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サムオブ井戸端話 #080「サムオブ的ゼロ年代よもやま話 ~僕らの『ぼっち・ざ・ろっく!』~」(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

今年から久々にnoteで文章を書いているカンノメンバー。自分の青春時代である2000年代の邦楽ロックを中心に記事を書いていくなかで、「ほかのサムオブメンバーの超個人的な邦ロック体験を聞きたい」と思い、それぞれ誰とも共有できなかった邦ロック体験、すなわち『ぼっち・ざ・ろっく!』体験を語り合いました。

 

 

カンノ:今年からnoteを久々に稼働させています。そこでは2000年代であまり語られていないようなJ-POPについて書いています。

YOU:スネオヘアーについての記事とか良かったですね。

カンノ:ありがとうございます。

YOU:なにが良かったかって、スネオヘアーの音楽については1ミリも触れていないというね(笑)

カンノ:このブログでは2000年代のJ-POPについて書いているんですが、具体的な音楽のことにはほぼ触れていないですね。

YOU:しかも音楽がどう受容されているかとかも関係なくて、本当にカンノだけの視点でどの記事も書かれてるよね。

オノウエ:あのブログはずっと「カンノから見たこの人」という図式だよね。

カンノ:ちゃんと個人のものの見方で2000年代のJ-POPについて書かないと、変なところで改ざんが起きるだろうなと思ったんだよね。

オノウエ:これはあまり良い意味で使われないけど、カンノのしていることは印象批評だと思うの。で、最近Twitterで「正解批評主義」っていう言葉が使われていて。なんか、いろんな考え方がありすぎるじゃん。「ここは誰々はこう思ってて、あの人は別の考え方で」みたいな。そういうことがあったらダメみたいな。ようは正解しているかどうか。カンノのnoteで書かれていることってあくまでカンノからの視点で、他の人から見たら全然違う情報だったりする可能性があるじゃん。「違うから、それはダメじゃん」みたいなことを言われたらそれは多分、正解批評主義的な考え方なんだよね。でもカンノは「それは俺から見た対象の話だし、それは俺の視点だから良いじゃん」っていうことだよね。

カンノ:あとべつに貶してないしね。なんか、音楽への興味というよりは、ミュージシャンが人前に立ったときに意識的か無意識的かは置いといて、そこで出てくる演出とかキャラクターとか見え方にずっと興味があったんだよね。人前に立って音楽をやる人なんて、「こういう風に思われたい」って無意識のレベルであると思うんだよ。たとえば2005年頃のthe band apartって他のバンドとの横のつながりとか全然見えないし、アー写やMVは匿名性高いし、メンバーのガタイが良いのにオシャレな楽曲だし、なんか怖かったんだよね。

YOU:フフッ。

カンノ:でも恐らく、坂本真綾とかと曲をやったりすることで、声優界隈との親和性とかでバンアパは有名になっていく節もあったと思うんだけど、それ一辺倒で語られると困るというか。

YOU:「坂本真綾と一緒に曲をやった人ね」っていう語られ方だけになっちゃうとね。

カンノ:あんな音楽性の人たちだったのにCD屋行ったら「ラウド・パンクコーナー」に置かれてるんだよ。意味わからないよ、怖いよ(笑)

YOU:そうだね、あれは訳わからないよね(笑)

カンノ:まぁ、そういうことをnoteに書き続けているんですよ。近々「GRAPEVINEブックオフの親和性」の話も書きますのでお楽しみに。

YOU:面白そうだ(笑)

カンノ:で、このnoteは僕だけの視点の話です。あなたたちにも、そういう誰も語っていないような視点の2000年代J-POPの話はあるんじゃないかなと思いましてね。「これは俺しか思っていない」という音楽への視点。それを僕は『ぼっち・ざ・ろっく!』と呼びたいのですよ。なので今日は2000年代の僕たちの『ぼっち・ざ・ろっく!』について語り合えたらなと思っています。

カンノ:たとえば、この前オノウエ君からねごとというバンドにまつわる良い話を聞いたんですよ。それを話してもらっていいですか?

オノウエ:『SCHOOL OF LOCK!』というTOKYO FMのラジオ番組がありまして、そこが主催していた「閃光ライオット」という10代バンドのオーディションライブ企画が始まったんです。その始まったタイミングって俺らが高校3年生のときで、ラジオで「こんなライブ企画やります」というのを聞きながら受験勉強をしていたんですね。

カンノ:自分たちは受験があるから出られないという認識ね。

オノウエ:そうそう。「もうちょっと早く始まってくれたら出たかったな~」と思いながら聞いてたんです。そうしたらその年に、俺らと同い年のバンド・ねごとが出ていて、審査員特別賞を受賞したんですよ。で、「出ようぜって言えば良かったなぁ」って思ったんです。

カンノ・YOU:アハハハハッ!

カンノ:で、これはオノウエ君の『ぼっち・ざ・ろっく!』だなと思ったんです。

YOU:それは正しく『ぼっち・ざ・ろっく!』な話だよ(笑)だってねごとに対するそういう複雑な思いは誰にも共有されなかったんだもんね。

カンノ:良い話だよね~。僕は「このミュージシャンに対して、こんな思いがある」という本当に個人的な話が聞きたいんだよね。YOU-SUCKさんはなにかありますか?

YOU:えっとね、BURGER NUDSというバンドがいるんですけど。

カンノ:アハハハハッ!

オノウエ:今、子育て頑張ってる奴がBURGER NUDSの話をしてんじゃねえよ(笑)

YOU:それこそBUMP OF CHICKENSyrup16gART-SCHOOLとかと並んで下北系と称されて、当時のインディーズシーンでかなり話題だったんだけど、アルバムがほとんど廃盤なんですよね。で、それとは別にGood Dog Happy Menというバンドもいるんですけど。

カンノ・オノウエ:フフッ。

YOU:「元BURGER NUDSのメンバーが新しくGood Dog Happy Menというバンドをやります」って当時の『ROCKIN’ ON JAPAN』でも有名だったんですよ(笑)

オノウエ:Good Dog Happy Menのドラムが伊藤大地だったね。

カンノ:あ~、SAKEROCKの。

YOU:だって俺、一番最初にSAKEROCKを見たときに「Good Dog Happy Menの人じゃん!」って思ったんだよ。

カンノ:そんな人はいないんだよ(笑) 

 

 

YOU:でね、僕らの世代が中学や高校のときにBURGER NUDSとか初期のBUMP OF CHICKENART-SCHOOLを聴こうとしても、全部廃盤だったんだよね。どうしても手に入らなくて、ディスクユニオンでやっとの思いで見つけても5000円以上しちゃって手が出せなくて買えないという。で、たしか俺の近所のショッピングモール。オークシティっていうんだけど。

オノウエ:フフッ。

カンノ:僕らの地元にはオークシティという、イトーヨーカドージャスコが連なったショッピングモールがあったんですよ(笑)

YOU:そのイトーヨーカドーのほうにある新星堂ね。

カンノ:ジャスコのほうはタワレコでしたね(笑)

オノウエ:ローカル過ぎるんだよ(笑)

YOU:で、その新星堂でなんとなくCD見てたら、BURGER NUDSのCDを見つけて。それが廃盤になってた唯一のフルアルバムなんだよ。『symphony』っていうアルバムなんだけど。それが定価で売られてて。「マジかよ!」と思って買ったね。そういうこともあってBURGER NUDSって幻のバンド感があったんだよね。あとインターネットとかでは点々とBURGER NUDSについて語っている人を見たことはあるんだけど、実際には会ったことないんだよね。

カンノ:BURGER NUDSについて熱く語る人ね。

YOU:そうそう。そういう意味でBURGER NUDSって俺個人にとって謎のプレミア感があって、俺のなかの『ぼっち・ざ・ろっく!』なんだよね。CDは大体廃盤だし、誰とも話が共有できない意味で言うと、本当に一人で聴いてた。『ぼっち・ざ・ろっく!』がアニメで放送されて、どうやら下北ギターロックの話らしいことを知ったときに、「BURGER NUDSっぽい音楽をやってくれるのかなぁ~」って思ってたんだよ(笑)もちろん、そんなどす黒い方向の音楽はやることはなかったんだけど。

カンノ:それは「うっつ・ざ・ろっく!」だね(笑)

YOU:なんだよそれは(笑)まぁ、「鬱ロック」という言葉も流行ってたし、BURGER NUDSはそのうちの一つとされていたね。

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