宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回はアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に影響されたので、自分たちの邦楽ロックを通して感じた『ぼっち・ざ・ろっく!』体験を話す「僕らの『ぼっち・ざ・ろっく!』」特集の文字起こし(前編)を掲載します。
Radio OK?NO!! Podcast #073「僕らの『ぼっち・ざ・ろっく!』」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!
カンノ:流行物の話でもしますか。
上野:最近流行ったものの話ですね。
カンノ:『ぼっち・ざ・ろっく!』というアニメがありました。
カンノ:昨年末まで放送されていたアニメで、舞台は下北沢。暗い女の子の主人公・後藤ひとり。通称:ぼっちちゃん。彼女はギターが上手いんです。
上野:めちゃくちゃギターは上手いんだけど、社会性はゼロ。
カンノ:社交性は皆無。その子がギターロックとかバンド界隈で「社会とはなにか?」とか「自信がないとギタープレイは発揮できない」とかを毎回気付いていくお話で、これが大ヒットしたんですね。第1期の放送が終わった今の時点で第2期もあるんじゃないかと言われております。上野君は見ましたか?
上野:ある程度は見ました。で、僕たちって正直あんまりアニメは見ないじゃないですか。そんななかでも、周りで見ている人も多かったので、これに関しては見ましたね。
カンノ:僕もこのアニメを見ていて、いろんなことを思ったんですが、その話は一旦置いといて、まずは『ぼっち・ざ・ろっく!』のオープニング曲を聴きましょう。アニメの登場する結束バンドという4人組の女子高生バンドの物語なんですが、その子たちが演奏しているんですね。で、これを実際に作っている人はちゃんと下北界隈の人たちというね。マジもんの曲ですよ。ではお聴きください、結束バンドで「青春コンプレックス」
カンノ:どうですか、ちゃんとゼロ年代の邦楽ギターロックを思い出す作りですよね。あれ?結束バンドってハイラインレコードから出してるんだっけ?
上野:ハイラインレコードは関係ないですね(笑)もう存在しないですから(笑)
カンノ:で、このアニメを見ながらいろんなことを思うんですが、僕なんて今、仕事の都合上、ほぼ毎日下北沢に通ってるような人間ですので。アニメとして相対化された下北沢を見てるといろんなことを思っちゃうんですよ。でね、これは後藤ひとり、通称:ぼっちちゃんがロックをやっていくお話です。陰キャでコミュ障な女の子がですよ。もともとはネットの世界でギタープレイがバズった女の子が実際のバンドの世界でどう馴染むか馴染まないかというお話ですが、そういう一人ぼっちだった女の子の音楽体験ですよ。でね、邦楽ロックにおける一人ぼっち体験、どうですか?私たちも胸に手を当て考えましょう。思い当たる所はありませんか?
上野:あるよね~。
カンノ:「あれは僕の『ぼっち・ざ・ろっく!』だったなぁ~」ということはありませんか?
上野:あるよ、ある。
カンノ:今日はそういう体験を話していこうかなと思います。ということで今回は「僕らの『ぼっち・ざ・ろっく!』」特集です。後藤ひとりが体験したような邦楽ロックぼっち体験、「僕たちの後藤ひとりはこうだった」という話をしていきます。
上野:だからこれからめちゃくちゃ個人的な話をしていくんだね(笑)
カンノ:そうです(笑)だってあのアニメを見ながら胸がゾクゾクする感じの何割かって「あれ、俺も似たようなこと体験したなぁ」があるじゃないですか。
上野:そうですね。
カンノ:その似たようなやつを具体的に思い出したときに発生するのが「僕らの『ぼっち・ざ・ろっく!』」ということでございます。ということで邦楽ロックに関して一人ぼっちだった体験の話をしていきたいと思います。まずは私からいきます。それではお聴きください、ZAZEN BOYSで「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」
カンノ:中学2年生のときにこれを聴いちゃったんですよ。
上野:聴いちゃったんだね。
カンノ:その時点で僕の『ぼっち・ざ・ろっく!』は確定しましたね。当時も言ってましたね。「あ~、これが俺の『ぼっち・ざ・ろっく!』か」って。
上野:当時はそんな言葉はないですね(笑)
カンノ:向井秀徳の音楽にどハマりしていったのが、この曲が収録された『ZAZEN BOYS2』で、リリースされた2004年は当時中学2年生でした。
カンノ:そもそもバンドにおいてラップをする手法が、ミクスチャーというジャンルしか当時は知らなかったんだよね。で、この曲もラップなのかラップじゃないのかもよくわからないし。その不可思議さにどんどん惹かれていって大好きになるんだけど。で、どうやら2002年に解散したNUMBER GIRLというバンドをやっていたことも知るんだけど、その翌年の2005年にNUMBER GIRLによる「OMOIDE IN MY HEAD PROJECT」という、今思えばまだ東芝EMIとの契約が残っていたんだな事案が発生するんだけど(笑)
上野:そういうことか(笑)言われてみればそうだね(笑)
カンノ:ベスト盤とか未発表音源が急に出るんだよ(笑)で、僕はそこで音源として初めてNUMBER GIRLを聴くことになるからありがたい機会だったんだけど。で、そのプロジェクトの1発目のベスト盤を買って聴くんだよ。
カンノ:この前の解散ライブでは「透明少女」を計4回演奏したことがニュースにもなりましたが、僕はこのベスト盤を買った1ヶ月以内に「透明少女」を400回は聴いたと思います。
上野:そうですね、それは間違いないですね(笑)
カンノ:だから中学3年生になりたてのときに「透明少女」をはじめナンバガをめちゃくちゃ聴いてて。でね、OK?NO!!のドラムの竹川って人間がいまして。彼は中学の同級生なんですよ。そんな彼にナンバガのベスト盤を貸したんだよ。「透明少女って曲がめっちゃいいんだ」とか言って。「申し訳ないけど、歌詞カードを持ちすぎて透明少女の部分が、親指の黄ばみが移っちゃってるんだけど」とか言って(笑)
上野:あるあるだよね(笑)
カンノ:で、速攻で返ってきて、「なんか音悪かったわ」って言われたんだよね。
上野:アハハハハッ!音楽が「良い」とか「悪い」とかじゃなくてね。
カンノ:「音悪かったわ」
上野:アハハハハッ!
カンノ:そこから僕はたんすの中に入ってギターを一人ぼっちで弾き続ける人生になりました。
上野:ぼっちちゃんだ(笑)
カンノ:僕の『ぼっち・ざ・ろっく!』はそんな感じでございます。
上野:僕もZAZEN BOYSに関してあるんですが、僕も中2のときに『ZAZEN BOYS2』を買って聴いてて。めちゃくちゃかっこいいじゃないですか。で、僕もそれを中学の友達に貸したんです。そうしたら「なんかジャキジャキしてて、こんなの音楽じゃない」って言われました。
カンノ:アハハハハッ!
上野:で、僕もそのままたんすの中に入ってギター弾いてました(笑)
カンノ:上野は音楽としての否定ね。僕は音としての否定(笑)ZAZEN BOYSってちゃんと好きか嫌いかなんだよね。「理解できない」「意味がわからない」に惹かれるかどうかなんだよね。惹かれた人がZAZEN BOYSを持ち出して他人とコミュニケーションを取ろうとした瞬間にそれができなくて、『ぼっち・ざ・ろっく!』体験になってしまうということなんでしょうね。
上野:それでは次は僕が選んだ曲です。ASIAN KUNG-FU GENERATIONで「リライト」
上野:これは『ぼっち・ざ・ろっく!』内に出てくる結束バンドの面々の名前がアジカンのメンバーの名前になぞらえているということもありますが。ただ今回は個人の話なので、そことはあまり関係はありません。
カンノ:「リライト」なんて大ヒット曲だから、あまり『ぼっち・ざ・ろっく!』感もないように思えますが。
上野:これはすごく個人的な経験です。僕が生まれて初めて買ったCDが「リライト」も入っている『ソルファ』なんです。
上野:中学2年生にとっての3000円ですよ。
カンノ:デカいよね~。
上野:そうなの。で、CDを初めて買ったからさ、ものすごくドキドキしながらCD屋に入るの。当時、自分の家の近くにあったCD屋ってタワレコとかじゃなくて、その町にしかないCD屋で。
カンノ:個人の町のCD屋って今はないよね~。
上野:そうそう。マジカルステージっていうCD屋があったんですよ。
カンノ:アハハハハッ!良い名前だ!
上野:マジカルステージってあったんですよ。で、テレビやラジオで流れてたアジカンを好きになり、ドキドキしながらマジカルステージに行って、3000円払ってCDを買って、そのまま家に帰って、所謂CDプレイヤーを僕は持っていなかったので、パソコンに入れてヘッドフォンでそのままアルバムを最初から最後までぶっ通しで聴いたんですよ。で、そのときの胸の昂ぶり…?
カンノ:アハハハハッ!
上野:もうなんとも言えない胸が高鳴る瞬間って、もう30年以上生きてるので様々あるんですよ。でもね、今思い出すと、あの『ソルファ』を初めて聴いた瞬間がマックスだったと思うくらい興奮して。
カンノ:アハハハハッ!(カンノ、泣いている)
上野:パソコンの前に座って、最初から最後まで微動だにせず全部聴いて、そのときの興奮状態。「あ、あの音楽体験が人生でマックスだったな」っていうのをこの企画を通して思い出しましたね。
カンノ:お前、音楽辞めんなよ!
上野:アハハハハッ!
カンノ:今、めちゃくちゃハイボール飲みたくなった。
上野:アハハハハッ!
カンノ:もう最高だね、その話。俺、そのピュアさどっか行っちゃったな~。
上野:そっか~。
カンノ:なんかね、音楽を聴くときってなにかマイナスから始まるんだよね。さっきのZAZEN BOYSも、どうも学校にあんまり馴染めなくて。居場所なくて。そのときに家のケーブルテレビの音楽チャンネルで流れてたZAZEN BOYSのMVにロックされてから好きになっていったんです。だから純粋な音楽への興奮とか昂ぶりというよりは、そこに人生のスパイスみたいなものが入ってくるんだよね。僕の『ぼっち・ざ・ろっく!』は。
上野:なるほどね。
カンノ:今の上野の話って、アジカンが好きでCDを買って興奮するみたいな、純粋な音楽体験じゃん。やっぱりマジカルステージになにかあるな、それは。
上野:でね、『ソルファ』を買ってからはマジカルステージに通い倒していて、高校生になったらマジカルステージでバイトしようと思ってたの。
カンノ:おぉ!
上野:で、高校生になったら靴流通センターになってたんだよね。
カンノ:うわぁ~!マジカルが起きなかった~!『ぼっち・ざ・まじかる!』だな~。
上野:『ぼっち・ざ・まじかる!』ってなに?(笑)
カンノ:なんか、魔法学校の陰キャが主人公みたいなアニメだよね(笑)
『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#okno」をつけてツイートしてください!お問い合わせはメール:radiookno830@gmail.com まで。