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サムオブ井戸端話 #135『J-POPが嫌いだったときを思い出す』(前編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

前回の井戸端話で「J-POPが嫌いになったときのことを次に話そう」となったサムオブメンバー。そもそもMステが嫌いだったカンノメンバーと、多感な思春期の人間関係によってJ-POPが嫌いになったYOU-SUCKメンバーで、なぜJ-POPが嫌になったかを語りました。

 

 

カンノ:先ほどまで、「J-POPと体調」というタイトルの井戸端話をしておりました。

カンノ:そこでは、音楽を聴いているときの悦の浸り方の話になったとき、マニアックで知的好奇心をくすぐるような音楽を聴いて悦に浸る気持ちと、いわゆるJ-POPを聴いて悦に浸る気持ちって、次元は違うかもしれないけど同じなのではないかという話をしたときに、YOU-SUCKメンバーから「リスナーを突き放してくるミュージシャンっているよね」という話が出ました。加えて、「そういうミュージシャンを好きになるときは、これまで普通に聴いていたJ-POPミュージシャンを嫌いになるときだ」という話が出たので、一旦区切って、これから改めて深堀りして話そうということになりました。

YOU:J-POPが嫌いになるのって通過儀礼っぽいよねという話ですね。

カンノ:この話になった途端、すごく思い出したことがいっぱいありました。このサムオブ井戸端話も130回を超えて、2年くらい続いてます。ずっと音楽についてのおしゃべりを記事にしていますが、「そもそも子どものころの僕たちはそんなに音楽を聴く人たちだったっけ?」っていうね。少なくとも僕は音楽とかJ-POPが好きな人間じゃなかった。むしろ嫌いでした。それを思い出した。まず僕はMステが嫌いでしたから。

YOU:へぇ~、そうだったんだ。

カンノ:ひな壇にいろんなミュージシャンが座っていて、出番になったら歌って、ひな壇にいる人がそれを聴くのを毎回繰り返すじゃん。全部嘘臭くて嫌いだったんだよね。

YOU:そういう理由で嫌いだったんだ(笑)

カンノ:さっきの話のテーマで散々J-POPミュージシャンの話をしてきたけど、そもそもMステに出るようなミュージシャンが嫌いだったんだよね。

YOU:俺らが中学生のときって、クラスでORENGE RANGEとか大塚愛が流行ってて、みんな聴いてたじゃん。

YOU:で、中学生のときってスクールカーストがうっすら意識され始める時期じゃないですか。クラス内のイケてるやつとイケてないやつの格差、彼氏彼女ができるやつとできないやつで分かれてしまう話。で、当然僕はイケてない側だった。流石に今、大人になってそれを引きずったりしているわけではないけどね。で、イケてないやつを虐げるイケてる側の人間が聴いてたのが当時流行っているJ-POPだった。最初は普通に俺もJ-POPを好んで聴いてたんだけど、だんだんムカつくようになってくる。「虐げるやつが関わっているものはクソだ」みたいな気持ちになる。「だったら俺は違うものを聴いてやる」という逆張り的な気持ちで、クラスの数少ない友達から教えてもらったアジカンストレイテナーをはじめとした、ロッキング・オン・ジャパンにとりあげられるバンドを聴き始めるんですよ(笑)

カンノ:それは中学生のとき?

YOU:中3くらいだね。だから「こいつらとは違うものを選んでいる」という感覚だよね。もちろん今にして思えばかわいいもんだし、2005年くらいのアジカンストレイテナーならイケてるやつだて普通に聴いてたと思うけど(笑)だけど、「お前らが聴いてるものより、俺が聴いてるもののほうが重いぞ」という気持ちがあったというか。そういう意味でいうとJ-POPが嫌いというよりは、J-POPが受け入れられている土壌が嫌いだったかも。「お前らノッてるし聴いて感動してるっぽいけど、お前らのやっていることは本当にクソみたいなものだぞ」と思っていた気がする。「俺は違う」と。もちろんこれを「ただの中二病」と切り捨てることは簡単だしそれは正しいけどね。で、「俺は違う」と思ったときに、「この違った俺を受け入れてくれる音楽もあるはず」って思ったんですよ(笑)

カンノ:アハハハハッ!

YOU:それがART-SCHOOLとかSyrup16gとかね。

YOU:もちろん、何かが嫌いだから、別のなにかを好きになるっていうのは、また違った問題があると思うけど。でも今になって、この一度なにかを「嫌いだ」と思うこと、そうじゃない別のなにかかを逃げるように好きになるのは、自分にとって必要だったと思ってるんだよね。むしろ嫌いになってよかったなとも思うし。だって自分が虐げられているやつと同じものを好んで聴いてたりしたらさ、今後もそいつらとずっと同じ価値観なのになんとなく虐げられ続けていくわけでしょ。超辛いよ、そんな人生は(笑)

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