SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
『FUJI ROCK FESTIVAL '24』の3日目に行ったYOU-SUCKメンバー。(前編)では行くまでの道中とフェスの様子や洋楽勢で印象的だったアーティストについて、フジロックを1秒も見ていないカンノメンバーに語りました。
YOU:フジロックに行ってきました。
カンノ:まずは前提をお伝えします。僕は今年のフジロックを1秒も見てません。
YOU:そういうの良くないよ。逆張り?
カンノ:違います。金がないから働いてました。
YOU:あっ!マジごめん…。
カンノ:それは何に対する逆張りですか!?
YOU:アハハハハッ!
カンノ:僕は何もわからない状態なので、いろいろ教えていただけたらと。
YOU:本当は3日間行きたかったんです。今年は邦楽勢がすごく良くて。Original Love Jazz Trioとか、家主も見たかった。
カンノ:Syrup 16gも話題だったね。
YOU:シロップも見たかった。「Reborn」やったらしいし。
YOU:で、俺は1日目と2日目は仕事で行けなかったんですよ。
カンノ:行ったのは3日目。
YOU:妻の実家が新潟で、苗場まで車で1時間くらいのところなんです。そこで前泊させてもらって、3日目のフジロックに行ったんです。で、移動する午前中まで仕事して、午後から新幹線で新潟へ移動したんですが、そこでフジロックの配信が見れなかったんですよね。
カンノ:電波とか無料Wi-Fiなかった?
YOU:俺が無知なだけかもしれないけどなかったですね。折坂悠太とかくるりとか見たかったけど残念だったな。だからこそ3日目は楽しもうと思いました。
カンノ:はい。
YOU:フジロックは6年ぶりに行ったんです。結構久しぶり。今回は妻の実家に子どもを預けて、妻と一緒に行ったんですけど、妻は初めてのフジロックだったんですよ。
カンノ:ほお。
YOU:それで俺は妻に対してマンスプレイニングをするタイプなので。
カンノ:フフッ。
YOU:「フェスをナメてるとヤバいぞ」
カンノ:うるせえな!
YOU:「熱中症でやられるし、雨降ったら凍えるほど寒いから。マジヤバいから」
カンノ:フジロックに来るなよ!
YOU:そんなことを言ってたんだけど(笑)、結果的に天気は恵まれて。むしろ曇ってくれて涼しかった。
カンノ:それはいいね。
YOU:俺が昔フジロックに行ってたときは、トイレが汚くて過酷だった印象だったんだけど、それが解消されてた。トイレの数がめちゃくちゃ増えてた。あと以前はトイレの前に消毒液が1つあるだけだったの。手洗い場も全然なくて。衛生面的にも厳しかったんだけど、今では大量に水が出る手洗い場があって。Xで「フジロックのトイレは汚い」っていうポストを見かけたけど、いやいや、全然きれいですよ。
カンノ:コロナ禍を経てなのかな。
YOU:そうかもしれないね。あとはスポンサーが充実してるんだと思う。たとえば電波はすごく良くなったと聞く。基地局ができてすごく快適でしたね(人によって電波状況は様々)。だからすごく快適なフェスになってましたよ。
カンノ:家族連れは多かった?
YOU:多かった。子どもの遊び場がすごく充実してるから、そこでずっと遊んでる人もいる。俺の子どもは2才なので連れていくのはちょっと過酷かなと思ったけど、赤ちゃんを連れてる人もいた。フジロックは休める場所も多いし、今回は曇ってたので涼しかったし、雨対策さえすればすごく快適なフェスだと思いました。
カンノ:そんな快適ななかで、アーティストはどうでした?
YOU:今年の3日目は90’sのロック好きには刺さるラインナップなんですよ。まずヘッドライナーがNOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS。俺はそんなに見なかったんだけど。
YOU:あとはKIM GORDON。Sonic Youthの人ですね。俺はこの人が一番見たかった。
YOU:あとはTHE JESUS AND MARY CHAIN。つまりオルタナティブロックやシューゲイザーのところにいる人が結構3日目に集まって、俺はこの人たちが見たかった。
カンノ:なるほど。
YOU:THE JESUS AND MARY CHAINって名盤がいっぱいあって、俺が大好きなART-SCHOOLが引用している曲とかもたくさんある、伝説級と言っても過言ではないバンドなんだけど、ライブ見たらおじいちゃんたちのボケ防止みたいなことになってた(笑)
カンノ:フフッ。
YOU:俺だけならよかったんだけど、疲れもあってか妻の目が明らかに死んでて(笑)「次行こうか…」となっちゃいましたね。まぁ、90年代の人ってそうなるよね。
カンノ:そりゃそうだ。
YOU:だからこそ、見れるうちに見といたほうがいいなとは思いましたね。あと、どう考えてもロックは若者のものだなと思ったりね。そんなことを思いつつ、目当てだったKIM GORDONに行ったんだけど、女性で71歳か72歳。その人がバキバキにノイズを鳴らしてて(笑)
カンノ:フフッ。
YOU:3日目の夜8時。しかもその時間ってヘッドライナーの一つ手前なんですよ。だからみんなヘッドライナー待ちで、体力を温存している。ここはWHITE STAGEなのでトリがTURNSTILEっていうこれまた話題のバンドで。
カンノ:なんかステージにめちゃくちゃ人が乗るバンドでしょ?
YOU:そうそう。めちゃくちゃモッシュをやる人たち。令和6年にこんなモッシュが見れるのも、なんとも不思議な光景なんだけど。で、みんなTURNSTILEに向けて体力を温存してるっぽいの。そうじゃなくても、3日目の夜だからみんな体力が限界なの。そんなヘロヘロなときに、KIM GORDONがめちゃくちゃノイズを鳴らしていて(笑)「ゴーーーー!!!!!」とギターを鳴らしていて(笑)
カンノ:それは1人?
YOU:いや、バンド形態。でも、わかりやすいメロディーやポップス的なキャッチーな展開はない。
カンノ:サービス性はゼロ(笑)
YOU:でもギターのノイズはずっとかっこいいの。そしてずっと緊張感がある。張り詰めた緊張感と、それが解けた瞬間に「ゴーーーー!!!!!」と鳴る。
カンノ:それが疲れのピークのときに鳴ると。
YOU:全員を殺す気だったと思う(笑)
カンノ:いいね!
YOU:最高でした!あれは本当に見れてよかった。
カンノ:「この人は音で殺すんだな。そして俺は殺されるんだな」と思う体験ってめっちゃいいよね。
YOU:そうそう。「容赦ねえな~!」っていう。しかも最初と最後は同じ曲っていう。
カンノ:アハハハハッ!
YOU:最初はギターのノイズが控えめかなと思ったんだけど、最後はしっちゃかめっちゃかだったね(笑)最高だったね。
カンノ:その場に子どもがいなくてよかったね。
YOU:子どもがいたら大変なことになってるよ(笑)