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サムオブ井戸端話#009「ライブにおける有観客/無観客のノリの差異②」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

フジロックは見ましたか?」というオノウエメンバーの話から、ライブにおける有観客と無観客でのノリの違いについて考えたサムオブメンバー。後編では他ジャンルの無観客配信ライブのノリ方の難しさについて語り合いました。前編は下記リンクから。

 

YOU:配信ライブの話でいうと、最近とあるアイドルの無観客配信ライブをファンの友達と見たんですよ。でもパフォーマンスが有観客と無観客でそんなに変わらないの。多分彼女はすごく訓練されていて、それゆえに生でライブを見ても配信でカメラ越しで見ても、そんなに変わらないんだよね。エモい振舞いとかも訓練の賜物でできてるから、そんなに変わらないんじゃないかなって思った。

オノウエ:アイドルとかって現場だけじゃなくて、テレビや画面越しで振舞うこともあるもんね。

カンノ:そのアイドルが現場でのライブパフォーマーを全うしたいのか、芸能界を目指しているのかで違ってくるよね。

オノウエ:アイドルという分野はまた話が変わってきそうだよね。

YOU:リスクは一旦置いといて、俺はフジロックとかそういったライブイベントは有観客でやっていったほうがいいと思っていて。それは今回のフジロックの配信で、4s4kiのライブを見たんだけど、この人のパフォーマンスがすごくかっこよくて。それでまだ23歳とかなんだよ。なんか、若い人がライブの経験を積む場所がなくなっていくのが本当にダメだと思って。

オノウエ:若い人の経験の話でいうと、思ったのが学校についてで。コロナ禍が始まった昨年の2020年に1年生の人が、来年の2022年に3年生になるんだよ。1年生のときに文化祭や体育祭はなかったわけじゃん。そうなるとその中学校や高校では、誰もその学校で文化祭や体育祭をやったことがないってことになっちゃうんだよ。全校生徒全員が文化祭や体育祭を経験していないから、それらがどういったものなのかが分からないっていう。

カンノ:すげえなぁ…。

オノウエ:これも皮肉な話なんだけど、フジロックは開催してPCR検査もやってディスタンス取るように指示したりして、地域住民や自治体からも合意を得てるわけじゃない。そういったことが民間でできて、学校ではできないっていうのは皮肉な話だなと。

YOU:なんだか真面目な話になってきたね。

オノウエ:ちなみに配信ライブ自体は結構見たりする?

YOU:僕はあんまり見ない。お金だけ払ってアーカイブ期間が終わっちゃってたりする。ライブって足を運んでその場所に閉じ込められるから見るじゃん。配信だと途中で普通にそこら辺にある本とか読んじゃう(笑)だから結局お布施になっちゃうかな。

カンノ:集中できないよね。僕も配信は苦手だな。

オノウエ:僕もナンバガとか音楽ライブの配信は見るのよ。あとお笑いの配信イベントとかも見るの。それらは大丈夫なの。でも配信演劇の見方がさっぱり分からなくて。

カンノ:それは具体的にどういうこと?僕は音楽にしてもお笑いにしても演劇にしても、「現地に見に行ったほうが100倍楽しめたんだろうな」と思っちゃうタイプなんだけど。

オノウエ:お笑い系のものに関してはテレビとあんまり変わらなくて、音楽ライブはもちろん「生で見たかった」とかは思うんだけど、ある程度回数こなすと「こういうもんかな」と分かってくるの。演劇の場合って、たとえば円形のステージとか最近は多いから、座る席によって見え方が変わってくることがあるじゃん。配信ってそういうことに適応しないから「どういうふうに見ればいいんだろう?」っていつも思っちゃうんだよね。「この登場人物のこの動きの意味は?」みたいなことがカメラワークによって見られないことがあるわけだから。それが全然分からない。

YOU:カンノと劇団ナカゴーの公演をコロナ以前はよく見に行ってたけど、あれは観客の笑い声を感じながら見ないと相当キツいよね。

オノウエ:ナカゴーの無観客配信とか本当にどう見たらいいか分からないな…。

カンノ:ナカゴーは完全にライブパフォーマーだからね。

YOU:あれに笑い声がなかったら完全に頭のおかしい映像だもんな…(笑)

オノウエ:ただひたすら大声を出している映像だもんな(笑)だから逆に配信を絶対にやらない劇団もあるだろうしね。

カンノ:公演のDVDと公演の配信は感覚としては違うものなの?

オノウエ:これも同じ話で、有観客か無観客かだよ。

カンノ:演劇ってそこが難しくて、笑いだけを追い求めているわけではないから、有観客でも反応が見えにくいところもあるんだよね。観客の反応がガイドとして機能しないというか。だからどちらにしても結局は「生で見たかったな」という感想になりがちかも。

オノウエ:なるほどね。それでいうと、ガイドもなにもない演劇の無観客配信というのが僕は一番見方が分からないかな。

YOU:結局、有観客でやることが大事だと思うんだよな。たとえばOASISが再結成して無観客配信で「Don’t Look Back in Anger」をやったとして、いまさらノエルがあの曲をフルでシンガロングしても誰も感動しない可能性あるよ(笑)

カンノ:曲への感動じゃなくて、ノエルがフルでシンガロングしていることの貴重さに感動するかもね(笑)「貴重なものが見れた!」って。

オノウエ:でもたしかに無観客のDon’t Look Back in Anger」ってどう見ればいいか分からないね。

YOU:あの曲は観客とのコミュニケーションによって、客がシンガロングするっていうお決まりができていった曲だからさ。それは無観客や配信では生まれにくいよね。アンセム的か楽曲でみんなでシンガロングできるような音楽のあり方はなくなってしまうかもしれない。

オノウエ:まぁ、結論としてはライブは有観客でやっていってほしいということです。

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