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SOMEOFTHEM OF PODCAST 第10回「闇堕ちミュージシャン」特集(前編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその書き起こしを前編、後編に分けて掲載します。第10回はリスナーを明るくさせるはずのJ-POPミュージシャンが、すごく暗い歌を歌っている楽曲を紹介する「闇堕ちミュージシャン」特集の書き起こし(前編)を掲載します。ポッドキャストは下記リンクから。

 

 

カンノ:はい、「闇堕ちミュージシャン」特集~!

オノウエ:それはなんですか?

カンノ:闇に堕ちたミュージシャンを紹介します。

オノウエ:説明になってねえよ(笑)

カンノ:これは言葉で説明するよりも、曲を聴いてもらったほうが早いです。まずは昨年リリースされたMr. Childrenの『miss you』というアルバムがあります。

カンノ:これがまぁ、暗いアルバムで。もうここから5曲流していいかなと思ってるんですけど。

オノウエ:なるほどね(笑)

カンノ:そのなかから1曲聴いてもらいましょう。Mr. Childrenで「アート=神の見えざる手」

オノウエ:歌ってるのは桜井和寿さんですよね?

カンノ:そうですよ。

オノウエ:フィーチャリングをしてるとかじゃないんですよね?

カンノ:違いますよ。Mr. Childrenの曲です。

オノウエ:これがミスチルか、全然知らなかった…

カンノ:桜井さんも50代半ばですか。息子さんも俳優デビューされて、一人立ちされて、メディアでもご活躍です。だから、まぁ、育て切ったわけですよ。そういうときだからこそ、ふと虚無感が襲ってきたのかなと。

オノウエ:子育てが終わった虚無感?(笑)

カンノ:なにかやり切った人の虚脱感と言いましょうか。「僕はタイアップソングをやってきたけど、本当にそれでよかったのか…?」

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:これまでがむしゃらだった人って、ふと立ち止まるときがあるじゃないですか。

オノウエ:なるほど、今までは家族のためにタイアップ曲を頑張ってきたと。

カンノ:もっと言うと、大衆のためとかね。その分、「俺って何だったっけ?」という思いに立ち返っちゃうときってあるのかなと。

オノウエ:一段落して立ち止まっちゃったんだ。そうなったらこんな感じの曲になった。

カンノ:立ち止まったら、D.O.みたいなフロウになった(笑)

オノウエ:アハハハハッ!

オノウエ:「手首に刃物を当てて」みたいな歌詞があったよね?

カンノ:あれは途中でピー音が入って「ペ〇ス」と歌ってます。

オノウエ:アハハハハッ!

カンノ:今ここでちゃんと言いました(笑)ということで、Mr. Children『miss you』というアルバムは全曲タイアップなし。それ以前に発売されていたシングル曲もアルバムには収録されず、全曲新曲というかたちのアルバムでした。これが昨年リリースされました。

オノウエ:なるほど。

カンノ:ものの例えとして、syrup16gが「闇堕ちしたMr. Children」なんて言い方をされていましたが、これは「Mr. Childrenが闇堕ちした」です。

オノウエ:アハハハハッ!それはミスチルのことだもんね。

カンノ:これは例えではない(笑)

オノウエ:闇堕ちした結果、シロップではなかったわけだ。D.O.だった(笑)

カンノ:これはめちゃくちゃおもしろいアルバムなので是非聴いてください。では次の曲です。これは前身番組でも流しましたが、もう一度聴きましょう。SEKAI NO OWARIで「Like a scent」

オノウエ:前身番組のときはどんな企画でしたっけ?

カンノ:「MCフガ in da house へへッ」特集。

オノウエ:これを5回流したんだ(笑)

カンノ:たしかキャラ変特集ですね。

カンノ:今、答え合わせ的に思うんだけど、これを経ての「Habit」な気がするんです。

カンノ:さっきのミスチルと比べると、これはまだ芸能物としてのラップというか、このアプローチがヒップで、それをSEKAI NO OWARIというメジャー路線の人たちがあえてこのようなカウンターを打つというか、闇堕ち側をやるという曲。だから結局サビとかも綺麗なんだよね。

オノウエ:そうだね。

カンノ:刺激的なことを歌うことのありかたも、ミスチルほど深刻じゃない。あくまで暗キャラ。その暗いキャラと大衆動員の一番の高みが「Habit」だったと思うの。暗いけどポップで皮肉が効いてる。たしか2年前の紅白でセカオワが「Habit」を歌ったと思うんですが、昨年はYOASOBIの「アイドル」が紅白で”アイドル”というものをメタ的に捉えたパフォーマンスが話題になりましたね。

カンノ:で、その前にセカオワが”ダンス”をメタ的に捉えたんだよね。あの踊りを郷ひろみがやったんだから。

オノウエ:そうだよね。

カンノ:やっぱりあの振付はダンス皮肉だと思うんだよ。「良いダンスを見せる」ということで機能はしてないと思う。再生回数を稼ぐために作られたことをちゃんと表現として表したダンス楽曲。悪意的だと思う。その悪意が飲み込んだ。

オノウエ:そういう観点ね。

カンノ:その悪意が昨年の「アイドル」まで響いたってことだと思う。で、そう育つまでの過程として「Like a scent」ってあったのかなと思いました。

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『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!