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ポルノグラフィティの楽曲リスト作った② 〜楽曲制作体制の変遷〜

 

 

前回に引き続き、ポルノグラフィティの楽曲リストをつくったことをきっかけに、ポルノグラフィティについてつらつら語っていく。

前回記事

someofthem.hatenablog.com

 

楽曲リストはこちら

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ポルノグラフィティの面白さは、なんといっても楽曲の多様さにある。

 

ポルノグラフィティの楽曲はロックを基調としたポップスをベースとしているが、世紀末を予感させる強烈なデビューシングル『アポロ』をはじめ、アコースティックなバラード『サボテン』、王道ポップチューンの『ミュージック・アワー』、ラテン調の楽曲に女性目線の歌詞が印象的な『サウダージ』、ホーンセクションとダークな世界観が印象的な『渦』など、様々なジャンルを横断してなおポップで普遍的な楽曲たちによって、着実にファンを増やしてきた。


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他にもギターのカッティングが印象的なファンクチューン『Love too, death too』、バービーボーイズ風なホーンセクションが印象的な『痛い立ち位置』のような、音楽好きであればなお楽しめるような楽曲もシングルとしてリリースされ、ヒットしているのも特徴的である。(楽曲のチョイスはYou-suckの好みに準拠。)


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デビューからずっとヒットチャートを賑わせる人気バンドであり続ける理由として、歯切れのよいハイトーンヴォイスを駆使する岡野昭仁のボーカリストとしての魅力があることは言うまでもないが、ジャンルを問わず多様な楽曲をリリースし続け、リスナーを着実に増やしてきたことがある点は見逃せない。

 

では、なぜ、多様な楽曲を世に届けることが出来たか?それは、ポルノグラフィティの楽曲制作体制に秘密があると思われる。

ポルノグラフィティは、デビュー当初から様々な楽曲制作体制でヒット曲が生み出されているといえるのである。サザンオールスターズにおける桑田佳祐のようなカリスマ性のあるフロントマンが楽曲制作したり、B’zのように主に作詞をボーカル、作曲を他のメンバーがつとめるような制作体制が取られているのではない。

ポルノグラフィティの多くの楽曲には、音楽プロデューサーやライブのサポートメンバーを担当したak.homma本間昭光)が作曲者として関わっている。

シングル曲で見ていくと、メジャーデビュー曲の『アポロ』、初のオリコン1位を獲得した『サウダージ』人気曲の『アゲハ蝶』、アニソンとして有名な『メリッサ』は音楽プロデューサーak.hommaによる提供曲で、2021年現在20代後半から30代前半の多くが知るポルノグラフィティの楽曲のほとんどはak.hommaによるものである。ポルノグラフィティがスターダムを駆け上がるストーリーに、ak.hommaの貢献があること間違いない。

一方、メンバーの作曲によるシングル曲がないわけではない。デビュー初期からTamaの脱退まで、メンバー作曲によるヒット曲、ライブでも人気の名曲も手がけられている。たとえば、2000年12月にリリースされた『サボテン』は彼らのインディーズ時代からの楽曲で、ベースを担当していたTama(当時は「シラタマ」名義)によるものである。前の記事で触れた11thシングル『音のない森』は岡野昭仁による作詞・作曲である。

 


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Tama脱退以降も、新藤晴一によるシングル曲『黄昏ロマンス』『THE DAY』、岡野昭仁による『ROLL』など、ヒット曲やタイアップ曲が多くリリースされている。


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データから見るポルノグラフィティの楽曲制作体制のEpisode

 

Episodeの分類方法

2021年5月現在、大まかにポルノグラフィティの足跡を分類すると、4つの時期に分けることができる。2013年11月20日にリリースされた3枚組ベストアルバム『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"』の収録曲の分類をもとに、筆者のYou-suckが独自に定義した。(Episode4は『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"』には存在しない。)

 

 

 

分類

期間

内容

Episode1

1999年9月〜2004年7月

シングル『アポロ』から1つ目のベストアルバム『BEST BLUE’S/RED’S』まで。

Tamaが在籍した期間。

Episode2

2004年9月〜2008年10月

シングル『シスター』から2つ目のベストアルバム『BEST ACE/JORKER』まで。

Episode3

2008年12月〜2013年11月

シングル『今宵、月が見えずとも』から3つ目のベストアルバム『ALL TIME SINGLES』まで。

ak.homma以外の音楽プロデューサーが楽曲制作に関わるようになる。

Episode4

2014年9月〜2021年5月現在

シングル『俺たちのセレブレーション』以降



Episodeごとの作詞者・作曲者の組み合わせの変遷

ポルノグラフィティのシングル・アルバムに収録されている全楽曲(カバー曲、バージョン違いによる重複を除く)の作詞者・作曲者の組み合わせを上記のEpisodeの分類ごとにみていく。様々な作詞・作曲者の組み合わせで楽曲が生み出されていることがわかる。

 

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Episodeが進んでいくにつれて、Tamaの脱退、ak.hommaが作曲に関わらなくなり、メンバーによる作曲が中心になっていく様子がわかる。単に、作曲に関わる人間が少なくなってきたので、結果としてメンバーによる制作楽曲が増えるのは当然ではあるが、ak.hommaが関わらなくなるEpisode3以降においても、シングルやアルバムのリリースを継続的に行っており、岡野昭仁新藤晴一のクリエーターとしての成長が伺えるように思う。(と同時に、ak.homma離脱以降のマルチプロデューサー体制によって、多様性を確保しているとも言える。)

 

 

※その他の内訳は以下の通り。

  • 作曲者が「-」の楽曲はインスト曲。
  • - / - である『Introduction 〜迫リ来ルMONSTER〜』は声優のセリフのみの曲。

 

分類

作詞 / 作曲

タイトル

Episode1

- / 岡野昭仁

awe

sonic

Theme of "74ers"

- / 新藤晴一

didgedilli

ak.homma / ak.homma

Heart Beat

マシンガントーク

Tama新藤晴一 / Tama

Search the best way

新藤晴一 / Ryo(吉俣 良)

ロマンチスト・エゴイスト

Episode2

- / 岡野昭仁

m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"

m-NAVI 2 "Keep on having fun with the MUSIC CABINET"

ポルノグラフィティ / ポルノグラフィティ

稲妻サンダー99

Episode3

- / -

Introduction 〜迫リ来ルMONSTER〜

- / 岡野昭仁

Mission of the Far East

- / 新藤晴一

Truly

おいでよサンタモニカ

新藤晴一 / 新藤晴一,ak.homma

EXIT

Episode4

- / 新藤晴一

螺旋

岡野昭仁,新藤晴一 / 岡野昭仁

俺たちのセレブレーション


次回以降は、Episodeごとに深堀りをしていきたい。

 

You-suck