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サムオブ井戸端話 #065「J-POPのEnglishバージョンって聴く?」(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

EnglishバージョンのJ-POP楽曲が増えてることに疑問を感じたカンノメンバー。本人歌唱でオケをほとんど変えずにただ歌詞を英語に訳したものを歌うことが果たしてビジネス的にちゃんと成功しているのか、YOASOBIと優里のEnglishバージョン楽曲をとおして考えてみました。

 

 

カンノ:最近、EnglishバージョンのJ-POP楽曲が増えてるなと思いまして。2人はEnglishバージョンのJ-POPを聴きますか?

YOU:EnglishバージョンのJ-POPを意識して聴く人っていないんじゃないかな…(笑)

オノウエ:聴いてません。

YOU:EnglishバージョンのJ-POPの定義って英語で歌っているということ?

カンノ:カバーではありません。本人が英語で歌っています。オケもほとんど変わっていません。この流れはサブスクやYouTubeで世界中に音楽が聴けること、あと日本のアニメとかが世界に広まって、その主題歌がEnglishバージョンになっているみたいなパターンは多いかな。

YOU:なるほどね。普通に喜ぶ人は多そうだね。

カンノ:そう。確認してみたんだけど、EnglishバージョンのJ-POP楽曲のYouTubeのコメント欄を見たら、わりと英語のコメントが多かった。マジで確認するまで英語圏の人で聴いてるの0人だと思ってたから(笑)

YOU:いるでしょ、そりゃ。

カンノ:そう、結構いたの。で、「結構いるのかよ!」って思っちゃった(笑)

オノウエ:なにか英語圏の人が聴いていることを具体的に調べたの?

カンノ:YouTubeのコメント欄が主かな。もちろん日本語のコメントもなくはないんだけど、英語でのコメントが結構多かったの。

YOU:「英語で歌ってくれてありがとう」みたいな英文のコメントはあるよね。でも、本当はカンノはどう思ってるの?(笑)

カンノ:これは「YouTubeのコメント欄を見る限り、英語圏でも聴かれてるんだな」って僕が思っちゃってるだけで、「本当にどこまで届いてるのかはいまいちわからないな」とも思ったの。だってめちゃくちゃ聴かれてたら、サブスクのトップソングみたいなところにもそのEnglishバージョンの曲が上がってくるでしょ?でも別に入ってこないもんね。そうなると、「あれ?本当に聴かれてるの?」っていう。

YOU:日本人があえて聴く意味はあんまりないよね。

カンノ:たとえば、YOASOBIがアルバム曲を全部英語で歌い直したものをアルバムとしてリリースしたりしてるの。

YOU:全部英語にして歌ってるんだ。

カンノ:「夜に駆ける」もそういうふうに歌ってるんだけど、「沈むように」Seize a move, you’re on me」って空耳みたいな感じで歌われてるのね。

YOU:そうだよね。「騒がしい日々に」「Saw what got seen hid beneath」っていうやつとかね。すごいよね。

カンノ:そういう当て方をしてるんだけど、これって「すごーい」っていう当て方じゃん。ラジオ番組の『東京ポッド許可局』のポッドキャスト時代の第1回目が「ドラリオン論」っていうやつでさ。サーカスでドラリオンってあったの覚えてる?

オノウエ:シルクドソレイユね。

YOU:サルティンバンコとかあったね。

カンノ:そう、そのサーカスの一環のやつ。で、ドラリオンタツオさんと鹿島さんで観に行って、「ドラリオンがあまりにすごすぎて笑った」っていう話をしてるの。それと同じ感覚で、YOASOBIの「夜に駆ける」のEnglishバージョンの日本語への発音の当て方がすごすぎて、笑っちゃうんだよね。「翻訳がすごくて感動した」とかに全然ならないの。「すごすぎて可笑しい」ってなっちゃうの。「なんでここまでやるの?」って思っちゃう。

オノウエ:普通のEnglishバージョンのJ-POPは英語圏に向けてやっているのはわかるの。YOASOBIのEnglishバージョンってさ、日本人向けの空耳アワーをやってるだけじゃん。「誰向けの何?」っていうさ。もういよいよわからなくなってるなと。

カンノ:「翻訳がすごいですね」って褒め言葉が本当に褒め言葉かどうか、いまいちわからないんだよね。「そんな狭いところを褒めるために作られたアルバムなの?」っていうさ。もう全然わからないんだよ。

YOU:それは海外のファンに届けたいという純粋な思いなんじゃないの?

オノウエ:YOASOBIは全然違うでしょ?だって歌詞の内容、結構変わっちゃってるんじゃないの?空耳になっちゃってるから。

カンノ:直訳じゃないけど、元の歌詞の意味を残しながらの英訳にはなってるみたいね。めちゃめちゃ変わってるわけではないみたい。

YOU:世界観は崩さないで、発音重視で英訳してるんだね。

カンノ:そういうツッコミ所はYOASOBIは作らないでしょ。

YOU:俺はYOASOBIは普通にすごいなと思ったかな。

カンノ:でもそのすごさってどういう意味があるの?

YOU:いやお前、そんなこと言うなよ…(苦笑)

カンノ:いやでも本当にとんちをやられた気分っていうかさ(笑)

YOU:まぁ、とどのつまりプロモーションだよね。つまらない話をして申し訳ないけど。

カンノ:「世界戦略」みたいな言葉ってそういうことだもんね。

YOU:それこそ韓国のアイドルって大体EnglishバージョンとJapaneseバージョンとKoreanバージョンってあるじゃん。

カンノ:常に3つあるね。

YOU:そういう力関係なんじゃないかな。

カンノ:「誰向けの何?」っていう話でいったら、その「誰向け」のところが本当に機能しているかどうかわからないんだよね。

YOU:YOASOBIは機能していると思うんだけど、ほかのEnglishバージョンは機能していない人はいるかもな…(苦笑)

オノウエ:やっぱり優里「ドライフラワー」が最高峰じゃないですか。EnglishバージョンとChineseバージョン。

YOU:でも聴いてる人がいるからそういう外国語バージョンが出るんじゃないの?

オノウエ:優里がTwitterで「本日から『ドライフラワー』のChineseバージョンが配信されました、みんな聴いてね」みたいなことをツイートしたら、それに対して日本のファンの人が「1日3回聴いてます!」みたいなリプライを返していてさ。それを見て「日本語バージョン聴けばいいじゃん」って思ったの。

カンノ・YOU:フフッ。

YOU:そんなことが起きてるのか、ヤバいね(笑)

オノウエ:もうそれはいよいよ意味がわからないじゃん(笑)

YOU:「中国語の響きがかわいいですね」みたいな感想とかすればいいのにね。

カンノ:だからプロモーションや経済活動ならそれでいいんだよ。で、もっと知りたいのは、「果たして本当にそれは経済活動になってるのか?」っていう。

YOU:すごい残酷な話でさ、単に失敗している可能性があるってことだよね(笑)

カンノ:そうなの。EnglishバージョンのJ-POPが本当に成功しているのかがわからないんだよ。

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