SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
「優里らしさ」について語り合うサムオブメンバー。後編では優里のアルバムを聴き込んでいたYOU-SUCKメンバーから歌詞の話になり、そこから感じ取れる軽薄さとそれによって大衆に聴かれるようになることについて語りました。前編は下記リンクから。
YOU:優里のアルバムを聴いて思ったのが、優里はワンワードから世界を広げるのがうまい。「シャッター」とかそうじゃない?
YOU:あの「シャッター」の言い方、真似したくなるよね(笑)
カンノ:あれ真似したくなるね~(笑)耳に残るよね。
YOU:「ドライフラワー」も「ベテルギウス」もそうだけど、一つの言葉を持ってきてそこから曲にしていくのがうまいんじゃないかな。
カンノ:あと意外とTwitterとかインスタとか、もはや歌詞にするのは古そうな言葉とかも平気に歌詞にできるじゃん。
YOU:そこにてらいがなければ「スマホウォーズ」って曲は作らないでしょ?(笑)
YOU:「スマホウォーズ」は歌詞が面白くて、一見SNSで悪口を書き合うことの皮肉について歌ってるのかなと思ったら、実はスマホの覗き合いをする男女のカップルの話なんだよね(笑)「そっちなのかよ!」っていう(笑)
カンノ:てらいとかじゃないんだよね。そのまんまで歌ってるんだよね。そのまんまで歌ってるから、聴く人もそのまんまで聴けちゃうんだよね。で、そのまんまで音楽が聴ける人って音楽がそんなに大事なものじゃないんだよね。
YOU:音楽が手段になってる節はあるよね。でも「音楽がなければ生きていけません」みたいなスタンスも辛いけど。
オノウエ:「スマホウォーズ」の歌詞、今見てるけどすごいな。
YOU:これはスマホとかじゃなくてガラケーの時代からある話だからね。
オノウエ:ちょっと話がズレるんだけど、iモードが終了するじゃないですか。そのCMでSTUTSが曲作ってるけど。
オノウエ:うちの会社でもiモード終了についてはちょっと盛り上がって。「終わるんだ~」みたいなね。でもiモードを知らない世代ってのもいるんだよ。
カンノ:センター問い合わせとか知らないわけだ。
オノウエ:25歳以下は知らないんだよ。で、「スマホウォーズ」というタイトルでこういう歌詞を書く優里のリアリティが出てると思うんだよ。「そんなのガラケーのときからあったじゃん」じゃなくて、ガラケーやiモードを知らない人からすると、こういう歌詞になる気はするんだよね。
YOU:そういうことを「スマホウォーズ」というタイトルで歌詞にできるのが優里の強みだと思ったね。あと歌詞でいうと「レオ」もヤバいよ。
YOU:「犬の曲かな~」と思ったら案の定、犬の曲だったんだけど(笑)でも愛犬ソングかと思ったら、まさかの犬目線の曲なんだよね。で、この曲の最後がヤバくて、犬が死ぬ直前で「レオって名前をつけてくれてありがとう」みたいな感動的なことを言うんだけど、「次に来るペットにも新しい名前をつけてね」って言って死んでくんだよ(笑)
オノウエ:ヤバいな…
YOU:そんなやついねえだろ(笑)
オノウエ:犬が次に来るペットに思いを馳せる、それを内面化してるんでしょ?それは面白いね(笑)
YOU:やっぱりこういう歌詞を書ける強さだよね。
カンノ:ぞわぞわするね。
YOU:あと「花鳥風月」という曲から感じられるマッチョさとかね。
YOU:で、最後の「飛行船」って曲はまんまワンオクだし。
カンノ:だからアルバムを通して「優里を聴いたな~」ってサウンド的には全然思わないんだけど、優里の声以外でいうと、そのマッチョさとある種の軽薄さを同時に摂取したときに「優里を聴いたな~」という節はあるかも。
YOU:マッチョと軽薄(笑)でもそれはわかるね。
カンノ:それを音楽で摂取していることを不思議さと、でも音楽くらいでちょうどいいのかなという気もするし。
オノウエ:いや、音楽くらいでいいでしょ。これがビジネスとかで来られたらすごく辛いよ。
カンノ:だから優里を通して「音楽観を聴いてたんだな」と思ったね。でも逆に「音楽観がないこと」の重要性も実はあるのではないかという話でした。