宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回は2050年に「これがシティポップだ」と間違って解釈されそうな曲を紹介する「2050年のシティポップ」特集(前編)を掲載します。
Radio OK?NO!! Podcast #062「2050年のシティポップ」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!
カンノ:ここ最近だとヤマタツ特集やシティポップカバー特集など、シティポップ系の特集を多めに行ってきました。
カンノ:やっぱり「シティポップ」と呼ばれるものが乱発しているというか、氾濫しているというか。
上野:今もやっぱり「シティポップ」って言葉は強いのかしらね。
カンノ:強いけど、あまりになんでもありな感じにはなってるよね。
上野:そうだね。「シティポップ」が指している言葉の範囲が広がりすぎてはいるよね。
カンノ:広がりすぎてよくわからなくなっている現状があるじゃないですか。なのでこれは言っておきます。シティポップブームはいずれ終わります!
上野:まぁ、そうでしょうね。
カンノ:あと3~4年じゃないですか。
上野:未来予想ですね。
カンノ:で、このブームはまた来ます。なんとなく40年周期みたいな言い方があるじゃないですか。1980年代くらいにあって、2010年代後半くらいから今にかけてブームがあって、次は2050年にシティポップブームが来ます!
上野:なるほど(笑)
カンノ:2050年、お楽しみに!
上野:アハハハハッ!
カンノ:で、昨今様々な”シティポップっぽいもの”が出てきたじゃないですか。で、今は”シティポップっぽいもの”です。でもこれが、2050年にもう一度シティポップブームが来たときに、その曲たちが”シティポップ”に括られるんです。それで歴史の改ざんが成功されると(笑)
上野:アハハハハッ!
カンノ:で、もう今の時点でそういうことを言っていこうと。今の時代に出てきた”シティポップっぽいもの”が2050年にシティポップかそうでないかではっきりと分けられるんです。そこで僕たちが思う「今後この曲がシティポップとして語られるのではないか」という楽曲を僕と上野君で選曲しました。今回は「「2050年のシティポップ」特集です。どう?伝わった?
上野:たしかに、ちょっと解釈が難しい回ですね(笑)ようは2050年に再度シティポップブームが来たときに「これはシティポップだ」と再発見、もっと言うと”勘違い”されるような可能性のある曲を僕らで選んできたってことですよね。
カンノ:そうですね。発売当時はシティポップなんて括りがなかったのに、今になって「シティポップだ」って言われる昔の曲なんていっぱいあるじゃないですか。AORとかアシッドジャズとかって言われてはいたけど、そういうボーダーも全部ふんわりしちゃってるじゃん。解釈も人それぞれで全然違うし。昔の曲もそうだったんだから、今なんてもっとぼんやりしてますよ。で、2050年になったときのシティポップをとりまくぼんやり感は半端ないと思うよ。
上野:そうだね。
カンノ:全曲シティポップの可能性もあるよ(笑)「ギターウルフってシティポップだよね」とか(笑)
上野:それはジャンルが崩壊してるね(笑)
カンノ:ということで「2050年にはこれがシティポップになっている」と思われる曲をお互い3曲ずつ選曲しました。まずは上野君からお願いします。
上野:はい、ではお聴きください。星野源で「Pop Virus」
カンノ:いいね~、でっちあげてるね~(笑)
上野:星野源は今は「シティポップだ」と言われていません。ただ、非常にシティポップ的じゃないですか?とくにこの曲(笑)
カンノ:面白い解釈だね~。
上野:星野源は出自がもともとフォークだし、あとシティポップ云々とかもう細かい音楽ジャンルで語られるような存在じゃないくらいのメジャーな人になったじゃないですか。
カンノ:シティポップという武器を使う必要がないからね。
上野:そうそう。カテゴライズの必要がない。でもたとえば「真夜中のドア」とか「Plastic Love」だって同じ話だし。
カンノ:山下達郎もそうだよね。
上野:だから、あとから再発見されたときにこの曲は「真夜中のドア」レベルで、シティポップとして爆売れする可能性があるなと。
カンノ:世界でそう解釈されてね。今、「星野源はシティポップだ」って言い張るのは面白怖いよね(笑)
上野:でもこの曲のテンポ感やアレンジもシティポップの要素があるじゃないですか。だから後々誰かが「これはシティポップだ」って大勘違いされるんじゃないかなって(笑)
カンノ:今の星野源における文脈がすべてなくなったあとだよね。
上野:そうだね。
カンノ:でも星野源の師匠筋における細野晴臣という人は、シティポップ方向で語られなくもないよね。その捉え方もすべてシティポップ方向に大勘違いされてね(笑)すべてシティポップ脳で考えたら星野源はシティポップであると(笑)
上野:あと文脈の話が出たけど、僕たちは星野源が大好きすぎるじゃん。演劇側の話もあればSAKEROCKも聴いてたし、いろんなアプローチをした結果、ここまで有名になっていったプロセスも知っているわけじゃん。
上野:でもそういったことが全部バッサリなくなるわけじゃん。そうなったときに「シティポップだ」っていう言われ方はあるんじゃないかな。
カンノ:たとえば星野源が早めに引退しててさ、声の大きい人が「星野源はシティポップだ」って言い始めてそれが広まっても、星野源はなにも言わないっていう状態で陰でほくそ笑んでてほしいよね(笑)
上野:たしかになにも言わないのがいいよね(笑)
カンノ:変に反論とか解説とかしないでほしいよね。では続いて僕が選んだ2050年にシティポップと解釈されそうな曲をお聴きください。yamaで「春を告げる」
カンノ:yamaは文脈でいうと歌い手さんですね。くじらさんというボカロPの人の手掛けによって、顔を出さないでネット上から出てきました。
カンノ:そして超絶中性的な声。で、『THE FIRST TAKE』にも早めに出てきて売れましたね。
カンノ:ヨルシカとかYOASOBIとかずっと真夜中でいいのに。系譜の人ですよね。今の文脈としてはざっくりとそんな感じです。で、それがバッサリと切られたときに、この曲、そしてこのジャケの絵ですね。
上野:このジャケットね。
カンノ:この絵の力ですよね。だから気になるのは、この絵を作ったときにそもそもシティポップが意識されてるのかどうかね。
上野:たしかに、このジャケットのテイストね。
カンノ:で、このテイストは街中で増えたね。
上野:増えた、増えた。
カンノ:みずほ銀行がこんなタッチの看板出してたぞ。
上野:マジかよ(笑)
カンノ:僕たちの思う「シティポップの終わり」って、たとえばサカナクションが「忘れられないの」という曲でシティポップパロディを行ったんだよね。
カンノ:だからそこでシティポップをおもちゃにしたんだよ。それで終わるんじゃないかと思ったけど、終わらなかった。で、そこからDEENがシティポップのカバーアルバムを出したとか、遊助が「さすらい」をシティポップ風味にカバーし出したとか、おじさんがシティポップに手を出してきたんだよ。
カンノ:おじさんが無邪気にシティポップに手を出してきたのが、終わりの始まりなのかなと思っていて。で、みずほ銀行がシティポップテイストの絵の看板で広告を出すっていうのはちょっと似ている気はしていて。
上野:一般層に届けるためのラグの話だね。おじさんとか企業が今の時期に手を出すっていう。
カンノ:「流行語大賞に選ばれた言葉はその流行が終わる」っていう感覚に近いかな。たとえば牛丼屋とかコンビニとかでシティポップっぽい絵が使われたら本当にブームが終わると思うの。コンビニはあり得そうだけど。永井博がファミリーマートの広告を手掛けたらおしまい(笑)
上野:なるほどね(笑)話し戻すと、このyamaの曲はシティポップとして語られそうだね。
カンノ:「深夜東京の6畳半」
上野:すげえシティポップの歌詞っぽいよね。
カンノ:決定的な言葉はなにもないけど「シティポップっぽいな~」って思うよね(笑)「深夜 東京 6畳半 夢を見てた」全部それっぽいですね(笑)それでこの絵のジャケだから、最初からシティポップ文脈で語られようとした節はなきにしもあらずなのかなと思ったんですよね。ちょっと匂わせてる気はしました。
『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#okno」をつけてツイートしてください!お問い合わせはメール:radiookno830@gmail.com まで。