SOMEOFTHEM

野良メディア / ブログ / 音楽を中心に

SOMEOFTHEM OF PODCAST 第4回「ケツメイシ概要」特集(後編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。第4回はケツメイシのアルバムをすべて聴いたカンノが、ケツメイシのアルバムがどういった曲で構成されているかを解説するケツメイシ概要」特集の文字起こし(後編)を掲載します。ポッドキャストと(前編)は下記リンクから。

 

 

カンノ:まずはケツメイシの水商売曲を聴いてもらいましょう。ケツメイシで「夜の天使」

カンノ:これが水商売曲。つまりキャバクラですね。これは『ケツノポリス3』収録楽曲ですが、水商売曲の一番重要な特徴としてRYOさんが超活き活きしてる(笑)

オノウエ:すごく活き活きしてたよね(笑)

カンノ:本当にキャバクラとかスナックについて歌いたい人なんだろうな(笑)でね、この曲がすごいのがRYOさん、ロングバースなんですよ。まず16小節歌う。そのあとに8小節、最後にまた8小節歌ってます。

オノウエ:ほかのメンバーより量が多いんだ。

カンノ:あと、ラップのキレが倍増す。

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:マジでノッてるんだよね。水商売曲のRYOさんって。めちゃくちゃ活き活きしてノッていてラップが上手い。聴いてもらったけど、声の表情が豊かだったでしょ。

オノウエ:ちょっとテンション高かったよね。

カンノ:もともと甲高い声が特徴の人なんだけど、よりねっとりしてくるんだよね。この人がエロスケベジジイを演じたときのラップはすごく良いんだよね。これには親父ギャグ的な要素も絡んでくるんだけど、中年のことを歌わせたら天下一品だよね。

オノウエ:なるほど。

カンノ:でね、2000年代のヒップホップの人が歌う現場ってやっぱりクラブの情景じゃん。「DJ、音上げろ!フロア沸かせ!」みたいな曲とか、クラブでのナンパとかさ。でもケツメイシの現場ってキャバクラなんだよね(笑)

オノウエ:現場がキャバクラ(笑)

カンノ:だってヒップホップのことは全然歌ってないからね。正直、『ケツノポリス2』から歌ってない。

オノウエ:ほとんど歌ってこなかったんだね。ちなみに最新作にはお水系の曲はあるんですか?

カンノ:最新作はお水っぽい曲はないですね。最新作はギャグ系が強い印象かな。

オノウエ:あ~、そっちが多いんだね。

カンノ:あのね、全然違うベクトルで言いたい話があるんだけど、最新作におじさんあるあるについて歌った楽曲が収録されているんです。「おじさんの取説」という曲なんですが。

カンノ:でね、マキタスポーツさんの歌ネタで「トリセツおじさん」っていうものがあるんですよ。

オノウエ:えぇ~。

カンノ:西野カナ「トリセツ」、これは女の子の取扱説明書的な歌ですが、それのおじさんバージョンというネタでね。歌詞がどん被りです!

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:これはケツメイシに言いたいんだけど、もっとリサーチをして欲しかった!「誰かやってるかもな」ということは念頭に置いてほしい。これはちょっと熱く言うけど、お笑いが毒したものってそういうところなんだよ!これは「ちょっとおもしろいこと言おう」と思ったときに起こることなんだよ!

オノウエ:いきなりヒートアップしてるし、話の本筋からズレてるし(笑)

カンノ:「おもしろいからやってもいい」となってしまう世界だからケツメイシをこうさせたのかなと思いましたね。でね、最新作はギャグ方向が強いんだけど、コンプライアンスとかあまり言いたくないんだけどさ、「こういうこと歌うの?」って思っちゃった曲が何曲かあったね。それは辛かったね。だから「親父」っていうのも使い方だなと思いました。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:だから『ケツノポリス13』というアルバムは、僕は聴いてて感情がぐちゃぐちゃになりましたね。「良い曲だ~!」と思った途端に「これは大丈夫なのか?」ってなったり(笑)

オノウエ:複雑なアルバムですね(笑)

カンノ:ということでお水の曲でした。では続いて、リズム歌謡曲。これはお馴染み、僕ら世代であれば絶対聴いたことがある曲を聴きましょう。ケツメイシで「君にBUMP」

カンノ:この曲を聴いて僕らは山田優Vodafoneのことを思い出しますから。

オノウエ:Vodafone…(笑)

カンノ:リズム歌謡ということで、踊り系の楽曲です。アルバム曲でこのパターンは多いんですが、これはシングルの表題曲でした。ケツメイシのアルバムを全部聴いて、これが一番「良い曲だな~」って思いましたね。ほかのラップグループのダンスの曲って当然だけどヒップホップカルチャーに根ざしたものだと思うの。B-BOYの曲だったり。でもケツメイシはリズム歌謡なんだよね。大人の社交場の匂いがするんだよ。ちゃんとドレスコードがある場所で、飲むお酒も格高い感じ。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:互いの腰をぶつけ合うことを「BUMP」と呼ぶらしいんですが、この曲の振付はパパイヤ鈴木さんですから。

オノウエ:その時代ですね。

カンノ:で、MVには羽賀研二が出てたんですよ。だから、公式のYouTubeにこの曲だけアップされてない理由がわかりますよね(笑)

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:この曲も水商売感があってね。さっきも話したけど、良い意味でも悪い意味でも「おじさん」というものが軸としてずっとあるんだよね。

オノウエ:「君にBUMP」くらいってアルバムだと何になる?

カンノ:『ケツノポリス4』ですね。だから「さくら」とかですよ。

オノウエ:そのときからケツメイシはおじさんを身にまとっている感じなんですね。

カンノ:その感じはアルバム曲では垣間見えてたりしたんだけど、この辺りでシングルとかで出してきたのかなと思いますね。では続いて、大義曲。

オノウエ:これがどういう曲なのか気になりますね。

カンノ:これは久々に聴いて「やっぱり危ないな」と思った曲を紹介したなと思います(笑)ケツメイシで「侍ジャポン」

カンノ:「俺は本当に日本で良かった!」という感覚はちょっと危ないんじゃないかという(笑)

オノウエ:なるほど。

カンノ:「死に際」とかすごく歌うんですよ。「俺は日本で一生の生を終える」とかさ(笑)「もうちょっと視野広く見ていいんじゃないかな~?」っていう(笑)

オノウエ:これはいつのアルバム?

カンノ:『ケツノポリス2』ですね。2002~2003年くらい。

オノウエ:そのころならまだ分かるかな。

カンノ:人ってこういうのを聴いて「良い曲だな」と思うところから、ゆるやかな右傾化が始まるのかな?

オノウエ:フフッ。

カンノ:だってこんなに島国を強調しなくてもよくない?やっぱり歌の主語がデカいとこういうことになりがちというかね。だって括れないじゃん。「同じ肌の色を持ち」って歌ってるよ。そういう意識が危ないっていうことがいっぱいあったじゃん。なんか、富国強兵みたいな曲だなって思いました。

オノウエ:ちなみに、これの2022年バージョンがあるみたいじゃないですか。

カンノ:なんでこれの新バージョンが出るんだよ(笑)

オノウエ:当時ならまだわかるんだけど、2022年にもう1回やるのは、本当に大丈夫かどうかは思わざるを得ない。

カンノ:今回は以上になりますが、先ほど言った社会派風楽曲とか、「自然のことを歌ってるけど、じつは日本賛歌じゃん」みたいな曲とかもいっぱいありますからね。この辺りは第2弾、第3弾といくらでもできます。ということで、「人をゆるやかに危なくさせることができるのがJ-POPである」ということを学べたかなと思います。「ケツメイシ概要」という企画でございました。

f:id:someofthem:20240228084158j:image

『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!

サムオブ井戸端話 #129『テイラー・スウィフトを観た!~アメリカ人になりたい~』(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

テイラー・スウィフトの東京ドーム公演に行ったYOU-SUCKメンバー。彼女の楽曲をそんなに知らなくても、圧倒的なパフォーマンスとステージング、そして幅広い音楽性に感動した体験を熱く語りました

 

 

YOU:この前、友人のべチェ君と一緒にテイラー・スウィフトの東京ドーム公演に行きました。チケット代が¥22,800でした。

カンノ:おぉ!

YOU:結論から言うと、すごく感動しました。

カンノ:3~4時間くらいやったんでしょ。

YOU:そう。でもまったく飽きませんでした。

カンノ:すごいね。

YOU:ただ、こんなことを言うと怒られるかもしれないけど、そんなにテイラー・スウィフトのことを知らないんです。というか有名な曲で聴いたことがあっても、曲名を空で言えません(笑)

カンノ:僕もテラスハウスのテーマ曲くらいしか知らないんですよね。

YOU:今回ライブ行く前に全キャリアを通じて聴いてみたのだけど、音楽性がアルバムごとに変化するのが特徴だということがわかりました。たとえば、デビューしたての頃はカントリーを演奏しているの。これはベチェくんの受け売りだけど、YUIの「CHE.R.RY」はこの頃のテイラー・スウィフトのアレンジを真似て作ってるみたいです。

YOU:そこからダンスミュージックを取り入れたり、トラップをやってみたり、という感じで様々なジャンルを飲み込んでアメリカのヒットチャートを席巻するようになったという感じらしい。で、そんなにテイラー・スウィフトを知らない中でも「ライブ行ってみようかな」と思うくらいに興味を持つようになったきっかけが、コロナ禍の2020年にリリースされた『folklore』というアルバムと『evermore』というアルバムでした。この2枚だけ、なんというか異質なアルバムになっているの。

YOU:ほかのアルバムは良くも悪くもアメリカのヒット曲という印象が強いのだけど、この2枚はどこか静謐でエモーショナルな気持ちになり、とても好きです。そんな2枚だけ好きな状態でテイラー・スウィフトの公演に行ったんだけど、圧倒されてしまいまして。まずはとにかくステージがデカい。そもそも東京ドームだからね。で、ステージ後方にすごいデカい液晶画面がある。これも想像つくでしょ。でね、花道を通ってのセンターステージもあるんだけど、その花道の床も液晶画面になっていて、映像が映るんですよ。

カンノ:へぇ~!床に映像が映る。

YOU:たとえば床に花が咲き乱れている映像が映っていて、中央にテイラーがいて、ステージ後方の画面にテイラーが映っていると。俺が大好きな「august」っていう曲があるんだけど、床に花が咲き乱れた映像が映っているなか、白いドレスを着たテイラーがクルクル踊りながら歌うの。もう美しすぎてすごく泣けてきちゃって(笑)

YOU:それを俺は、偶然にも席がすごくよくて一番後ろの席なんだけど真正面からすべて観ることができて。

カンノ:そっか、一番後ろだけど全部観れるんだ。

YOU:そう、最高だった。で、真ん中のステージがせり上がったり、後ろのセットの建物にテイラーが上ったりするんだけど、平気でビルの2~3階分あるんだよ。

カンノ:一見、プロジェクションマッピングっぽいけどね。

YOU:モニターに映った建物もあるんだけど、実際のセットで作った巨大な建物が曲ごとに入れ替わる。このなかでダンサーが踊ったり、テイラーも上ったりするんだけど、手すりとか命綱とかほとんどなにもないの。実際にテイラーもツアー中で落ちそうになったらしくて、その度に「今、本当に落ちそうになったわ」とかMCで言ってたみたいなんだけど(笑)とにかくステージがデカくて圧倒される。しかも、音楽的にもこの人は多様すぎるんです。カントリーやフォークソングを演奏していたと思ったら、ラップもやったりね。なんか、マイケル・ジャクソンやマドンナみたいな感じかな。

カンノ:ステージの演出はそんな感じっぽいよね。

YOU:あとは『folklore』という俺の好きなアルバムはとても幻想的な世界観でインディーフォークっぽかった。

YOU:かと思えばスパンコールでギラギラのレオタードでエロチックな踊りをやったり(笑)とにかくいろんなジャンルの音楽的な才能が溢れてて飽きない。でね、テイラー・スウィフトって世界で一番稼いでいるミュージシャンの一人なわけだけど、ツアーが儲かりまくってトラック運転手一人ひとりに1400万円のボーナスを支給したというニュースもあったくらいで。もう儲かりまくっている。

YOU:完全に2024年のマイケル・ジャクソンですよ。だから観れて本当によかった。2万強のチケット代なんて安いもんですよ。テイラーは白人・金髪・碧眼でスパンコールのレオタードの格好で踊りまくることもできて、それでいてシックにアコースティックギターやピアノの弾き語りもする。完璧じゃん(笑)

カンノ:ブチ上がってるな~。

YOU:それで今回のツアーはアジアではシンガポールと日本しかまわっていないらしく、中国や韓国のお客さんも多かった。

カンノ:「アジアのお客さんは日本で観てね」ということだったんだね。

f:id:someofthem:20240228084006j:image

SOMEOFTHEM OF PODCAST 第4回「ケツメイシ概要」特集(前編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。第4回はケツメイシのアルバムをすべて聴いたカンノが、ケツメイシのアルバムがどういった曲で構成されているかを解説するケツメイシ概要」特集の文字起こし(前編)を掲載します。ポッドキャストは下記リンクから。

 

 

カンノ:今回から2024年発売楽曲を紹介していきたいなと思います。で、早速1曲聴いてもらおうと思います。ケツメイシで「We GO」

カンノ:ということで2024年リリースで最初にこの番組で流した楽曲はケツメイシの今の曲となりました。まぁ、2024年を感じる1曲ですね。

オノウエ:とても懐かしい気持ちになったんですけど(笑)

カンノ:これはケツメイシの最新シングルです(笑)

オノウエ:すごく中学生時代を思い出しました(笑)

カンノ:めちゃくちゃ平成中期みたいな曲だったよね。

オノウエ:本当にそんな感じ。

カンノ:こちらは1月31日にリリースされたアルバム『ケツノポリス13』の先行配信楽曲でございます。

カンノ:ちょっとこの曲の話をします。1月半ばくらいに1~2時間程度雪が降った日があったんですよ。そのときに僕は外にいる用事があって、寒くて寒くて。もう辛くて。身も心もやられているときに、新着プレイリストでケツメイシの今の曲が流れてきたの。そうしたら「なんて良い曲なんだ」と思ってちょっと泣いちゃったんですよ。

オノウエ:普通に沁みてるじゃないですか(笑)

カンノ:「すごい良い曲だ」と思ったのと同時に、「こういう心情の人が高い壺を買うんだな」とも思ったの。

オノウエ:ちょっと言ってることがよくわからないんですが…(笑)

カンノ:J-POPの効能ってそういうことなんだよ。つまり、どんなにダメな状況でも「大丈夫」って言い続けるのがJ-POP。「これはダメだ」と歌ったらメッセージソングになってしまうから。ずっと「大丈夫だよ」とか「君はそのままでいいんだよ」と言い続けることがJ-POPなの。人はそこに金を落とすから。だからJ-POPって心が弱くなってしまった人に合わせて作られてるものだなと思うの。それだけハードルを下げたときに商売になる場所だなと思いました。で、それからケツメイシのことが気になって、アルバムを全部聴き返したんです。

オノウエ:13枚?すごいね。

カンノ:「ケツメイシってどういう感じだったっけ?」と思って聴き込んだ結果、一つわかったことがあります。

オノウエ:なんですか?

カンノ:ケツメイシってカスタム可能なんです。

オノウエ:カスタム可能?

カンノ:アルバム楽曲の取り換えが可能なんです。

オノウエ:なるほど。

カンノ:ケツメイシのアルバムってどういうもので構成されているかという話です。まず、主に夏の季節曲。次に恋愛曲。で、友情曲。これがシングル曲です。

オノウエ:なるほど。

カンノ:で、アルバム曲。水商売曲、リズム歌謡曲大義曲。

オノウエ:大義

カンノ:これは歌われてる主語が国とかアジアとか、クソバカデカ主語。

オノウエ:なるほどね(笑)

カンノ:あとは社会派風曲。

オノウエ:社会派ではなく、社会派風ね(笑)

カンノ:あとは自然曲。この自然曲はすごく大義曲に絡んできやすいです。あとは親父ギャグ曲。

オノウエ:それはイメージあるかも。

カンノ:これらがアルバムのなかに1~2曲入ってケツノポリスが出来上がっています。今のような曲が1~2曲ずつ入ったものが定期的にケツメイシから届けられるのがケツメイシのアルバムなんです。だから取り換えが可能なんです。

オノウエ:アルバムの中身が入れ替わったとしても、構成比率が変わらなければ、それはケツノポリスであると。

カンノ:そうです。だって今の要素から外れた曲、全然ないからね。で、今日はその構成要素の代表曲を紹介する「ケツメイシ概要」という特集です。

オノウエ:なるほどね。2024年の楽曲を最初に流しただけだったんだね(笑)

カンノ:ここからは古いケツメイシの曲を流します(笑)もっと言うと、新しい曲も古い曲も一緒だから。

オノウエ:たしかにね。さっきの曲も懐かしかったからね。

カンノ:ずっと古典をやってるんだよ。聴く相手が変わらないから。それで言うと、RIP SLYMEKICK THE CAN CREWケツメイシの同期的なものと考えたときに、この2組はヒップホップシーンに戻ってきた感はあるんだよ。KREVAPUNPEEやOZROSAURUSとやったり、LITTLEが韻のことについて語ったり。

カンノ:RIPも「あのときのビーフはどうだった」みたいな話をしたりね。

カンノ:それはヒップホップが大衆にやっと根付き始めたから。で、2000年代のヒップホップは大衆を振り向かせるためにやらざるを得なかった。この前も話したけど、何故KICK THE CAN CREWが「マルシェ」で「上がってんの?下がってんの?皆はっきり言っとけ!(上がってる!)」と歌わなきゃいけなかったのかというと、こういうわかりやすいことを歌わないと客層を掴み取れなかったからであって、今はもっとスキルフルなことをやっても理解が追いつくから。

オノウエ:ヒップホップ自体の理解が広がったからね。

カンノ:そんな感じでみんなシーンに回帰しているのに、ケツメイシだけ全然戻らない。元々はレゲエシーンの人たちだけど、そのバックボーンについて語るとか一切ない。

オノウエ:あんまり見たことないね。

カンノ:あと、これがケツメイシの唯一の変化なんだけど、自身のラップスキルをどんどん見せなくなった。昔はRYOさんのラップはすごくテクニカルだった。それが年月を経るたびに、上手いとされるラップスキルを全然見せなくなっていった。それはケツメイシの市場が変わったことを意味してると思うの。ケツメイシの商売相手が変わった。ヒップホップの人たちを相手にしてるんじゃない。音楽を聴いていない人に向けて音楽をやってるの。

オノウエ:すごくパラドキシカルな話ですね(笑)

カンノ:音楽を進んで理解しようとしていない人に対しての音楽に徹したんだよね。だからさっき流した「We GO」みたいな曲ができるんだよ。そう思うとケツメイシが一層味わい深い。で、アルバムの内容も全然変わらない。安心・安定のケツメイシブランドを提供する。それはチェーン店の牛丼屋と同じ。その安定供給源としての自覚をどこかで腹決めたんだろうなと思うんです。今日は具体的に曲を聴いて、その変わらなさを見てみようと思います。

f:id:someofthem:20240227122652j:image

『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!

SOMEOFTHEM OF PODCAST 第3回「2023年カバーソング」特集(後編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。第3回は2023年にリリースされたカバー楽曲のなかでカンノの琴線に触れたものを紹介する「2023年カバーソング」特集の文字起こし(後編)を掲載します。ポッドキャストと(前編)は下記リンクから。

 

 

カンノ:では続いて、岸田繁のカバー曲いきましょうか。

オノウエ:おぉ!くるり

カンノ:くるりの岸田さんのカバー。まぁ、大きい曲をカバーしています。

オノウエ:気になりますね。

カンノ:それではお聴きください。岸田繁で「となりのトトロ

カンノ:これはジブリのトリビュートアルバムですね。11月1日発売のトリビュートアルバム『ジブリをうたう』の1曲目ですね。

カンノ:でね、このアルバムを全体通して聴いたんだけど、ジブリってすげえなという意味でもそうだし、ジブリをカバーするとそうなるよねっていうことでもあるんだけど、ジブリのカバーってどのアーティストがどれだけ歌やアレンジを頑張ったとしても、ジブリに飲み込まれるよなと思ったの。全部ジブリ味になってしまう。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:いろんな料理を作ってもカレー粉かけたらカレー味になる感じ。ジブリの型にしっかりはまっちゃうと、どのミュージシャンがどんなカバーをやってもオルゴールのジブリ曲と同じになってしまう。

オノウエ:あ~。

カンノ:本当に右から左に流れちゃうの。

オノウエ:たしかに岸田繁のカバーって言われて「どんな感じになるんだろう?」と気になったけど、「トトロだ」という感想以外なかったね。

カンノ:でしょ。それで終わっちゃうの。だからすべてを無化するという意味では、カバーアルバムとして正しいんだよ。Adoのカバーアルバムみたいにアーティストの品評会の意味とはまたべつで、ただのイージーリスニングとして活用されるパターンもあると思うのね。

オノウエ:うんうん。

カンノ:これはマキタスポーツさんがよく言ってるけど、誰のカバーでもいいから適当にプレイリストで流す人がいると。

オノウエ:はいはい。

カンノ:で、そういう人をマキタさんは「国民」と呼んでいて、そういう人は国に対しての問題意識も低いから選挙に行かない。

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:あくまで一例ですよ(笑)でもこの感覚はわかるの。「音楽的にこれはおもしろいぞ」と掘る作業ってすごく面倒臭いんだよ。それを放棄した人のための音楽って存在するんだよね。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:で、ジブリのカバーはそうなりがち。

オノウエ:その分、原曲の力が強いってことだよね。

カンノ:で、このアルバムは9%のアルコールですぐ酔っ払うとか、なんとなくカレーが食べたい人のための松屋みたいなやつです。

オノウエ:あくまで一個人の意見ですよ(笑)

カンノ:ジブリはめちゃくちゃ強いし、人は強いものに飲み込まれていくということですね。カバーはこういう面もあります。で、次はまた全然違う側面のカバー曲いきましょう。YOASOBIがカバーしています。ちなみに2023年のカバー曲ベストはこれかなと思います。

オノウエ:おぉ、ベスト!

カンノ:それではお聴きください、YOASOBIで「中央フリーウェイ」

オノウエ:これ、すごいですね。

カンノ:これ、最高なんですよ!僕の昨年ベストカバーですね。21月20日発売の『ユーミン乾杯!!~松任谷由実50周年記念コラボベストアルバム~』に収録されています。

カンノ:これはYOASOBIがやりたい放題(笑)

オノウエ:これはぶっ壊しにきてるね(笑)

カンノ:「シティポップがなんじゃいおらっ!」という意気(笑)八王子の呉服店のお嬢さんをぶん殴りにいく感じがね(笑)

オノウエ:カバーって原曲に存在しなかったものを入れるパターンってあるけど、そのなかでもこれはかなりすごいですね。

カンノ:「チュウオッ♪チュウオッ♪フリーウェイ♪」って歌ってたもんね(笑)

オノウエ:もともとはそんなテンションの曲じゃないからね(笑)

カンノ:「中央フリーウェイ」ってTikTokでバズった曲でしょ?

オノウエ:そういう人が出るから歴史教育は大事だなと思いますね(笑)

カンノ:ユーミンのことを全然リスペクトしてなくていいよね。

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:で、なにが素晴らしいってそれをも収録するユーミンの懐の深さね。

オノウエ:っていうことだよね。すごいよね。

カンノ:だって原曲の風情ってあるじゃん。ビール工場とか競馬場とか。それがなにもないっていう(笑)デジタルバーチャル空間だから(笑)

オノウエ:原曲は乗り物に乗って窓の景色を眺めてる感じじゃん。

カンノ:これは窓がないから(笑)

オノウエ:窓がない部屋のなかですね(笑)

カンノ:もう僕は「アイドル」よりも断然こちらのほうが好きですね。ということで「2023年カバーソング」特集でございました。

f:id:someofthem:20240219171737j:image

『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!

サムオブ井戸端話 #128『ジャンルにおける価値固定と価値転倒』(その④)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

ジャンルの価値観やそこから生まれる権威について語るサムオブメンバー。その④では、「僕と君」についてシリアスに歌うことが"邦ロックたるべき姿"という戒律に対してのNONA REEVESの在り方について語りましたその①、その②、その③は下記リンクから。

 

 

カンノ:たとえばYOU-SUCKが好きなTHE NOVEMBERSも音楽性が変わるところとかっておもしろいじゃん。

YOU:音楽性が変わるというより、THE NOVEMBERSは邦ロック畑から出てきた人たちなんだけど、もともと邦ロック好きの人たちの多くが通過していないラルクとかヴィジュアル系とかニューウェーブが全部好きな人たちで、そのルーツを換骨奪胎して、毎回もう一度THE NOVEMBERSとして組み直しているところが、今のおもしろさにつながってくる。それが毎回オルタナティブでおもしろいなと思うんだよね。

カンノ:そういう意識を持ってる人が僕も昔から好きなんだけど、いま自分のnoteでNONA REEVESのことを書いていて。それはNONA REEVESと邦ロックの関係性みたいな文章なんだけど。

カンノ:当時の邦ロックって「『僕と君』という一人称と二人称でその関係性や距離感を日本語でどう遠回しに歌うか?」という考え方が強かった時代だったと思うの。それがゼロ年代邦ロック。それはアジカンが当時のキッズたちに『君繋ファイブエム』というアルバムで植えつけた戒律みたいなものだと思うんだけど。

カンノ:で、みんな「僕と君」について歌い始めた。そんななかにおけるNONA REEVESってそれを全然やらない。あとシティボーイズ小林賢太郎エレ片などのお笑い畑の人たちへの楽曲提供やロフトプラスワンでの政治語りトークイベントとかをやっていて。それが派生してTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』内で「マイケル・ジャクソン小沢一郎 ほぼ同一人物説」を語って爆ハネするみたいな。

カンノ:それって邦ロックの「僕と君」について歌って、原則ボーカルの人はギターを持って、ロックフェスに出まくってみたいなことと真逆のやり方だと思うの。ようは軽薄なの。

YOU:邦ロックの戒律を内面化した人からすると、軽薄に見えるってことね。

カンノ:そうそう。だって軽妙に喋るロックミュージシャンって邦ロック全盛の2000年代当時は嫌だったと思うの。「僕と君」について歌う真剣さが薄まっちゃうから。

YOU:なるほどね。西寺さんはライブでもめっちゃ喋るもんね。

カンノ:もちろん昔はサブカルとの親和性とか、ラジオとミュージシャンの親和性はあるから、今思うと「軽妙に喋るミュージシャン」のほうが当たり前なんだけどね。だから2000年代の邦ロックってシリアスさとか真剣さが変に求められていた時代だとも思うの。すごくざっくりした言い方だけど、陰キャ陽キャ。邦ロックって陰キャ全盛だったと思うんだけど、そのなかのNONA REEVESって陽キャだったんだよね。

YOU:NONA REEVESは明らかに陽キャだったね。

カンノ:それは西寺郷太という人がカギだったなと思っていて。それがRYHMESTERの番組に出る。で、RHYMESTERもヒップホップやってるけど高学歴で悪そうなイメージとは全然違う方向でヒップホップをやり、2000年以降はロックフェスにバンバン出ていく。そのRYHMESTERの宇多丸さんの番組に初めてバンドとして特集されたのがNONA REEVES。そこで僕は改めて「NONA REEVESってバンドなんだ」って知るの。だってそのときはまだ「バンド=邦ロック」だから、NONA REEVESがバンドであるイメージが掴めなかった。

YOU:たしかにNONA REEVESとの出会いは俺らが邦ロックにどっぷり浸かってるときだったから、「この人たちはバンドなのか?」っていう思いはあったよね。

カンノ:で、個人的にあのころの邦ロック全盛の時代に思っていたのは、ピンボーカルのバンドはナメられがち。日本語で「僕と君」について、または日本語の叙情性を歌わないといけない。バンドは3~5人でサポートメンバーは含めない。これらが暗黙のルールとして存在していたような気がしていて、NONA REEVESEはそのルールから全部外れてる。

YOU:たしかに。邦ロック勢がポストロックやグランジが好きというなかで西寺さんの好きなミュージシャンはマイケル・ジャクソンだからね。

カンノ:だからNONA REEVESはおもしろかったんだよね。今となっては全然当たり前だし、むしろ今NONA REEVESみたいなバンドが出てきたら超売れると思うの。

YOU:そうかもしれないね。

カンノ:これも場の問題、環境、自身の身体性や興味、才能、努力等が組み合わさったときに何が発揮されるかされないかがわからないという。ただNONA REEVESはしぶとく続けたから今の地位にちゃんといると思うけどね。でもあのしぶとさがなければ続かなかったと思うな。

YOU:セールスもそんなにいってないだろうし、解散しててもおかしくないよね。

カンノ:あの当時、筒美京平とタッグを組もうと思ったバンドなんてどこにいるんだよ?

YOU:そうだよね。

カンノ:意図的か結果的かはさておき、自身の持ち物と場や環境によってオルタナティブになるか正統になるか変わっちゃうだけなんだよね。それをクチロロとか向井秀徳の表現にも思うのよ。

YOU:邦ロックのことを考えれば考えるほど、そこから外れた人たちのことを思うわけだね。

カンノ:外れた人のことを考えることが邦ロックです!

f:id:someofthem:20240219173623j:image

SOMEOFTHEM OF PODCAST 第3回「2023年カバーソング」特集(前編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。第3回は2023年にリリースされたカバー楽曲のなかでカンノの琴線に触れたものを紹介する「2023年カバーソング」特集の文字起こし(前編)を掲載します。ポッドキャストは下記リンクから。

 

 

カンノ:今週も2023年を振り返る企画をやりたいなと思います。前身番組も含め、この番組はカバーソング番組です。

オノウエ:カバーソング番組(笑)

カンノ:ということで2023年のカバーソングを振り返ろうと思います。昨年のカバーは一体なにがあったのか。で、調べたら昨年の年末付近に結構おもしろいカバー曲が多かったので、そこから引っ張りました。ということで1曲目なんですが、柴咲コウさん。

オノウエ:柴咲コウさんもカバー曲を出してるんですね。

カンノ:結構昔から出していて、柴咲コウさんによる星野源「夢の外へ」のカバーはかなり良いので是非聴いてみてください。全然違う曲になってます。

カンノ:ということでまさかの曲をカバーしているのでお聴きください。柴咲コウで「静かな日々の階段を」

カンノ:なんと、Dragon Ashをカバーしています。

カンノ:これは11月29日発売『ACTOR'S THE BEST ~Melodies of Screens~』というカバーアルバムに収録されています。

オノウエ:ACTOR'S THE BEST?

カンノ:これは俳優として出演した映画やドラマの主題歌や挿入歌を中心に歌ったカバーアルバムですね。

オノウエ:なるほど、柴咲コウさん自身が出演したやつね。

カンノ:だからKOH+のセルフカバーとか、あとはドラマ『GOOD LUCK!!』の主題歌だった山下達郎RIDE ON TIME」、『オレンジデイズ』の主題歌だったミスチルの「Sign」などをカバーしていますが、これは映画『バトル・ロワイアル』のエンディングテーマだった「静かな日々の階段を」をカバーしていると。この曲のラストはちゃんと安藤政信に殺されますから。

オノウエ:『バトル・ロワイアル』だからね(笑)

カンノ:今はKJさんはMEGUMIさんとバトルロワイアルしていますが。

オノウエ:もう終わったんじゃないか?

カンノ:惨敗!

オノウエ:家庭はそれぞれですから!

カンノ:Dragon Ashとかカバーするんですね。

オノウエ:そうだよね。

カンノ:しかも今っぽいトラップでカバーして。

オノウエ:ちゃんとラップっぽいノリで歌ってるもんね。

カンノ:でもさ、いつもラップに慣れていない人のラップで思うんだけど、その身体つきじゃないんだなって思うんだよね。

オノウエ:まあね(笑)

カンノ:なんでラップに慣れていない人のラップって身体がカクカクしているんだろう?

オノウエ:そういう訓練とか能力って必要だからね。

カンノ:だから、俳優とリズム感って関係ないんだなって思いました。

オノウエ:暴論ですよ(笑)

カンノ:では続いてのカバー曲いきましょう。Adoさん。

オノウエ:おぉ!Ado。

カンノ:Adoさんが今の曲をカバーしたということでお聴きください、Adoで「可愛くてごめん」

カンノ:これは年末にリリースされました。12月13日発売『Adoの歌ってみたアルバム』という企画盤です。

カンノ:収録曲はファンからの公募で決めたみたいですね。「可愛くてごめん」はTikTokでバズった曲ですけど、このニュアンスのAdoをあまり聴いたことがなかったので新鮮ですね。あざとい系と言いますか。

オノウエ:たしかに。

カンノ:カバーアルバムって一種の品評会だと思うんです。そのミュージシャンの。「これだけの幅を持ってますよ」という、自分の能力値のプレゼン。それでいうと、Adoはむちゃくちゃ良い。振れ幅が。

オノウエ:こんな曲もできる、あんな曲もできる。

カンノ:曲によっていちいち表情を変えられるじゃん。やっぱりジェットコースターみたいな声だよね。

オノウエ:可愛い系もできるし「うっせぇわ」みたいなものもできる。

カンノ:だって「可愛くてごめん」の前に歌われてるのは椎名林檎の「罪と罰」ですからね。

オノウエ:それはイメージのなかのAdoとすごくフィットする選曲だね。

カンノ:これ、ちゃんとわかってるのが椎名林檎楽曲で「罪と罰」を歌ってほしいっていうのはいいよね。「ここでキスして。」とかではなく。

オノウエ:そうだね。

カンノ:あとAdoでおもしろいなと思うのは、正直「うっせぇわ」で出てきたときは「うっ…」って思ったじゃん。今はなんとも思わないね。風景化したというか。なんにも苦手に思わなくなった。むしろ「Adoいいな~」だからさ。それで、老化って2段階あるんだなって思った。

オノウエ:老化(笑)でもいいじゃん、好きになってるんだから。

カンノ:でもずっと苦手意識があるミュージシャンもいるじゃん。それに対してAdoは全然大丈夫になった感覚はおもしろいですね。

オノウエ:これは前身番組から引き続きだけど、カバー曲に対してのスタンスっていくつかあるじゃん。「普通にいいな~」と「これはおもしろいな」と「これはなんでやったの?」みたいな。それで言うとこの選曲は?

カンノ:これはすごく良いし、Adoとしてすごく正しいと思う。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:このアルバムはAdoがやるべき企画盤だと思う。この手のやつを「なんでやってんの?」という人もいるの。能力もないのにさ。

オノウエ:フフッ。

カンノ:あと選曲も「お前がそれをやったらすげえチグハグなことになるぞ」っていうのもあるじゃん。

オノウエ:これは前身番組時代に僕らが言った言葉でいうと「企画会議に参加したい」っていうやつですよね。「なんでこうなった?」っていう。

カンノ:それで言うと、Adoのカバーアルバムは企画会議から成功しているように思えますね。

f:id:someofthem:20240219164036j:image

『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!

SOMEOFTHEM OF PODCAST 第2回「サムオブ的2023年ベストソング」特集(後編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。第2回は2023年にリリースされた楽曲のなかでカンノが語り甲斐があると思った楽曲を紹介する「サムオブ的2023年ベストソング」特集の文字起こし(後編)を掲載します。ポッドキャストと(前編)は下記リンクから。

 

 

カンノ:続いては、僕が2023年リリースで好きだった第2位の曲を紹介します。お聴きください、the band apart(naked)で「GHOST SUMMER」

カンノ:バンアパのアコースティック編成での名義の4枚目のアルバムに収録されている曲です。

カンノ:これはバンアパで初めて日本語曲で好きになりましたね。

オノウエ:バンアパも日本語で歌い始めてから長いですよね。

カンノ:結構経つよね。でもどうしても、英語詞で疾走感溢れるサウンドで、ラガーマンみたいな筋肉で、全員デカくて。

オノウエ:全員ケンカ強そうで(笑)

カンノ:それが何故か匿名性高いアー写になってる感じとかが大好きだったんです(笑)それが日本語詞になるとちょっと人間味が見えてくるじゃないですか。その感じはバンアパにあまり求めてなかったの。でもこの曲はすごく好きで。その理由の一つは、2番のBメロで転調して、また戻るくだりがあるの。日本のロックバンドで転調してまた戻ってサビになって終わる曲って、ここまでわかりやすくやってるのはあまり聴いたことがなかったなと思って。

オノウエ:なるほど。

カンノ:普通の曲に聴かせても変なことをやるマインドのミュージシャンが僕は大好きなんです。その筆頭がクチロロだし、クチロロの三浦さんはバンアパのアコ編成のライブではキーボードで参加しています。

カンノ:年取ってもそれは目に見える形で出てきてくれるのが嬉しい。年取ると軟化するじゃん。もちろん良いおじさん感あるMVなんだけど、全然そうじゃない部分もあるよなと思ってね。

オノウエ:はいはい。

カンノ:ということで、僕の2023年ベストソングを流したいと思います。

オノウエ:第1位。

カンノ:それではお聴きください、ZAZEN BOYSで「永遠少女」

カンノ:僕の永遠のアイドル、ZAZEN BOYS「永遠少女」を聴いてもらいました。

オノウエ:永遠のアイドルね(笑)

カンノ:これは2024年1月24日にリリースされた12年ぶりの新作『らんど』収録曲です。

カンノ:ただ「永遠少女」は先行配信で、2023年12月20日にリリースなので、ギリギリ2023年楽曲。全部まくって1位になりました。

オノウエ:なるほど(笑)

カンノ:年末に1位が来ました(笑)「向井しゅき~」です。

オノウエ:しゅき~(笑)

カンノ:この曲がすごかったのは、向井秀徳楽曲を追っている人からするとまず感じたところだと思うのですが、「少女」について歌う楽曲で性的方向に一切歌わない。セクシャルな方向を歌わず、歌詞の内容が無茶苦茶シビア。これはみんな驚いたんじゃないでしょうか。で、NUMBER GIRLの後期からだけど、ラップを取り入れたり、シンセも入れて、いろんな道筋を辿ったけど、結局ギターロックバンドに戻るという。しかも歌を聴かせる。これが今の向井秀徳のモードということを知れることがありがたい。

オノウエ:「好き」とかも飛び越えて「ありがたい」(笑)

カンノ:「向井秀徳の新作が聴ける」ということを重く受け止めるという言い方は言いすぎかもしれないけど、それが自分にとって何なのかというのは『らんど』がリリースされてからずっと考えてるかもしれない。

オノウエ:下手したらもう新作出ないのかなと思ったしね。

カンノ:だからある程度重く受け止めちゃうね。で、歌に回帰したんだよ。

オノウエ:すごく歌もののアルバムだったね。

カンノ:「歌に戻る向井秀徳」ということはずっと考える。で、一つ思うのは、このアルバムを語るうえで「NUMBER GIRLの再結成、再解散を経過したからこそのアルバムだよね」という言われ方をしているけど、僕の感覚はちょっと違っていて、アコエレなんです。

オノウエ:向井秀徳のソロ活動だね。

カンノ:ソロの向井秀徳アコースティック&エレクトリックのモードがZAZENに来た感じがした。とくに「永遠少女」でいうと、1945年のことを歌ってますけど、これはソロで歌っている「自問自答」のライブテイクで同じく1945年に触れているところは見たことがあるの。それはYouTubeにも上がってるけどね。

カンノ:ただ僕は、20005~7年のどこかのロックインジャパンフェスの映像で、向井アコエレの「自問自答」でそれを歌っていたのを覚えていて、おそらくそれは8月6日開催だったからなんだよね。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:そういうものが蓄積されて、とうとうバンドにも現れてきたのかなと思ったし、2024年のベストアルバムはもうこの時点で『らんど』で決まりです。

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:ほかのミュージシャンがなにを頑張ったってもうベストは変わらないので。

オノウエ:今年のベストは決まったんですね。

カンノ:はい!また向井秀徳関連の特集は近々絶対にやりますので、その辺りの話はまたおいおいやります。とりあえず2023年のベストソングはZAZEN BOYS「永遠少女」、2024年のベストアルバムはZAZEN BOYS『らんど』で決定です!

f:id:someofthem:20240212135803j:image

 

『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!