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サムオブ井戸端話 #027「最近、音楽を信じ込んでますか?」(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

音楽を信じ込むことについて語るサムオブメンバー。後編では音楽から感じる「神っぽさ」や等身大のミュージシャンを信じ込むことについて語りました。前編は下記リンクから。

 

カンノ:知人が言ってたんだけど、中村佳穂と折坂悠太の「ザ☆ピ~ス!」のカバー動画があるじゃないですか。

カンノ:その動画を見て「音楽の神々に選ばれし者が、音楽で遊んでいる!」みたいなことを言ってて笑ったって話をしていて(笑)やっぱり「音楽の神々」みたいなことを言ってるくらいだから、その人は音楽を信じ込んでいる人じゃん。たとえばすごくリズムを食って歌うことや、そのカバーの対象が「ザ☆ピ~ス!」であることとかで、なぜ「音楽に選ばれた人」感が出るんだろう?

YOU:それってたとえば、自分たちの曲をお互いにカバーしても音楽の神々感は出ないってこと?

オノウエ:多分、ストレートに「ザ☆ピ~ス!」をカバーしても音楽の神々感ってそんなに出ないと思うんだよ。あの感じでやってることは大きいよね。

カンノ:中村佳穂が鍵盤に肘ついて歌うことによって見える遊び感とかさ。でもなんでそれが音楽の神々っぽく見えるんだろうか?

オノウエ:「神とは何か?」(笑)

カンノ:こういう振る舞いでいることで、音楽信じ込ませファクターは発動すると思うんだよ。

オノウエ:それは「本気でやってないけど、これだけできるんだぜ」感でしょ。

YOU:肩の力が抜けてると神っぽく見えるんだよ。

カンノ:あぁ~、なるほどね。

オノウエ:肩の力が入ってると神っぽくないもんね(笑)

YOU:昔見たんだけど、サンボマスター山口隆奥田民生トータス松本でギターバトルなんかしてて、「俺なんてまだまだっすよ…」って言ってたサンボ山口がめちゃくちゃ圧倒的にギターが上手いっていう。

オノウエ:しかもさらっと弾いてたんだよね。

YOU:あれは神感があった。

カンノ:どんな音楽に神を感じたのか話は面白いね(笑)すごい上手いとか技術があることにたいして、なんで「神っぽさ」を感じるのかは不思議だね。

オノウエ:頑張ってる人とリラックスしてる人、どっちが神っぽいのか。100頑張って100点出してる人と70頑張って100点出す人は後者のほうが神なんだよね。

カンノ:たしかにそっちのほうが神っぽいなぁ。

オノウエ:でも今は頑張ってなにかをやって結果が出た人のほうが「頑張ってるね~」って思われるんだろうな(笑)

カンノ:再結成したダメレコのマイクリレー曲、どのラッパーよりも環ROYが一番ヤバいじゃん。

YOU:ヤバいね。

カンノ:どんなに固いラップや流れるフロウをしたところで敵わないなにかってあるじゃん。あれは何なんだ?

オノウエ:それが神なんだよ(笑)

カンノ:環ROY鎮座DOPENESSのラップって神感があるんだよな。

オノウエ:鎮座は遊び感が強いからね。

カンノ:あの肩の力の抜け感ね。

YOU:RIP SLYMEの話に戻すと、鎮座や環ROYってリップほどの眼差しは受けてないじゃん。なにか音楽をやると、そのリアクションがあって、それをまた取り込んでいくわけじゃん。そんなのが拡大しすぎたらおかしくもなるよね。予想外のところからいろんなものが飛び交うんだから。リップってそれだけだった気もするんだよ。

オノウエ:ビジネスが大きくなりすぎた気はするよね。

カンノ:あと最後に信じ込み話したいんだけど、アジカンを信じていた自分がいたわけだ。

YOU:まだ全然信じてもいいんだよ(笑)

カンノ:初期だとトレーナーとジーパンを着て、黒縁メガネして、ああいうロックをやるみたいな。

カンノ:これまでは神方向の信じ込む、関係性を信じ込む話をしたけど、等身大を信じ込む時期もあったよね。等身大はどこで醒めた?(笑)

YOU:やっぱり社会人になってからじゃないかな。会社に勤めだしてからですよ。だって会社に等身大で行ったら怒られるんだもん(笑)「眠くて…」じゃねえよ(笑)

カンノ:下北バンドマン風情で行ったら怒られる(笑)

オノウエ:社会人で等身大から醒めたのは確実だよね。でも大学生の途中からだんだんと醒めてきたよね。高校生のころまでは信じてた気がするけど。

YOU:「売れてる音楽なんて全部コマーシャリズムだからさ」とか「ファッキュー歌謡曲」みたいな精神は高校生のときまではたしかにあった(笑)大学に入るといろんな軸を持った人がいるじゃん。自分たちの評価軸と全然違うところで、いろんなものを聴いていてさ。そこで自分の軸が解体されるというか、絶対なものじゃないことに気付くよね。

オノウエ:カンノはミュージシャン側がリスナーに対して「信じ込ませる」という言い方をしてるけど、多分リスナー側が勝手に「信じてる」んだよ。とくに中学生や高校生は。で、勝手に失望していくの(笑)

カンノ:たしかに、勝手に信じて勝手に失望するんだよね。で、ここにいるみんなは最終的に誰も信じてないよね。

YOU:「推し」って概念は「信じる」にすごく近い気がするな。

オノウエ:『前田敦子はキリストを超えた』わけだからね(笑)

YOU:その本、当時は「なに言ってるんだ?」と思ってたけど、当たってるよね。「推し事」とか言ってるわけだから。でもやっぱり俺は「推し」って言葉が嫌いだからさ。結局俺は信じるものは自分しかなくなっちゃったなという気持ちだね。

オノウエ:その言葉強いな~(笑)

カンノ:よし、この回終わり!

オノウエ:パワーワードが出たな~。

カンノ:お前は自分しか信じるものがないんだな?

YOU:そうでしょ。推しとかないよ。

オノウエ:かっこよすぎるな(笑)

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