SOMEOFTHEM

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サムオブ井戸端話#009「ライブにおける有観客/無観客のノリの差異②」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

フジロックは見ましたか?」というオノウエメンバーの話から、ライブにおける有観客と無観客でのノリの違いについて考えたサムオブメンバー。後編では他ジャンルの無観客配信ライブのノリ方の難しさについて語り合いました。前編は下記リンクから。

 

YOU:配信ライブの話でいうと、最近とあるアイドルの無観客配信ライブをファンの友達と見たんですよ。でもパフォーマンスが有観客と無観客でそんなに変わらないの。多分彼女はすごく訓練されていて、それゆえに生でライブを見ても配信でカメラ越しで見ても、そんなに変わらないんだよね。エモい振舞いとかも訓練の賜物でできてるから、そんなに変わらないんじゃないかなって思った。

オノウエ:アイドルとかって現場だけじゃなくて、テレビや画面越しで振舞うこともあるもんね。

カンノ:そのアイドルが現場でのライブパフォーマーを全うしたいのか、芸能界を目指しているのかで違ってくるよね。

オノウエ:アイドルという分野はまた話が変わってきそうだよね。

YOU:リスクは一旦置いといて、俺はフジロックとかそういったライブイベントは有観客でやっていったほうがいいと思っていて。それは今回のフジロックの配信で、4s4kiのライブを見たんだけど、この人のパフォーマンスがすごくかっこよくて。それでまだ23歳とかなんだよ。なんか、若い人がライブの経験を積む場所がなくなっていくのが本当にダメだと思って。

オノウエ:若い人の経験の話でいうと、思ったのが学校についてで。コロナ禍が始まった昨年の2020年に1年生の人が、来年の2022年に3年生になるんだよ。1年生のときに文化祭や体育祭はなかったわけじゃん。そうなるとその中学校や高校では、誰もその学校で文化祭や体育祭をやったことがないってことになっちゃうんだよ。全校生徒全員が文化祭や体育祭を経験していないから、それらがどういったものなのかが分からないっていう。

カンノ:すげえなぁ…。

オノウエ:これも皮肉な話なんだけど、フジロックは開催してPCR検査もやってディスタンス取るように指示したりして、地域住民や自治体からも合意を得てるわけじゃない。そういったことが民間でできて、学校ではできないっていうのは皮肉な話だなと。

YOU:なんだか真面目な話になってきたね。

オノウエ:ちなみに配信ライブ自体は結構見たりする?

YOU:僕はあんまり見ない。お金だけ払ってアーカイブ期間が終わっちゃってたりする。ライブって足を運んでその場所に閉じ込められるから見るじゃん。配信だと途中で普通にそこら辺にある本とか読んじゃう(笑)だから結局お布施になっちゃうかな。

カンノ:集中できないよね。僕も配信は苦手だな。

オノウエ:僕もナンバガとか音楽ライブの配信は見るのよ。あとお笑いの配信イベントとかも見るの。それらは大丈夫なの。でも配信演劇の見方がさっぱり分からなくて。

カンノ:それは具体的にどういうこと?僕は音楽にしてもお笑いにしても演劇にしても、「現地に見に行ったほうが100倍楽しめたんだろうな」と思っちゃうタイプなんだけど。

オノウエ:お笑い系のものに関してはテレビとあんまり変わらなくて、音楽ライブはもちろん「生で見たかった」とかは思うんだけど、ある程度回数こなすと「こういうもんかな」と分かってくるの。演劇の場合って、たとえば円形のステージとか最近は多いから、座る席によって見え方が変わってくることがあるじゃん。配信ってそういうことに適応しないから「どういうふうに見ればいいんだろう?」っていつも思っちゃうんだよね。「この登場人物のこの動きの意味は?」みたいなことがカメラワークによって見られないことがあるわけだから。それが全然分からない。

YOU:カンノと劇団ナカゴーの公演をコロナ以前はよく見に行ってたけど、あれは観客の笑い声を感じながら見ないと相当キツいよね。

オノウエ:ナカゴーの無観客配信とか本当にどう見たらいいか分からないな…。

カンノ:ナカゴーは完全にライブパフォーマーだからね。

YOU:あれに笑い声がなかったら完全に頭のおかしい映像だもんな…(笑)

オノウエ:ただひたすら大声を出している映像だもんな(笑)だから逆に配信を絶対にやらない劇団もあるだろうしね。

カンノ:公演のDVDと公演の配信は感覚としては違うものなの?

オノウエ:これも同じ話で、有観客か無観客かだよ。

カンノ:演劇ってそこが難しくて、笑いだけを追い求めているわけではないから、有観客でも反応が見えにくいところもあるんだよね。観客の反応がガイドとして機能しないというか。だからどちらにしても結局は「生で見たかったな」という感想になりがちかも。

オノウエ:なるほどね。それでいうと、ガイドもなにもない演劇の無観客配信というのが僕は一番見方が分からないかな。

YOU:結局、有観客でやることが大事だと思うんだよな。たとえばOASISが再結成して無観客配信で「Don’t Look Back in Anger」をやったとして、いまさらノエルがあの曲をフルでシンガロングしても誰も感動しない可能性あるよ(笑)

カンノ:曲への感動じゃなくて、ノエルがフルでシンガロングしていることの貴重さに感動するかもね(笑)「貴重なものが見れた!」って。

オノウエ:でもたしかに無観客のDon’t Look Back in Anger」ってどう見ればいいか分からないね。

YOU:あの曲は観客とのコミュニケーションによって、客がシンガロングするっていうお決まりができていった曲だからさ。それは無観客や配信では生まれにくいよね。アンセム的か楽曲でみんなでシンガロングできるような音楽のあり方はなくなってしまうかもしれない。

オノウエ:まぁ、結論としてはライブは有観客でやっていってほしいということです。

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Radio OK?NO!! Podcast #012「キャラ変クイズ」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。ここでは合わせて番組の放送後記も記載します。今回は2021年8月29日に放送した「キャラ変クイズ」を配信します。

 

#012「キャラ変クイズ」放送後記

上野:これも大変でした。

カンノ:一応企画を考えるために、新着プレイリストみたいなのもチェックするようにしているんですよ。そのなかで「おっ、これ面白い曲だな。誰が歌ってるんだろう?」と思ってアーティスト名見たら「えっ!?」と思う人が歌っているケースがあるんですね。「この人、こんな曲を今歌うの?」みたいな。それを今回はクイズ形式にして3問出題しました。やっぱりミュージシャンたちも時流に合わせた活動をしていると。ベタなJ-POPだけをやっているわけではないと。というか、ベタなJ-POPがもうないのかもしれない。

上野:そういうことなのかもね。結構ビックリしましたね。こんなに変わるんだね。

カンノ:今のJ-POPのベタってたとえばヒゲダンとかあいみょんみたいなことになるんでしょ。

上野:そうだろうね。

カンノ:やっぱりちょっとヘンテコな世界線だなって思いますよね。王道がない時代のベタっていう感じがするかな。そうなると今までベタを担っていた人は全然ベタじゃないことをやるというか。そういうことを思いつつ、でもベタじゃないところに手を出すというのも結局もともと存在するジャンルに手を出すってことだから、後付け感もあるんだよね。J-POPってそもそもニセモノ感が漂うものだと思うんだけど。ラジオで流したクリスハートの楽曲もちょっとニセモノ感が強いじゃん。

上野:あれはすごかったね。

カンノ:たとえば平井堅がクラブやハウスっぽい音楽をやったところで、クラブやハウスっぽい規格よりも平井堅という人格が勝っちゃう感じは否めないと思うんだよ。それによる解釈のズレというのが、ニセモノ感やJ-POP感を強めて面白さになっていくのかなって思いました。結果変な感じというか。これは面白い企画だったので、定期的にクイズにしていこうと思います。

上野:最近はシリーズものが増えてきましたね。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年9月19日(日)「日本のビリー・アイリッシュ選手権」です。お楽しみに!

サムオブ井戸端話#008「ライブにおける有観客/無観客のノリの差異①」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

フジロックは見ましたか?」とオノウエメンバー。今回の有観客のフジロックがとても良かったと思えたことについて、無観客での配信ライブや今年行われたオリンピックや高校野球をとおして考えてみました。

 

オノウエ:フジロックの配信は見ましたか?

カンノ:僕はNUMBER GIRL電気グルーヴだけですね。

YOU:僕も3日目の夜からしか見てないな。

オノウエ:そっか。僕はまあまあ見たんですよ。僕は特にNUMBER GIRLは好きなので、これまでの配信ライブもお金払ったりして見てたんですね。でも今回の無料で見れたフジロックのライブがどう考えても一番良かったんです。

カンノ:僕もいくつかお金払ったりしてナンバガの配信ライブは見てたけど、今回のが一番良かったね。これまでのナンバガのライブは無観客が多かったよね。

オノウエ:そうだね。それでなんで今回のライブが一番良く感じたのかを考えたら、目の前に人がいない状態のライブって、上手いとか下手とかじゃなく、やっぱり良くないんだよ(笑)

カンノ:結局ね(笑)

オノウエ:このコロナ禍におけるフジロック開催の是非は、僕はまったく分かりませんが、とりあえずものすごく久しぶりにお客さんの入った状態のライブをリアルタイムで見るという経験が結構新鮮で、「お客さんがいるとこんなに違うんだ」っていうのをどのライブを見ても感じたね。結論としては「お客さんがいないとダメ」って思ったんだけど。

YOU:「ダメ」って言い切るのがいいね(笑)

カンノ:コロナ云々は置いといて、そもそもお客さんがいないと成り立たないってことだよね。

YOU:Mステやほかの音楽番組のステージングとかでライブっぽくやってる場合もあるけど、そもそもライブがあってのあのステージングだもんね。

カンノ:まぁ、あれはライブじゃなくてプロモーションだからね。

オノウエ:音楽番組にしても、それなりにショーアップされた形を作るじゃん。電グルのこの前の配信ライブも円形だったけど。カメラの前に演者がいるという形で。でも「ライブ」と銘打っているなかで、その間に観客がいない状態というのはやっぱり不自然でさ。レスポンスがないっていうのは。

カンノ:歓声じゃないにしても拍手とかのレスポンスがないっていうのはね。

オノウエ:リスクの面は一旦置いといて、そういう意味で有観客でフジロックをやったのはやっぱり良かったと思うんだよね。

カンノ:それにしてもナンバガがすごく良かったからなぁ~。

YOU:ナンバガはなにがそんなに良かった?

オノウエ:俺やカンノはナンバガのライブ映像は結構見ているはずなんだよ。だから演者がノッてるときの演奏とノッてないときの演奏ってなんとなく分かるじゃん(笑)それでいうと、今回のフジロックは明らかにノッてたんだよね。

カンノ:基本的にこのコロナ禍以前は演者って無観客でライブをしたことがないんだよ。有観客でしかやったことがないというか、有観客で演奏することがライブだからね。だからつまり、有観客のほうがいいんだよ(笑)

オノウエ:いる前提の人たちがいないんだよね。

カンノ:無観客ライブって結局、なにに向かってライブをしているのか分からなくなるよね。それが保ててライブができる人っていうのは、ライブパフォーマーというよりは、むしろ芸能人に思えるというか。カメラの向こうを意識できる人という意味で。

YOU:ライブパフォーマーと芸能人の違いは面白いね。

カンノ:まだナンバガが良いのは、たとえば映像集で『騒やかな演奏』っていう作品があるけど、あれは単なるライブ映像のパッケージではなくて、映像作品を作る意識のもので作られたものじゃん。だから無観客でも作品を作る意識のライブはやってはいるんだよね。Zepp Tokyoでの無観客ライブ中継とかもその意識だったけど。でもフジロックでのライブを見ていて、「やっぱ有観客のほうがコンディションは良いんだな」と思ったね。

オノウエ:それでオリンピックがあったじゃないですか。あと高校野球もありました。どちらも無観客なんですね。その結果どうなったかというと、日本で開催のオリンピックは日本人金メダルが過去最多。高校野球の甲子園の決勝は智弁和歌山智弁学園が戦って、智弁和歌山が9:2のワンサイドゲームで勝ったんです。ようは番狂わせがまったく起きなかった。

YOU:なるほどね。

オノウエ:たとえば有観客によって起こる番狂わせというのは、フジロックという音楽の場でいうと、演奏が謎の力によってノッてくるとか。そういったものがオリンピックや甲子園では起こらず、フジロックでは起こったみたいな。

カンノ:そうなると音楽の有観客のライブには、常に謎の力が起こり得るというのは面白いね。

オノウエ:むしろ謎の力によってだけ支えられている可能性がある(笑)

カンノ:このブログは「スピ」とか「呪い」とか「謎の力」とかそういうことしか言えないのか(笑)

 

オノウエ:だから甲子園の魔物みたいなものは今年は起きなかったんだよ。

YOU:そうなんだ。

オノウエ:なんかどの試合もワンサイドゲームになる傾向があったみたい。

カンノ:途中から逆転みたいなことはないんだ。

オノウエ:そうそう。初回から大量得点を決めたチームがそのまま勝っちゃうみたいな。

YOU:応援でエモくなること込みでの高校野球なんだね。

オノウエ:お客さんからしても、ちょっと負けてるチームを応援したくなるじゃん。そこで「頑張れ~」とか言うと、なにかスイッチが入るんだろうね。

カンノ:観客から反応があるとミュージシャンも嬉しくて演奏がノッてくるってことなんだね。

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Radio OK?NO!! Podcast #011「今更ミュージック特集」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組の放送後記も記載します。今回は2021年8月22日に放送した「今更ミュージック特集」を配信します。

 

#011「今更ミュージック特集」放送後記

上野:これはすごい恥ずかしい企画でしたね。

カンノ:これはもともと、「この有名な曲、そういえば聴いたことなかったな」というのって誰にでもあるよなと思って。その意図を上野君に伝えたんですよ。たとえば俺なら椎名林檎を全然聴いてこなかったとか。有名アーティストの有名な楽曲やアルバムとか、そういうのを紹介し合おうっていう意図を伝えたんですけど、それがどう解釈を間違えたのかあれですけど、大ネタとか小ネタとか関係なく、自分の個人史的に「カンノに知ったかしていたアーティスト」っていう縛りで楽曲を流すという。

上野:僕ももちろん大ネタを考えたんですけど、聴いていない楽曲って気付けないんですよ。ようは見つからなかったんですよ。もちろん本当はあるのかもしれないけど。それでだんだんと考え方が変わっていき、最終的には僕が知ったかしていたアーティストになっていきました。

カンノ:でも俺らの世代はマンウィズは聴いてないよ。

上野:まぁそうだよね。

カンノ:マンウィズもブルエンもオーラルも聴いてないですよ。そういう話になっちゃう気がする。そういうミュージシャンはいっぱいいる気がするな。「知ったかミュージック」に分類できるよね。

上野:それでいうと、カンノの「椎名林檎をこの前、初めて聴いた」っていうのもかなり衝撃的な話だけどね。

カンノ:『無罪モラトリアム』はマジで聴いてなかったからな。たとえばあの頃の椎名林檎はテレビでなんとなく聴いちゃってるとかなんだよね。

上野:曲自体は知ってるもんね。

カンノ:曲自体は知っちゃってるね。「丸の内サディスティック」のカバーはめちゃくちゃ聴いてます。本人の「丸の内サディスティック」は全然聴いてなかった。ありえないでしょ?

上野:ありえないね。

カンノ:アハハハハッ!まだまだ「今更ミュージック」はあると思いますね。これは収録後に思い浮かんだやつですが、僕は筋肉少女帯は全然聴いてないですね。

上野:あ~、筋肉少女帯は俺も聴いてないな。

カンノ:そういうのはいっぱいあるはずなので。それこそ80年代とかに遡ったらよりあると思うのでね。リスナーの人も「これ聴いてないな~」はあると思うのでね。僕なんて洋楽はざらですよ。ローリングストーンズとか全然分からないから。洋楽版もやっていいかもしれませんね。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年9月12日(日)「日本のビリー・アイリッシュ選手権」です。お楽しみに!

サムオブ井戸端話#007「スピリチュアルと根性②」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

前回「スピっていて根性のある人がアーティストを続けられると思う」という話をしたSOMEOFTHEMメンバーたち。引き続き、自分自身の確固たる理屈(=スピ)を信じ続けられる(=根性)人こそがアーティストでいられるのではないかということを語り合いました。前回の井戸端話は下記リンクです。

 

YOU:そこに対して根性はどう関係するの?

カンノ:スピを信じ込めるかが根性だね。まずスピが存在する。これが先天的なもの。それの持続が根性なんだよね。

YOU:いかに自分をスピに置いとくかってことね。座禅とかそうだよね。

カンノ:座禅をしようと思い立つのがスピで、それを続けるには根性だね。

YOU:それはそうだね。

カンノ:その思いつきがどうなるかなんてさっぱり分からないわけじゃん。でも自分のなかで「これはイケるな」って無根拠に思えるかどうかなんだよ。そしてそれは傍から見たらどうかしてるんだよ。

オノウエ:そういうもんだよね。

カンノ:でもその状態に入れるというのは重要だと思うんですよね。

オノウエ:俺理論に無根拠の自信があるかどうかってことだね。無根拠の自信をもてる人がスピれる才能がある。

カンノ:そしてそいつがいくらそれを言葉で説明したところで、説明になっていないっていうのも大事だね。

YOU:でもアーティストの人はその思いつきを結果的に世の中に流通させるわけじゃん。だからある程度世間に通じるものも持っていないといけないと思うんだけど。自分の極私的なものを社会に流通させるっていう才能も持っていないといけないよね。

カンノ:もちろん周りのスタッフなどから客観的な意見をもらうことも必要だよね。自分のスピだけでうまくいくというわけではない。ただその0→1というのはスピから来るもの。その1を100にするために周りの客観的な意見とかは必要だね。そしてその周りの人たちも「あー、またこの人、わけわからないことを言ってる」みたいなことってあると思うんだけど、でもそのスピへの理解力はある状態だから。まぁそれは第2行程以降の話だけど、最初のスピった思いつきというのは第1行程だよね。「これをこうしたらこういう風に作れる」と話しているときは目の奥を真っ黒にして喋ってるから(笑)その状態にどうやったらなれるか。

YOU:しかもその状態で置き続けるっていう。

カンノ:それが根性。でもこれって、周りから見ての根性にすぎなくて、本人はそんなに根性の状態でもないんだよ。

YOU:スピと根性が完全に正のループとして回っているんだ。

カンノ:「スピ」と「根性」ってそうとう危ないワードを使ってるけど(笑)、一個人で完結する分にはいいのかなって。

オノウエ:そのスピっている状態って、周りから見たらどう考えても辛そうな状態なんだけど、本人は意外と辛くないっていう。

カンノ:飲まず食わずでも大丈夫な状態というかね。

YOU:でも、とはいっても辛いんじゃない?

カンノ:もちろん度合いはあると思うけどね。軽スピもあれば重スピもある。

YOU:0か100かって話じゃないわけね。

カンノ:30くらいのスピのときもあれば、70くらいのスピのときもある。ただスピの瞬発力はあると思うんだよな。急な100スピとか。

YOU:カンノはたまにちゃんとスピってるもんな(笑)

カンノ:目ん玉真っ黒なときはありますよ。僕がやっている4×4=16(シシジュウロク)というラップユニットで「星野裁き」という楽曲を作ったときは目ん玉真っ黒でしたから(笑)

オノウエ:目ん玉真っ黒で、それがどんどん大きくなっていったもんね(笑)

カンノ:「これがこうでこうでこうやって、ほらできた!」って(笑)

オノウエ:最初に説明を聞いたとき全然分からなかったもん(笑)

YOU:あんなの分かるわけねえよ(笑)

オノウエ:「これはこうでこうなんだけど、ここでこの整合性が取れていないから」とかって話を聞いても訳が分からない(笑)

カンノ:そもそもそんな整合性ねえよ!

オノウエ:ないない。

YOU:病的だね、本当。

 

(「星野裁き」は星野源「アイデア」という楽曲が”バンド→MPC→弾き語り”と3パートに分かれている構造になっているということと、落語「天狗裁き」の主人公が”奥さん→長屋の親友→長屋の大家→奉行→天狗”と5パートに分かれて喧嘩をする構造になっていることをマッシュアップさせて作った楽曲、と文字で説明したところで伝わらない)

 

オノウエ:だからちゃんとスピと根性をやっていると思うよ。スピ根をしているよ。

カンノ:アーティストにはスピ根が必要だと思うんだよな。

YOU:でも今って、「スピらず根性もなく人生乗り切れますよ」みたいな言説が溢れすぎてるよね。

カンノ:まぁ、それがまともなんじゃないの?

オノウエ:どうなんだろうね?

カンノ:皆はスピってないの?

YOU:ないね。

オノウエ:俺もスピれる才能も根性もなかったな。

カンノ:これは僕の先輩から聞いた話なんですけど、芸能の世界で勝つ人の話を聞いたんですね。それはたとえば道を歩いていて1万円を拾ったと。それで「1万円拾った、ラッキー」とだけ思うのか、「俺は今朝この時間に起きて、それまでこうやって時間を過ごして、今たまたまこの時間にこの道を歩いたから1万円を拾えた人間なんだ」という2種類の考え方があるとしたときに、確実に芸能の世界で売れるのは後者の考え方を持っている人なんだって。

YOU:その話はカンノは後者だよね。

カンノ:その話を聞いたときに、もうちょっと続けてみようって思ったね。

オノウエ:俺は絶対前者だな。

YOU:たいていの人は前者だよ。後者は稀だと思うな。

オノウエ:あと後者みたいな考え方の生活に自分が耐えられないな。だって今までの自分の行動が今の自分の行動に紐づくんだもん。そんな生活耐えられないよ。

カンノ:でもこれはご都合なんだよ。1万円を拾ったときにはそう思うんだけど、本当の強者は、たとえば1万円じゃなくて落とし穴にハマっただとしたら、「なんで落ちなきゃいけないんだよ、クソ!」で終わりなんだよ。そこではその日の行動の紐づきとかは考えないと思うんだよな。

YOU:政治家とかそんな感じな気がするな。

オノウエ:それは毎朝やっている星座占いの1位だけ信じるみたいなこと?

カンノ:そうそう。それが一番強い人。12位も信じちゃう人は辛くなっちゃうと思うな。

オノウエ:俺はそうなっちゃうな。

カンノ:”ご都合スピ”ってあるから。

YOU:なるほどな、面白いな。この話、めっちゃ自己啓発だよ(笑)言う人によっては「なに言ってんだコイツ」って話をしてるけど、カンノのことを知ってると面白いな。

カンノ:冒頭話した頭の切れるミュージシャンの人ですら、わりとよくある偶然で喜べるっていうのは、なんかあるのかな~って思ったんだよね。

YOU:ロジック外のところで起こる偶然ね。

カンノ:それで「ウェ~イ!」と盛り上がれることが、ちょっと見ていて嬉しくもあった。

オノウエ:あんなに論理的に話せるのに、星座1位はちゃんと喜べるってことね。

カンノ:それが垣間見れたね。

オノウエ:そしてカンノ自身もそっち側だから、引き続きそんな感じでやっていこうってことだね。

カンノ:そういうことでちゃんと喜べるってことが、広い意味でアーティスト性につながっていくのかなって思いましたね。

YOU:僕は「推し」という言葉が嫌いなんですが(笑)、ここでの話というのは、自分で自分のなかに推しを生んでいる状態だよね。

カンノ:そうだね。根本的に自分がどれだけ好きなのかというのはあるよね。だからこそ、変に自分を客観視しちゃうとスピれないんだよね。むしろ演者よりは裏方のほうが向いているかもしれない。表の媒体に出ていける人って、どれだけ自分にうっとりできているかっていうのは大きいと思うんだよね。で、そういう人だけでは成り立たないから、客観的にものを見られるような人がいるってことも同じく重要かなと。

YOU:とても全うなことを言ってるね。

カンノ:だから俺はどんどんスピを加速させるので、2人は客観を加速させてくださいね(笑)

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Radio OK?NO!! Podcast #010「Sotte Bosseカバーイントロドン」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組の放送後記も記載します。今回は2021年8月15日に放送した「Sotte Bosseカバーイントロドン」を配信します。

 

#010「Sotte Bosseカバーイントロドン」放送後記

上野:この企画に関してはいまだに僕はムカついてますよ。

カンノ:えっ?俺に?Sotte Bosseに?

上野:お前にだよ!Sotte Bosseは悪くないんだよ!こんな理不尽なクイズに付き合わされる身にもなってくれよ…。

カンノ:このラジオをやるうえで、偶然的にカバー企画が多くなっていったわけですよ。番組当初はそんなつもりはまったくなかったので。本当に今オススメの音楽を紹介する番組がやりたかったのですが、それがいつの間にか悪魔に魂を売ったじゃないけど、カバー企画が多くなって。まぁ、いくつかのカバー歌手も悪魔に魂を売るつもりでカバーをやっている気もしますが。

上野:そういうことじゃないでしょ。

カンノ:それでいろんなカバー歌手を聴いてきましたが、とくにSotte Bosseのカバーは楽曲の持つありとあらゆる成分が漂白されていく感じ。

上野:Sotte Bosseに関していろんなことが言えると思います。でもそういうことはさらさら言う気は僕にはありません。「お前もやってみろ」ってことだけです。同じ目にあってほしい。

カンノ:でも企画を思いついたのは俺だから。

上野:多分、自分で曲を選んで自分でクイズをやってみても分からないと思うよ。

カンノ:分からないね。俺も問題出しながら分からなかったもん。どっちが「空も飛べるはず」で、どっちが「未来予想図Ⅱ」か分からなかった。そしてSotte Bosseはなぜか全然サブスクで解禁されていない。なので答え合わせは今のところ全然聴けないので、是非ラジオの本放送も聴いてもらえたらなと。サブスクでしか音楽に出会わないのはもったいないので、是非ラジオでサブスクにない音楽に出会う体験もしてもらえたらなと思います。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年9月5日(日)「クイズ平井大 New or Old?」です。お楽しみに!

サムオブ井戸端話#006「スピリチュアルと根性①」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

「スピっていて根性のある人がアーティストを続けられると思う」とカンノメンバー。とあるアーティスト同士を対談を垣間見るなかで、小さな偶然にちゃんと盛り上がれること、自分だけの理屈に確固たるものが持てる人がアーティストとして存在し得るのではないかということを語り合いました。

 

カンノ:僕は4×4=16(シシジュウロク)という名義でラップをやっております。つまり僕ってアーティストじゃないですか。

YOU:そうだね、正しいよ。

カンノ:その「はいはい」っていう呆れた態度やめてくれよ(笑)

YOU:まぁ、人類皆アーティストですよ。

オノウエ:その坂口恭平みたいな表現はなに?(笑)

カンノ:いい言葉だね。たしかに皆アーティストです。そのなかでも一応、僕は音楽をやっているわけですよ。べつにそれで食べていけてるわけではないですし、今後もどうなるか分かりませんが。でも主に表現みたいなことをやり続ける方法、それを諦めずに持続させることのできる方法というのを最近見つけたんです。

YOU:おお、マジ?

カンノ:やめないでも大丈夫な方法ですね。これが最近はっきりと分かりました。

YOU:すごいね。

オノウエ:なんでしょうか?

カンノ:スピっていて根性のある人が続けられます。

YOU・オノウエ:(笑)

YOU:ちょっと待ってくれよ…。

カンノ:さぁ、これからスピリチュアルと根性の話をしましょう!

YOU:うわぁ…(笑)

オノウエ:スピリチュアルと根性(笑)

カンノ:逆になんでやめちゃうかっていうと、変に冷静になったり覚めちゃうからだと思うんです。

オノウエ:それはそうだね。

カンノ:「スピっている」って「覚めていない」ってことだと思うんです。

YOU:なるほど。

カンノ:それで「スピ」と「根性」はリンクするなと思ったんですよね。ちょっと前にとある海外在住の現代アーティストとミュージシャンの対談の司会をやったんです。その対談の本題に入るまえに、現代アーティストの人のほうはそのミュージシャンのことはもともと知らなかったんです。でもこの仕事が入る前に知人のMVのディレクターからこのミュージシャンのことをオススメされたらしいんですね。それで「かっこいいな~」と思っていたらこの仕事が舞い込んできたと。それでそのミュージシャンのほうも、そのMVのディレクターのことは知っててテンション上がってたの。僕からするとそのミュージシャンの方々は頭の切れる人たちでインテリなイメージのある人たちだったから、「たかがそれくらいのことで盛り上がれるんだな」と思ったの。

YOU:人間だからね。

カンノ:まぁ、良い雰囲気で進めるためにという意識ももちろんあったと思うんだけどね。でもいざそれを目の当たりにすると、ちょっとイメージと違って僕は若干戸惑ったんですよね。

YOU:パブリックイメージと違う姿を見るとそうなるのかもね。

カンノ:対談の内容も批評的なテーマだったからさ。ちょっとした偶然で盛り上がれる姿を見て「おぉ」って思ったのよ。それで対談を進めていくなかで、そのミュージシャンの人が自作PCを使っていると。今まで貰いもののMacを使っていたけれど、「なぜここにあるものしか使っちゃいけないんだろう?」と疑問を思って自分でPCを作ったらしいんだけど。それで作り方をYouTubeで調べたら、1発目に出たのが”シミラボ”っていうYouTuberだったらしいの(笑)そのミュージシャンの人はヒップホップグループのSIMI LABが大好きだったから、それもあってその動画を参考にして自分でPCを作ったらしいんだけど。そういうことを無邪気に喋ってるんだよね。やっている音楽はとても批評的なのに、純粋な人柄も伺える部分というのは、むしろアーティスト的なのかなって思ったりしたんですよね。

オノウエ:それはある気がするね。

カンノ:「これとこれがこうつながって、こうなるからこれはイケる!」みたいな理屈って、ただの自分の確信でしかないじゃん。客観的な根拠にはならないと思うの。でも自分のなかだけでは確固たる根拠にはなってるの。こういうご都合さって非常に大事だなと思ったんだよね。

YOU:それが「スピ」になるのか。

カンノ:それは「スピ」だよね。

YOU:周りにとっては非現実だけど、その人にとっては歴とした現実というか。

カンノ:「だってこうでこうでこうだからこうじゃん!」って言ってるけど、周りからすると「はぁ?なに言ってんだコイツ」みたいなさ。一人だけ亜空間に入っちゃってる状態というかさ。でも表現をするって、この亜空間に入れるかどうかなんだろうなと思うんだよ。

YOU:面白いね。それはそうかもしれない。

カンノ:そしてこの理屈も俺の亜空間なんだよ。アーティストたちが喋っている姿を見て、「これはこうでこういうことなんだろうな」と俺も勝手に思っているという。だから俺も俺で音楽を続けられているのかなと。

オノウエ:スピれる才能があるっていうことだね。

YOU:ふと現実を見たり、我に帰っちゃったりするとダメなんだ。

カンノ:そうだね。そういうときに表現をやめちゃうのかなって。「もう無理だ」って思いやすくなる。たとえば人間関係の問題があるとします。表現を続けられる人っていうのは、問題のある人と関わらなければ自分の表現をし続けることは可能だと思うの。でもやめちゃう人はやめちゃうよね。人間関係で躓くことで変に冷静になって、覚めちゃうから。そういうところでスピの才能があるかないかで分かれると思うんだよね。人間関係とか金銭とかある程度は相対的だと思うの。でも「こうでこうでこうなるからこうだ!」という思いつきはどことも比べられない絶対的なもので、その絶対の境地に入れる人が、売れる売れないは置いといて、表現活動を続けるための一要素なんだろうなと思うんですよね。

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