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サムオブ井戸端話 #050「あの頃のスペシャに出たい!」(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

ミュージシャンとバラエティ番組の関係をスペシャをとおして考えるサムオブメンバー。後編ではロックバンドのお行儀がどんどん良くなることで「怖い」という情報が余計なものになってしまうこと、直接的に「素」というキャラクターを知るのではなくて「クイズ」や「大喜利」をとおして知れるキャラクターもあるという話をしました。前編は下記リンクから。

 

カンノ:あと最近はヒリヒリするミュージシャンを見なくなった気がする。

オノウエ:たとえばどういう人?

カンノ:よく話すけどさ、態度が大きいミュージシャンは本当に見なくなったなって。もっと言うと、テレビやラジオで放送事故的なものがなくなったよね(笑)たとえばあの頃の宮本浩次とかさ。ヒリヒリするような言動のミュージシャンを見なくなって、ナヲやダイスケはんがスペシャに出続けるようなこととかはリンクするのかなって。以前、僕とYOU-SUCKで『ビクターロック祭り』を観に行ったじゃないですか。そこで話した「ロックバンドお行儀良すぎ問題」ってあるわけじゃん。なにかリンクする気がするのよね。

YOU:なるほどね。

カンノ:ナヲとダイスケはんがサービス精神旺盛ゆえに、こっち側に降りてくるミュージシャンであること。あとスぺ中の話からリンクすると、なにか突かれてボロが出てそれがキャラクターになるのは、その突かれている人はサービス業としてこっちに降りてきているわけじゃないよね。その態度の違いはあるんじゃないかな。で、本来サービス業的な振る舞いを持っていないバンドマンが1曲1曲終わるごとに「ありがとうございました」と言わなきゃいけなかったり、丁寧に曲名を言って紹介をしなきゃいけなかったり、それは全部リンクすることなんじゃないかな。

YOU:やっぱり全部「市場縮小」っていうことだと思うんだよね。昔、RED WARRIORSがテレビに出たとき、「くたばれ歌謡曲!」みたいなことを言いながら歌番組に出てたらしいのね。でも当時めちゃくちゃ人気だったの。つまりそういうことを受け取る層が少なくなったというか。あとリスナーがだんだん大人になっていったとか。もうロックとか言ってられなくなったのもある気がする。あとは、マキシマムザホルモンってファンダムを作ることに自覚的だったと思うの。で、そういう人たちが残っていったんだと思うのね。圧倒的なカリスマ性のみで残っている人って少なくて、ファンとのコミュニケーションを大切にする人が残っていったりね。あとホルモンって昔から転売ヤー対策をやっていたりさ。もうそういう人たちしか生き残ることができなくなったんじゃないかなって気がするのよね。それを市場の成熟と見るか、幅が狭まったと思うのか。「いやいや、それはお前らがなにも知らないだけだよ」ってだけな話なのかもしれないし。

カンノ:でも「言っちゃいけない」とか「やっちゃいけない」は年々大きくなってはいるよね。それはミュージシャン自身もわかってるし。だから荒くれている人っていうのは減っていってるよね。

YOU:怖い人ってあんまりいないね。

カンノ:「怖い」って余計な情報だもんね。あとスペシャの話に戻すと、「スペシャじゃないと見られない」っていう人がいっぱいいたんだよね。もう今はそういう概念がない。あ~、あの頃のスペシャに出たいな~。

YOU:かわいそうなことを言ってるよ(笑)

カンノ:オノウエ君は当時ラジオっ子だったわけじゃん。で、そのラジオにも「そこにしか出なかった人たち」っていたわけでしょ。

オノウエ:そうだね。

カンノ:これはもう古い考え方だけど、「あの頃、そこでしか見られなかった」っていうことは大事だった気がするんだよね。だから追っかけてたし。

オノウエ:それはカンノがそれだけスペシャへの思い入れがすごいあったんだと思う。俺はそこまで激烈なものじゃなかったな。でもたしかに、自分が仮にミュージシャンになれたとして、「ここに出たいな」という番組はあったけどね。

カンノ:そうだよね。そういう話ですよ。スぺ中だったら、ミュージシャンを集めて大喜利とかコントをやっていた番組ってあそこしかなかったからさ。

オノウエ:普通に考えてそんな番組はねえんだよ(笑)

YOU:あとスペシャは『音知連』って番組が好きだったな。

カンノ:あれも面白かったね~!

YOU:音楽クイズ番組なんだけど、回答者に向井秀徳がいて、「CDを録音したら重さは上がるか?」というクイズで、みんな×にしてるんだけど、向井だけは〇にしてて。「俺はそういうロマンが詰まっていると思いたい」とか言って不正解だったの(笑)あれがめちゃくちゃ面白くて(笑)

カンノ:素晴らしい敗退の仕方だね(笑)

YOU:やっぱりクイズ番組でもなんでも、番組でそのミュージシャンのキャラクターを知れるのはとても大事だったよね。ちょっとキャラ消費と表裏なんだけど、でもあそこでしか見ることのできないコンテンツはたしかにあったんだよね。

カンノ:やっぱり「ここでしか見られない」って大事だったと思うんだよね。

YOU:もっとスぺ中の話とか聞きたいよね。

カンノ:たまに見かけるけどね。やっぱりカルト的な人気だったから。

YOU:ライブもやってたもんね。

カンノ:「文化祭」っていう名前のイベントね。だから「ここでしか見られない」がないって話ですね。地上波の音楽分析もたかが知れてるし、「素を見せますよ」とかに終始しちゃうし。

YOU:たしかにね。そのまま直なものを見せるんじゃなくて、なにか媒介を通してほしいよね。

カンノ:「クイズ」とか「コント」とかね。遠回り的な突き方はたしかにないね。っていうか見たい「企画」がない。ちょっとつまんないよね。あの頃のスペシャにはそういった企画が詰まってたね。最後にもう一度言います。僕はあの頃のスペシャに出られるように売れます!

オノウエ・YOU:アハハハハッ!

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