SOMEOFTHEM

野良メディア / ブログ / 音楽を中心に

Radio OK?NO!! Podcast #018「このラップが変!」特集文字起こし(前編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回はカンノが好きな、ギミックや仕組みや展開などを用いて面白い作りになっているラップ曲を紹介する「このラップが変!」特集の文字起こし(前編)を掲載します。

 

Radio OK?NO!! Podcast #018「このラップが変!」特集音声は下記リンクから。

 

カンノ:ちょっと前に上野君が主導で行った「俺たちのTHE FIRST TAKE」特集という企画を行ったと思います。

カンノ:流行っている「THE FIRST TAKE」というYouTubeコンテンツがありますが、じゃあ俺たちも好きな「THE FIRST TAKE」の曲をかけようってことで、でぶコーネリアス銀杏BOYZナパーム・デスなどの曲をかけました(笑)ようは上野君が好きな一発録りの曲をかけまくる回でした。「生々しい一発録りの曲ってやっぱ良いよね!」みたいな回だったと思うんですが、その回を収録しながら「自分の好きな曲をかけられていいな~」って思ってました(笑)俺、最近全然自分の好きな曲かけてないから。

上野:本当にかけてないよね(笑)

カンノ:なので今日は僕の好きな曲をたくさんかけようかなと思うのですが、どんな括りでかけようかなと。タイトルはこちらです、「このラップが変!」特集。「変なラップ!」っていう(笑)

上野:なるほどね。

カンノ:ヒップホップというジャンルの要素としてラップという歌唱法があるわけですが、僕はヒップホップというよりもラップが好きなんですね。韻を踏んで小節内で言葉を納めて歌う歌唱法ですよ。「音痴でも歌える」とか言われてますが、このラップという歌唱法を用いて変なことをしている人がいるんですよ。そういう曲をいっぱいかけたいなと思ってます。で、そういうことをやれてる人を見ると「羨ましいな」と思って僕は夢を追っかけて、叶わないから「31歳」特集とかやっちゃうんですよ!

カンノ:だから「お前らのせいだ!」特集ですね(笑)「このラップが変!」特集ですが、裏テーマは「お前らのせいだ!」特集(笑)「こういう曲を聴いたから、俺はこうなっちまった」ということです。

上野:まぁ、せっかくラジオがやれてるから好きな曲はかけたほうがいいよ。

カンノ:そういった特徴を踏まえた曲をいろいろかけたいなと思います。「このラップが変!」特集です。

 

カンノ:では1曲目です。僕が一番敬愛する人たちですね。ミュージシャンとしてこうなりたいなって方々なんですが、クチロロですね。クチロロの楽曲を聴いてもらえたらと思います、「Re:Re:Re:」

上野:この曲もそうだし、この曲が入ったアルバム「everyday is a symphony」は僕もすごく聴きました。

カンノ:このアルバムは2009年12月リリースですが、多分人生で一番聴いたアルバムですね(笑)それでこのなかからどれ選ぶかもすごく迷ったんですけどね。このアルバム自体がフィールドレコーディングという手法で作られてます。いろんな環境音を録音して、それをサンプリングさせてトラックに組み込むというのが基本的な作り方です。

上野:そういうテーマのアルバムだよね。

カンノ:じゃあこの曲のフィールドレコーディングとはなにかというと、女の子とのメールのやり取りの文章のフィールドレコーディングなんです。架空の口説きメールを送ります。で、やんわり断られるメールをもらいます。それをサンプリングします、だって(笑)

上野:もうフィールドレコーディングという概念ってなに?(笑)フィールドレコーディングかどうか分からない領域まで拡張されてるよね。

カンノ:っていうか嘘(笑)そんな作り方でラップしてるという。もっというと、ラップって自分の思った表現とか、「俺はこうだ!」とか「俺はこっからこうのし上がってくぜ!」とか「マイク1本でビッグマネー掴み取るぜ!」みたいなものがベタとしてあるじゃん。この曲は嘘のメールが出発点だから、フィクションをラップでやろうとしてるわけですよね。最初聴いたときに「そういう作り方でいいんだ」って思いましたね。こういう曲を聴いちゃったから、あーあー、俺、夢とか追っかけちゃった~。

上野:前回の感じに戻ってる、戻ってる(笑)

カンノ:好きな曲をかける特集をしたいだけなのに~!音楽が嫌いになる(笑)まぁ、でも「Re:Re:Re:」ってタイトルだけでも時代を感じちゃうね。

上野:だって2009年でしょ。ざっくり10年前でしょ。

カンノ:10年でもすごく前な感じするよね。

上野:もう「Re:Re:Re:」という表記自体が、LINEでやり取りしてると存在しないもんね。

カンノ:Z世代に伝わらないですよ。このラジオも「Z世代」にカテゴライズされるように頑張っていきたいですね。

上野:Z世代が分かる話を一つもしてないけどね(笑)Z世代はMDを知らないんだから(笑)

カンノ:返信をするとメールの件名に「Re:Re:Re:」がいっぱいついちゃう現象ですよね。だから件名の文章も見えなくなるというね。もうそんなのもないからね。

上野:曲自体は今聴いても新しい感じはするけどね。

カンノ:曲がやり方としてスタンダードじゃないからね。結局、王道からは全く外れたアプローチの曲が僕は大好きなんですよ。そういったラップ曲を今日はいくつか紹介したいんですけど、続いてはこのアーティストの楽曲を紹介したいなと思います。それではお聴きください、Nona Reevesで「Go feat. Romancrew」

カンノ:やっとNona Reevesをラジオでかけられて嬉しいですね~。

上野:本当はずっとかけたかったもんね。

カンノ:高校生のときっていろんな音楽を探したりするじゃん。皆で「これがいい」「あれがいい」って言ってるなかで、「Nona Reevesいいぞ!」って俺が最初に言った!スペシャで「DAYDREAM PARK」のPVを見てね(笑)

上野:「俺だ!俺だ!」って(笑)

カンノ:「Go feat. Romancrew」は2009年発売で、Romancrewというラップグループをフィーチャリングしてます。学生のころにこの曲を最初に聴きましたが、そのころになるとコード進行がどうとか、Aメロ→Bメロ→サビみたいな展開がベタとしてあって、みたいなことが分かってくるじゃないですか。それでいうとラップと歌が入った曲であれば、ラップ→歌→サビみたいな分かりやすい展開で続くじゃん。転調してギターソロが入って、そのギターソロの上にラップが被さって大サビに向かうっていう展開なんだよね。「なにそれ?」っていう。全くデッドスペースがない状態でラップを敷き詰めているというか。それにすごく驚いたのを覚えてますね。

上野:構造が面白かったんだね。

カンノ:ギターソロの上にラップを被せることの高揚感みたいなものを感じたのが忘れられないですね。

上野:あとRomancrewも変なラップグループだったもんね。

カンノ:MCの3人ともキャラが立ってて、ジャズやソウルやファンクみたいなものが下地であって、スタンドマイクの前でラップするスタイルだったりね。衣装のスーツをバッチリキメてね。そういう出で立ちのグループだったけど、そういう特殊性の持つ人たちとNona Reevesみたいな音楽性を持つ人たちと相まうみたいなね。Romancrewは所謂悪そうなラップグループとかじゃないからさ。高級な感じとか、ルーツミュージックを想起させたりね。そういう人たちを使って、曲展開でどう遊ぶかですよ。だってギタリストからすると「ラップ乗ってきちゃったよ!」だもん(笑)でもそれすら面白い感じになって、そのままグワーッとサビ→大サビになっていくという。そういうのを学生時代に聴いて「面白いな~」と思った印象ですね。

f:id:someofthem:20211101152257j:image