SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
年末なので年間ベスト企画をやることになったサムオブメンバー。後編の今回は、2021年のBUCK-TICKの明るさをYOU-SUCKメンバーが、Lowというバンドが確立しているスローコアというジャンルをオノウエメンバーが語りました。
YOU:僕はBUCK-TICKの「Go-Go B-T TRAIN」という曲を挙げたいなと思います。
YOU:曲自体はここ最近のBUCK-TICKのスタンダードなモードだと思います。
オノウエ:BUCK-TICKはあんまり知らないんだよね。
カンノ:僕もあんまり知らないです。
YOU:BUCK-TICKは30年以上のキャリアのあるビジュアル系バンドです。もともとBOØWYのフォロワーとして、音楽性もビートロックと言われるジャンルの音楽からキャリアをスタートしたんだけど、ニューウェーブやオルタナティブみたいな様々なジャンルを取り込んでいて、非常に野心的で音楽性が豊か。各年代に代表曲みたいなものがあって、BUCK-TICKは好きなんです。
オノウエ:それで最近のモードがこんな感じなんだ。
YOU:なんでこの曲を推してるのかというと、BUCK-TICKってキャリアが長いから年間ベストに入りにくいの。で、「B-T」ってBUCK-TICKの略なの。30年以上のキャリアのあるバンドがここにきてシングルで自己言及ソングを作ったんだよね。それに驚いた。しかもそのタイトルが「Go-Go B-T TRAIN」っていう。普通は絶対にやらないと思うんだよね。
オノウエ:あー、なるほどね。
YOU:サザンオールスターズが「サザンの歌」って急に出す?(笑)
カンノ:むしろサザンのほうがそういうことありそうだけどね。BUCK-TICKのほうがありえないよね。
オノウエ:たしかに、あんまり想像つかないよね。
カンノ:あとこの曲、明るいよね(笑)
YOU:50歳すぎて自己言及ソングを作ってこんな明るくてフレッシュな曲を作れるのはなかなかすごいことだと思うんだよ。しかもジャケットもヴェイパーウェイブっぽい雰囲気で、この野心だよね(笑)もう最近のバンドとか聴いてる場合じゃないよ!BUCK-TICKを聴け!
オノウエ:たしかにキャリア30年以上での自己言及ソングで曲がこれっていうのはすごいよね。「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」とか言うイメージなかったもん(笑)
カンノ:「こんな明るいんだ」って思ったよ。BUCK-TICKって暗い曲のイメージが強いから。
YOU:でね、このシングルの4曲目に入ってる「JUST ONE MORE KISS Ver. 2021」というのがあって、ちょっと聴いてみてください。
YOU:それでこれと比べながら、原曲も聴いてみてください。
YOU:原曲は所謂ビートロックで、BOØWYと同じ系譜だね。ニューウェーブが入ったビートロックみたいな。声はいかにも80’sじゃないですか。
オノウエ:コーラスがかかったギターとかね。
YOU:それが2021年だとネオアコっぽくなるの。で、当時ニューウェーブっぽい感じでやっていた曲を2021年にネオアコアレンジして出すっていう。だからここも目配せできる人たちなんですよ。で、80年代くらいからやっている人たちって「洋楽」って言われても曲が少ないから、全部聴くんだよ。だから教養がすごいんだよね。こんなキャリアのある人にこういう遊び心を見せられたら、「若い人の音楽なんて聴かなくてよくね?」って思っちゃうよね(笑)
カンノ:たしかに思った以上に明るいね。
YOU:普通にBUCK-TICKは全キャリアオススメです。捨てアルバムが1枚もないですよ。
カンノ:ではオノウエ君お願いします。
オノウエ:僕はLowというバンドを紹介します。
オノウエ:これは数週間前に友人から教えてもらった人たちなのですが(笑)
カンノ:洋楽ですね。どこの国の人なんですか?
オノウエ:どこだったっけな~?
カンノ:調べて来いよ(笑)
YOU:アー写すごかったね。おじさんとおばさんが写ってたね(笑)
オノウエ:キャリアは長くて、最新アルバムも13枚目らしいよ。
YOU:13枚出してあの感じなんだ…!
オノウエ:ジャンルとしては「スローコア」と呼ばれるジャンルを作ったと言われてますね(笑)
YOU:はじめて聞いたよ!
オノウエ:バンド結成から今年で28年目ですね。
YOU:めちゃくちゃベテランじゃん。
オノウエ:アメリカのバンドですね。で、曲としてはノイズをエディットしてトラックにしながら、みたいな感じに聴こえるんだけど、一応バンドですね。それで、「ノイズを組み合わせて曲を作る」みたいなやりかたって誰もが思いつくんだけど、こんなに綺麗にそれを実現してる人もそうそういないんだよね。
カンノ:なるほど、そういう聴きかたなのか。
YOU:今ってエディットって簡単にできるじゃん。それをあえてフィジカルでやるところに面白さを見出す人って一定数いるよね。思ったのが「YOASOBIと発想は同じじゃないか?」っていう。
オノウエ:なるほど、YOASOBIから無理矢理こじつけながら辿っていくとSwansやLowに到達すると。
カンノ:たとえばAdoのボーカルの切って貼ってのエディット感を身体性のままやるって感じだよね。
YOU:そうそう、それを己の筋肉だけでやり抜くみたいな。
オノウエ:単純にサウンドがかっこいいから、スローコアはもうちょっと調べたいなと思ったね。
YOU:派生バンドはいるのか?(笑)
オノウエ:スローコアバンドはLowしかいない可能性がある(笑)
カンノ:オノウエが選ぶ2021年のNo.1スローコアバンドはLowってことね(笑)
オノウエ:Lowはかっこよかったです。あともう1人マニアックなミュージシャンでいうと、藤井風もよかったですね。
YOU:みんな知ってるよ(笑)
オノウエ:理由としては「メジャーフィールドど真ん中での振る舞いがかっこよすぎるから」の1点だけですね。
カンノ:フフッ、音楽ブログやめちまえよ(笑)
オノウエ:超天才な人は「超天才だから」の一言だけで充分なんですよ。
YOU:まぁ、顔も振る舞いも技術もスターだからな。
オノウエ:なんか久々に正面突破されて気持ちを持っていかれたミュージシャンですね。あ、マジで言いたいことはそれだけです(笑)