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サムオブ井戸端話 #083「スペースカンフーマンから考える音楽の”おもしろ”と場づくり」(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

スペースカンフーマンというバンドの話から、音楽を"おもしろ"として提示することについて語るサムオブメンバー。後編では、スペースカンフーマンが拠点としていたライブハウスやスタジオの話から、ミュージシャンにおける「場をつくる」ということについて語りました。

 

 

オノウエ:ここ最近は『ぼっち・ざ・ろっく!』の話や2000年代のギターロック話が続いてるので、下北沢のシーンの話が多いじゃないですか。

オノウエ:それでいうと、スペースカンフーマンの文脈って秋葉原のGOODMANっていうライブハウスなの。

オノウエ:GOODMANってそういうバンドマンがすごい多かった印象があって。そのシーンに俺はずっと憧れがあったんだよね。

カンノ:たしかにGOODMANって独特の箱だよね。

YOU:PANICSMILEの吉田さんがGOODMANの店長だったんだっけ?

オノウエ:そう、一時期やってたの。で、吉田さんが店長になって、GOODMANのブッキングがこの方向にさらに加速したらしいんだけど。bossston cruizing maniaとか。

オノウエ:「オルタナとちょっと変な感じと笑い」みたいな。ただ、このシーンは当時現場にいた人しか知らない。

カンノ:なにかデータで残ってるわけでもないんだろうね。

オノウエ:あと喋る人もいない。それこそこの界隈で『ぼっち・ざ・ろっく!』が作られるわけはない(笑)なので喋っておきたいなと思ったの。

YOU:オノウエがPANICSMILEのこと喋らないと残らないよ(笑)

カンノ:オノウエが一番『ぼっち・ざ・ろっく!』だな(笑)

オノウエ:それで、GOODMAN界隈の人たちがこぞって使っていたスタジオがあったんです。それは自由が丘にあったサークルサウンズっていうスタジオなんだけど。

オノウエ:俺も何回か行ったことがあって。そこはマスターと呼ばれている店長が個人経営でやってるスタジオで、そこでAxSxEさんがCスタを使ってリハも録音もやってるとか。とにかくGOODMAN界隈の人たちがこのスタジオを使ってたの。そのスタジオのなかに冷蔵庫があって、缶ビールが200円とかで飲めるの。で、リハ終わりのバンドマンたちがそこで飲んでるの。あと店長が用があって急にいなくなったら、近くにいたバンドマンたちが代わりに店番やったりとか、そこにはすごく良いコミュニティがあったんだよね。

YOU:良いコミュニティだね。

オノウエ:それで、サークルサウンズ自体はビル自体の取り壊しのために閉店しちゃったんだけど、ああいうものがあったことは喋っておきたいなと思ったし、そのグループのトップにスペースカンフーマンがいたんだよね。

カンノ:コミュニティとか場の話でいうと、クチロロの三浦さんがスタジオを作ろうとしてるんだよね。

オノウエ:クラウドファンディングやってたよね。

カンノ:立体音響のスタジオを作ろうとして、最近だと神戸とか奈良とか回ってたんだよね。

YOU:そうなんだ。

カンノ:東京という場での一極集中型からどうやら解放されたがってるっぽいね。で、そこのスタジオで地域の人が出入りするようなコミュニティになればなという話をしていたり。あとそもそも三浦さんの家がわりと自由に人が出入りしているらしいと。

オノウエ:へぇ~。

カンノ:三浦さんはそこで料理を作っているだけだから「自由にやっちゃって~」みたいな。そういう場の延長としてスタジオを建てようとしているのかもね。

オノウエ:そういうのって良いよね。

カンノ:あと個人的な話で何年も前だけど、とある演劇関係者の人に「カンノ君、東京出ないの?」言われたことがあるんだよね(笑)「あの、もうちょっと東京で良いこと、嫌なことを経て、いろんなことを思ったうえで考えさせてください」みたいな(笑)

オノウエ:「東京に来なよ」は聞いたことあるけど「東京出ないの?」っていうのはなかなかないよね(笑)

カンノ:で、地方へ目線を向けるとか、場づくりとかって演劇のほうが活発だよね。

YOU:演劇は町とか村の規模でやってたりするもんね。

カンノ:音楽やお笑いとかってまだまだ東京の一極集中型だもんね。まぁ、僕自身が地方とか場づくりとかの目線を持つのは、もうちょっと年を取っていろんな面で納得しないとまだできないだろうなとは思うね。

オノウエ:それはそうだろうね。

YOU:スペースカンフーマンの狭いんだけど微妙に知名度がある感じ。しかもサブスクにないじゃん。

オノウエ:この界隈のミュージシャンってサブスクにあんまりないんだよね。

YOU:このちょうど歯抜けになっているところをちゃんと追うのって大事だよね。

オノウエ:だから当時、どうやって情報収集していたのか自分でも不思議なんだよね。おそらくアジカンからMO’SOME TONEBENDERを知って、そこをいろいろ調べていったらPANICSMILEやGOODMANに辿り着いたんだと思うんだけど。だから結局人間関係を追わないとわからないよね。

YOU:GOODMANってオルタナやハードコア感もあるんだけど、所謂千葉のハードコアシーンとも全然違うもんね。

カンノ:でもGOODMANの土着感はすごくわかるよ。

オノウエ:うん、土着感あるよね。

カンノ:なんか、爽やかなバンドがいないと思うんだ(笑)

オノウエ・YOU:わかる(笑)

オノウエ:話がまた『ぼっち・ざ・ろっく!』に戻るんだけど、あのアニメを見たときに「こんな綺麗なもんじゃないよな」とは思ったの。そのうえで、アニメで美化されてるとはいえ、下北沢のあの感じはとてもわかるの。で、「じゃあGOODMANとかはどうすんだよ」って思ったんだよね(笑)

カンノ:『ぼっち・ざ・ろっく!』の世界におけるGOODMANね(笑)

オノウエ:アニメにできないもっとヤバい世界はあるはずだからね。

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