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Radio OK?NO!! Podcast #028「怖いソング」特集文字起こし(後編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回は「怖い」と思った音楽を紹介する「怖いソング」特集の文字起こし(後編)を掲載します。(前編)は下記リンクから。

 

Radio OK?NO!! Podcast #028「怖いソング」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!

 

上野:次に僕が流したいなと思っているものは、「怖い」と言われて一番最初に思い浮かぶものってホラー映画の音楽だと思うんです。ホラー映画のサウンドトラックって結構いろんな人が作っているんですけど、そのなかでもホラー映画サウンドトラック界の巨匠がおります。

カンノ:どんなニッチなところにも巨匠はいるんですね(笑)

上野:その人の曲をお聴きください。Mark Korvenで「Why Are We Here?」

上野:この曲は映画『CUBE』の挿入歌です。

カンノ:最近だと菅田将暉が主演で日本版リメイクされたやつですね。

上野:日本版の主題歌は星野源ですけど。

カンノ:星野源も怖いからね(笑)

上野:星野源は年々怖いよね(笑)

上野:Mark Korvenという人が一番最初に成功したのが『CUBE』という映画のサウンドトラックなんですね。それでこの人はもうその世界では筋金入りで、不安を煽るための音を出す楽器を作ってます。

カンノ:へぇ~!

上野:この楽器を触ると必ず不安な音が出るという(笑)それを自分で作るところまでいってます。

カンノ:これは極まってるね~。

上野:どの世界にもこういう人はいるんですね(笑)この人のキャリア的にはホラー映画のサウンドトラックがヒットしたのでそっちにいくわけですが、もともとはロックをやってたんです。

カンノ:バンドサウンドをやってたんだ!

上野:ということで、昔の音楽も聴きたいなと思います。Mark Korvenで「Ordinary Man」

カンノ:この曲はアメリカのドラマ『フルハウス』のエンディング曲ですか?

上野:アハハハハッ!すげえ『フルハウス』っぽいよね(笑)

カンノ:オープニングの橋を車で渡る映像で流れてそうな曲でしたね(笑)

上野:この曲が90年代前半で『CUBE』が97年ですね。

カンノ:すごい変化だね~。ホラーな音楽をやってる人も、こういうホラーな歴史があるんですね(笑)

上野:黒歴史的なね(笑)

カンノ:じゃあここでまたガラッと変わったアプローチで、日本のロックバンドの怖い曲を聴きましょう。チャットモンチーで「恋愛スピリッツ」

上野:この曲はよく聴いてましたよ。

カンノ:「だからあたなは私を手放せない」「だから私はあなたを想っている」の繰り返しですよね。「私を捨ててあの人つかまえるの?」

上野:だんだん怖くなってきたな(笑)

カンノ:あと曲に展開がない。そのことをただただ歌っている。頭1分くらいをそれをアカペラでカマしたと思ったら、bloodthirsty butchersみたいな轟音が来るじゃん(笑)

上野:「ギャーン!!」

カンノ:それをずっと歌い続けて終わる曲じゃん。この曲はちょっとゾワゾワしちゃってね。この曲も高校1年生くらいのときに聴いたと思うんだけど、僕がチャットモンチーに心酔できなかったのはこの曲が怖かったのが原因だと思う(笑)

上野:情念が強すぎたんだね。

カンノ:裏っかわにあるすごい真っ黒なものが見えた感覚というかね。で、「ハナノユメ」でメジャーデビューしてかわいらしく出てきたじゃないですか。

カンノ:そのギャップも込みで怖かったね。もっというと「女の人、怖い!」って思った(笑)急にポップじゃないしかわいくない曲が来たんだよ(笑)あと同じことを言い続けるのと曲が展開しないってリンクするんだよね。1歩も動いてないじゃん。もう言うね、ずっとストーカーし続けて終わるんだよ(笑)

上野:アハハハハッ!極端な言い方するとそうだね(笑)

カンノ:ずっと女ストーカーがいて終わるの(笑)たとえばストーカーの曲をやるならさ、どうストーカーを展開させるかを考える作家性の大喜利をやると思うんだよ。「やっぱり上手くいかなかった展開にしようかな」とかさ、オチをつけたくなるじゃん。そういうことを何もしねえの(笑)

上野:ストーリーもないもんね。

カンノ:殴り書きみたいな歌詞じゃん(笑)それでぶん殴られるみたいな。それを相当骨太なロックサウンドでやるんだよ。なんかグロテスクだったんだよね。

上野:情念が強すぎて怖いと思うのはわかるね。

カンノ:チャットモンチーはそういうことをずっと考えてたな。「恋愛スピリッツ」は今でも全然ゾワッとするな。こんな人、身近にいたらたまったもんじゃないよ(笑)

上野:じゃあ僕が選んだ3曲目、これはシンプルに怖い曲を選んできました。お聴きください、山崎ハコで「呪い」 

カンノ:これは知ってる! 

上野:これは有名だもんね。改めて聴き直したけど、なんでこんな曲を作ったんだろうね?

カンノ:これは相手の設定とかあるの?

上野:伊集院光のラジオに最近、山崎ハコさんが出演していたみたいで、どうやらこの曲のことについて聞いてたみたいなの。そしたらこれは相手がいるわけじゃなくて、対象は自分であると。これは「釘を打つ」じゃなくて「釘をさす」であると。それは自分に対して「釘をさす」ってことらしいんです。自分がマイナスな方向にいかないように「釘をさす」という曲らしいんです。でもこの曲を聴いてそんなことを思う?

カンノ:思わない、思わない(笑)だってこの曲を聴いて、「恋愛スピリッツ」かと思ったよ(笑)

上野:それは思わないよ!

カンノ:あの曲は呪いの曲でしょ?

上野:たしかにそう解説されるとそうとしか思えなくなるけどね(笑)

カンノ:今回は上野君がわりと一般的な怖い曲をチョイスしてくれてるから、僕の選んだ怖い曲がわりとどうかしてる感じになってるよね。このテーマで普通チャットモンチーは選ばないし、次は10-FEETを流そうと思ってます(笑)

上野:どうかしてるよ(笑)

カンノ:それではお聴きください、10-FEETで「nil?」

上野:これは所謂、10-FEETっぽい曲ですよね。

カンノ:そうですね。これは2003年のメジャーデビュー曲です。

上野:デビュー曲なんだ!

カンノ:ずっと英語で楽しく歌ってるじゃないですか。MVも楽しそうですよね。で、サビが日本語詞になるんですけど、「『全てを失う事でしか 伝わらない事なんだよ…』と 優しく瞳を閉じ身体が消え行く」「あの日の自分に謝る」がサビ終わりだよ。急に日本語詞でバッドエンドなことを歌うんです(笑)

上野:アハハハハッ!

カンノ:なんか英語で歌ってるときと、日本語で歌ってるときで急に人格が変わった気がするんだよね。それがゾワっとしちゃって。これは中学1年生のときです。そのときは10-FEETが怖かった。「なんであんなに楽しそうに歌ってたのに、急に暗いこと歌んだよ!」ってマジで思ってた(笑)

上野:僕はこの曲をほぼ初めて聴いたんですけど、まぁ10-FEETってそういうパターンはあるじゃん。英語から日本語とか、声質を変えたりさ。でもこの曲はサビで日本語詞になるけど、コーラスは「Time Ago」って英語のままじゃん。「あれ、人格が変わったのはコイツだけ?」みたいな気分になるよね。周りは変わってないのに、ボーカルだけ人が変わった感じがするよね。

カンノ:念のため言っとくけど、僕らは深読みしすぎなことを言ってます(笑)でも、演劇っぽいんだよね。演じ手の人が転換するっていうかさ。それも楽しそうなパンクロックのなかでそれをやられると、虚を突かれるんだよ。「ゲッ!」って思う。

上野:ビックリしちゃうよね。

カンノ:10-FEETにビックリしちゃうんだよ。「なんで『全てを失った気がした』とか歌うんだよ~」って思ったんだよ。「なんでそんな辛いことを歌うんだよ、10-FEET~!」って。

上野:解釈が面白いね(笑)

カンノ:コメディタッチの楽しそうな兄ちゃんたちでやってたのに、「急にそんなこと言う?」という感じが怖かったですね。で、このことはこの企画を思いついたときに久々に思い出した感覚だね。マジで15~6年ぶりくらいに「10-FEETは怖かった」ってことを思い出した(笑)「10-FEETは怖い」ってことはもっと言っていこうと思います。

上野:そんなことを思ってるのはお前だけだよ(笑)

カンノ:でもこのころの英語詞でおちゃらけてたバンドって結構怖いことを歌ってるパターンはあって、BEAT CRUSADERSも怖かった。ビークルも喪失については結構歌ってた気がするな。

カンノ:で、それが10-FEETは日本語で来たという(笑)ってなわけで「怖いソング」特集でした。ラストは怖い曲の定番、映画『サイコ』の挿入曲を聴いてお別れです。

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『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。