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サムオブ井戸端話#008「ライブにおける有観客/無観客のノリの差異①」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

フジロックは見ましたか?」とオノウエメンバー。今回の有観客のフジロックがとても良かったと思えたことについて、無観客での配信ライブや今年行われたオリンピックや高校野球をとおして考えてみました。

 

オノウエ:フジロックの配信は見ましたか?

カンノ:僕はNUMBER GIRL電気グルーヴだけですね。

YOU:僕も3日目の夜からしか見てないな。

オノウエ:そっか。僕はまあまあ見たんですよ。僕は特にNUMBER GIRLは好きなので、これまでの配信ライブもお金払ったりして見てたんですね。でも今回の無料で見れたフジロックのライブがどう考えても一番良かったんです。

カンノ:僕もいくつかお金払ったりしてナンバガの配信ライブは見てたけど、今回のが一番良かったね。これまでのナンバガのライブは無観客が多かったよね。

オノウエ:そうだね。それでなんで今回のライブが一番良く感じたのかを考えたら、目の前に人がいない状態のライブって、上手いとか下手とかじゃなく、やっぱり良くないんだよ(笑)

カンノ:結局ね(笑)

オノウエ:このコロナ禍におけるフジロック開催の是非は、僕はまったく分かりませんが、とりあえずものすごく久しぶりにお客さんの入った状態のライブをリアルタイムで見るという経験が結構新鮮で、「お客さんがいるとこんなに違うんだ」っていうのをどのライブを見ても感じたね。結論としては「お客さんがいないとダメ」って思ったんだけど。

YOU:「ダメ」って言い切るのがいいね(笑)

カンノ:コロナ云々は置いといて、そもそもお客さんがいないと成り立たないってことだよね。

YOU:Mステやほかの音楽番組のステージングとかでライブっぽくやってる場合もあるけど、そもそもライブがあってのあのステージングだもんね。

カンノ:まぁ、あれはライブじゃなくてプロモーションだからね。

オノウエ:音楽番組にしても、それなりにショーアップされた形を作るじゃん。電グルのこの前の配信ライブも円形だったけど。カメラの前に演者がいるという形で。でも「ライブ」と銘打っているなかで、その間に観客がいない状態というのはやっぱり不自然でさ。レスポンスがないっていうのは。

カンノ:歓声じゃないにしても拍手とかのレスポンスがないっていうのはね。

オノウエ:リスクの面は一旦置いといて、そういう意味で有観客でフジロックをやったのはやっぱり良かったと思うんだよね。

カンノ:それにしてもナンバガがすごく良かったからなぁ~。

YOU:ナンバガはなにがそんなに良かった?

オノウエ:俺やカンノはナンバガのライブ映像は結構見ているはずなんだよ。だから演者がノッてるときの演奏とノッてないときの演奏ってなんとなく分かるじゃん(笑)それでいうと、今回のフジロックは明らかにノッてたんだよね。

カンノ:基本的にこのコロナ禍以前は演者って無観客でライブをしたことがないんだよ。有観客でしかやったことがないというか、有観客で演奏することがライブだからね。だからつまり、有観客のほうがいいんだよ(笑)

オノウエ:いる前提の人たちがいないんだよね。

カンノ:無観客ライブって結局、なにに向かってライブをしているのか分からなくなるよね。それが保ててライブができる人っていうのは、ライブパフォーマーというよりは、むしろ芸能人に思えるというか。カメラの向こうを意識できる人という意味で。

YOU:ライブパフォーマーと芸能人の違いは面白いね。

カンノ:まだナンバガが良いのは、たとえば映像集で『騒やかな演奏』っていう作品があるけど、あれは単なるライブ映像のパッケージではなくて、映像作品を作る意識のもので作られたものじゃん。だから無観客でも作品を作る意識のライブはやってはいるんだよね。Zepp Tokyoでの無観客ライブ中継とかもその意識だったけど。でもフジロックでのライブを見ていて、「やっぱ有観客のほうがコンディションは良いんだな」と思ったね。

オノウエ:それでオリンピックがあったじゃないですか。あと高校野球もありました。どちらも無観客なんですね。その結果どうなったかというと、日本で開催のオリンピックは日本人金メダルが過去最多。高校野球の甲子園の決勝は智弁和歌山智弁学園が戦って、智弁和歌山が9:2のワンサイドゲームで勝ったんです。ようは番狂わせがまったく起きなかった。

YOU:なるほどね。

オノウエ:たとえば有観客によって起こる番狂わせというのは、フジロックという音楽の場でいうと、演奏が謎の力によってノッてくるとか。そういったものがオリンピックや甲子園では起こらず、フジロックでは起こったみたいな。

カンノ:そうなると音楽の有観客のライブには、常に謎の力が起こり得るというのは面白いね。

オノウエ:むしろ謎の力によってだけ支えられている可能性がある(笑)

カンノ:このブログは「スピ」とか「呪い」とか「謎の力」とかそういうことしか言えないのか(笑)

 

オノウエ:だから甲子園の魔物みたいなものは今年は起きなかったんだよ。

YOU:そうなんだ。

オノウエ:なんかどの試合もワンサイドゲームになる傾向があったみたい。

カンノ:途中から逆転みたいなことはないんだ。

オノウエ:そうそう。初回から大量得点を決めたチームがそのまま勝っちゃうみたいな。

YOU:応援でエモくなること込みでの高校野球なんだね。

オノウエ:お客さんからしても、ちょっと負けてるチームを応援したくなるじゃん。そこで「頑張れ~」とか言うと、なにかスイッチが入るんだろうね。

カンノ:観客から反応があるとミュージシャンも嬉しくて演奏がノッてくるってことなんだね。

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