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Radio OK?NO!! Podcast #001「第1回北川岩沢クイズ」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組内で紹介した楽曲のプレイリストと、放送後記も記載します。今回は2020年11月29日に放送した「第1回北川岩沢クイズ」、そしてPodcast始動の挨拶も合わせて配信します。

 

 

 

 

#001「第1回北川岩沢クイズ」

カンノ:『Radio OK?NO!!』のポッドキャスト放送後記です。この回がポッドキャストとしては最初の配信となりますね。第34回放送分の「北川岩沢クイズ」です。この企画は実は僕発信なんですよね。

上野:そうだね。「上野、この企画やれば?」って言ったんだよね。

カンノ:そうそう。お互いの好きなミュージシャンについて喋ってて、「ゆずって実は二人とも好きだったよね」という話になってね。それで僕たちは岩沢さんが作った曲のほうが好きなんですよ。だからゆずの楽曲を流して、どちらが作った曲かを当てるクイズは企画になるなと思って、上野君のほうがゆず好きなので「問題出しなよ」っていう。その結果、この番組の名物企画になりましたね(笑)

上野:回答者側としてどうですか?

カンノ:やっぱりいい企画だよね(笑)

上野:自分で言うなよ(笑)

カンノ:だんだんと気持ちが上がっていく感じはあったね。あとゆず楽曲の特徴ってあんまり言語化されてなかったような気がするんだよね。その特徴を言葉にしたうえでクイズ企画に落とし込めたのは良かった気がする。

上野:そうだね。あと第1回は楽曲を新鮮に選べるからやりやすかったね。

カンノ:それで僕らの馴染みも深い初期楽曲からの選曲ですよね。やっぱりこの企画は楽しかったね。

上野:全3回やっているなかの第1回目の企画ですね。

カンノ:僕のテンションの上がりようを是非楽しんでほしいですね。本当に正解を出せて喜んでいる姿とか、それが最終的にどうなっていくのかとか。これはクイズだし、ドキュメンタリーだね(笑)

上野:本当に熱くなってるからね(笑)

カンノ:是非とも「ゆず博打」を楽しんでもらえたらと思います(笑)

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜25:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年7月4日(日)「歌手としての新垣結衣特集」です。お楽しみに!

 

 

ポルノグラフィティの楽曲リスト作った③ 〜Episode1『ロマンチスト・エゴイスト』〜

 

前回の記事で、ポルノグラフィティのキャリアを3枚組ベストアルバム『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"』の分け方をもとに、ポルノグラフィティの楽曲の多様さは作詞・作曲の多様さに重なることと、時期ごとにその組み合わせの変遷が伺えることを指摘した。

今回からは、Episodeごとに細かくポルノグラフィティの作詞・作曲体制の組み合わせの妙を観ていきたい。

 

楽曲リストはこちら

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1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』

リリース日:2000/3/8

オリコンアルバムランキング最高順位:4位

 

曲順

タイトル

作詞

作曲

1

Jazz up

新藤晴一

Tama

2

Century Lovers

新藤晴一

ak.homma

3

ヒトリノ夜

新藤晴一

ak.homma

4

ライオン

新藤晴一

Tama

5

憂色~Love is you~

新藤晴一

ak.homma

6

Heart Beat

ak.homma

ak.homma

7

マシンガントーク

ak.homma

ak.homma

8

デッサン#1

新藤晴一

Tama

9

アポロ(New Apollo Project Version)

新藤晴一

ak.homma

10

ラビュー・ラビュー

新藤晴一

Tama

11

ジレンマ(How To Play "didgeridoo" Version)

新藤晴一

Tama

12

リビドー

岡野昭仁

ak.homma

13

ロマンチスト・エゴイスト

新藤晴一

Ryo(吉俣 良)



シングル曲『アポロ』『ヒトリノ夜』『ミュージック・アワー』はすべて作曲 ak.homma、作詞 新藤晴一の黄金コンビ(本当にこんな呼び方している人がいるかどうかはよく知らない)によって手がけられている。2000年代にJ-POPを聴き始めた人であれば、まず知らない人はいない超有名曲ばかりで、デビューからいきなり売れっ子であったことがわかる。

 

また、ak.hommaの作曲の依存度は高く、アルバム収録曲13曲のうち7曲の作曲を彼がおこなっている。Tamaの作曲も5曲あるが、そのことについて、当時のインタビューでは以下のように記載されている。

 

ハルイチ「今回の5曲が少ないか多いかはわかりませんけど、本間サンの曲が嫌いとかいう話ではなく、タマの曲を増やしていきたいという気持ちはもちろんあります。それが出来るようになるために今、本間さんとやってるんですよ。ゆくゆくは全部にしていきたいですし、本来の僕らの形に戻っていきたいとは思ってるし……その時も、本間さんとプロデューサーという形で一緒にやっていきたいですし」

(『B-PASS SPECIAL EDITION ポルノグラフィティ ワイラノ クロニクル』シンコーミュージック 2004.4.9 187ページ)

 

(2021年のいまこの記事を読むと、Tamaが去り、完全に岡野と新藤の2人の作詞・作曲体制になったことは、目標を達成したのか、していないのか、色々と複雑な気持ちになる。)

 

ポルノグラフィティは、デビューから数年間はアイドルグループのような扱いだった。デビュー当時の映像や、プロモーションの仕方、ファンの受容の仕方といい、アイドル的な売り出し方であったことは一目瞭然であるが、個人的に一番アイドル的なのは、メンバーの名義であったと思う。デビュー当時のメンバーの名義は、岡野がアキヒト、新藤がハルイチTamaシラタマであった。この名義で活動していたのは、オリジナルアルバムでいうと、『ロマンチスト・エゴイスト』『foo?』、シングルでは『アポロ』から『アゲハ蝶』までのごく短い期間である。

 

アイドル的なラベリングをされた3人が、1stアルバム『ロマンチスト・エゴイスト』の辞典では、まだアイドルとして売り出すのか、アーティストとして売り出すのかの方向性が定まっていない様子が、作詞・作曲の体制や、先に引用した新藤のインタビューでの発言からのうかがえる。

 

当時のメンバーの予想通り、ak.hommaはプロデューサーとして長くポルノグラフィティに関わっていくこととなるが、この頃は特に依存度が高い。『ロマンチスト・エゴイスト』の収録曲13曲のうち7曲の作曲を担当していることは先にも述べたが、『Heart Beat』と『マシンガントーク』にいたっては作詞も担当している。この2曲はいま聴くと少し気恥ずかしい歌詞だが、アイドルが歌う曲としてはぴったりのアップテンポで明るいラブソングである。

 

 

また、おなじみのak.hommaに加え、音楽プロデューサーの吉俣 良がRyo名義でタイトル曲の楽曲提供をしている。吉俣は複数曲をポルノグラフィティのために提供したらしいが、音源化されているのは『ロマンチスト・エゴイスト』1曲のみである。『ロマンチスト・エゴイスト』は、YELLOW MONKEYの『真珠色の革命時代』そっくりなアレンジのロックバラードであり、後にも先にもポルノグラフィティのキャリアではあまり存在しないタイプの楽曲である。


 



『ロマンチスト・エゴイスト』でTamaの作曲した楽曲は、非常に多様である。

インディーズ時代から演奏されていたロックナンバー『ジレンマ』、『ライオン』の他に、1曲目のホーンのアレンジと卑猥な歌詞がマッチするアップテンポナンバー『Jazz up』、岡野のハイトーンヴォイスが映えるロックバラード『デッサン #1』(岡野曰く「”あ、僕このまま死ぬんかな?”って思うくらい喉が熱くなった」とのこと)、渋谷系のようなおしゃれなアレンジのポップス『ラビュー・ラビュー』。『ジレンマ』と『ラビュー・ラビュー』は最初のベスト盤にも収録されている人気曲である。

 


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作詞の面でも、この頃から新藤と岡野の個性が伺える。

新藤は今後のキャリアで、シングル曲で印象的な歌詞をいくつも残しているが、やはり『アポロ』の「僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったっていうのに」という歌い出しは、デビューとしては100点満点のつかみではないかと思う。アルバム曲でいうと、1曲めの『Jazz Up』の男同士で下ネタを開陳するようなバンド名にぴったりの歌詞に、J-POPでは初ではないかと思われる「大脳新皮質」という単語が使われている。バラエティ豊かなアルバムのはじめを飾るナンバーを、言葉の面で大きく貢献している。

 

岡野も負けていない。『リビドー』で岡野の歌詞には「ジャニス・ジョプリンのような声で本能へと蹴り込んでくれないか」といったフレーズがあり、激しいハードロック調の曲と相まって、強く印象に残る。

 

『ロマンチスト・エゴイスト』はak.hommaというアレンジャーがいてこその面もあるが、メンバー自らでやっていく、という思いと、多様な楽曲をやりたいという思いが拮抗しており、バンドとしての輪郭が見えないものの、全体的に聴き応えのあるアルバムになっているように思う。



ポルノグラフィティの楽曲リスト作った② 〜楽曲制作体制の変遷〜

 

 

前回に引き続き、ポルノグラフィティの楽曲リストをつくったことをきっかけに、ポルノグラフィティについてつらつら語っていく。

前回記事

someofthem.hatenablog.com

 

楽曲リストはこちら

docs.google.com

 

ポルノグラフィティの面白さは、なんといっても楽曲の多様さにある。

 

ポルノグラフィティの楽曲はロックを基調としたポップスをベースとしているが、世紀末を予感させる強烈なデビューシングル『アポロ』をはじめ、アコースティックなバラード『サボテン』、王道ポップチューンの『ミュージック・アワー』、ラテン調の楽曲に女性目線の歌詞が印象的な『サウダージ』、ホーンセクションとダークな世界観が印象的な『渦』など、様々なジャンルを横断してなおポップで普遍的な楽曲たちによって、着実にファンを増やしてきた。


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他にもギターのカッティングが印象的なファンクチューン『Love too, death too』、バービーボーイズ風なホーンセクションが印象的な『痛い立ち位置』のような、音楽好きであればなお楽しめるような楽曲もシングルとしてリリースされ、ヒットしているのも特徴的である。(楽曲のチョイスはYou-suckの好みに準拠。)


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デビューからずっとヒットチャートを賑わせる人気バンドであり続ける理由として、歯切れのよいハイトーンヴォイスを駆使する岡野昭仁のボーカリストとしての魅力があることは言うまでもないが、ジャンルを問わず多様な楽曲をリリースし続け、リスナーを着実に増やしてきたことがある点は見逃せない。

 

では、なぜ、多様な楽曲を世に届けることが出来たか?それは、ポルノグラフィティの楽曲制作体制に秘密があると思われる。

ポルノグラフィティは、デビュー当初から様々な楽曲制作体制でヒット曲が生み出されているといえるのである。サザンオールスターズにおける桑田佳祐のようなカリスマ性のあるフロントマンが楽曲制作したり、B’zのように主に作詞をボーカル、作曲を他のメンバーがつとめるような制作体制が取られているのではない。

ポルノグラフィティの多くの楽曲には、音楽プロデューサーやライブのサポートメンバーを担当したak.homma本間昭光)が作曲者として関わっている。

シングル曲で見ていくと、メジャーデビュー曲の『アポロ』、初のオリコン1位を獲得した『サウダージ』人気曲の『アゲハ蝶』、アニソンとして有名な『メリッサ』は音楽プロデューサーak.hommaによる提供曲で、2021年現在20代後半から30代前半の多くが知るポルノグラフィティの楽曲のほとんどはak.hommaによるものである。ポルノグラフィティがスターダムを駆け上がるストーリーに、ak.hommaの貢献があること間違いない。

一方、メンバーの作曲によるシングル曲がないわけではない。デビュー初期からTamaの脱退まで、メンバー作曲によるヒット曲、ライブでも人気の名曲も手がけられている。たとえば、2000年12月にリリースされた『サボテン』は彼らのインディーズ時代からの楽曲で、ベースを担当していたTama(当時は「シラタマ」名義)によるものである。前の記事で触れた11thシングル『音のない森』は岡野昭仁による作詞・作曲である。

 


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Tama脱退以降も、新藤晴一によるシングル曲『黄昏ロマンス』『THE DAY』、岡野昭仁による『ROLL』など、ヒット曲やタイアップ曲が多くリリースされている。


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データから見るポルノグラフィティの楽曲制作体制のEpisode

 

Episodeの分類方法

2021年5月現在、大まかにポルノグラフィティの足跡を分類すると、4つの時期に分けることができる。2013年11月20日にリリースされた3枚組ベストアルバム『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"』の収録曲の分類をもとに、筆者のYou-suckが独自に定義した。(Episode4は『PORNOGRAFFITTI 15th Anniversary "ALL TIME SINGLES"』には存在しない。)

 

 

 

分類

期間

内容

Episode1

1999年9月〜2004年7月

シングル『アポロ』から1つ目のベストアルバム『BEST BLUE’S/RED’S』まで。

Tamaが在籍した期間。

Episode2

2004年9月〜2008年10月

シングル『シスター』から2つ目のベストアルバム『BEST ACE/JORKER』まで。

Episode3

2008年12月〜2013年11月

シングル『今宵、月が見えずとも』から3つ目のベストアルバム『ALL TIME SINGLES』まで。

ak.homma以外の音楽プロデューサーが楽曲制作に関わるようになる。

Episode4

2014年9月〜2021年5月現在

シングル『俺たちのセレブレーション』以降



Episodeごとの作詞者・作曲者の組み合わせの変遷

ポルノグラフィティのシングル・アルバムに収録されている全楽曲(カバー曲、バージョン違いによる重複を除く)の作詞者・作曲者の組み合わせを上記のEpisodeの分類ごとにみていく。様々な作詞・作曲者の組み合わせで楽曲が生み出されていることがわかる。

 

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Episodeが進んでいくにつれて、Tamaの脱退、ak.hommaが作曲に関わらなくなり、メンバーによる作曲が中心になっていく様子がわかる。単に、作曲に関わる人間が少なくなってきたので、結果としてメンバーによる制作楽曲が増えるのは当然ではあるが、ak.hommaが関わらなくなるEpisode3以降においても、シングルやアルバムのリリースを継続的に行っており、岡野昭仁新藤晴一のクリエーターとしての成長が伺えるように思う。(と同時に、ak.homma離脱以降のマルチプロデューサー体制によって、多様性を確保しているとも言える。)

 

 

※その他の内訳は以下の通り。

  • 作曲者が「-」の楽曲はインスト曲。
  • - / - である『Introduction 〜迫リ来ルMONSTER〜』は声優のセリフのみの曲。

 

分類

作詞 / 作曲

タイトル

Episode1

- / 岡野昭仁

awe

sonic

Theme of "74ers"

- / 新藤晴一

didgedilli

ak.homma / ak.homma

Heart Beat

マシンガントーク

Tama新藤晴一 / Tama

Search the best way

新藤晴一 / Ryo(吉俣 良)

ロマンチスト・エゴイスト

Episode2

- / 岡野昭仁

m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"

m-NAVI 2 "Keep on having fun with the MUSIC CABINET"

ポルノグラフィティ / ポルノグラフィティ

稲妻サンダー99

Episode3

- / -

Introduction 〜迫リ来ルMONSTER〜

- / 岡野昭仁

Mission of the Far East

- / 新藤晴一

Truly

おいでよサンタモニカ

新藤晴一 / 新藤晴一,ak.homma

EXIT

Episode4

- / 新藤晴一

螺旋

岡野昭仁,新藤晴一 / 岡野昭仁

俺たちのセレブレーション


次回以降は、Episodeごとに深堀りをしていきたい。

 

You-suck

ポルノグラフィティの楽曲リストを作った

グーグルスプレッドシートを使って、ポルノグラフィティの1999年のメジャーデビューからこれまでリリースされた全楽曲のリストを作った。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1KE9CJUk7_5JzEZWMPKK_8cvB5NxWtQ3sJK85BN4fzbE/edit?usp=sharing

 

作った経緯

カンノ(4×4=16)より、Radio OK?NO!!の企画として、ポルノグラフィティで何かできないか?という相談を持ちかけられた。結果生まれたのが、2021年5月16日放送の「4択ポルノグラフィティ」の企画であった。

この企画の案を出すにあたり、ネットやウィキペディアポルノグラフィティの過去の楽曲情報を調べていたところ、楽曲のデータがひとまとまりになっていないことに気がついた。ポルノグラフィティの面白さを語るにあたり、手前の分析を行うのに、すべての楽曲の作詞者、作曲者、編曲者を一覧で眺めることができると良いと考えた。歴史の長いバンドだし、すでにやっている人もいるのではないかと思ったが、ネットで検索した範囲では見当たらなかったので、自分で作ってみた。

 

ポルノグラフィティのシングル曲一覧と作詞・作曲の担当割合

ためしに、リストを使ってデビューシングル『アポロ』から最新曲『VS』までのシングル53曲とその作詞・作曲の担当者を抽出。

 

たとえば以下のようなグラフもかんたんに作れる。

 

シングルの作詞・作曲者の組み合わせのリスト

 

作詞・作曲者の組み合わせを見ると、作曲ak.homma、作詞新藤晴一のいわゆる「黄金コンビ」の組み合わせが一番多い。初期ポルノグラフィティにおいて、ak.hommaの作ったクオリティの高い楽曲の貢献度は誰もが知るところだと思う。この「黄金コンビ」による楽曲は、オリコン最高位3位の曲が12曲、うち3曲『サウダージ』『アゲハ蝶』『あなたがここにいたら』が1位となっている。『サウダージ』は自身最大のヒット曲にして、ポルノグラフィティの「ラテン」のイメージを決定づけた楽曲である。多くの人がカラオケで歌って、そのキーの高さと譜割りの難しさを前に喉を痛めたりしたことだろうと思う。


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そんな中でも、メジャーデビューから5年程度の短い在籍期間のTamaの作曲した『サボテン』『ラック』がオリコン1位を獲得している。すでに10年以上前だが、Tamaの脱退はいまだに惜しいことだと思う。Tamaの脱退後2005年にリリースされたインスト楽曲中心のソロ・アルバム『Great Pleasure』でも、それぞれの楽曲のクオリティの高さに舌を巻くが、正直昭仁のボーカルで聴いてみたかった、という思いを拭いきれない。

 


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Great Pleasure (初回生産限定盤)(DVD付)

Great Pleasure (初回生産限定盤)(DVD付)

  • アーティスト:Tama,E.P.E,azumi
  • 発売日: 2005/12/21
  • メディア: CD
 

 

シングルの作曲者リスト

シングル楽曲を誰がどのくらい作曲したのかをグラフにするとまた違った側面が見えてくる。



 

初期のほとんどのヒット曲を担っていたak.hommaを超えて、ボーカルの岡野昭仁の楽曲が一番多くなっていた。岡野昭仁が初の作詞作曲をつとめたシングル曲は11thシングル『音のない森』である。このシングルは、2000年代のポルノグラフィティとしては、セールスが振るわない曲とみなされがちだが、シングルのタイトル曲をインスト曲の間にはさみ、独自の世界観を醸成しているこだわりのシングルである。楽曲も、多重録音の轟音ギターと静かなAメロの緩急が歌詞世界の閉塞感と共振し、他の楽曲のない奥行きを見せている稀有な楽曲である。


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なお、唯一の新藤晴一ak.hommaの共作曲は32thシングル『EXIT』である。この曲は、現在、ak.hommaが最後にポルノグラフィティの作曲に関わったシングル曲である。晴一による別れと、思ったことを言葉にできないもどかしさを表した歌詞が、ak.hommaとの別れの切なさを感じさせないでもない。


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シングルの作詞者リスト

シングル楽曲を誰が作詞したのかをまとめたもの。

 

シングル曲のうち41曲、実に8割弱の作詞を担っているのは新藤晴一

言葉の面で、ポルノグラフィティのパブリックイメージを担っているのは新藤晴一といっても過言ではないと思う。特に『サウダージ』をはじめとする女性目線の歌詞は、他のアーティストにはない特徴の一つと言える。

個人的に「空のワイングラスの横で/私の目覚めを待っているのは/千切られた紙切れに並んだ/青いインクで書かれた美しい文字」という歌い出しで始まる30thシングル『瞳の奥をのぞかせて』である。昨晩の情事の余韻を引きずりつつひとりで目覚める女性、帰る場所がある男。トレンディドラマのような道ならぬ恋がすぐに伝わる。作詞家としての新藤晴一の魅力が発揮されている一曲だと思う。


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ちなみに、岡野昭仁新藤晴一の共同作詞となっているのは、40thシングル『俺たちのセレブレーション』である。ナタリーのニュースで、『ポルノ、新作で昭仁&晴一が初の共同作詞』というタイトルで記事になるくらい、珍しい。ここから、誰が作詞・作曲をしているか、という楽曲ごとの背景を込みでファンが楽しんでいる事がわかると思う。(まるでビートルズみたいではないか!)

natalie.mu

という感じで、このようなデータを観ていくだけで、ポルノグラフィティについて語りたいことがたくさん出てくる。今後、定期的にポルノグラフィティについて深堀りしていきたいと思っているので、もし興味のある人がいれば、グラフと一緒に付き合ってもらえれば、嬉しい。

 

You-suck 

 

 

ナンバガとザゼン

先日配信が終了したNUMBER GIRLZAZEN BOYSの日比谷野音での無観客2マンライブ『THE MATSURI SESSION』をギリギリで見ることができた。

 

いや~、泣いた!マジ最高!酒飲みながら見ればよかった!次は生でナンバーガールを見たい!

 

基本的には以上のような感想なんですが、だったらブログなんてやる必要もないので、もうちょっと書きます。

 

個人的には「舞台の上に立つものは全て芸能」という視座を持っているので、音楽ライブを見るときもいつも演者がどう舞台上で振舞っているのかを見ているのだが、向井さんのMCは一切素を見せない姿勢だった。語ることのメッセージ性は皆無。このコロナ禍で無観客ライブになってしまったことにも触れず、淡々と「異常空間、Z!」と放ってからカメラワークが遠巻きの画になるという配信チームワーク芸が続く。

 

主に20代の頃に作られたナンバーガールの楽曲が40代になって歌われることについては、なんとなく思うところはある。歌詞カードで(絶唱)と書かれていたような箇所は、若い頃だったら喉から血がドバドバ出るような勢いで叫ぶように歌っていたところも、現在はそんな勢いはなく40代のおじさんがちょっと無理して歌っているようになっている。そういったところに老いを感じちゃって、復活後のナンバーガールをそんなに好きになれない気持ちがあったのは正直なところだった。

 

ナンバーガールは、主に”少女”がどのように日常を過ごしているのかを傍観者としての”オレ”が淡々と語る歌詞で、それをエモーショナルなサウンドに乗っかることで焦燥や情緒を感じられるような楽曲が多かった印象。こういった楽曲は、そりゃ40代で演奏するより20代で演奏するほうが映えるというか、キマるに決まっている。

 

個人的にナンバーガールの楽曲は”曲”でザゼンボーイズの楽曲は”ネタ”という印象がある。ナンバーガールの頃にはあった(もっというとザゼンボーイズでもアヒトイナザワが在籍している頃まではあった)情緒性が後退して、楽曲の仕組みや構成や緊張と緩和みたいなシステムの面白さ(もっというと可笑しさ)が前面に出てきたのがザゼンボーイズという感じか。ナンバーガールが”有機物”で、ザゼンボーイズが”無機物”と言ってもいいかも。

 

その”無機物性”を獲得した向井さんによる復活後のナンバーガールは、若い頃に持っていた情緒の質も変容していて、ちょっと前まで思っていた「老けたな…」という印象も”経年劣化”ではなく”経年変化”なんだなという気持ちになれた。以前のナンバーガールは期待の二つ目の落語家のような勢いがあって、今のナンバーガールには真打クラスの余裕と貫禄があるように思えた。そんなナンバーガールを早く生で見たい。

 

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カンノアキオ

インスタント

くるりのニューアルバム『天才の愛』に収録されている「野球」という曲がかなり好きだ。

 

岸田さんの野球愛が炸裂していて、応援歌をベースに「バースかっ飛ばせよ」とか「ゴジラ ゴジラ ゴジラ」など愛称を連呼して、バンドで応援歌をアップデートしたような曲になっている。その景気の良さに胸打たれながら、毎日ニコニコしながら聴いている。

 

だけどなんだか「この曲がアルバムの中で一番良い!」って言うのはどうも気恥ずかしい。どうしても飛び道具感は否めない曲だし、それを抜群に褒めちゃうのは「あのキャラ芸人、キャラが面白いから好き!」みたいな軽薄な感想に思えてしまう。それでも誰もが知っている応援歌のバンド再構築楽曲だからか、やっぱり人気みたい。

 

分かりやすい故にすっと身体に入ってきて「良い!最高!」って言うことの精髄反射っぷりをSNSで言ってもなぁ~、という思いと、かといってカレーや焼肉は美味しいしキャラ芸人も突き抜けたら面白いし、という思いが交錯する。

 

なんだかサブスクってインスタントやレトルトっぽい。お腹が減ったらその場でぱっと食べられるもののような。そうなったら味付けは分かりやすい方が断然良いですよね。シリアスなものよりはライトなものを欲する。

 

コロナ禍になって痛感したことは、音楽でも演劇でも演芸でも映画でも、その現場に行って退出しない限りは逃れられない状況に自分を追い込んで鑑賞することが僕は本当に好きだったんだなと。つまらないものを観たときも「なんでこれをつまらないと思ってしまうのか」を考える時間がまた楽しかったりする。

 

SpotifyもネトフリもアマプラもTVerも試聴機感覚なので、見ててちょっと嫌だと思ったらすぐに再生をやめれてしまうことの残念感を思えば思うほど、やっぱりライブに行きたい。そして帰り道で観たものを振り返り噛みしめながら、あわよくば自分へのアウトプットにつながるようなこととかを考えることをまたしたい。実は観ている最中よりも、その帰り道が好きだったりする。

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カンノアキオ

視覚と聴覚

先日、文化村オーチャードホールで行われた蓮沼執太フィルの公演に行った。

 

 

この公演は蓮沼フィルの演奏をベースに、ゲストが代わる代わる登場して歌やセッションをしていく構成なのだが、特にAokidさんというダンサーの方が3曲ほど踊っていたものがすごく良かった。

 

蓮沼フィルは楽団なので、基本的にはメンバーは持ち場を離れない。

 

その中でダンサーがいると目で追える楽しみがある。

 

馬鹿な言い方をすると、「動くものって目立つな」と思った。

 

聴覚ももちろん楽しいのだが、視覚の方がダイレクトに脳が喜ぶ体感があった。

 

BGMとはよく言ったもので、音楽はバックグラウンドになり、身体性のあるものが主役になる。

 

何かを表現するために舞台に立つ人は、それが音楽家だろうが何だろうが「板の上に立つ者は全て芸人」みたいな思いが個人的にはある。

 

久々に大きいホールで音楽ライブを見て、「見世物」という意識を思った。

 

 

そしてヤン富田さんとの演奏が凄まじかった。

 

セッションの内容は「リアルタイムで流れているラジオの音を受信し、モジュラーシンセの演奏とともにミックスしていくというもの」だった。(引用は下記リンク)

 

 

放出されるラジオ音声がノイズ化されたものがオーチャードホール全体を包み、そこにうっすら蓮沼フィルの演奏が聴こえてくる。その緊張感たるや。

 

客席の自分も、蓮沼さんの指揮を頼りにフィルのどの音が鳴っているのかを神経を研ぎ澄ませて聴く。

 

ヤン富田と蓮沼フィルの音の攻防戦が続く。

 

最後は完全にヤンさんのノイズが爆音で鳴り響き、「嗚呼、何もかもお終いなんだな」みたいな気持ちにならざるを得ず、何も理解ができないけど涙が止まらなくなった。

 

この日のこの時間には、菅総理の3回目の緊急事態宣言発令の記者会見が行われており、それもノイズ化させて鳴らしていたらしい。

 

音楽が怖いと思う感動体験は、配信ではなかなか伝わらない。

 

このタイミングで得られた素晴らしいライブ体験だった。

 

完全に気力と体力を持っていかれて、ヘロヘロで帰宅しながらDOMMUNE数の子ミュージックメイトさんによる身内音楽配信を見ていた。吹奏楽部の学生さんが鳴らす「猪木ボンバイエ」でちょっと元気が出た。「猪木ボンバイエ」はすごい。

 

 

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(カンノアキオ)