Y…You-Suck
カ…カンノ
You-Suckとカンノでお誘い頂いて、3月16日に幕張メッセで行われた『ビクターロック祭り2019』に行った。正直特に見たいミュージシャンがいないという気持ちではあったが、You-Suckもカンノも、木村カエラとKREVAのライブパフォーマンスが最高でやられてしまった。また、休憩を取り過ぎて見逃したSCANDALのラスト1曲、終わり際でのメンバーたちのカッコいい面構えや汗のかき方に「見逃してはいけないものを見逃してしまった」悔しさもあった。そんな背景で読んで頂けたらと。
Y「一日明けて思ったのが、一番歌が上手かったのがKREVAだったよね。」
カ「あぁ~(笑)」
Y「もう格が違う。」
カ「そもそものライブする人間としての筋肉の話か。」
Y「KREVA的なものになる覚悟があるかないかって大事だなって思ったな。」
カ「それで言うと、素晴らしいライブパフォーマンスだったと感じたのは木村カエラとKREVAだったわけじゃん。中堅やベテランは置いといて、若手のバンドマンがあの人たちのようになれるのかどうか。まぁ、僕が思ったのは、若手が爪痕を残すには、3枚目の振る舞いをするしかないのかみたいなことで。」
Y「うん(笑)」
カ「スタンダードな振る舞いってなんだろうと。KREVAは凄すぎるから置いといて、木村カエラと他の人たちは何が違うんだろう。言葉にすると難しいんだけど、全然違ったじゃん。」
Y「もう格が違うよね。」
カ「じゃあその格ってなんだろうと。何かを努力すれば得られることなのか、そもそもの素質の話なのか。」
Y「まぁ、ありがちな話だよね。」
カ「年を重ねれば得られるのかとか。木村カエラやKREVAを見たのが僕たちが中学生の頃だからというのが起因してるのかとか。ソロでやっていることが大事なのかとか。何が差になってんだろうとは思ってて。KREVAが圧倒的なのは説明がつくんだよ。」
Y「スターだったもんね。」
カ「KREVAの振る舞いから見える“この場の支配欲”っていうのはあったじゃん。」
Y「支配欲というか、“この場のロック欲”ね。」
カ「うん。それで難しいのが木村カエラの方で。」
Y「あ~。他に木村カエラ的な人って誰なんだろうね。」
カ「椎名林檎とかは違うの?」
Y「椎名林檎は綺麗だけど、そもそもバンドコンテスト出身だからね。なんだろう、シンガーソングライター志望かって大事かなと思ってて。誰に曲提供されようが、誰にアレンジされようが、彼女たちの伝えたいことってあるじゃん。それで言うと木村カエラは、伝えたいことはないんじゃないかな、初めは。」
カ「モデル出身の強さが出ちゃうってこと?」
Y「そう。それで言うと近いのは誰かって考えたとき、きゃりーぱみゅぱみゅじゃないかなと。」
カ「あぁ~、なるほどなぁ~(笑)」
Y「自意識はないけど、カルチャーに対しての愛はあって、そういう人達への正しい振る舞いも出来て、かわいい人(笑)」
カ「かっこいいとかわいいの違いはあるにしてもね。」
Y「無私な感じだけどインタビューすると、こういう風に思ってる的なことが言える人。」
カ「アーティストとアイドルの微妙な境のところにいる感じとかね。2人ともロックフェスに出るし。」
Y「それでロックファンにも受容される。それ以降の人があまり思い浮かばないけどね。」
カ「SCANDALとかSILENT SIRENは?」
Y「あぁ~、そこは貴重かもね。SCANDAL聴いてみたけど、マジでかっこいい…」
カ「ワンマン行こうね(笑)」
Y「行こう(笑)あとね、『私たちかわいいだけじゃないです』という説得力が、顔から滲んでたんだよね。」
カ「あぁ~。若いバンドはかわいいを武器にし過ぎちゃうことあるもんね。」
Y「強さがあるかないかって大事だよ。カンノはあんまり見ないからあれだけど、アメコミのヒロインみたいだったんだよね。」
カ「SCANDAL、木村カエラ、KREVAって全員強いんだよな。強さは分かるなぁ。さっき言ったさ若手バンドの振る舞い話なんだけど、強さがないから3枚目に振る舞うか、当たり障りない振る舞いになるかだなって。で、それで言うと、僕たちの思春期の頃ってアジカンとかくるりとかナンバーガールとかバンプとかレミオロメンとかフジファブリックとかさ。普通の格好をして、下手すりゃ眼鏡掛けてて。それで普通に歌ってたじゃん。つまり、何も振る舞ってないことがかっこよかった時代を僕たちは青春として過ごしたというか。」
Y「我々はそうだね。」
カ「で、僕らもメジャーデビューしているバンドたちと同い年前後とかになったりしてさ。多分同じものを見てきたりするわけじゃん。そういう人たちが見本になっちゃう。何も振る舞っていないという演技、振る舞いというのを真正面に受け止めちゃう。」
Y「アティチュードだよね。」
カ「そう、何も振る舞っていないという態度だったんだよね。それを受けちゃって、もう若手が何も振る舞わなくなっちゃったなって。」
Y「あぁ~、ちょっとそこは考え方が違ってて。要は僕らが見てたバンドたちの世代って、携帯もインターネットもネイティブじゃないじゃん。で、我々の世代は他者の視線にずっと苛まれているんですよ。嫌でも意識しちゃうんだよ。バンドも炎上しないように、他者からの良いように見られるようにする振る舞いをするんだよ。即ち、楽しそうに振る舞うんだよ。鬱ロックとか、芸術性とかじゃないんだよね。」
カ「あぁ~、めちゃくちゃ嫌な話だな(笑)」
Y「振る舞うという感覚が無意識の内に入っちゃってるんだよね。」
カ「企業CMっぽい振る舞いだったもんね。何かのCMみたいなライブの感じ。」
Y「マーケティングを身に纏っちゃってるんだよ。我々の世代以下の『あなたはどうマーケティングしていくんですか?』と問われる感じ。それが否が応でも視覚化されるのがインターネットだから。『お前ってなんなの?』をずっと問われている感じ。」
カ「ビクターロック祭り雑感でマーケティングの話になるとは(笑)」
Y「まあね(笑)でも、そう感じたな。」
カ「うん、すごく分かる。」
Y「で結果、そこと関係ない強い意志の人が勝つ、勝つというか圧倒的だったなぁ。」
カ「あなたが呟いてたけど、バンドがサブカルやダンスやコミカルやマーケティングやらうつつ抜かしてたら、ちゃんと基礎体力付けてる人が最強だったっていうね。」
Y「そうそう。」