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「最近、レコードって高いらしい」っていう漠然とした情報だけがリサイクルショップに届いちゃってるみたいで〜ディグ葛藤と最近のリサイクルショップ〜

身内音楽(学校の卒業記念や地域の合唱祭など、プロではない普通の人達が歌ったCDやレコードなど)を日夜集める数の子ミュージックメイトさんをお迎えして、カンノ、YOU-SUCKと「ディグ」についての駄話会(全6回)。最終回は「本当はディグはしたくない」思いを抱える数の子さんの葛藤と、最近のリサイクルショップ事情の話。

 

 

カンノ:ディグしてる時って何を考えてるんですか?

数の子「早く終わりたいな〜」って思ってるよ(笑)

カンノ:そうなんですね(笑)

数の子:「楽しくてしょうがねぇ!」的なコロコロの主人公みたいなことは思わないね。「このレコードはここにあります」みたいなGPSがあれば欲しいよね。だから本質的にはディグはやりたくないんだよね。ディグらなくていいのであれば、ディグりたくない。

YOU:そこはそうなんですね。

数の子:もちろん掘り出し物がいっぱいあれば「うぉ〜!」と思うけど、チラっと時計見ちゃうんだよね。

カンノ・YOU:あぁ〜。

数の子:やっぱりディグはしんどいよ。肩も凝るし、疲れるし。その中で「アリス、松山千春さだまさし…」みたいなのが延々と続くからさ(笑)「もういいよ!」みたいになるの(笑)身内音楽なんてさ、1軒につき1枚あるかどうかなの。はっきり言って、無い店がほとんどだよ。

カンノ:そうなると、ヤフオクやメルカリが一番良いんですね。

数の子:手っ取り早いよね。ベッドの上で出来るから。

カンノ:ヤフオクやメルカリもディグと考えていいんですか?

数の子:個人的にはディグって考えてるよ。ただやっぱりどっかでリアルは求める節はあるよね。

カンノ:どこかで「ヤフオクやメルカリを本流として認めていいのか?」みたいな葛藤があるんですね。

数の子:だからその反動にも近いもので、いきなり地方に探しに行ったりするんだけどね。あとやっぱり発見して楽しいのはリアルな店の方だから。

カンノ:そこの高揚はあるんですね。その高揚と、周りのディガー達への世間体とがあるんですね。

数の子:世間体というか、足で探すことの自負は維持しようと思ってるね。

カンノ:大変ですね。

数の子:そうね。やっぱりやらないで済むならやりたくないよね。大変だもん。車で行くときもあるけど、電車乗って駅から15分とか歩いてさ。

カンノ:暑い時期なんか大変ですね。

数の子:そんな中住宅街超えて、ハードオフ行って、何も無くてさ。とりあえず持っていない「ジブリがいっぱいシリーズ」のVHSだけ買って帰るみたいなさ(笑)やっぱしんどいよ。

カンノ:もう、何でやめないんですか?(笑)

数の子:何でだろうね…。やっぱりまだ全然見つかるんだよね。行ったことがない場所もあるし。行ったことがないハードオフはやっぱり行きたいんだよね。

カンノ:管理されていないハードオフですね(笑)

数の子:そうそう(笑)でもあんまり店舗で身内音楽ってないんだよね。リサイクルショップもほとんどないしね。売れたって数百円だし。量は多いけど誰も買わないし、売れたところで数百円だから、業者としてもう扱わなくなってきてるんだよね。テープも探してるんだけど、生テープってプライベートな問題もあるから。「あの店、ああいうのも取り扱っちゃってるよ」って悪い噂が立っちゃうから、取り扱わないんだよ。

カンノ:今の時代はそうでしょうね。

数の子:だからリサイクルショップで良い物はほとんどないね。そもそもレコードがそんなにない。

カンノ:リサイクルショップって増えてます?減ってます?

数の子:昔に比べれば減ってるね。そもそも在庫量が減ってるね。家電とか車、あと業者向けのオフィス、厨房機器みたいな単価がでかいものを扱う店ばかりが増えて。雑貨を扱ってるみたいな店は減ってるね。この前、三重県のリサイクルショップに行って、レコードがあったんだけど、店の人に「それねぇ、売り物じゃないの」って言われて。「10年寝かしておくの」って。「これ、10年寝かしても値段下がるだけじゃん!」って思ってたんだけど、当の本人は「それでもいいの」って感じで。

カンノ:それは何のレコードですか?

数の子:その辺によくある「ゴールデンデラックス〜魅惑のテナー〜」みたいなやつよ(笑)ムード音楽みたいな。誰も買わないやつ(笑)

YOU:その店の人はどういうモチベーションなんですか?

数の子「最近、レコードって高いらしい」っていう漠然とした情報だけがリサイクルショップに届いちゃってるみたいで。

YOU:あぁ、地獄だ…。

数の子:「レコードって流行ってるらしい」みたいな。そういう漠然としたものが一番末端の所に来ちゃって。

カンノ:伝言ゲームが一番最悪な形で伝わっちゃったみたいな(笑)

数の子:そう。30年前だったら、「昔のブリキおもちゃは高いらしい」みたいな。その感じになってるらしく。「洋楽=高い」みたいな。「ビートルズ=超高い」みたいな。ビートルズってピンキリだからさ。だから酷いことになってるんだよね。「何でそれが数千円なんだよ!」って思うこといっぱいあるよ。まぁ、俺が集めてるようなものはあまり言われないんだけど。

カンノ:価値が崩壊しちゃってるんですね。

数の子:そう。矛盾しちゃうんだけど、レコードを扱わない所も増えてるんだけど、レコードがある所もそういった事情で値が高いっていう状況になってるんだよね。

カンノ:うわぁ〜。

数の子:俺らみたいなリサイクルショップ回ってるやつっていっぱいいるから、「前もそういう人来たんだよ〜!」みたいなこと言ってくるんだよね。

カンノ:多分、ニヤニヤしながら言うんでしょうね。

数の子:「なに、お兄ちゃんたちも探してるの?」ってね。

カンノ:ちょっと上から目線で(笑)

数の子:そういう時はこっちは謙虚でね(笑)基本的にリサイクルショップの親父って高圧的に来るから。それに従う感じで。

カンノ:あんまり気弱な人はいないんですね。

数の子:やっぱり一国一城の主だからね。あと最初の話に戻るけど、物に囲まれている人って狂ってるから、リサイクルショップの親父って大概ヤバイんだよ(笑)

カンノ・YOU:アハハハハッ!

数の子:ちょっとイリーガルな感じもあったりね…。

(そしてこのまま、ここでは到底公開できないイリーガル話を聞いて、会はお開きとなりました)