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サムオブ井戸端話 #124『2023年にいないミュージシャン、いるミュージシャン』(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

ミュージシャンの訃報やバンドの解散について語るサムオブメンバー。後編では、浜田省吾のライブを見て感動したYOU-SUCKメンバーが年老いても元気なミュージシャンがいたことの実感を語りました。前編・中編は下記リンクから。

 

 

カンノ:今となっては邦ロックもレガシー化、セピア化して、振り返るものの対象として語られて。『ぼっち・ざ・ろっく!』は象徴的だったと思うけど。

カンノ:あと2000年以降の邦ロックランキングも、現代へ進む感じというよりは振り返り系の企画だったと思う。

YOU:今、邦ロックって再ブームになっていると思うんだよね。若い世代がボカロ曲やVTuberが歌うカラオケの元曲として受容されている感覚がある。

カンノ:それが僕には同時代性としてあったものだから。それを振り返るという見方になるとちょっと不思議な気分なんだよね。ネタっぽく「邦ロックおじさんだからさ」とか言うんだけど、半分は変な気持ちなんだよ。自分のなかではずっと現役なものとしてあるから。この前、東山紀之の最後のディナーショーのニュースがやってたけど、僕が「邦ロック好き!」みたいなのって「ヒガシ好き!」みたいなことと一緒なのかね。

YOU:どういうこと?

カンノ:とっくにレガシー化してるんだけど、自分のなかで勝手に現役感として残ってるものというか。

YOU:東山はちょっと最近話題に上がりすぎてるから例えとしてわかりにくい気がするけど、同じ旧ジャニーズでいうとSMAPのファンはカンノの言っていることに近い人がいるんじゃないかな。「再結成することを信じています!」みたいなことを言う人っているじゃん。

カンノ:信じ続けてそろそろ10年。

YOU:邦ロックは旧ジャニーズのファン層に比べると母数が少ないから見えにくいけど、SMAPや嵐とかはそういうことを観察しやすいというのはあるかもしれない。

カンノ:それに似た気分だってことだよね。だから本当に年を取ったことを実感するよ。それは僕たちが見聞きしたミュージシャンがいなくなりすぎたし。その一方で桑田やヤマタツはまだ元気だからね。

YOU:そういえば今年、浜田省吾のライブに行ったんですよ。ちなみにハマショーはヤマタツと同学年です。

YOU:両親がハマショー好きで、今年全国ツアーをやるというので一緒に行ったんですよ。まぁ、自分はそんなにハマショーに思い入れはなくて、両親が楽しんでくれたらそれでいいかなと思ってたんだけど、ハマショーが元気すぎて俺がぶっ飛んだんだよね(笑)

カンノ:フフッ。

YOU:見た目は完全に白髪のおじいちゃんなんだけど、超元気。一緒にサポートギターをやっている町支寛二もハマショーと同い年なんですよ。70代の2人が横浜アリーナのステージで大暴れ。しかもハマショーの声はまったく衰えてなかった。ちゃんと2時間弱のライブをやり切っていてとても感動した。で、これで逆に思ったんだけど、70代でも元気な人は元気なんだよね。サラリーマンは定年があって、雇用を延長しても65歳までで、その後は個人業をやるか引退するかという感じ。だから自分ごとのように「70代になっても元気だった場合の対策を考えなくちゃいけない」と思ったんだよね(笑)ハマショーを観るまではそんなこと微塵も考えてなかったんだど、「70代で身体は元気なのにやることがない」という状態ってたしかにしんどいよね。

カンノ:畑をいじるよ。土いじりをやるよ。

YOU:それをやりたくなる気持ちもわかってしまった。「なんでそんな面倒臭いことするの?」ってずっと思ってたんだけど、元気なハマショーが答えだった。もちろんハマショーは特別な存在だよ。身体も鍛えてるだろうし。それでも、多くのミュージシャンが年取ると昔のヒット曲をキー下げて歌っている中で、全然昔のままだったしすごかった。だから、訃報が多かった1年だったけど、老いてもめっちゃ元気に生きてる人を見た1年でもあった。その両義性を感じることが音楽好きの人には多かった2023年だったんじゃないかなと思いますね。

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