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Radio OK?NO!! Podcast #029「このノイズがエモい」特集文字起こし(後編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回はとっつき難い”ノイズ”というジャンルを”エモい”の観点で聴いてみる「このノイズがエモい」特集の文字起こし(後編)を掲載します。(前編)は下記リンクから。

 

Radio OK?NO!! Podcast #029「このノイズがエモい」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!

 

上野:今までが「デカい音は気持ちがいい」ような楽曲を紹介しました。ここで「ノイズ」という言葉の幅を広げていくと、実験音楽寄りのものであったり、アブストラクトなエレクトロニカっぽいものであったり、そこも入ってくると思います。そっちの方向で、「エモいノイズといったらコレ!」といわれるようなものがあります。

カンノ:もう存在するんだね。

上野:「エモいノイズ」という言い方じゃないけど、ある層にはそういう解釈で一定の認識がありますね。

カンノ:じゃあこの企画を打ち立てる際に、ここは流れるだろうってことね。

上野:そう勝手に思ってますね。それではお聴きください、Fennesz「Endless Summer」

カンノ:さっきまでとガラッと変わりましたね。デカい音じゃないですね(笑)

上野:こっちのエモさは抒情的というか、黄昏感というか。

カンノ:チルさも入ってきてるよね。

上野:そうだね。で、エレクトロニカのノイズってパソコンで作るわけだけど、パソコンで曲を作れるようになってから細かい音の操作もできるようになるわけですよ。そっちにいくと、どうしても無機質なものになっちゃうんだよね。そういうものが多いなかで、この曲はギターの音とかも入っていて、エレクトロニカっぽいアプローチなんだけど暖かい曲になっているというのが当時は革新的だったんですね。

カンノ:そんな言われ方をしてたんだ。

上野:ある種、一つの金字塔的な曲なんですね。あとエモさポイントとしては曲名ね。

カンノ:「Endless Summer」だもんね。

上野:で、あともう一つ別方向の曲を紹介したいんですが、「ノイズ」の定義をかなり広げようと思うんですが、アウトサイダーアーティストっているじゃないですか。ちょっと普通の人とは外れたような表現をする人たちですね。たとえば絵画だとずっと家に籠ってデカい絵を描いたりね。それが音楽だとどのようなかたちで出てくるのかというと、ものすごい数の作品を作ったりするんですよ。しかも一人で。

カンノ:超絶な集中力とかでね。

上野:そうだね。そこまで「ノイズ」の範囲を拡張して、この曲を流したいなと思います。Daniel Johnstonで「Urge」

カンノ:歌ものでしたね。

上野:いわゆるノイズミュージックじゃないんだけど、今みたいに歌ってほぼアレンジもなし。っていう曲を今みたいな音質で自分でずっと小さいころから録音していたものがたくさんあるの。今の曲は1stアルバムに入ってる曲なんですけど、全部この音質です。

カンノ:宅録だし、しかも全然いい機材なわけじゃないでしょ。「ボイスメモ?」みたいな(笑)

上野:で、作品の数も相当ありますからね。20枚以上くらいはアルバムとしてあると思います。そのなかでもDaniel Johnstonが一番有名なんだけど、ニルヴァーナカート・コバーンDaniel Johnstonのファンだったりします。この人ほど有名じゃないけど、ジャンデックっていう人がいるんですが、この人も自分で曲を作って自分で盤を作って自分で売るっていう。

カンノ:自活だね。

上野:この人はアコースティックギターと歌だけですね。で、曲は不気味。そのアルバムの数がすげえある。で、それだけ出せてた理由は家族が裕福だったから(笑)だから自分でレコードを出せてた。

カンノ:文化資本のよくある話だね(笑)芸術ができる人はそもそもの資金がある状態だっていう話だよね。

上野:まぁ今回はいくつかのパターンに分けて「このノイズがエモい」特集をやっていきました。

カンノ:デカい音とか抒情的なものとかありましたね。

上野:Daniel Johnstonの方向でいうと、「この人はやりたくてしょうがないんだな」っていう人もいるよね。

カンノ:普通ミュージシャンをやってると、「こういう風に見られたい」という演出が入ってくると思うんだよ。人前に立つことを生業にするとさ。そういうことが一切ない状態だよね。人前に立つと、いろいろ整えるんだよ。そういうことをしないことがノイズだよね。

上野:それで出てくる音楽のかたちとしてはローファイなんだけど、「音楽がやりたい」という衝動がものすごく純粋なかたちで出てきているのがグッと来るなと思いました。というわけで、みなさまも「エモい」を軸にノイズミュージックを聴いてみてはいかがでしょうか?カンノ君はどうでしたか?

カンノ:やっぱり「デカい音は気持ちがいい」ということが「ノイズはエモい」の入口としてわかりやすいかなと思うので、たくさんMerzbowを聴きたいなと思います(笑)

上野:Merzbowはアルバムが100枚くらい出てるので、どれから聴いてもいいと思いますよ(笑)

カンノ:「たくさん出している」も一つ軸なのかもね。「たくさん出している」か「全然出していない」かなんだろうね。

上野:それはそうかもしれないね。

カンノ:極端であることが重要なのかもね。

上野:ということで「このノイズがエモい」特集をお送りしました。最後に「エモくないノイズ」を聴いてお別れです(笑)Vomirで「Social Distancing」

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『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。