カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその書き起こしを前編、後編に分けて掲載します。第7回はオノウエソウが33歳になったことを記念して、レジェンドミュージシャンの33歳のときの楽曲を聴いて「なんで俺たちはこうなれなかったんだ!」と悔しがる「33歳」特集の文字起こし(後編)を掲載します。ポッドキャストと(前編)は下記リンクから。
カンノ:(元気なく)井上陽水の33歳楽曲でーす。
オノウエ:井上陽水。
カンノ:「お元気ですかぁ~?」「元気じゃねえよ!」
オノウエ:一人で全部やってますね(笑)
カンノ:上下分けてね(笑)
オノウエ:ポッドキャストで上下分けるなよ(笑)
カンノ:では、井上陽水さんが33歳のときの楽曲を聴きましょう。井上陽水で「リバーサイドホテル」
オノウエ:この曲が33歳ですか。
カンノ:ヤバいよね。今聴いても、なんでこれが売れたのかさっぱりわからないね(笑)盛り上がらないし、気持ち悪いし(笑)井上陽水さんは1948年8月30日生まれなので、33歳は1981年8月30日からの1年間なのですが、陽水さんはパクられたあとです。
オノウエ:あ~!なるほど!
カンノ:結婚して、離婚して、パクられて、再婚して、長男が生まれて、33歳。
オノウエ:もう、すごいね…
カンノ:全部やったことない(笑)
オノウエ:人生経験だね。
カンノ:「大変ですかぁ~?」
オノウエ:大変だっただろうな…(笑)
カンノ:この質感のミュージシャンって後にも先にも全然聴いたことないんだけど、ラテンなのに冷たいってすごいよね。ノリは陽気なはずなのに、質感は全然温度を感じない。これに男女の変なもつれた感じのことを歌うのが映えるなと思いますね。これが33歳。
オノウエ:そうだよね。
カンノ:33歳って初期衝動じゃないんだよね。全部やり切ったうえで、なにを選択しているかじゃないですか。桑田もユーミンも陽水も。
オノウエ:全員2周目だよね。ある程度、20代のうちにいろいろやって、30代序盤もいろいろやって。
カンノ:いろんなことやり切って、悩みも終わって。
オノウエ:じゃあ今までの経験を活かしてこれからなにをやっていこうか。
カンノ:自我が出る年齢かもしれない。だから今回、目立ったシングルを流せてないのはそういうこと。それが33歳のリアルだよね。
オノウエ:なるほどね。
カンノ:レジェンドミュージシャン3組の楽曲を流しましたが、一番のレジェンドの33歳のときの楽曲を聴きましょう。美空ひばり。
オノウエ:あ~、なるほど。美空ひばりの33歳について、一度も考えたことなかったな。
カンノ:33歳ってこういうことを歌う年齢なんだなと自覚させられた曲を聴きましょう。美空ひばりで「それでも私は生きている」
オノウエ:もうこれを聴くと、年齢とかどうでもよくなるね。
カンノ:33歳の美空さんに「死んじゃだめよ」と言われるという。涙ながらに「はいっ!」と思う(笑)「だめよ だめよ だめよ」と言われて「はい、絶対生き抜きます」と(笑)
オノウエ:なるほど(笑)
カンノ:この楽曲、初めての阿久悠作品だそうです。
オノウエ:そうなんですか?
カンノ:で、阿久悠と美空ひばりは年齢近いらしいんですが、美空ひばりは天才少女として世に出てきたから、ずっと「美空ひばりに歌ってもらうには」という歌詞の研究をしていたみたいです。
オノウエ:へぇ~!「いつか一緒に仕事したときには」みたいな。
カンノ:そういうこと。それが「だめよ だめよ だめよ 死んじゃだめ」
オノウエ:なるほどね。
カンノ:この説得力はなんですか?ということは、阿久悠も33歳に近いからね。
オノウエ:そっか、阿久悠も30代中盤なのか。
(阿久悠は1937年2月7日生まれ。『それでも私は生きている』のリリースが1971年3月10日なので、阿久悠は34歳になったばかり。)
オノウエ:たしかに美空ひばりは歌詞を書いてるわけではないから、なんとなく分かるけど、歌詞を書いた阿久悠も同じ年齢くらいと考えると、ちょっとすごいね。
カンノ:もうはっきり分かったけど、33歳っておじさんだしおばさんなんだよ。で、この2人はその役割をやってるの。その事実、引くよね~。
オノウエ:引く(笑)
カンノ:若いことに価値があるのはもちろんわかるけど、それによって失ったものもあるよね。もちろんそれが一辺倒の解答だとも思ってないけど、「だめよ だめよ だめよ」と言える力。それが33歳のときに持っていたわけだから。この年齢企画で初めてすごく年上のミュージシャンをフィーチャーしたわけですが。
オノウエ:だって今回紹介した33歳のときの楽曲って、僕ら生まれてないからね。
カンノ:私たちは1990年生まれですからね。今回は昭和楽曲を紹介しましたけど、年齢とのギャップみたいなものを痛感するね。あと現代とのギャップ。
オノウエ:時代背景はあるね。
カンノ:だって美空ひばりが「だめよ だめよ だめよ 死んじゃだめ」と歌ってるときと、R-指定が同じ年くらいなわけでしょ。何それ?
カンノ:技術革新やイノベーションは間違いなく起こってるんだけど、それによって忘れちゃってるなにかもあって。これ、何?もちろん比べる話ではないんだけど。そのギャップは思うところがありますね。え~、今日はなんとも言えない「33歳」特集をお送りしました。
オノウエ:なんとも言えない(笑)
カンノ:オノウエ君には花粉症が辛くても「だめよ だめよ だめよ 死んじゃだめ」と美空さんと阿久悠さんの言葉を贈らせていただきます。
オノウエ:薬も効かない体になってしまいましたが、頑張ります!
カンノ:怖い言葉だな~(笑)
『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!