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サムオブ井戸端話 #002「カバーアルバムとカラオケ番組」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

「カバーアルバムには夜もヒッパレ的なものとNHKのCovers的なものがあると思う」と語るカンノメンバー。それに対して「第3の道としてカラオケ番組的なカバーアルバムもあると思う」と語るオノウエメンバー。その流れでカバーアルバムとカラオケ番組の相関性について考えてみました。

オノウエ:カンノの「カバーアルバムは2種類ある」話、聞かせてよ。

カンノ:カバーアルバムをテレビで例えるとしたら「夜もヒッパレ」なのかNHKの「Covers」なのか。「Covers」のほうがアーティスト性を保っているカバーアルバムで、「夜もヒッパレ」はアーティストが芸能に降りてくるようなカバーアルバム。たとえばクリスタル・ケイが今年出したカバーアルバムはとても「夜もヒッパレ」感が強い。「Covers」ではかからなそう。

カンノ:あと氣志團が今年カバーアルバムを出してるんだけど、それは筒美京平作曲の楽曲だけをカバーしたコンセプトがあるの。これはどちらの番組にも出られるなと。氣志團のキャラクターを押し出すんだったら「夜もヒッパレ」も行けるし、綾小路翔筒美京平楽曲の素晴らしさ云々を語るんだったら「Covers」にも全然出られる。ハイブリッド型で、つくづ綾小路翔は頭が良いなと思ったんだけど。

YOU:それは知らなかった。「強い気持ち・強い愛」とかカバーしてるんだね。

オノウエ:そのどっちにも入らないカバー歌手とかいるのかな。May J.ってどっちに入る?

カンノ:May J.は「夜もヒッパレ」的な芸能を感じるけどね。

オノウエ:May J.は「夜もヒッパレ」なのか。

カンノ:「Covers」じゃないでしょ。

オノウエ:「Covers」ではないね。でも「夜もヒッパレ」にも出ない気がするんだよな。

カンノ:まぁ、大前提がカラオケ番組だよね。

オノウエ:そうそう。「夜もヒッパレ」でも「Covers」でもない人が出る、第三の道として「カラオケ番組」ってあるなと思ったの。

カンノ:「夜もヒッパレ」はカラオケノリの要素もあると思うけど。

オノウエ:カラオケ番組ってそもそもいつからなんだろうね。プロの歌手に歌わせて点数を出すというシステム、結構すごいよね(笑)

カンノ:そこから出た素人の人がプロになったりする場合もあるからね。

オノウエ:人が歌ったものに点数が出る。その点数が出るのをお茶の間が楽しむっていうのは結構すごいことじゃない?カラオケ点数バトルがテレビの企画で通るのがすごくない?プロの歌手が歌ってるんだよ?(笑)それで98点とか出るわけじゃない。

YOU:そうだね(笑)

オノウエ:カラオケ番組で有名になってカバーアルバムを出すという人は「夜もヒッパレ」とも「Covers」とも違う性質だと思うな。

カンノ:たしかに違うね。

オノウエ:そして俺はこの層を誰が聴いているのかが一番分からない(笑)

カンノ:でもファミリー層が一番買いやすいのはそこなんじゃない?「Covers」的なカバーアルバムはアーティスト性が強すぎるし。それこそクリス・ハートとかMay J.のカバーアルバムになるんだろうけど。

オノウエ:たしかにね。あと島津亜矢さんのカバーアルバムって島津さんは選曲には一切関わっていないんでしょ?

カンノ:ほとんど関わってないとインタビューで読みました。

オノウエ:もう、いよいよカラオケじゃん。なにを歌ってもいいんでしょ?

カンノ:「なんでも歌いこなしますよ、私」ってことだよね。

オノウエ:「歌いこなす私」ね。歌う側のモチベーションはそこなのか。

カンノ:歌の抜き打ちテストだよね(笑)

オノウエ:「今回のアルバムの選曲はこれです!」

カンノ:「King Gnuさんの『白日』ですね、はいはい分かりました」みたいな(笑)

YOU:歌のプロフェッショナリズムか。

オノウエ:たしかに言い方としてはめちゃくちゃプロって言えるかもしれないけどね。歌の技術者だよね。

カンノ:「歌いこなす」とか「乗りこなす」みたいなのはテーマなのかもね。たとえば自分たちのラジオでモノンクルの「アポロ」をかけたけどさ、「アポロを自分たちなりに乗りこなしました」みたいなアレンジだった気がするな。

オノウエ:ただモノンクルの面々はちゃんと「アポロ」が好きで、それをどう自分たちがカバーしたら面白いかというモチベーションはあった気がするし、それは分かるの。ただ自分で選曲をしない場合、バックトラックの監修もしないから本当に歌うだけじゃん。「歌うだけ」というモチベーションって結構すごいなって思ったの。選曲やアレンジも考えるカバーとそれは全然別物じゃん。だから歌の技術者としての自己の提示だよね。それはプロという言い方になるんだろうけど。そしてそれを買う人はどういう思いで買って聴いているんだろう?

YOU:それは分からないな~。

オノウエ:やっぱりカラオケ番組方向だと思うんだよ。自分が好きな曲とか嫌いな曲とか関係なく98点を出すことができる。そして「98点を出せる私」が本人のモチベーションとしてあったとして、その98点の歌ってそもそも誰が聴くんだろう…?(笑)

カンノ:「98点が聴きたい!」と思って買うわけじゃないもんね(笑)

オノウエ:「これは素晴らしい98点だ」なわけがない(笑)不思議だよね。カラオケ番組の功罪なのかな?

カンノ:カラオケ番組とカバーアルバムの相関性の話は面白いね。

YOU:テレビはやっぱり大きいよ。

カンノ:今後はそこに注目してカバーアルバムを嗜んでみるのは面白いかもね。実際にカラオケ番組からデビューした人や、音源から感じられるカラオケ番組感とかね。

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