯にしなければならない。またバーミヤンなどのファミレスも、ファミリー達の目を気にする場合がある。そういった我を排除しようとする外的要因が一切存在しない楽園が日高屋で、そこには本物のチルアウトが存在するんだ。」的な話。

 

そんな話をしながら、日高屋に向かう途中には、腹一杯になれる店があり、酔いどれる店もあり、疲れを取るマッサージ屋もあり、逆に疲れさせるヌキありマッサージ屋もある。人は疲れて、疲れを忘れるために思考停止なものに興じ、眠り、朝を迎える。都心、繁華街は思考停止にさせる刺激物ばかりが目に入る。看板が原色で異様に明るいという刺激物は、人を思考停止にさせる手立ての一つなのかもしれない。

 

 

「東京ポッド許可局」というラジオ番組を毎週聴いている。この日のテーマは『ストロングゼロ論』であった。

 

 

プチ鹿島さんが「ストロングゼロの思想性ですよね。手軽に早く酔える。お酒を飲む!酔う!寝る!ですから。これだけ忙しい世の中だからピッタリなのかな。」と言い、マキタスポーツさんが「人が無意識になることを『アホ化』と呼んでて。服買うのが面倒臭いからユニクロで買う。食もアホ化する。」と言う。「俺は他に時間を使いたいから、意識してアホ化している。」とも。この日過ごしてきたモヤモヤがスッキリ晴れた気分になった。思考するやる気を起こさせてもらった。

 

 

最近は食事はインスタントで、朝5時くらいまで作業、始発の電車で仮眠を取って、朝から作業の日々を過ごしている。非社会人なアルバイト生活の夢追いだ。現代人の小さな幸せ=疲れの忘却とは逆行して、思考停止に抗いながら、そして疲れながら、企画ライブの為の歌詞を書き、練習して、構成を考え、文章も書き、人と打ち合わせをして、4×4=16がどうか面白い方向に転がっていくよう精進している。えっとですね、今日は12時間寝ました。

 

4×4=16 カンノアキオ