SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
先日DJイベントに行って楽しんだカンノメンバー。デカいスピーカーでデカい音を楽しむという経験から、クラブやライブハウスの現場でデカい音を浴びた体験について語りました。
カンノ:この前、クボタタケシさん、マイケルJフォクスさん、OMSBさんのDJを聴きに、すごい久々に渋谷のオルガンバーに行ったんです。仕事終わりで行って、お酒を飲みながら聴いてたんだけど、正直プレイされてる楽曲は1曲も知らなかったです。でも超楽しくて。
YOU:クラブってそういうものだよね。
カンノ:大きいスピーカーで音楽聴くのって超楽しいよ。
YOU:当たり前のこと言うなよ(笑)
カンノ:この前、僕らのブログの『ぼっち・ざ・ろっく!』回がすごく読まれたじゃないですか。
カンノ:そこでいろんな意見がツイートされてたじゃないですか。賞賛もあれば否定もありました。もうね、どうでもいいんですよ。音楽のことをああだこうだ言ったってしょうがないんですよ。「デカいスピーカーでデカい音の音楽を聴いてるのか?」っていう話なんですよ!
YOU:フフッ。
カンノ:インターネットという場でね、「あの記事の言ってることは賛同しかねる部分もあるが、概ね同意だ」とかさ、「こいつらの言っていることは負け惜しみだ」とかさ、「すごい強烈なこと言っててすごい!」とかさ、もう全員です。デカいスピーカーで音楽聴いてますか?
YOU:「デカいスピーカー」って馬鹿っぽいワードだけど、たしかに重要だよね(笑)
カンノ:デカいスピーカーで酒飲みながら音楽聴くのは、1曲も知らなくても超楽しいよ。
YOU:現場でデカい音が鳴らされることの楽しさはわかるね。
カンノ:で、どうですか?「デカい音楽聴いたな~」っていう体験は最近してますか?
YOU:子育てで忙しいから行けてないのが実情かな〜。
カンノ:そんなのはダメ。なぁ?そんなのは、ダメ!
YOU:お前のそのはりぼての現場主義こそダメだよ(笑)
カンノ:冗談はさておき、今回は最高の音楽現場体験とか、最高のライブ体験とか、そういう話がしたいなと思いまして。こっちは音楽を読解するブログをこうやって書いてるけど、そんな理屈は置いといて、「マジであのライブが超良かった!」っていう話をしようよ。
YOU:マジの世間話だ(笑)
カンノ:ライブハウスでもクラブでも「こういう音楽を聴いてブチ上がった!」みたいなやつ。
YOU:俺はたとえば、My Bloody Valentineというバンドがいるんですけど。マイブラがSONICMANIAに出たことがあって、そこで耳栓が配られるんですよ。で、耳栓しながら聴くんだけど、「そんなにうるさくないな」って思うの。まぁ、それはそれで楽しく聴いてるんだけど、「you made me realise」っていう曲でライブは終わるんだけど。
YOU:で、耳栓しながら聴いて変な慣れ方しちゃって、「耳栓取っていいんじゃないか?」と思って取ったら超うるさくて。「わぁ、うるせぇ!」と思ってまたすぐ耳栓した(笑)で、やっぱりこれはライブ体験じゃないと聴けないよね。シューゲイザーとかノイズみたいなものは現場に行かないと。ノイズで身体が震えるんだよね。それこそクラブの低音もそうかもしれないけど、耳で聴いてるんじゃなくて腹で受け止める感覚ってあるじゃん。それは家のスピーカーではあまり味わえないよね。
カンノ:このテーマで一番重要なことは何度も言いますが、デカいスピーカーでデカい音を聴くことなんですよ。
YOU:言ってることはわかるけど、言い回しは雑だよね(笑)
カンノ:デカい音という観点で忘れられないのが、2021年に行われた蓮沼執太フィルのオーチャードホールの公演ですね。
カンノ:ゲストがいろいろ出てくるんだけど、そのなかにヤン富田がいて。まずすごかったのが、舞台にはフィルのメンバーがいるんだけど、その後方でデカい宇宙船のコックピットみたいなブースにヤンさんがいるんだよ(笑)
YOU:フフッ。
カンノ:そこから繰り出されるノイズが十何人いるフィルのメンバーの音を全部飲み込んで、聞こえてくるのはヤン富田のノイズのみ(笑)
YOU:アハハハハッ!
カンノ:あれは最高でしたね。音圧でこのホールで死ぬんだなって思ったもん。
YOU:そんな暴力的なノイズだったんだ。
カンノ:蓮沼さんがなんの指揮を取ってるのかさっぱりわからなかったもん(笑)
YOU:ノイズは現場で見たほうがいいよね。あと昔、FREEDOMMUNEというイベントがありまして。
カンノ:幕張だったよね。
YOU:そうそう。いろんな人が出ていたんだけど、灰野敬二がエレクトリックセットで、ギターを弾かないでエレクトロノイズを「ガァー!」と流してるんだけど、演出含めて超カッコよかった。
YOU:あとは山塚アイがBOREDOMS名義で88人でドラムを叩いてたんだよ。あれも訳分からなかったな。あと夜通しやるイベントだから、朝の4時くらいに冨田勲が出てシンセの音色を流してたんだけど、早朝で楽しくて踊っては酒飲んで、フラフラになりながら眠いんだか眠くないんだかさっぱりわからなくなった状態で聴くシンセサイザーの音が、「マジでここはあの世なんじゃないか?」って思っちゃったね。
YOU:現世で聴く最後の音楽というか、多幸感なのか疲れなのかもよくわからなくなった謎の状態。
カンノ:言うなればキマっている状態っていうことだよね。
YOU:やっぱりライブって全部そうだよね。肉体的な疲れが伴うことという。