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Radio OK?NO!! 第51回「迂闊ソング特集~前編~」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。ここでは毎週の特集を文字起こしという形で記載します。今回は第51回の3月28放送分、「迂闊ソング~前編」をお送りします。

 

カンノ:J-POPにもいろいろ危ない曲ってあるんですよ。

上野:危ない曲?

カンノ:放送禁止歌とまでは言いません。

上野:ということではなくてね。

カンノ:そこまではいかないけど、「この表現大丈夫か?」とか「これは時代とマッチしてないよなぁ」とか。

上野:「この言い回しの歌詞は大丈夫か?」みたいな。

カンノ:「この表現がかっこいいというのはすごく前時代的だぞ」とか。

上野:なるほどね。あるだろうね。

カンノ:なので今日は「この表現、ちょっと迂闊だぞ」と思った楽曲をいろいろ紹介する「迂闊ソング特集」をお送りします。

上野:いやぁ、わざわざ掘り起こしてやるなよ(笑)誰も言わなきゃ何も起きないんだから…。

カンノ:この番組は性悪説ラジオですから。

上野:そんなことないよ(笑)

カンノ:それで今回は2000年代以降の迂闊ソングに限りました。なぜかと言うと、1980年代以前は迂闊だらけだからです(笑)

上野:キリがないからね(笑)

カンノ:古い迂闊はキリがないので、最近の若い迂闊ソングを紹介します。

上野:迂闊の若手ね(笑)

カンノ:じゃあまずは紅白にも出た迂闊ソング行きましょう。それでお聴きください、グループ魂で「君にジュースを買ってあげる♥」

上野:これはどこが迂闊なんですか?

カンノ:分かりませんか?「時々暴力ふるうけど たまにジュースを買ってあげる」です(笑)

上野:ヤバいですね(笑)

カンノ:「食事は君が払いなよ」

上野:ヤバいね(笑)

カンノ:「時々暴力ふるうけど」よりもそれに対しての「たまにジュースを買ってあげる」の方がヤバいですよね(笑)

上野:全然トレードオフの関係じゃない(笑)その買ってきてたジュースも怖いよね(笑)

カンノ:あと、こういう人は下手したら居るぞ(笑)

上野:いるだろうね~。

カンノ:例えば2番の歌詞だと「家賃とか光熱費とか全部払ってよ!」っていう歌詞があるわけですけど、こういった情けないヒモなんだけどちょっと父権的な歌詞ね。男が上からガツンと行くみたいな歌詞ですけど、これはそれ自体を茶化している歌詞なわけですよ。

上野:そうなんだけどね。

カンノ:それは分かるんです。で、こういうことを茶化すってすごく難しいよね。

上野:難しいよね。っていうか、今日ってこんな感じの特集なの?(笑)「今の時代聴き返すと、”危うい表現”って”危うい”よね~」っていう(笑)

カンノ:アハハハハッ!例えば発売直後のインタビューとかではいろいろ言えると思うんです。ある種の言い訳として、「冗談っぽく言ってるだけなんですよ~」とか。でもそういうのってしばらく経つとなくなっちゃって、結局作品だけが残るじゃん。そうなるとやっぱり「時々暴力ふるうけど」とか目立っちゃうよね。

上野:そうだね、目立っちゃうよね。目立っちゃうし、あと当時はそんなに問題にならなかったっていう状況もあっただろうしね。いやだからさ、今こうやって掘り起こさなくたって良いんだよ!(笑)

カンノ:まぁ、こっちが未来人的な立場で音楽を聴いてみるという遊び方の一つですよ。「これは危ないぞ…!」っていうね。

 

カンノ:次に流す曲は2003年ぐらいの発売なんですけど、この曲を久々に聴いたときに「これは迂闊だ!」と思ってね(笑)それがきっかけでこの「迂闊ソング特集」をやろうと思いました。それではお聴きください、SOFFetで「人生一度」

カンノ:「生きるという義務課題をなんなくこなすが 実は何が大切か彼は気付かない 喉が渇いたときにはもう水はない」というサビなんですが、「生きることをなんなくこなす」みたいな言い方で言わないで欲しいよね。

上野:と言うと?

カンノ:この曲は2003年の曲なんですが、この2021年に至るまでで「生きることをなんなくこなすこと」の難しさをかなり知っちゃったわけじゃないですか。

上野:あぁ~、なるほど。そんなことを軽々しく言ってくれるなと。

カンノ:「何でこんな皮肉歌っちゃってくれるのよ!」って聴きながら思ったんですよ。

上野:なるほどね。

カンノ:この曲のストーリーとしては、自分の人生の変遷ですよね。小中高大学と経て就職して、結婚して子供もできて家も買ってみたいな。それで老後過ごして、「私の人生はこれで良かったのか?」と平凡でありきたりな人生を反芻するみたいな歌詞なんですけど、「良いに決まってんじゃねーか!」みたいな(笑)で、何でそんな風なことを歌っちゃうのかと勝手に考えてみました。2003年のSOFFetについて考えてみましょう。2003年のSOFFetというのは、ワーナーミュージックジャパンからCDをリリースしてるわけです。それで2003年のワーナーというのは、RIP SLYMEKICK THE CAN CREWがドカドカ売れてるときなんですね。

上野:そうだね~。

カンノ:僕らがヒップホップに触れて、「超かっこいいぞ、この音楽」と思い始める時代ですよね。しかもそれがアングラ方向ではなくポップで分かりやすい方向で。で、絶対ワーナーやSOFFet自身も第2のリップや第2のキックを意識すると思うんですよ。

上野:それはそうだよね。だって『笑っていいとも!』に出てたの覚えてるもん。しかもテレフォンショッキングで。それだけ「売らせよう」という意識はあったはず。

カンノ:それはその勢いに乗りたいはずですよ。売れなきゃいけないから、「普通でありたくない」という気持ちは心中察せられるなと。で、そこから18年が経ちました。それでどうなったか。「生きるという義務課題をなんなくこなす」ことが難しい時代になったと。

上野:この曲の歌詞を見てるんですけど、「購入した2千万ぐらいの一軒家 はたからみりゃ暖かな幸せ定かな」という歌詞があるわけですよ。そりゃ2千万ぐらいの一軒家とか購入したいよね(笑)

カンノ:本当だよ。こんなの人生の優勝じゃん。

上野:なんか、そんな貧困な時代になってしまったと。

カンノ:今、SOFFetが「人生一度」って曲を改めて作ったらこんな感じにならない気がするんだよね。

上野:そうだろうね。

カンノ:だから皮肉を扱うってすごく難しいなと。

上野:もしかしたら発売当時はこんな皮肉を表すような曲にもなってなかったかもしれないね。

カンノ:当時はラジオでロングランヒットしてたから、普通に良い曲として刺さってた人もいたかもね。今はもう結婚とか子育てとか家を買うとかって当時よりも難しい気がするね。

上野:なんか急に社会的なラジオなっちゃったな(笑)

カンノ:でも俺たちも音楽を約20年ぐらい聴いてきてさ、こんなにガラッと印象が変わる経験とかするんだな~っていうことも新鮮だったりしますけどね。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の放送は4月11(日)です。お楽しみに!