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サムオブ井戸端話 #024「良い音楽番組だった紅白歌合戦2021」(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

2021年の紅白歌合戦を見て、概ね良かったと思ったサムオブメンバー。前編の今回はmillennium parade×Belleのテレビサイズの合わなさ、まふまふの病んでるムーブ、YOASOBIの芸能様式美について語りました。

 

カンノ:紅白はよかった?

オノウエ:俺はよかったと思うね。

カンノ:よかったよね。

YOU:今年の紅白は視聴率は悪いって言われてるけど、見た人の評判はよかったよね。

オノウエ:なんか具体的なアーティストの感想を言っていこうか。

カンノ:millennium parade×Belleのパフォーマンスはすごかったじゃん。

カンノ:超すごくて、Twitterとかでも絶賛だったじゃん。僕はあれを見てちょっとギョッとしたんだよね。で、こういうものを紅白で見たいという意識はないということに気付けたのが面白かったかな。紅白歌合戦を音楽として捉えるのか、テレビ番組として捉えるのかという差はある気がして、僕は圧倒的にテレビ番組として捉えてたんだよね。だからミレパレ×中村佳穂は「場所が違うよ」って思ったんだよね。「FUJIROCKでやってください」って思った。「オーチャードホールでやってください」とも思った。だってこのあとに乃木坂とか出るんだよ。その前にケツメイシとか出てるんだよ。そういう場所に出る人たちじゃないよ。

オノウエ:単純に「格が違うよ」って話かな?

カンノ:格も違うし、テレビの歌番組で放送されるサイズ感に思えなかった。あとこれは保守的な考え方かもしれないけど、「やっぱり紅白は老若男女が見るものだな」というものがあるんだよね。そのときにミレパレ×中村佳穂は「誰がわかるんだよ」って思っちゃったかな。ついていけている顔してるけど、内心はギョッとしてるからね、あれがテレビのサイズ感で来られると。で、あのパフォーマンスを褒めている人はすごく真面目に紅白を見てる人なのかなと思った。僕個人としてはもっと適当に紅白は見たいから。

オノウエ:それでいったら俺はまふまふが本当にわからなかったな。

YOU:知らない人だもんね。 

オノウエ:今回見たなかで一番わからなかったのがまふまふだったな。誰かもわからないし、このパフォーマンスがどういったものなのかもわからない。でもあの感じのパフォーマンスがいまだに強いんだなということはわかった。真っ白で生気のない感じで伏し目がちでかっこつけてる感じのものがいまだにインターネットでは強いことが。 

YOU:あれって病んでるムーブじゃないですか。手首に包帯巻いてマイクにつなげてる感じとか。「病んでる」というのが本当に病んでるんじゃなくて、一種のファッションとして機能してる感じだよね。

カンノ:キャラクターだよね。

オノウエ:それとの比較対象じゃないけど、まふまふと比べるとミレパレのほうがまだ全然健全だなと。

カンノ:全然健全だしエンターテインメントだよね。

YOU:俺さ、ミレパレのコスチュームがすごくスリップノットっぽく見えたんだよね(笑)スリップノットみたいな格好で重厚な音楽をやってたなって(笑)

オノウエ:お茶の間でスリップノットをやられてもね(笑)

カンノ:スリップノットとは僕は思ってないけど(笑)、ただあれを見てもおじいちゃんおばあちゃんはわからないよね。で、僕自身もそこを紅白には全然求めていない気付きがあったのは面白かったね。「よそでやってくれ」って。

YOU:むしろ裏番組のテレ東の歌番組のほうがうちのおじいちゃんは見たかったらしいよ。あっちにも三山ひろし水森かおりは出てるし、ほかにもおじいちゃんおばあちゃん世代でカラオケで流行っている曲が結構流れてたみたいだから。

カンノ:紅白ってもともとカオスな祭典だもんね。演歌・歌謡曲が出たと思ったら、Z世代から支持を得た人が出てきて、アイドルも出るっていう。あとこれはよく話すけど、プレイリストで音楽が聴かれちゃうから、どんどん音楽自体が細分化されていて、紅白に出るアーティストを全部理解して聴くというのは相当高度な聴き方じゃん。「この人は好き」「この人は興味ない」「あ、好きな人来た」みたいなさ。それが何時間も続くからね。

オノウエ:カンノが一番よかったのは誰?

カンノ:今回一番印象に残ったのはYOASOBIなんだよね。

YOU:ほう。

カンノ:去年の「夜に駆ける」のときのYOASOBIはまだアーティストだったと思うの。そしてメディア0年生だったと思うの。で、YOASOBIってこの1年で爆裂にメディアに出まくったじゃん。その結果、幾多りらが完全に芸能人の顔をして歌ってて、それがすごくよかったんだよね。

YOU:たしかになにかを担ってたよね。

カンノ:どのカメラで抜かれてても決まってる顔をしていてすごくよかったんだよね。あと生放送の歌番組とかで何百回と見たことがある、歌詞テロップとは違うことを歌ってライブ感を演出する技術ってあるじゃん。あの生放送歌番組様式美をちゃんと踏襲するところとかさ(笑)なんかこの1年で教えられたことをすべて見せられたような感じがしたの。

YOU:それは面白いね。

カンノ:幾多りらの芸能で生きていくことを自覚したような顔つきがとてもよかったな。だってもう完全に安心安全安定のYOASOBIだったじゃん。

オノウエ:ミレパレはそれに反してる感じだったわけだね。芸能的振る舞いやムーブを取らないことへの違和感をもったって感じかな。

カンノ:そうだね。1000%の歌とサウンドで来られると、「もっと見るべきところで見たいな~」って気持ちになっちゃう。だってこのあとにゆずが出るんだよ、しょうがねえだろ(笑)けん玉チャレンジを見た数十分後にミレパレが出るんだよ。視聴者をどうする気だよ(笑)だから紅白をとおして「芸能人が見たい」「テレビ番組が見たい」ってことだね。歌が第一じゃなかった。「歌が芸能の一部になっている人が見たい」ということに気付いた。だから「芸能が見たい」ってことなんだよね。それでいうと今回の紅白は「芸能<歌」の人は結構いた気がするね。氷川きよしは「歌!」だったね(笑)本当は氷川きよし「Happy!」からの「マツケンサンバⅡ」の流れが見たかったなぁ~(笑)

YOU:それはやるべきだったよね。

オノウエ:本当はこうであってほしかった紅白(笑)

カンノ:美空ひばりカバーも超よかったんだけどね。

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