セ…セルラ伊藤(絶対忘れるな)
春…DJ春菊
カ…カンノアキオ
4×4=16ライブのリハ終わりで入ったバーミヤンで喋ったことの文字起こしを3つに分けて掲載。その①はセルラさんが考える平成置き去りソングから、”憧れの男性を振り向かせたい”という女性目線の歌詞が今の時代、通用しなくなっているんじゃないかという話。
参考に、前回喋った平成置き去りソングの記事
セ:平成にしかあり得ない曲ってこと?
カ:まぁ、令和にはない曲でしょうねってことですね。
セ:それで言うと、SPEEDって特にカップリングやアルバム曲なんだけど、「ナマイキ」とか、「Luv Vibration」とか。あと「熱帯夜」もそうで。曲調はバラバラなんだけど、歌われていることは、“ちょっと背伸びしないと届かないような男性を、私が大人ぶって振り向かせたい”みたいな。「ナマイキ」は歌詞で、“あなたは5コも年上だから 背伸びしなきゃついていけない!”とまさにそんな歌詞が出てきて。精神的に彼氏の方にリードされてるみたいな。 “憧れの男性がいて、その人のことが好き過ぎるから振り向かせる”みたいな歌詞ってSPEEDはめちゃめちゃ多いんだけど、あんまり今っぽくないなって思う。
カ:あぁ~。女の子による年上男性への恋心って、平成時代の歌謡曲な感じがしますよね。それこそ知り合いのLL教室という人たちが、90年代J-POP語りのイベントをやってるんですが、そのなかで『浜崎あゆみ歌詞分析』を行っていて。その中の指摘で、「ケータイ小説の世界では徹底的に固有名詞が排されていて、その中で例外的に固有名詞として出てくるのが浜崎あゆみ」というのがあって。または「浜崎あゆみを表す“Aマーク”」(笑)丹波哲郎の“丹”の字みたいなやつ(笑)で、そこで分析された曲(「Depend on you」)の歌詞の時空や仮定がぐにゃぐにゃで、ディスコミュニケーションが起こっていると。こちらの思いが一方的な感じ。ちょっと、メンヘラな人が何通も送るメール文みたいな感じなんですよね。
セ:“あなたを振り向かせたい”という気持ちがすごく前のめりに出てるんだよね。
春:あぁ~、なるほどね。
セ:それはSPEEDにもよく出てくるの。それに対して当時中学生だった私は憧れてたんだけど、今はもうあんまりリアルじゃないよね。
カ:リアルじゃない気はしますよね。もうちょっと澄ましてる気がします。
セ:余裕があるというか、もうとっくに大人びてるというか。
カ:そこへの熱さはないですよね。
セ:年上の男の子に背伸びする歌詞ってないような気がするね。
カ:西野カナってどうなんでしょうかね?背伸びとかはないのかな?
春:あんまりないかな。あの人は歌詞に関してはかなりマーケティングをしていて、いろんな人に「どうなの?」と話を聞いて、そこから歌詞が思い浮かぶみたいな。
セ:「トリセツ」ってざっくりとだけど、“私のことが好きなら、私のことを大事にしてよ”ってことだもんね。
カ:女版「関白宣言」(笑)
セ:それに対してSPEEDは“あなたに追い付きたい”とか、“あなたにふさわしい女になりたい”とかが多い。それは今の時代的にちょっと違うもんね。
カ:確かに、今はそれは厳しそうですね。
春:でも、テン年代にそんな歌詞を書いてるシンガーソングライターいました。ラブリーサマーちゃん。
セ:あっ、「あなたは煙草 私はシャボン」ね!
春:あれ完全に“背伸びをしたって届かない”から始まって、“あなたは煙草 私はシャボン玉”って。
セ:なるほどね。それでジェネレーションの違いを表す感じね。年上の男性へ憧れる気持ちとかね。
カ:もうあんまり出来なさそうですよね。
セ:“年取ってるだけで偉いと思うなよ”という風潮がね。
カ:世間にウケないですよね、多分。今やっても。
セ:でも昔は確実にあったと思うんだよね。当時、私は共感してたし。
カ:それは面白いですね。