SOMEOFTHEM

野良メディア / ブログ / 音楽を中心に

Radio OK?NO!! 第17回「パイセンコラボが最高なBIM」特集

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。ここでは毎週の特集を文字起こしという形で記載します。今回は第17回の8月2日放送分、「パイセンコラボが最高なBIM」特集をお送りします。

 

 

 

(1曲目、THE OTOGIBANASHI’S「大脱出」を流し、その終わりから)

 

 

カンノ:これ、2015年の曲だよね。この頃ってヒップホップがムーブメントになる直前だよね。暗さがあるね。まだまだ影を潜めている感じがありますね。あと、こういう曲が多かった気もする。

上野:そこまで悪そうな感じがしないヒップホップグループってこういった感じがあったよね。

カンノ:トラックもラップも落ち着いててね。高速なラップとかそんなしないで。僕が今回流そうと思っているBIMさんの曲と比較しても、今のほうが明るいよね。それはシーン全体に言えるかもしれないけど。



カンノ:BIMさんが一番有名になった出来事といえば、インスタライブで無断でPUNPEE秋元才加の結婚をバラした件ですか(笑)もう俺は絶対にBIMに秘密喋んない(笑)

上野:まず会わないじゃん(笑)会えないじゃん(笑)

 

 

カンノ:まぁ、BIMさんの曲は大好きなんですよ(笑)それで特集を組むんですが、もっと具体的なことをいうと、先輩と共演したときのBIMさんが最高なんですよ。

上野:先輩ラッパーと。

カンノ:そうそう。自分より目上の人と一緒にやっている曲がすごく好きですね。今日は「パイセンコラボが最高なBIM」特集をお送りしますよ。

上野:BIMに学ぶパイセンとの関わり方ね(笑)

カンノ:どういうアティチュードで行ったらいいかを学びましょう(笑)まずは第一のパイセンとの曲を聴いてみましょう。STUTS,BIM,RYO-Zで「マジックアワー」

 

 

カンノ:2019年リリースの楽曲ですが、マジで去年一番聴きましたね。すごく好きな曲です。で、なんで俺が好きなのかという話です。

上野:なるほど。

カンノ:これはほぼSTUTSさんとBIMさんが同世代ですね。そして僕らもほぼ同じ世代です。だから分かりますよね。「あの、最初に聴いたヒップホップは、RIP SLYMEでした!押忍!」とRYO-Zさんに言ってます(笑)「俺たち、本当好きで!!」って言ってます(笑)

上野:ちょっとその体育会系は悪意あるよ(笑)誰のモノマネだよ(笑)

カンノ:違う、違う!っていうか具体的な誰かのモノマネじゃなくて、精神性の話だから。憧れた先輩に対しては皆、こうなるんだよ。俺だってもしRYO-Zさんに会える機会があったら、「本当にRIP SLYMEが大好きで、ずっとロックされてて…!」って言ってるよ(笑)「マジ最高っすよね!」って。

上野:なんで眉間にしわを寄せて言うんだよ(笑)

カンノ:なにが言いたいのかっていうと、ちゃんと日本語ラップヘッズであることが重要なんですよ。本当に好きかどうか。STUTSさんもRIPに寄せたトラックを作った旨をインタビューで話してますよ。

上野:この曲のトラック、すごくRIP SLYMEっぽいもんね。

 

 

カンノ:BIMさんも「マタ逢ウ日マデ」の歌詞を引用したり、歌詞で「バギーパンツ」って出てくるけど、これはTERIYAKI BOYZの曲名の引用だったりね。

 

 

カンノ:もちろんさ、「楽園ベイベー」とか「熱帯夜」の歌詞を持ってきてもいいのかもしれないけどさ、インディーズ時代の最後の曲でもある「マタ逢ウ日マデ」を持ってくるのが粋じゃないですか!

上野:なるほどね。パイセンからすると、「お前、分かってんじゃん~!」になるっていう(笑)

カンノ:「じゃあ俺も歌詞の中で”熱帯夜”出したるわ~」ってRYO-Zさんは思うんですよ(笑)「夏のせい」とか歌っちゃうんですよ(笑)「俺もパイセンの歌詞持ってくるべ~」ってなるんですよ(笑)

 

 

 

カンノ:RIP SLYMEの頃って自分たちの先輩がRHYMESTERとかキングギドラじゃん。だからまだヒップホップ村の話なんだよね。RIPやKICK THE CAN CREWとかが世間一般にドカーンとヒットさせたからさ。その世間一般で大ヒットした人たちを、俺たちは思春期に見ているからさ。だからBIMさんやCreepy NutsのR-指定さんとかが、「僕ら日本語ラップが大好きで」と世間一般に公言してもなんの違和感もない時代のラッパーというか。だってRIPやKICKはスマスマとかMステとかに出てたんだもん。そういった地上波にガンガン出ていたラッパーと共演できる最初の世代な感じがするんですよね。chelmicoも入ってくると思う。RIP SLYMEをMDで聴いていた世代のラッパーたちですよ(笑)

 

 

カンノ:そういう人たちがメジャーシーンにガッと出てきたタイミングで、2000年代で第一線だった人たちをまた逆にフックアップする形というかさ。2000年代って音楽的には空白だったって割と言われがちじゃないですか?それまでが豊潤すぎて。でもちゃんと俺らと同年代のスーパースターたちがしっかりそこを回収しようとしているんじゃないかと思うんですね。そういう意味でのBIM特集です。そう思いませんか?

上野:分かる、分かる。

カンノ:BIMさんを通して2000年代を振り返りたいなと思うんです。そしてこういった歴史の振り返りみたいなことを歌った曲がありまして、これがスチャダラパーBOSEさんとやってるんですね。その曲を紹介したいなと思います。BIMで「Be feat. Bose

 

 

カンノ:今年一番聴いた曲です。去年も今年もBIM。

上野:カンノ、この曲好きだよね。

カンノ:大好きですね。なんでこの曲が素晴らしいのかというと、どうしてもヒップホップとかラッパーのマインドとして、「俺が第一線」って言いたいんだよね。「俺が先駆者!」とか、「俺がNo.1!」とかさ。

上野:「俺がKingだ!」とかね。

カンノ:そうそう。なんだけど、ここのBOSEさんのリリックが一歩引いた目線なんだよね。要するに、ヒップホップ長老の役割を担ってるの。この曲の歌詞ってBIMさんが「全然ダメダメな僕だけど、ラップだけは続けられたから君もやってみなよ」みたいな目線の歌詞なのね。で、そのまた上の目線をBOSEさんは担ってるの。スチャでこんなストレートで前向きな歌詞はないんじゃないかな。

上野:たしかにこの歌詞、スチャダラっぽくはないかも。

カンノ:「25までに 30にして立って 40にもなって いつかは戸建て」とか歌うの珍しいよね。そしてそれを担わせたBIMさんがすごいよね。

上野:それでいうとさ、RHYMESTERもよく言ってるけど、日本の黎明期からやっていたラッパーがどんどん有名になるにつれて、年を取っていくじゃん。そのときの第一線級のラッパーたちの年を取る問題というかさ。例えばいとうせいこうさんや近田春夫さんはラップ以外の別のことをやっていたりするからいいけど、スチャやライムスやキングギドラみたいな人たちが、自分たちが年を取っていってカッコいい様をどう見せるかということはあるよね。

カンノ:あとどうしても大前提にECDさんやMAKI THE MAGICさんやDEV LARGEさんみたいに亡くなることもあるじゃん。そもそも老いることができるのか問題というかさ。職業柄的にね。

上野:確かにね。それでその年取る問題でいうと、BOSEさんが実は一番カッコよくできているのではないかって言えるよね。

カンノ:思うのが、この人って今、鎌倉に住んでるんだよ。わざわざ東京へ仕事しに行ってるの。東京にずっといるわけじゃないんだよ。このマインドって非常に大事な気がしますね。第一線からは距離を置くスタンスというかさ。スチャの今の活動形態もそうじゃん。年に2~3曲発表して、曲が溜まって4年に1回ぐらいのペースでアルバムを出すという形態だからさ。第一線とはまた違った、年を取ってからのラッパーの在り方を割とスチャダラパーが実践しているのではないかなって思いますね。そういった目線でBOSEさんがこの曲でラップしているように思えます。

上野:それは面白いね。

カンノ:あとこの曲のMVは、BIMさんと一緒によくMVを作っているHeiyuuさんという人と、スチャの盟友であるタケイグッドマンさんの共作、イエーイ!

上野:ふふっ(笑)

カンノ:スチャダラの「ドゥビドゥWhat?」や「アフタードゥービーヌーン」のMVパロディなんかも入ってます。

上野:ヘッズ爆上がりなやつ(笑)

カンノ:あと素晴らしいのが、YouTubeのコメント欄で「元ネタあれじゃん!」っていえるところだよね。俺ら世代がやっちゃうやつ(笑)

上野:やっちゃうね(笑)

カンノ:それで俺らの知識欲が満たされた後に、10代の若い子たちが「RIP SLYME聴いてみよう!」とか「スチャダラパー聴いてみよう!」とかになって、「B-BOYブンガク」に打ちのめされるわけです(笑)

 

 

カンノ:そういった流れを作っているのが、日本語ラップが世間一般に浸透していったときに聴いていた人たちなわけです。それを今、売れている人たちが実践しているんですね。あ~、そうなりたかった!

上野:「あ~、そうなりたかった!」と嘆く回ですね(笑)

カンノ:BIMもR-指定もcheimicoも大っ嫌いです!

上野:情緒不安定とはこのことを言います(笑)

カンノ:愛憎ですね(笑)それでBIMさんは日本語ラップ以外のところもヘッズだよという曲を聴いてもらいましょう。木村カエラで「ZIG ZAG feat. BIM」

 

 

上野:不思議な曲だね。

カンノ:変な曲だよね。あともうお分かりかと思いますが、「saku saku」って歌詞がありますね(笑)カエラさんがMCを務めたTVKの番組です。あと「リンガディンドンリンガディンディンドン」ね(笑)

上野:いろんな仕掛けがありますね。

カンノ:木村カエラサンプリングがね。

 

 

カンノ:あと「ziploc ziploc」っていう歌詞が出てくるので、「そういえば木村カエラジップロックのCM出てたな~」と思って調べたら、クレラップでした(笑)”フェイク引用”っていう新しい技を使い始めてましたよ(笑)

上野:フェイク引用!新しいね~(笑)

カンノ:まんまと騙されましたよ!「ジップロックじゃなくて、クレラップだった!」って(笑)

上野:それは単純にお前の深読みだろ(笑)

カンノ:いや、狙ってると思うよ。じゃなかったらジップロックなんて言わないと思うなぁ。

上野:フェイク引用は新しすぎるよ(笑)

カンノ:俺もフェイク引用やりたくなりました(笑)まぁ、いろんなヘッズ主観を作品に落とし込んでいるの代表的なラッパーの一人として今回はBIMさんの楽曲を紹介しました。本当に僕や上野なんかと同じようなものを見たり聴いたりした世代がこういった引用をしてね。なんか驚いちゃうよね。

上野:同世代だからね。

カンノ:それが日本語ラップという分野で出るようになったのが大きいよね。2020年の今、2000年代のものを引用することが重要な気がしますね。音楽20年周期話でいうと。

上野:音楽のトレンドが20年で1周するってやつですね。

カンノ:そういう年齢になったということを思いますね。ということで最後はPUNPEEパイセンと一緒にやっている曲を聴きましょう。PUNPEEさんの本当のBUDDYが秋元才加さんになったということで聴きましょうか(笑)BIMで「BUDDY feat. PUNPEE

 

 


f:id:someofthem:20200816201951j:image

 

 

『Radio OK?NO!!』は毎週日曜25:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!