SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。
「2000年以降の邦ロックベストソング100」という企画について語るサムオブメンバー。後編では「自分たちにとって"邦ロック"とはなにか?」ということをランキングに入らなかったレミオロメンをとおして考えました。前編・中編は下記リンクから。
YOU:俺がこのランキングで気になったのはRADWIMPSで。俺はRADWIMPSのアルバムは4枚目までシングル含め全部持ってたんだよね。
カンノ:4枚目は『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』ね。
YOU:そのあとはなんか聴かなくなっていったんだけど。
カンノ:『アルトコロニーの定理』から聴いてないと。
YOU:で、ランキングにはそれ以降から入ってるんだよね。35位の「おしゃかしゃま」とか。なんか、こういうランキングだと「いいんですか?」とか「ふたりごと」が入ってきそうじゃん。
YOU:あとはアジカンだと、15位の「転がる岩、君に朝が降る」は『ぼっち・ざ・ろっく!』の影響がデカいんだなって思うよね。
YOU:16位「ソラニン」も嘘じゃん(笑)「歌詞書いてるのゴッチじゃないけど、いいの?」って思うんだけど(笑)
YOU:とかいろいろ言ってみたけど、正直、カンノほどこのランキングに違和感は感じてないかな。というのも、ちゃんと入るべきものは入っている気がして。順当だと思うの。「2000年以降の邦ロックが好きです」っていう人がいたら「こういう楽曲が入るよね」っていうものがちゃんと入ってるし、そこはあまり違和感はない。
カンノ:僕が「う~ん」と思う理由として、それがランキングという形で一気にまとまると、すごく広告代理店臭さがするというか…。
YOU:それはしょうがないんじゃない?(笑)そこからは逃れられないでしょ。マスメディアが発達した以降に我々は音楽を聴いてるんだから。まぁ、そこに順応してる感じはあるかもしれないし、むしろ意識をしていない感じもする。あとさ、このランキングはヴィジュアル系が一切入ってないよね。
カンノ:それは「邦ロック」ではないんじゃない?
YOU:なるほどね。「邦ロック」という括りは何なのか?
カンノ:で、それはヴィジュアル系は入ってこれない括りなんだよ。ラルクもいないし。まぁ、ラルクは邦ロックな訳ないんだけどさ(笑)でも、その別の角度で言うと、ミスチルも1曲もランキングに入ってないんだよ。それはミスチルは「邦ロック」ではなくて「J-POP」っていう括りの人たちなんだよね。
YOU:なるほどな~。まぁ、避けたくなる気持ちはわからないでもないね。
カンノ:で、個人的におもしろいと思ったのが、レミオロメンもこのランキングに入ってこないの。
カンノ:2003年メジャーデビュー組の邦ロック勢で「めちゃくちゃ売れていきそう」という実感があったバンドの二大巨頭がアジカンとレミオロメンだったんだよ。
YOU:小林武史の息がかかったバンドって邦ロックと見なされないんだね。
カンノ:ミスチル、back number、レミオロメン。これらは「邦ロック」ではなくて「J-POP」という。
YOU:その見立てもおもしろいね。
カンノ:でもレミオロメンもデビューしてからの流れをスペシャをとおして知ってるからさ、「自分が見てきた歴史観と違う」って思ったりね。このランキングで言うと、日本語の叙情性をバンドサウンドに乗せて歌う人たちの代表ってフジファブリックでほぼ確定だと思うんだけど、じつはレミオロメンもその可能性があったんだよっていうことは言っておきたいよね。
YOU:それは絶対にそうだね。
カンノ:で、その感じのレミオロメンをみんな忘れちゃったっていう(笑)みんな、そのころのレミオロメンの記憶が抜け落ちちゃったから、当然このランキングにも入ってこない。
YOU:「3月9日」と「粉雪」にかき消されてしまった。
カンノ:でも「3月9日」もあまりに卒業ソングの定番と化しちゃったけど、普通に邦ロック楽曲として語られる世界線も存在していいよね。
YOU:そうだよね。あと、このランキングに投票した人は「俺は音楽が好きだ!」という自覚の強い人によるものだろうから、国民的な曲は入ってこないんだと思う。
カンノ:でも、「俺は音楽が好きだ!」っていう人の総意が「若者のすべて」なの?嫌なんだけど。
YOU:アハハハハッ!たとえば、このランキングの1位が「天体観測」だったらより納得いく気がした。
YOU:2000年代に中高生だった人たちって、一部の人たちがテレビに映るJ-POPから離れて、テレビに出ないバンドとかを聴き始めたりするわけでしょ。その象徴って俺らの世代からするとバンプだったりするじゃん。
カンノ:「ロキノンバンド=テレビに出ない=バンプ」みたいなね。その派生でアジカンもそうだったけど。
YOU:そうそう。なので、俺は総じてこのランキングは妥当で、誰が投票したかが伺えるランキングだなと思ったの。それは「俺は音楽が好きだ!」っていうことが言えるTwitterが好きな人たち、つまり俺みたいな人だなっていう。
カンノ:でも、それで1位が「若者のすべて」だったら全然足りねえよ。足りない!
YOU:アハハハハッ!
カンノ:っていう議論ができるくらい、非常に楽しいランキング企画でした。ありがとうございました。