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SOMEOFTHEM OF PODCAST 第8回「エンターテインメント過剰」特集(前編)

カンノアキオとオノウエソウによる、SOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその書き起こしを前編、後編に分けて掲載します。第8回はJ-POPミュージシャンの度が過ぎたサービス精神を感じる楽曲を紹介する「エンターテインメント過剰」特集の書き起こし(前編)を掲載します。ポッドキャストは下記リンクから。

 

 

カンノ:J-POPというのは人を楽しませ、喜ばせることが役割じゃないですか。僕も様々J-POPを聴くんですけど、たまにエンターテインメント性の度が過ぎて「過剰だな」と思うことがあるんです。つまり、人を喜ばせようとしすぎている楽曲があるんです。

オノウエ:ほお。

カンノ:今回はその曲たちを聴いてもらおうと思います。ということで「エンターテインメント過剰」特集。人を楽しませよう、喜ばせようと思いすぎて力みまくっている楽曲というのを聴いてもらいたいと思います。

オノウエ:ちょっと僕はまだイメージついてないですね。

カンノ:じゃあまずはこの人の楽曲を聴いてください。この人のアルバムを聴いて思いついた特集なので。オーイシマサヨシで「ギフト」

カンノ:こちらは2月7日にリリースされたアルバム『ユニバース』収録曲です。

カンノ:カタカナ表記の”オーイシマサヨシ”名義だと主にアニソン歌手としての活動がメインになります。で、このアルバムに入っている楽曲もほぼ全曲アニメタイアップですね。で、今回は「ギフト」を聴いてもらいましたが、全曲こんなテンションです。

オノウエ:はいはい。

カンノ:もともとはSound Scheduleというバンドのフロントマンでした。

カンノ:僕らはサウスケも聴いてましたね。

オノウエ:そうですね。

カンノ:このバンド時代を知ってるから思うんですが、アニメに絡めた言い方をすると、オーイシマサヨシって”転生”したんだなと思ったんです。

オノウエ:なるほど(笑)

カンノ:「こっち行ったんだ!」っていう。転生ものをこの人が地でやってるという。

オノウエ:この楽曲におけるエンターテインメント過剰というのは、展開の多さとか、BPMの速さですか?

カンノ:それらもあるし、あとは歌の多様性。ラップっぽいところもあれば、めちゃくちゃファンキーに歌う箇所もあり、低いところ、高いところ。

オノウエ:なるほど。

カンノ:てんこ盛りです。で、これが全曲です。僕が『ユニバース』というアルバムを聴いて思ったのは、星野源さんが2015年に『YELLOW DANCER』というアルバムを出しています。

カンノ:これはタイトル通りなんですが、星野源さんは人々を踊らせる方向に特化させたんですね。そのあとのキャリアはまた別方向に行くんですが、僕のイメージで言うと、オーイシさんはこの『YELLOW DANCER』を日本国内向けに、ある種の良い意味で軽薄化方向に特化させたと思うんです。本当に人を踊らせるためだけに特化させたアルバムだなと思ったんです。そこに意味は付随させない。全曲アニソンである。

オノウエ:アニメのタイアップだから、楽曲自体にメッセージ的な意味は付随しにくいもんね。あと僕が聴いて思ったのは、ヒャダインとかね…

カンノ:あっ!もう、ちょっと…

オノウエ:あっ、ごめんなさい…(苦笑)僕、本当に企画内容知らないので…(笑)

カンノ:ちょっと頼むよ~!ちゃんと美味しいものは後で取っておいてあるんだから!あのね、ポッドキャストってコース料理なの!わかる?

オノウエ:すみません、すみません…(苦笑)

カンノ:今回のテーマ的に、1曲1曲がてんこ盛りなので、そもそも1曲がコース料理的なのは認めます。でも今回は「エンターテインメント過剰」特集と銘打っているのは、つまり、私自身がエンターテインメントを担った特集を打っているんです。私も考えているんです。取り組んでるの。

オノウエ:わかりました、わかりました…(苦笑)

カンノ:あ~!今日で最終回かな?

オノウエ:少なくとも僕は今日は相槌しか打ちません!

カンノ:アハハハハッ!

ヒャダインは番組ラストのJ-POPクイズで出題されるので、是非お聞きください!)

カンノ:でもおっしゃる通りで、ヒャダインという存在がエンターテインメント過剰の一番わかりやすいところなの。2010年代のアイドルソングってそういう作りだったんだよね。

カンノ:で、オーイシさんの話に戻すと、ファンクとかソウルとかカントリーとかの要素を用いて人々を踊らせるアルバムを作ってるんだよ。で、『YELLOW DANCER』もそうだったじゃん。

オノウエ:そうだったね。

カンノ:だから僕が「ギフト」という楽曲を聴いて思い出したのは「地獄でなぜ悪い」なんですよ。

カンノ:それをもっとエンタメ業ないしサービス業方向に特化させたと思うの。で、本来はこの路線にsumikaがいたと思うの。

カンノ:そのノリを、オーイシマサヨシがめっちゃまくったようなアルバムを出した気がしていて。星野源が『YELLOW DANCER』で作った道筋をsumikaが行ってたんだけど、猛スピードでオーイシマサヨシがやって来た。

オノウエ:なるほどね。

カンノ:あとよく聞く話で、オーイシさんはアルバイト時代が長かったエピソードがあるじゃないですか。だから、今手にしている音楽仕事を絶対に手離さないという意気込みを感じるよね(笑)

オノウエ:まぁ、その心意気はあるでしょうね。

カンノ:もちろん「エンターテインメント過剰」って悪い意味じゃないですよ。ただ、この人の野心家としての熱の強さは感じるよね。「一生これをやる」という意気込みが見えるJ-POPって度が過ぎてておもしろいなと思うんです。今回はこういうテーマです。

オノウエ:なるほどね。

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『SOMEOFTHEM OF PODCAST』はパーソナリティーのカンノアキオと聞き手のオノウエソウが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#サムオブ」をつけてツイートしてください!ポッドキャスト版では番組の最後に4択のJ-POPクイズを出題していますので、是非そちらもお聞きください!