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サムオブ井戸端話 #045「日比谷野音で見たスチャダラパーとNUMBER GIRLの違い」(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

2ヶ月連続で日比谷野音スチャダラパーNUMBER GIRLのイベントを見てきたオノウエメンバー。同じ場所なのに演者やお客さんが違うと会場の空気も全然違ってくることから、「真面目に見ろ」という圧が生まれることについて語りました。今回YOU-SUCKメンバーは欠席です。

 

オノウエ:最近、日比谷野外音楽堂に1ヶ月おきに2回行きました。1回目が4月の頭に行われたスチャダラパー主催の『スチャダラパーク2022』です。

カンノ:それはほぼワンマンでしょ?

オノウエ:いろんなゲストが出てくるけど、基本はスチャダラのワンマンだね。その1ヶ月後に行ったのがNUMBER GIRL主催の『FUN CLUB』でゲストがeastern youthです。

カンノ:『FUN CLUB』ってナンバガが昔からやってた自主企画ライブだよね。日比谷野音2回連続、いいですね~。

オノウエ:全然ライブに行かなくなった人間が急に野音に2回行きました。それぞれのライブの雑感の話をすると、『スチャダラパーク』はフェス感があった。

カンノ:ゲストもいてね。全曲バンドセット?

オノウエ:いや、バンドセットとDJセット。でも結局一番ブチあがったのはRHYMESTERが出てきたときだったね。抗えなかったよ…(笑)

カンノ:青春だもんね(笑)

オノウエ:空気もゆるいし、スチャダラもMCが結構多くてね。スチャダラってめちゃくちゃライブで喋るんだね。

カンノ:あれでしょ、雨で猛烈に寒かったんでしょ。喋らないとやってられないくらい寒かった可能性がある(笑)

オノウエ:それに近いことは言ってたね(笑)一方『FUN CLUB』なんだけど、見る前は「イースタンナンバガ、どっちが音うるさいのかな?」って思ってたの。席が結構前のほうだったんだけど、イースタンは吉野さんのギターがガンガン耳に突き刺さる音だった(笑)それでナンバガはすごく音が綺麗だったの(笑)すごく適正な音作りで、適正なディストーションで。

カンノ:サービスとして素晴らしいね(笑)

オノウエ:様々な現場を経験して適性がわかっている音をしていたね。日比谷野音という同じ場所に違うイベントで2回連続で行ってみて、場所は同じなのに演者とお客さんが違うと空気も全然違うんだよね。それが面白かったの。『スチャダラパーク』のときはみんなお酒買って飲みながら見てて、喫煙所もあって煙草吸いながら後ろで踊りながら見れて、あと当たり前のようにスマホで写真撮るし。全然それが許容されている空気なの。一方『FUN CLUB』は後ろで見ている人がほとんどいない。つまりみんなちゃんと自分の席で見てる。あと喫煙所もなくて煙草は吸えない。これは俺の思い過ごしかもしれないけど、スタッフさんも心なしか『FUN CLUB』のほうが厳しく思えた(笑)自分の席からちょっと離れたところで見てると「戻ってください」と言われる感じ。

カンノ:「真面目に見ろ」って感じだね。

オノウエ:そうなの。『FUN CLUB』のほうが「真面目に見ろ」っていう圧がすごかったの(笑)

カンノ:「笑うな!真面目に見ろ!」

オノウエ:「写真を撮るな!」みたいな(笑)『FUN CLUB』に来ている人はちゃんと音楽を聴きに来てたんだよね。

カンノ:姿勢を正して音楽を聴きに来てるんだ。

オノウエ:その場を楽しむというよりは、1対1で音楽に向き合いに来てる。

カンノ:そのイベント、みんな着物着たりタキシード着たりしてた?

オノウエ:流石にそこまでじゃなかったけど(笑)一方『スチャダラパーク』はタイミングで後ろに行って煙草吸ったりお酒飲みながら踊ったりしながらで。もちろん邪魔にならないようにね。だから場の楽しみ方が全然違ったんだよ。

カンノ:それは面白いね。ナンバガにしろイースタンにしろフェスの場だったら踊ってみるのも全然OKだろうし、酒飲みながら見るのもOKだろうし。酒もダメだったの?

オノウエ:『スチャダラパーク』と比べたら酒飲む人は全然少なかったね。なんでこんなことが起きてるのかな?ジャンルの問題なのか、年齢の問題なのか。ナンバガイースタンを聴きに来る層ってある程度の年齢はいってると思うの。その人たちの音楽を聴く視聴態度が自然と厳しめな方向に行ってしまっているのか。

カンノ:その厳しさって演者や会場スタッフ側から来るものなのか、ファン側から来るものなのかで変わってくるよね。でもファン側からな気はするね。だってめちゃくちゃ注意事項がバンっと出されているわけじゃないんでしょ?

オノウエ:えっと、体感的にはスタッフも厳しかったね。それ故なのかどうかはわからないけど、ファンも厳しくなってた。そういう空気だったよ。

カンノ:そのイベントタイトルが『FAN CLUB』なんでしょ?

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:そのクラブは大変だよ。縦社会だよ。

オノウエ:で、それはべつにナンバガイースタンみたいな演者側もそんなに望んでないと思うんだよね。たとえばナンバガは最初のMCで「バーカウンターは後ろにあります」とか言って。つまり「酒飲みながら見てね」ってことじゃん。なんだけど曲中に立って酒を買いに行く人はあんまりいない。みんなちゃんと見てる(笑)

カンノ:わかった。そのMCのときは酒を買わないで、メモ取ってるんだよ。「このときに『バーカウンターはあちらです』というMCをした」って(笑)やっぱMCも真面目に一言一句逃さず聞いてるんだって。

オノウエ:怖いな~(笑)もちろんナンバガイースタンを見れたことは嬉しかったし楽しかった。でも場としては圧倒的に『スチャダラパーク』のほうが良かったんだよね。

カンノ:環境の悪さは圧倒的に『スチャダラパーク』だったんでしょ?

オノウエ:そうそう。『スチャダラパーク』のときは雨が降ってすごく寒かったの。

カンノ:普通は場の空気が悪くなるのは『スチャダラパーク』のはずなんだよ。っていうことは『FUN CLUB』はよっぽどだよ(笑)

オノウエ:音楽を聴きにライブに行くときって音楽だけを楽しむわけじゃないじゃん。その場も含め楽しむわけじゃん。

カンノ:そうしたら『FUN CLUB』はピリっとしてたんだね(笑)

オノウエ:そうそう(笑)

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