カンノ:今日は「2002〜3年頃のRIP SLYME特集」をお送りします。
上野:2002〜3年頃ってめっちゃ狭くない?(笑)
カンノ:いや、「RIP SLYMEが好き」と言う人は大体ここのRIP SLYMEですよ。やっぱりね、この頃のRIP SLYMEを嫌いな人は1人しかいないですから(笑)
上野:それは聞かないでおく…(苦笑)
カンノ:まぁ、嫌いな人はほぼいないですよ。あなたは最初、RIP SLYMEとはどう出会いましたか?
上野:RIP SLYMEは普通にテレビで流れてたよね。普通に出会うものとして聴いてたよ。あとよく覚えているのは、まぁここの話なんだけど、高校の頃に僕らは同じ軽音楽部に入って、1年生の最初の顔合わせで皆好きなバンドとかを言っていくんですが、カンノだけ「RIP SLYMEとKICK THE CAN CREWが好きです」って言ったんだよ(笑)
カンノ:皆、バンドを答えているのに(笑)
上野:軽音楽部だって言ってるのに(笑)
カンノ:いやいや、一番の軽音楽ですよ(笑)僕もね、はっきりとRIP SLYMEとの出会いは覚えていまして。これは『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」ですね。「FUNKASTIC」という2002年のシングルが発売されたときに出ていたと思います。僕が小学5年生の終わりぐらいだったかな。それでよく覚えているんですが、次のゲスト、要は「お友達紹介」ですね。そのときにメンバーのRYO-Zさんがすごい緊張した口調で、「は、浜崎あゆみさんを…」って言ったんです(笑)
上野:それを強烈に覚えている(笑)
カンノ:これでね、小学5年の僕は「いいともはヤラセだ!」って思ったね(笑)「お友達じゃない!」って(笑)
上野:なんだよ、その話…(笑)
カンノ:ここでMELLOW YELLOWやGAKU-MCを呼ばないRIP SLYMEですよ!(笑)浜崎あゆみを呼んだ時点で、「嘘だー!!」って(笑)俺がアルタにテレフォンするというお話ですね(笑)
上野:クレームのね(笑)
カンノ:そんな出会いがありまして、じゃあまずは大ヒットシングル紹介しましょうか。これからの暑い時期、これが聴きたくなりますね。RIP SLYMEで「楽園ベイベー」
カンノ:やっぱり良いですね。FMラジオみたい(笑)
上野:ちなみにこのシングルはどこで買ったの?
カンノ:これは小学校6年生の頃、親父の田舎が岩手県なんですけど、家族で帰省してて、その岩手県の町のおばあちゃんが営んでいるような小さなCD屋さんで買いました(笑)
上野:そういう店、あるな〜(笑)
カンノ:何故かそこで『楽園ベイベー』のシングル買って、四六時中ポータブルCDプレイヤーでずっと聴いてましたね(笑)
上野:そういう感じ懐かしいね。
カンノ:で、カップリングとかが結構チルアウト系な曲なんですよね。その頃ってそういう曲の良さは分からないですね。だから表題曲ばかり聴いてましたね。後々カップリングも好きにはなるんですが。そんな思い出がありますね。
カンノ:そして「楽園ベイベー」も収録されたアルバム『TOKYO CLASSIC』でございます。RIP SLYMEのセカンドアルバムですね。これがメガヒットアルバムですよ。これ、オリコン週間チャートで初登場のSMAPを抑えて1位取ってますから。
上野:すごい話だよな〜。
カンノ:ここで発売されたSMAPのアルバム『Drink! Smap!』は後にシングルカットされる「世界に一つだけの花」が収録されてますからね。そんなアルバムを抑えて『TOKYO CLASSIC』が初登場1位だったんです。
上野:すごいね!
カンノ:だからRIP SLYMEの人気が本当にとんでもないときですよね。もう普通に町の小学生が知っているグループですから。もちろん僕も上野君も知ってましたし。そんなアルバム『TOKYO CLASSIC』の特徴、やっぱり中身が中途半端!
上野:ハハハッ!何言ってんだよ!
カンノ:この中身の薄さがすごい!シングル曲を聴かせるためのアルバムです!
上野:俺は今日、お前の言うことに何も同意しない!
カンノ:ハハハッ!っていうのは、これは本人たちもインタビューで言ってることなんですよね。「中身薄いけど良いアルバムだよね」的な。
カンノ:で、なんで中身が薄いことになっているのかというと、メンバーのソロ曲があるんですね。4曲分。これがね、もうね、何て言うんでしょうか…。0.15ぐらいというか(笑)
上野:何それ?点数?(笑)
カンノ:1を目指したいのに、各曲0.15ぐらいな感じというか(笑)「曲数稼いでるな〜」みたいな(笑)ってことで、その感じを1回聴いてみてください。SUさんのソロ曲、いってみましょうか。多分この曲、ラジオとかで1回もかかったことないんじゃないか?(笑)アルバム『TOKYO CLASSIC』収録のSUさんのソロ曲で、「スーマンシップDEモッコリ」
上野:確かにこれはラジオではあまり聴かないね(笑)
カンノ:音飛びギミックがありますからね(笑)そういう、いらない仕組みが(笑)
上野:ハハハッ!
カンノ:だから、「これ4人でやればいいのに」みたいな曲が4曲も入ってるんです。あと、表題曲「Tokyo Classic」のサビがすごくサッカーの応援っぽい仕上がりなんですね。要は発売年の2002年って日韓ワールドカップがあった年で、だからこれを聴くとすごく2002年で止まっちゃってる感じに聴こえるんです。あとアルバムのラストに「花火」っていうバラードが入ってるんですが、ベースをDragon AshのKJが弾いてるんですね。
上野:あ、そうなんだ!
カンノ:そうそう。で、「いや、歌えや!」っていう(笑)「ベースとかじゃなくね?」っていう(笑)こういう全てがズレている感じの集大成が僕の思う『TOKYO CLASSIC』なんですね。そうなると、やっぱりシングル曲を楽しむためのアルバムになっちゃうんですよね。
カンノ:ただ不思議なのが、ここからRIP SLYMEもちゃんとしたアルバムをいっぱい出すんですが、やっぱりこれを一番聴いちゃうね。
上野:いや、本当そうだよね。
カンノ:この感じは不思議ですね。良い意味で味になっているということでしょうか。
上野:言われてみると、確かにすごく不思議なアルバムだ。
カンノ:どういう作用なんでしょうかね。僕にとってはかなり不思議なアルバムです。だって今のSUさんのソロ曲入ってるのに、SMAPを抑えて1位なんですから(笑)という2002年発売のアルバム『TOKYO CLASSIC』をご紹介しました。
カンノ:そしてこの時ぐらいにキングギドラにRIP SLYMEはディスられますね。「公開処刑」という曲の中でK DUB SHINEさんに”リリックつらい 屁理屈ライム”と言われます。その後、RIP SLYMEは2002年の年末ぐらいにリリースした「BLUE BE-BOP」のPV内で”THANK YOU FOR YOUR KIND ADVICE AND SUPPORT!”とアンサーを出すんですね。アドバイスに感謝と伝えます。
カンノ:そして2003年のアルバム『TIME TO GO』につながっていきます。こういう流れの中のアルバムですね。それではそのアルバムの中からまた大ヒットシングル曲がありますので、聴いていただきましょう。RIP SLYMEで「JOINT」
カンノ:この『TIME TO GO』というアルバムの中で意識しているのが、ドラムンベースとか電子音とかなんですね。で、サウンド面において情緒的なものが強かった前作『TOKYO CLASSIC』に対して、この作品はそういった情緒をかなり排してます。それでどうなっているかというと、めちゃくちゃ内省的な内容になっています。かなり暗いです。だから「JOINT」もシングル単体で聴くと明るいですけど、アルバムを通して聴くと結構やけっぱち感がある印象です(笑)
上野:なるほどね(笑)
カンノ:で、特にこのアルバムで僕が好きなところは前半部分ですね。というのは、K DUB SHINEさんの助言からか、この前半部分がヒップホップ原点回帰ゾーンになっています。例えばアルバム3曲目「WHAT'S UP?〜HOW’RE YOU DOIN’?」という曲はサウンド面はボイスパーカッションとスクラッチだけで構成されている曲だったり。
カンノ:アルバム5曲目「JOINT」も”ヒップホップ楽しいぜ〜!”的なテンションで、これまでリリースしてきた中でも特に内容に意味が無い歌詞になっていて。それでその間に入っている4曲目が「ベイシック・ライン」という曲なんです。これはタイトル通り、Back to the basicですね。自分たちがヒップホップを始めた頃を歌った曲で、RIPの中でもこれぐらいしか原点を歌った曲は無いかもしれないですね。
上野:そうなんだ。
カンノ:で、本当この曲大好きなんだけど、特に覚えていることがあって。後々、『BAD TIMES』というアルバム曲とカップリング曲によるベスト盤を出すんです。で、アルバム曲からの選出がファンの人気投票で決める形だったんですね。そうなると当然、『TOKYO CLASSIC』と『TIME TO GO』からかなり選ばれる形になるんです。めちゃくちゃ売れたアルバムだから。それで結果、DISC1は『TIME TO GO』までの曲で収まってしまうんですね。そういう構成なんですけど、この「ベイシック・ライン」だけが全然人気がなかった(笑)
上野:ハハハッ!
カンノ:「マジかよっ!」と思った思い出込みで聴いてほしいです。悲しかったな(笑)
上野:そんな切ない話で終わるのね(笑)
カンノ:曲はかっこいいのに、ファンには全然人気がなかった曲ですね(笑)それでは最後の曲です、RIP SLYMEで「ベイシック・ライン」