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Radio OK?NO!! Podcast #031「ラッパーとしての竹原ピストル」特集文字起こし(前編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回は近年、ラップのアプローチをする竹原ピストルさんのラップ楽曲を取り上げる「ラッパーとしての竹原ピストル」特集の文字起こし(前編)を掲載します。

 

Radio OK?NO!! Podcast #031「ラッパーとしての竹原ピストル」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!

 

カンノ:最近、竹原ピストルさんが新譜をリリースしたので、ちょっと近年の竹原ピストル楽曲を聴き漁っていたんです。するとどうやら、ここ3~4年くらいかな、ラップのアプローチをしている楽曲がちらほらアルバムやEPに差し込まれています。

上野:えっ?そうなんだ。

カンノ:「一体どんなラップをしてるのか?」というのを是非、皆さんに聴いてもらいつつ、竹原ピストルさんがやっているラップをちょっと解析してみようではないかと思いまして、今回は「ラッパーとしての竹原ピストル」特集をやります。

上野:「ラッパーとしての竹原ピストル」が存在することを、今初めて知りました。

カンノ:そうでしょうね。基本的にはフォークシンガーでしょうか。流しっぽい、弾き語りで演奏しているようなイメージですが、とは言いつつ近年はラップ楽曲も増えてきているということで、どんな韻やフローで曲をやっつけているのかを確認しようと思います。

上野:楽しみですね。

カンノ:ではまず、ベタな竹原ピストルさん、「竹原ピストルといったらコレ!」という定番曲を聴いていきたいと思います。竹原ピストルで「よー、そこの若いの」

カンノ:竹原ピストルさんといったら、まずこれっしょ。

上野:CMでも使われてたもんね。

カンノ:そうそう。「よー、そこの若いの」って人を引き留めて、「俺の言うことを聞いてくれ」と。そういう舞台設定というかさ、流しの人が声を掛けるみたいな。「路上なんだろうな」っていうのが見えてくるじゃないですか。それに加えて、竹原ピストルさんの流しのスタンスってあるじゃないですか。「ギター1本あればなんでもできますよ」みたいな。で、このスタンスってラッパーに通じるものがありませんか?

上野:たしかにストリートの感覚だよね。

カンノ:「マイク1本あればぶっかましますよ!」みたいな。そういうのがあるからなのかわかりませんが、近年ラップ楽曲が増えているなと。ではここから竹原ピストルラップを聴いていこうと思います。じゃあまずはいきなりライブ音源からいきましょう。ではお聴きください、竹原ピストルで「狼煙(Live at 京都大作戦2017)」

上野:想像以上にラップしてましたね。

カンノ:これ、かっこよかったね(笑)実は「狼煙」という曲はバンドサウンドでの録音もあるんですが、ライブ音源のほうがラップだね。

カンノ:ライブ音源のほうがエモーショナルと熱量でライブをブチ上げていてね。

上野:これ、固く韻を踏んでますよね。

カンノ:そうなんですよ。ではどう固く韻を踏んでいるのか見てみましょう。「シーンの最底辺でエンターテイメント 野次を声援にひっくり返して」という部分ですね。ここでは「底辺」「テイメント」「声援」「ei」で踏んでおります。そして「まんまとポケットにねじ込む 投げ銭数万数千円」という部分につながるのですが、「まんまとポケットにねじ込む」という韻が関係ない1小節が挟まれます。そのあとに「数千円」という「ei」で踏む部分が現れるのですが、ずっと同じ韻で続くと単調なものになるんですよ。だから1小節なにも韻が関係ないものをもってきて、そのあとに韻を踏むっていうのはラッパーの技術なんですよ。だから竹原ピストルさんはラッパーの技術を普通に使ってるんですよ。

上野:この部分だけ聴くと、ちょっとRHYMESTERっぽいよね。

カンノ:Mummy-Dさんっぽいかもね。

上野:ちゃんとラップの技術がある上で歌詞の意味が通るって。

カンノ:ラッパー出身じゃない人がラップをすることって増えたじゃないですか。でもそれって結局、ラップ風でしかないことって多いじゃないですか。ラップみたいな振る舞いでしかない、みたいな。

上野:テクニックが追いついてないからちゃんとラップができないっていうのはあるよね。

カンノ:「小節終わりで韻踏めたらいいんでしょ?」みたいなさ。そういうことじゃないんですよね。あとは「潰しの効かない 不惑の40が」ちなみにこの不惑は「ファック」と発音してますね(笑)「恥ずかしげもなく今だくっきりと思い描く サクセスストーリー ホーミーさん…」と続いていきます。その「小節終わりで韻を踏む」という基本テクニックから、「その韻を頭で踏む」というテクニックに移行しているんですね。「サクセスストーリー ホーミー」の部分です。「oi」ですね。はい、これはラッパーの技術です(笑)小節終わりの韻を小節の頭にまた持ってくることで、リズムを作ってるんですね。リズムの作り方、ラッパーとしてのノリ方、いわゆる「フロー」ってやつですね。そういうものが、このライブ音源を聴く限り、ラッパーの型みたいなものが完全に竹原ピストルさんは入っている状態でやってるんだなと思いました。もうこれだけ聴いて「ラッパーだ」と判断していいのではないかと思います。

上野:そうですね。

カンノ:じゃあほかにどんなラップ曲をやっているのか、スタジオ録音音源を聴いてみましょう。竹原ピストルで「Gimme the mic!!」

上野:これはイメージとしてある竹原ピストル観にもリンクするし、ラップもしてる感じですね。

カンノ:さっきの「狼煙」はアカペラでラップをしているので、自分でリズムを作らなきゃいけないんですよ。だから自分のなかのビート感を保ってラップをしていたと思うんですけど、こっちのほうはリズムを崩しながらやっていますね。あえて早口で突っ走る感じとか。語呂の悪さはあえてなんだろうなと思いますね。で、この感じは日本語ラップが出来立てホヤホヤのときを思い出すな~(笑)90年代頭みたいな。

上野:韻の踏み方をみんな模索していたときだよね。

カンノ:そういう感じは竹原ピストルさん、似合うなとは思いますね。

上野:この曲はラップというか、ポエトリーリーディングの要素もあるような気がするね。

カンノ:それは弾き語りの流しのニュアンスがつながってくるよね。竹原ピストルがラップをするときに思い浮かぶイメージに近いのがこの曲かなと思いましたね。

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『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。