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Radio OK?NO!!第4回「サンプリング方法論」特集

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで毎週金曜日27時から、市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。ここでは毎週の特集を文字起こしという形で記載します。今回は第4回の5月1日放送分、カンノによる「サンプリング方法論」特集をお送りします。

 

 

 

カンノ:先週の放送で僕は、モンティ・パイソンのコントを見ていたら「これ、志村けんも同じようなコントをやってたな」という話をして。それで、「どのジャンルにおいても引用ってあるよね」という話をしたんですね。

カンノ:こと音楽だと、”サンプリング”という言い方がありますが。音楽におけるサンプリングの基本的なあり方って例えば、「この歌詞の元ネタはあれだ」とか、「トラックの元ネタはあれだ」というのがありますよね。

上野:所謂、サンプリングだね。

カンノ:うん。そしてそれをもっと広い意味で捉えて、「別の文化的なものを音楽に落とし込んだ楽曲特集」をやりたいなと。今日はそれを色々紹介したいなと思っています。

上野:別の楽曲のトラックを使うんじゃなくて、方法論とかを持ってくる感じだね。「別のやり方でやっているサンプリングってあるよ」みたいな。

カンノ:それを音楽に落とし込むみたいな。だから初めてその音楽を聴くと、「良い曲!」って感想に絶対にならない(笑)「はぁ???」ってなる(笑)

上野:なんでそんな喧嘩腰なんだよ(笑)

カンノ:でも僕が音楽を好きになるときってそういうところから始まって、それが段々と癖になるというパターンが結構多いんですよね。

上野:カンノは多いね。

カンノ:そういう異質感、異物感みたいなものを感じる楽曲をまず紹介したいと思います。聴いてください、NUMBER GIRL「NUM-HEAVYMETALLIC」

上野:懐かしいね。これは2002年?

カンノ:そうですね。やっぱり最初聴いたとき、「はぁ???」って(笑)

上野:なるよね(笑)なんか叫んでるし(笑)

カンノ:”ホワンホワンホワンホワン”鳴ってるし(笑)要は浪曲ですね。浪曲というものを向井秀徳さんがバンドサウンドに落とし込もうとした曲かなと。

上野:浪曲とはどういうものですか?

カンノ:ざっくり言うと、落語的なお話を歌とか拍子とかに乗せて語ったりする古典芸能ですね。

カンノ:後ろで曲師と呼ばれる三味線を鳴らす人がいて、そこに”唸り”と呼ばれる歌い方で乗せていくんですね。この曲でいう、「ハァ〜、ハハハハ〜ハハハ〜ン」部分ですね(笑)

上野:デフォルメが酷いですね(笑)まぁ、そういう唸りとか小節(こぶし)とかですね。

カンノ:それで向井さんは当時、三味線で曲を作っていたという。

上野:僕ら当時のアルバムを作っていたときのインタビューとか読んでるじゃないですか。それで向井さんが自分の部屋で三味線で曲を作っていたら、隣人に「うるさい!」と怒られて引っ越さなきゃいけなくなった話とかあったよね(笑)内容証明が来たって(笑)

カンノ:それがアルバムのこの曲の次に収録されている「INUZINI」という曲で歌われていますね(笑)

カンノ:そしてこのアルバムを最後にNUMBER GIRLは解散するんですが、それがよく分かる1曲でした(笑)でも「バンドで頑張っていこう!」みたいなところから始まったのに、こういう別の文化が入ってくる様は僕は好きなんですよね。特に向井さんは自分の映像作品も凝る人だからさ。昭和の邦画チックなこともやるわけじゃん。そういう意味では、別の文化のミクスチャーみたいなことをやっていた人として、中学生の頃の自分の中に無意識の内に刷り込まれていたんだろうなと思います。

上野:そうだよね。ストレートなロックから始まっているけど、そこからダブアレンジにハマったりとかさ。結構遠いところの方法論を取り入れて進化していったバンドだったよね。

カンノ:それでちゃんと唯一無二になるっていう。そういう意味で好きだったバンドでした。

上野:これもある意味のサンプリングですね。

カンノ:はい、では次はまたちょっと別の角度で1曲紹介したなと思います。聴いてください、ILLMARIACHIで「TOKONAIZM」

TOKONAIZM

TOKONAIZM

  • ILLMARIACHI
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

カンノ:TOKONA-Xでございます。なんでこれをかけたかと言うと、TOKONA-Xの話というよりは、僕の好きなラップ演劇をやる人達で東葛スポーツという方々がいます。その東葛スポーツの公演に、たまにオアシズ光浦靖子さんが出演されるんですね。で、光浦さんが出られたときに歌われるラップがあるんですけど、このラップも台詞の1つなんですね。

上野:東葛スポーツの公演っていうのは、演劇の公演をしているんだけど、その中で突如ラップのパートが入ってきて、演者が急にそこだけラッパーみたいになるんですね。

カンノ:そうですね。地下ミュージカルですね(笑)

上野:それがヒップホップっていう。

カンノ:そしてそこで使われているトラックがTOKONA-Xだったりするんです。

上野:クラシックなトラックを使うんだよね。

カンノ:やっぱりヒップホップが好きな人が作られているから、なんで光浦さんがラップするトラックがTOKONA-Xかというと、同じ愛知県出身っていう(笑)

上野:レペゼンを使うっていうね。分かりづらいよ!

カンノ:それでYouTubeに光浦さんがこのトラックにラップを乗っけた音源があって、これも面白いんですよね。

https://youtu.be/o9OXXYznB9E?t=206
カンノ:ヒップホップって自分語りをする文化じゃないですか。そのラップを台詞として捉えて、「あなたのキャラクターに合わせたリリックをこちらで書いたので、それを演劇として振る舞ってくれ」というスタンスは面白いなと思っていて。だから東葛スポーツは好きでよく観に行ってたんですけど。で、そんな感じのことを僕が音楽へ逆輸入してやりたいなとの気持ちで作った曲がいくつかありますので、その中から1曲聴いてもらえたらなと。”台詞としてのラップ”という観点で、僕がやっている曲を聴いてください。4×4=16で「時そばブレイクビーツ

カンノ:ということで我らが4×4=16「時そばブレイクビーツ」を聴いて頂きました(笑)

上野:メンバーはあなただけでしょ(笑)

カンノ:あなたが変名でトラック作ってますから(笑)なんでこの流れで自分の曲をかけたかというと、古典落語というフリーの台本を使ったということですね(笑)著作権がない!

上野:話の筋は決まってるからね。

カンノ:それで「ひぃ to the ふぅ to the〜」で曲のフックになるなと思ったりね。僕は「古典落語をどうやったらラップに落とし込めるか」みたいなことを何曲か作ってるんですが、その最初の曲ですね。これは自分語りでもなんでもないですから(笑)「こんな面白い落語があるよ!」っていう(笑)

上野:「『時そば』っていう面白い噺があるよ!」っていう(笑)

カンノ:そんなニュアンスで、「どうやったら面白い曲にできるか」という実験のつもりで作ってみました。本当はね、Creepy Nuts「メジャーデビュー指南」をかけるべきなんですが、自分の曲をかけちゃったということでね(笑)以上、「サンプリング方法論特集」でした!