2019年7月21日に行われたトークイベント「中洲産業予備校 2コマ目『今さら聴けないレッチリ』の書き起こしです。とはいえ、お伝えできる内容はほんの一部。当日はこの10倍脱線しつつ、過激な内容を挟みつつ(参議院選挙、吉本問題、あの人達の大麻逮捕など色々あったなぁ)、ほんの触りだけお送りします。
日高さんのレッチリとの出会い
日高:皆さん気付いたときはレッチリってスーパースターだったと思うのですが、最初の最初は”おもしろミクスチャーバンド”だったんだよね。
カンノ:もう文字通り、”おもしろミクスチャーバンド”と思ったんですね。
日高:そう。「面白いです」という体でやってたから。チ◯ポソックス然り、PVの仕上がり然り、コミカルでユーモラスで明るく愉快なLAの4人組バンドって感じ。何でそういう風にしたかというと、80年代当時は、RUN DMC以降のアメリカ文化の中でヒップホップが台頭してきて、「ブラックなことをやろうぜ!」をバンドでアプローチすると、まずはファンキーなことになると思うんだけど、白人だからビースティ・ボーイズと発想は一緒で、パロディ的にやるしかなかったんだよね。本気でやると、本家に敵わないという。まずは俯瞰でパロディをするというところから始まった感じかな。ビースティの弟分という印象だったね。もちろん地域差や交流具合は知らないけど、アメリカで白人がブラックミュージックをやるとなるとパロディ的なものがスタートになるんだなというが印象だった。なので、その頃のレッチリと同時期のバンドは面白いやつしかいなかったですよ。まずはリンボーマニアックスね。
日高:むしろ当時はレッチリより人気あったかも。で、ミクスチャーロックの先駆けは多分、フィッシュボーンというバンド。
日高:80年代前半中盤で2トーンスカが流行るんです。ザ・スペシャルズとかマッドネスとか。白人がやるスカっぽい音楽がヒップだということで。マッドネスは日本でCMをやって、俺もまんまと当てられちゃって、ビークルのときにSEで使っていましたが(笑)
日高:フィッシュボーンは逆で、黒人がロックをやるという流れだね。これがミクスチャーロックの最初の雛形じゃないかな。スカもあればファンキーな16ビートもあって、パンキッシュな曲もあって。このバランスの良い感じのを、黒人だけでやってたんだよね。これがローカルシーンでヒットしたところで、レッチリとかも「俺らもやるべ」という流れかなと。
『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』について
日高:このアルバムの発売当時の事はよく覚えていて、1stシングルが「ギヴ・イット・アウェイ」で、91年当時はグランジ全盛なんですよ。
カンノ:はい、ニルヴァーナ『ネヴァーマインド』も91年ですね。
日高:だからこの曲のビデオのトーンが急にシリアスになるの。
日高:ちょっと金粉ショー的な面白さは残しつつも、急に重いレッチリになってて。それがまず衝撃。で、どうやらアメリカではバカ売れしているらしいと。音だけ聴くといつものレッチリだけど、ビデオは違う感じだと。ちょっとアルバム出るまで「待とう」と(笑)
春菊:評価をするのはまだ早いと。
カンノ:前作は『母乳』だし(笑)
日高:まだちょけてる気はするけど、アメリカではバカ売れだと。どうなるかなと思った時に出てきたのが、「ブレーキング・ザ・ガール」なんだよね。
カンノ:あぁ〜、バラード来ましたね!
日高:そう、ここからレッチリがスロウな曲をやるようになるの。
カンノ:もうここからなんですね!
日高:そう、何か違うことしてきたの。
日高:このイントロを聴いて、レッチリが歌っているなんて思った奴一人もいなかったよ。ビデオもシリアスだし、しかも曲名よ。「女を壊す」だよ!ただならぬ事を歌っている予感だけは皆してたね。
カンノ:アルバム自体も要所要所でバラードが挟まってきますもんね。
日高:それが衝撃だったもんね。それもグランジの影響だったと当時の俺らは解釈してたね。
カンノ:よく言われる話ですが、ハードロック全盛だったものをグランジが殺し、そういったシリアスさがリアルになるという。
日高:レッチリにおけるグランジってこういうことなのかなってね。
『バイ・ザ・ウェイ』はレッチリのボカロ?
日高:『バイ・ザ・ウェイ』に関して言うと、ちょっと『カリフォルニケイション』の焼き直し感があるんだよね。レッチリ自身が「みなさんの好きなレッチリ、はじめました!」みたいな。
カンノ:サービス精神感のあるアルバムということですね。
日高:だから古参ファンは『バイ・ザ・ウェイ』はあんまり好きじゃないの。
カンノ:僕ら世代は『バイ・ザ・ウェイ』から入った人達は多いと思うので、それは門戸が広いって事と繋がってきますね。
日高:それは俺が思うに、構造的にはボカロに近いと思っていて。
春菊:おぉ!
カンノ:面白そうですね〜。
日高:俺はボカロ好きなんだけど、それは前提として、ボカロの人達って、俺らやエルレみたいなバンドを聴いて育って、友達がいないから仕方なく宅録でやってたと思うんだよ。発表の場と作る場がパソコンしかなかった。ボカロって冷静に聴くと、ただエモいだけなんだよね。アレンジの工夫や初音ミク的なエフェクトは色々あるけど、取り出して聴くと、ただただエモい曲をやっているロックなだけなんだよね。アジカンやエルレ的なことを、ただ若い子がやり直しているだけなんだよね。
春菊:エモーショナルなメロディの曲は多いですよね。
日高:そうそう、アレンジとか歌ってるのが女の子に変わっただけで、やってることはエルレとあんまり変わらないじゃんって。まぁ、ボカロは好きで聴くんですよ(笑)ヨルシカとか。
日高:で、『バイ・ザ・ウェイ』は俺からするとボカロなんだよ。皆の知ってるレッチリを再解釈してやってるだけ。
カンノ:なるほど、ここは文字起こしポイントです!(笑)
日高:そうね(笑)せっかく『カリフォルニケイション』で実験的なことやったのに、結局皆が好きなレッチリを、レッチリ自身が演じようと決めちゃった感じがね。
カンノ:じゃあ、『カリフォルニケイション』以降は日高さん的にあんまり思い入れはない感じですか?
日高:そうね。嫌いじゃないんだけどね。
日高さん率いるTHE STARBEMSと、カンノによるソロプロジェクト4×4=16のツーマンライブが沼津にて!
【中洲産業大學・沼津校】
date : 8/18(sun)
place : 静岡 沼津Quars
time : open18:00 / start18:30
price : adv.¥2,000 / door.¥2,500(共に+1D)
acts : THE STARBEMS / 4×4=16
tickets :
クアーズ店頭
各バンド予約
e+:https://eplus.jp/sf/detail/3044160001-P0030001P021001
info : Quars(055-952-7333)