OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。ここでは毎週の特集を文字起こしという形で記載します。今回は第19回の8月16日放送分、「スチャダラパーvsライムスター」特集をお送りします。
カンノ:今日はスチャダラパーとRHYMESTERを戦わせます。
上野:どういうことですか?(笑)
カンノ:白黒はっきりつけよう!キャリアも近い、理屈っぽさも近い、同じ3人組、そんなの2つもいりません!今日でどちらかがいなくなります!
上野:ずっと何言ってんだよ(笑)
カンノ:負けたほうには、だんだんと溶解炉の中に入っていってもらいますか。親指立てたまま。
上野:「I'll be back」じゃん(笑)戻ってくるよ。
カンノ:「ワンサゲン!」って言って戻ってくるね。RHYMESTERの負けっぽくなっちゃってますが(笑)
カンノ:なんでこの企画をやろうと思ったのかというと、僕は今年4月に発売されたスチャダラパーの新作が本当に好きなんですよ。今も毎日聴いてますね。
カンノ:これをなぜ飽きずに毎日聴いているのかというと、そこで扱っているテーマが割とRHYMESTERの過去曲と近いなと思ったんですね。だったら、曲を比較してバチバチやらせようかなと!
上野:今日はテンション高いね(笑)
カンノ:対決モノはそうなるね(笑)
第1回戦:10代振り返り対決
カンノ:この対決テーマ、RHYMESTERっぽい気がしますね。でもそんな曲もスチャダラも最新作でやっております。まずは先攻・スチャダラパーの曲を聴いてみましょう。「セブンティーン・ブギ」
カンノ:安心安定のスチャダラクオリティでございますね。
上野:そうだね。最近のヒップホップってリアルサグみたいなのが多いじゃん。トラックもスモーキーな雰囲気があるような。でもこの曲は、”スチャダラパー”って感じがして良いね(笑)
カンノ:この曲って笠木シズ子「ラッパと娘」のサンプリングなんですよ。その曲自体は1939年発表のレコードなんです。それをスチャダラパーは今回、2020年の新曲として持ってきてます(笑)
カンノ:やっぱりこれを聴いてて思いますね。2000年発売の『ドコンパクトディスク』に入っていてもおかしくない(笑)そういう安心感です。
カンノ:歌詞はそれぞれの17歳について歌っています。ANIさんがかなり冷めてますね(笑)「俺ってなんにも言ってね~」的歌詞が続きますね(笑)BOSEさんの歌詞はそのときのサブカル憧れみたいなものが垣間見えるけど、それに比べるとANIさんが無気力すぎる(笑)それも良いなと思って。
上野:それはスチャダラ的良さだよね。
カンノ:トラックはもちろん、歌詞の役割も安心安定のスチャダラクオリティです(笑)それが聴ける喜びはありますね。さぁ、対して後攻・RHYMESTERでございます。これは良いですよ。2001年の曲です(笑)
上野:「2020年vs2001年」をやるんですね(笑)時をかけたバトルだ!
カンノ:こちらはRHYMESTERのメジャーデビューアルバム『ウワサの真相』から聴いてもらいましょう、「前略」
上野:懐かしいなぁ~。
カンノ:歌詞構造としては、今の自分がタイムスリップして、中学時代の自分に向かってラップしていると。これはCreepy Nutsが「思い出のRHYMESTERの曲」として挙げていましたね。通ずるところはあるよね。Creepy Nutsのスタンスと「前略」って。
上野:確かにそうだね。
カンノ:さぁ、どっちでしょうか!?
上野:どっちかなぁ~?
カンノ:これはね、「前略」の勝ちかな!
上野:勝者、RHYMESTER~!
カンノ:やっぱり、こっちのほうがエモいね!
上野:エモが勝因。
カンノ:希望があるよね。「ヘドが出るんだオレは マジでお前には 過去のオレには つまりオレには」とか素晴らしいじゃないですか。「後は任せた! P.S. そのシャツ何?マジだっせーな!」とかさ。グッと来るよね。同じことを振り返られるよね。それに対してスチャはドライ過ぎるね!
上野:それでいうとさ、「セブンティーン・ブギ」と「前略」って20年ぐらい違うじゃん。おじいちゃん手前の年齢のスチャダラパーが17歳について歌ってるんだよ(笑)
カンノ:50歳だもんな~(笑)
上野:だから「前略」当時のRHYMESTERからすると10代ってちょっと前の自分だけど、今のスチャダラパーからすると下手したら孫に近い勢いだよね(笑)
カンノ:どんどん他人度が強くなるよね(笑)あとANIさんの歌詞で「性欲は正常 中の下」と歌ってて、スカしてるんです(笑)俺はスカした大人が嫌いなので、スチャの負けです(笑)高校生なんて性欲の塊なんだから。
上野:勝敗の理由が極私的で酷いですね(笑)
第2回戦:大災害対決
カンノ:ヒップホップは暗いこともテーマにしますから。時事ネタ曲もスチャダラパーにもRHYMESTERにもございます。
上野:社会情勢について歌った曲だね。
カンノ:まずは先攻・スチャダラパーの曲を聴きましょう。「その日その時」
上野:これは東日本大震災の曲ですね。
カンノ:そうだね。これってもともと防災の曲なんだよね。電通の「+ソナエ・プロジェクト」というところから生まれた曲で。2017年にMVも発表されています。
カンノ:3バース目が具体的な防災のことについて歌った部分になっていて、この部分が最初MVとして2017年に発表されています。そして2020年にアルバムとしてフルでこの曲を聴いたら、BOSEさんANIさんそれぞれ、「今、あんまり防災の備えやってないや…」というオチになっているという(笑)そういった電通案件の曲です。100日後に死ぬワニ!
上野:「電通案件」という言葉の幅の広さね(笑)
カンノ:防災プロジェクト楽曲のフルver.が、「防災の意識が落ちてるわ~」というスチャダラパーお得意の怖い方向リリックになっております。そしてトラックがマジかっこいいよね。ビートが強いスチャダラパーが僕は大好き!
上野:このトラックはかっこいいね。
カンノ:さて後攻・RHYMESTERでございます。大きい事件の曲ですね。2004年の曲です。
上野:基本的に15年とか20年のスパンで戦わされるのね(笑)
カンノ:もともとシングルのカップリングで発表されているので、20003年の曲でもあります(笑)お聴きください、「911エブリデイ」
上野:「911エブリデイ」が入っているアルバム『グレイゾーン』は本当に何百回と聴いたよね。
カンノ:本当に好きだったアルバムだよね。
上野:本当かっこいいよね。
カンノ:『グレイゾーン』も暗いアルバムだけど、その中でも特に暗い楽曲が「911エブリデイ」ですね。タイトル通り、アメリカ同時多発テロ事件について歌った曲です。これは日本にいる自分たちが遠巻きでニュースなどでその様子をマズいブランチを食べながら見ている情景を歌ってますね。トラックが少しレゲエっぽくて、これは確か武道館ライブのDVD副音声で言ってたんだけど、フックの「911エブリデイ~」のところでお客に手を振らせてノリながら歌うという変態性を見せています(笑)
上野:911の事件についての曲で客をノラせるっていうね(笑)
カンノ:まぁ、そういったことってヒップホップやダンスミュージックなんかではよくあるよね。身体で感じながら社会情勢のことについての歌を聴くというのは。そういったものの実験曲かなと思います。さぁ、これはどっちでしょうか!?
上野:勝敗が気になりますよ。さっきはRHYMESTERが勝ちました。
カンノ:まぁ、でも「911エブリデイ」は暗すぎるので、スチャダラパーの勝ち!
上野:敗因は「暗すぎる」(笑)
カンノ:僕は希望があるほうを勝たせる傾向にあります(笑)スチャダラパーは防災意識の部分があるからさ。RHYMESTERは暗い出来事を、暗いままの印象で終わらせている曲だからね。
上野:スチャダラパーのほうは、防災意識について歌った曲だけど、「最近は忘れちゃってるね」というギミックが利いた終わり方だもんね。RHYMESTERはテロの映像を見て、「うわぁ…」っていう曲だもんね。それが敗因。
カンノ:やっぱり希望が欲しいね。
上野:15年前の曲に何文句言ってんだよ(笑)
カンノ:『グレイゾーン』って全体的にそういう雰囲気が漂ってるよね。どんよりとした暗さが。当時の北朝鮮について皮肉った曲とかもあってさ。そしてそれがカッコいいビートだったり、ノレるビートでラップしているのがまた良かったりしますよね。ということで、時間いっぱいそこまで!
上野:おっ?これは…。
カンノ:1勝1敗ということで、引き分けです!
上野:今日でどちらかが消えるのかと思っていましたが。
カンノ:消したかったなぁ~!
上野:「消したかった」(笑)
カンノ:でも同じジャンル同士のミュージシャンを戦わせるのは面白いですね。同じテーマ縛りで曲を比較するとかさ。
上野:ヒップホップはまだまだそういうの出来そうだよね。
カンノ:バンドとかもやってみたいね。次はRHYMESTERが新作アルバムを出したら、スチャダラパーの過去曲と戦わせたいね。
上野:良いね。確かにこれで決めたらフェアじゃないよ(笑)
カンノ:あと2戦だからどうしても引き分けにしちゃうね(笑)
上野:言ったね、「引き分けにしちゃう」って(笑)
カンノ:という特集でした。最後はスチャダラパーとRHYMESTERの喧嘩両成敗曲を聴きましょう(笑)スチャダラパーからのライムスターで「Forever Young」
『Radio OK?NO!!』は毎週日曜25:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!