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サムオブ井戸端話 #094「みんな!もっと現場で音楽聴こう!」(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

印象深い音楽ライブについて語るサムオブメンバー。後編ではライブでの客席側で起きた体験や「推し」や「関係性」という言葉でミュージシャンが語られること、YOU-SUCKメンバーが急に思い出した灰野敬二のライブ体験の話をしました。前編は下記リンクから。

 

 

カンノ:忘れられないライブ体験の話でいうと、2006年の渋谷AXでのZAZEN BOYSの公演。たしか『ZAZEN BOYS III』リリース時なんだけど。

カンノ:それで話したいのは演奏の話じゃなくて、僕の右斜め前くらいにいたお客さんで、見たことがない腰の動きをするお客さんがいたんだよ。

YOU:アハハハハッ!

カンノ:目で追いつかないくらい腰が速い動きをしていて。「どういうことなんだ?」みたいな。ZAZEN BOYS変拍子であれば、この人の腰の動きも変拍子

YOU:変拍子に寄せられる腰の動きだったのね。

カンノ:「コイツ、マジですげえな!」と思ってずっと見てたんだけど、その人の近くで女性が倒れちゃって。

YOU:なんか大変なことが起きてるな。

カンノ:当時のZAZEN BOYSのライブはまだモッシュとかダイブとか起きてるときだったから。今思うとZAZEN BOYSでダイブやモッシュが起きてるのが不思議なんだけど(笑)そんななかで女性が倒れちゃって、「うわぁ…」と思ってたら、その変拍子の腰の動きをするお兄さんが助けてたんだよね。「この人、なにもかもプロだ」と思った。

YOU:それはすごいね。

カンノ:で、その女性を助けながら後ろの方へ行って、もうその人は見えなくなっちゃったけど。

YOU:めちゃくちゃ踊っていた人がそういう助け方をしてたんだ。

カンノ:単に変な腰の動かし方をする人じゃなかったよ。

YOU:なんの話だよ(笑)

カンノ:ライブ体験ですよ。そんなの現場に行かない限り出くわさないもん。

YOU:2006年に『蓮沼』っていう夏フェスに行ったんだけど。

カンノ:あれってたしかフリーライブだったよね。

YOU:そうそう。で、場所は日比谷野外音楽堂。そこにB-DASHが出てたんですよ。

YOU:そこでビックリしたのが、B-DASHモッシュが起きるっていう。野音だよ?危ないじゃん!だって石の椅子があるんだよ?どういうことだよ?

カンノ:2006年だから僕らが高校1年生とかでしょ?そんなのカルチャーショックだよね。

YOU:あれはビックリした。「危ないよ!」って思ったもん。

カンノ:B-DASHって歌詞が出鱈目だったりしたから、ちょっと色物的に思われがちというか。ちゃんと売れたし。だから安心安全で見やすいものかと思ったらモッシュが起きるっていう。

YOU:あれはビックリした。そういうのも現場に行かないとわからない。

カンノ:やっぱり原初的な体験が重要だと思うんですよね。なんで音楽を好きになったか。やっぱり僕は現場で爆音で音を浴びることは楽しい行為だと思ったんですよ。でね、ミュージシャンとかバンドとかが「推し」の対象になってきていることを最近思うんだけど、それってべつに音楽じゃなくてもいいじゃん。お金を落とすことが目的になっているなら。音楽である理由がちょっと薄い気はしていて。

YOU:ちょっと話は逸れるんだけど、『ゆる言語学ラジオ』というポッドキャストがあって。

YOU:ライターの堀元さんと言語好きの編集者の水野さんという2人が言語学についてゆるくしゃべるというコンセプトの番組なんだけど、ファンの声で「2人が喋っているだけでいいです!」みたいな感想をつぶやいている人がいて、俺はそんなわけねえだろって思っちゃうんだよね。その言語学にまつわるお題があってこその2人の喋りだから、「2人の関係性だけでいいです~!」みたいなのはちょっとアレだなと。

カンノ:内容なんて聞いてないんだよ。「関係性がいいです~!」っていう声っていろんな場所ですごく多いんだよね。僕が最近好きなのはタイムマシーン3号YouTubeなの。

カンノ:これははっきりと理由があって、疲れたときに聞くって決めてるの。ただただ40歳過ぎのおじさん2人がキャッキャ喋っているYouTubeで、コメントも「おじさん2人がキャッキャ話してる関係性が好きです~」というのがものすごく多いの。で、これは内容がないから正しい楽しみ方です(笑)

YOU:フフッ。

カンノ:それで僕は、タイムマシーン3号YouTubeをバックグラウンド再生で流しながらスマホのパズルゲームを口半開きでよだれを垂らしながらやってるときが一番の至福なんだけど(笑)

YOU:そうですか…(苦笑)

カンノ:疲れ果てて脳みそを一切使わない遊びですね(笑)

YOU:”無”になれるんだね(笑)

カンノ:ただ、タイムマシーン3号をお笑いとして見るときはべつに全然好きじゃない(笑)

YOU:アハハハハッ!

カンノ:求めてるお笑いでは全くない(笑)

YOU:ここ最近カンノとこういう話が多いけど、もう誰も彼も疲れていて、内容とか脳を使うようなコンテンツは全然求められてなくて、関係性とか「なにかやっているのがいい」みたいなことに無意識的に行ってしまうというね。

カンノ:「2人が笑顔なのがいい!」とかさ(笑)

YOU:そういうことを言う人っているよね~。それだけなわけないじゃん(笑)

カンノ:またライブの話に戻すけど、べつにミュージシャンに笑顔とか求めてないもん。灰野敬二に笑顔なんて求めないじゃんか(笑)

YOU:あ~、ちょっと灰野敬二のライブで思い出しちゃったことがあるな。俺、THE NOVEMBERS灰野敬二のツーマンライブに行ったことがあって。

YOU:青山の月見ル君想フというライブハウスでやってた。THE NOVEMBERSと灰野敬二はそれぞれパフォーマンスをして、それは両者ともかっこよかったんだけど、ライブの最後がヤバくて、THE NOVEMBERSの曲を灰野敬二が歌うっていう内容で(笑)

カンノ:それはTHE NOVEMBERSの演奏で?

YOU:そうそう。で、最初は灰野敬二らしく叫びながらも普通に歌っていたのだけど、灰野敬二が途中でどこで歌えばいいかわからなくなっちゃったのか、黙っちゃったのね(笑)

カンノ:アハハハハッ!

YOU:それがいたたまれなくなったのか、THE NOVEMBERSのボーカルの小林さんが普通に歌い始めるのね(笑)で、サビのところで灰野敬二がまためっちゃ叫ぶみたいな。あれはなんか忘れられない。

カンノ:でもなかにはいるんじゃないの?「灰野さんが言葉詰まるところが可愛くて、またグッズ買っちゃいました!」みたいなファンとか。

YOU:「灰野敬二、推しです!」みたいな人はいないんだよ(笑)

カンノ:あと僕は、クチロロのライブは演劇とのマッシュアップであるとか、普通の音楽ライブでは見たことないようなことを仕掛けてくれるから、それを見に行ってる感じではあるかな。

YOU:たしかにクチロロは毎回趣向を凝らしていた時期があったよね。

カンノ:そういう仕掛けを施してライブを行おうとする人がクチロロくらいしかいないというか。漠然とした言葉だけどカルチャーの匂いのする人たち。そういうことを考える人が僕にとっての憧れだから。ということでね、6月11日日曜日に4×4=16のワンマンライブ『はじまりの一歩』というものを行います。そのイズムを継承したライブをできたらなと思っておりますよ。

YOU:これは「現場に行かないとわからない」というライブをやるということですね。

カンノ:そういうことです。

YOU:今回は”案件”という回ですね(笑)

カンノ:そうです。「プロモーションを含みます」と書いておきましょうか(笑)

 

4×4=16ライブ『はじまりの一歩』

2023年6月11日(日)@下北沢THREE

open 12:00

start 12:30

adr/door ¥2,000(+1d)

【LIVE】

4×4=16(band set & mpc set)

【DJ】

数の子ミュージックメイト

 

上記ライブにて音楽雑談ZINE『SOMEOFTHEM OF ZINE』vol1~3を販売します!各¥1,000です。

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