SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
今年子どもが生まれたYOU-SUCKメンバー。子育てをするなかで、『シナぷしゅ』という番組を子どもに見せながら大人もハマってしまう体験から、幼児向け番組とサブカルの関わりについて語りました。
YOU:今年、子どもが生まれました。
オノウエ:おめでとうございます。
YOU:もうハイパーかわいいです(笑)今3ヶ月なんですが、毎日刺激的ですね。で、奥さんの実家に行ったときにその地元の友達といろいろ話してて、その友達たちも子どもがいるから、「赤ちゃんのときになにを見せてました?」って聞いたの。というのも、『おかあさんといっしょ』ってあるじゃん。あれって赤ちゃん向けって感じじゃないじゃん。
YOU:つまりちょっと上というか、ミルクを飲んでる赤ちゃんじゃなくて、いわゆる子ども。立って自分で動ける子ども用のコンテンツ。
カンノ:なるほど。
YOU:それで「赤ちゃん向けになにか見せてましたか?」って聞いたの。そうしたら『シナぷしゅ』っていうのを見せてたらしいの。
YOU:これはテレ東で放送されてる教育番組なんだけど。まず「テレ東なんだ!」って思ったの。しかも「0~2歳児向け」って銘打ってるコンテンツってじつはそんなにないんですよ。
カンノ:たしかに、0歳児向けってあまり聞かないね。ちなみに『シナぷしゅ』って有名なんですか?
YOU:有名、有名。ママさんはみんな知ってる。
オノウエ:僕の周りで子どもがいる人は、多分みんな『シナぷしゅ』見せてるね。
YOU:何百万再生の動画もあるよ。
カンノ:そうなんだ。知らなかった。
YOU:で、しかもテレ東で流れるだけじゃなくて、放送したものも全部YouTubeで公式でアップされるの。みんなYouTubeで見てるんですよ。
カンノ:『シナぷしゅ』は物語で展開されるの?
YOU:いや、物語ではない。それは『おかあさんといっしょ』と同じで、いろんなコーナーがある。そのなかでも歌ものが多い。
カンノ:0歳児向けって考えると、歌の歌詞の意味とかは薄めて、なんか言葉の発音とかが面白い感じだったり、鳴っている音が面白い感じの歌が多いのかな?
YOU:そう思うじゃん。でも見てみると、意外と大人がハマってしまうコンテンツになってるんだよね。子どもだけじゃなくて大人も面白い。で、うちの子どもも3ヶ月になってようやく親の顔以外というか、外の世界の人やモノに興味を持ち始めたんです。で、『シナぷしゅ』も3ヶ月くらいになって興味を持ち始めました。
カンノ:3ヶ月の赤ちゃんが見てるんだね。
YOU:そうそう。なんとなく反応を見てるんだけど、最初は全然興味なさそうだったのが、最近は見てるね。で、東大の赤ちゃんラボみたいなところが関わっていて、つまり学術的に赤ちゃん学を研究しているところが裏付けをしているコンテンツなんだけど。
オノウエ:赤ちゃんが見る根拠のある番組ってことだね。
YOU:そう。で、この番組は音楽とアニメのコンテンツが結構流れるんだけど、アーティストがすごく濃くていちいち気になるんだよね。俺が一番びっくりしたのがKEMURIが参加してるんだよね。
カンノ:KEMURI!!
YOU:KEMURIが赤ちゃん向けコンテンツに参加してるの、すごいよね。それでしかも、歌詞にバリバリ英語が入ってるからね。「えっ?幼児じゃ聞き取れないよ?」って思ったもん。
オノウエ:フフッ。
YOU:あとはZOMBIE-CHANGとか。
YOU:ほかにも民謡クルセイダーズも曲を提供していて。
YOU:このアニメもなんだか気持ち悪いんだよ(笑)「こんな妙に気持ち悪いアニメ、幼児が喜ぶのかよ?」って思いながら見てて、結果俺が楽しんでるんだよね。
オノウエ:あ~(笑)
YOU:じつは赤ちゃん向け番組って親を楽しませるのが鍵なんだよ。
カンノ:その話で思い出すのが『ハッチポッチステーション』なんだよ。
YOU:『ハッチポッチステーション』もそういう番組だったね。
カンノ:あれは大人が笑えるんだよ。
YOU:そうだったね。で、子どもとコミュニケーションが生まれるんだよね。
カンノ:Queenのパロディで『犬のおまわりさん』を歌われたら、超面白いに決まってるじゃん。
YOU:我々の親世代はQueen知ってるから、笑うに決まってるんだよね。
カンノ:「ママ~♪どこなの~♪」なんてめっちゃ面白いじゃん(笑)
オノウエ:懐かしいな~(笑)
YOU:それで思ったのが、「赤ちゃんが泣き止む」とか「赤ちゃんが喜ぶ」みたいな言葉がYouTubeのサムネイルとか動画のタイトルとかで書かれてるんです。で、赤ちゃんを泣き止ませるとかって本当に親からしたら切実なんですよ。だって眠れないから。泣き止んでもらわないと大人はなにもできないの。これは本当に実感として思う。で、そういう触れ込みのコンテンツを見せ続けた結果、大人が楽しんじゃうっていう。俺も奥さんもまんまとハマったからね(笑)
カンノ:やっぱり僕が驚くのは、あえてこの言葉を使うけど、そういう幼児番組にサブカルが入ってくる現象だよね。だって幼児番組に民クルが入ってくるってやっぱり意識が相当高いと思うんだよね。
YOU:あと東郷清丸ね。
カンノ:もう、まさしくな人じゃん。
オノウエ:俺はまだ結婚もしてないし子どももいないけれど、サブカルが好きで東郷清丸が好きな人も結婚して子どもができるわけだよね。
YOU:もちろん作品の作り手の人はそうかもしれないけど、届ける相手はサブカルを想定していないと思うよ。
カンノ:そうだね。内情はサブカルとかアングラとかの人たちだけど、届ける相手は超マスっていうね。なんかこの話を聞いて思ったのが、昔のフジテレビとかが本来はやりそうな企画なんだよなって思った。なんか、昔のフジテレビがやりそうな企画って今、Eテレかテレ東がやってるんだよね。
オノウエ:昔のやつってどういうやつ?
カンノ:たとえば『冗談画報』みたいな番組とかってさ、ライブシーンで活躍している様々なジャンルの人たちをテレビで引っ張りあげようっていう気概があった番組でしょ。そういうことを今の時代にやっているのはEテレとテレ東なんだろうなと思うね。
YOU:たしかに、ネットでバズった人たちをテレビで使うだけの番組は多い気がするね。
オノウエ:そういうサブカルなミュージシャンを子ども番組で使うっていうのは面白い試みだよね。
カンノ:僕ら世代だとそれって『ポンキッキーズ』がそうだったんだよね。斉藤和義とか大江千里とかさ。
カンノ:あと『天才てれびくん』ね。ホフディランの「極楽はどこだ」とか。
カンノ:あとYO-KINGの「きれいな水」を当時のてれび戦士の熊木翔が歌ってましたよ。俺、熊木翔っていうてれび戦士の名前まで覚えちゃってるよ(笑)
YOU:お前はヤバいよ(笑)
オノウエ:カンノのシナプスがヤバい(笑)