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Radio OK?NO!! Podcast #009「m-flo loves ドラフト」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組内で紹介した楽曲のプレイリストと、放送後記も記載します。今回は2021年8月8日に放送したm-flo loves ドラフト」を配信します。

 

#009「m-flo loves ドラフト」放送後記

カンノ:「m-flo loves」という企画性がやっぱり面白いなと思ったんですよね。あえて「feat.」と呼ばずに、自分たちの独自性を打ち出すために「loves」という表記を使うことが。まぁ、お互い「次にm-floがlovesをやるなら、このアーティストが選ばれるのではないか?」というのを選びましたが、上野君はLiSAと東京スカパラダイスオーケストラ feat. 宮本浩次長澤まさみでしたね。宮本はキツくない?

上野:宮本は単純に見たいなってね。

カンノ:宮本が参加したm-flo楽曲はどうなるんだろう?まぁ、宮本クラスになると普通にメジャーな曲になるか。

上野:曲自体を宮本に合わせにいくってことではないと思うね。

カンノ:m-flo loves 和田アキ子みたいな感じになりそうだよね。

上野:そうそう、そういうこと。

カンノ:僕はTERIYAKI BOYZの復活を見れたらいいんじゃないかって感じですね。

上野:そうだね、TERIYAKIは見たいね。

カンノ:でも、あの「loves」という興行のやり方はあの時代のときのものって感じなんだろうな。

上野:最近もちょっとずつやってみてるっぽいけどね。

カンノ:でももうLISAがメンバーに復帰してるから「多い!」って思っちゃうよね。

上野:シンプルにね。

カンノ:もともとはLISAが抜けたから始めた「loves」だからさ、今はもうやる意義がないと言えばないんだよね。☆Taku Takahashiも自分のラジオで「今、lovesをやるなら」みたいな話をしてるんでしょ。それって「loves」が過去のもの設定だもんね。

上野:そうなのかもしれないね。まぁ、「m-floが今、lovesをやるならこの人ではないか?」というのを勝手に選んでみましたと。

カンノ:みなさんも「こんなlovesがあったらいいな」と考えてみてください。

上野:☆Taku Takahashiにお便りを送ってみてはいかがでしょうか?

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年8月29日(日)「キャラ変クイズ」です。お楽しみに!

サムオブ井戸端話#005「"呪い”から解かれるとき~星野源とオードリー~」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

星野源には呪われましたか?」とカンノメンバー。表現やカルチャーにドハマりすることを「呪われる」としたときに、その「呪い」から解かれることについて語り合いました。

 

カンノ:みなさんは星野源には呪われましたか?

オノウエ:さっき「キャリアが長くなったミュージシャンに対して途中で失望する瞬間がある」って話をしたけど、星野源はそれです(笑)

カンノ:こっちが勝手にね(笑)

YOU:星野源に関しては「お前、そんなんじゃなかったじゃん」の一言だよね。

オノウエ:本当にそれ。

YOU:いや、それでいいんだよ。人は変わるから。でもなぜか星野源に対しては「お前、そんなんじゃなかったじゃん」って言いたくなる(笑)

カンノ:「そんな良い奴じゃないに決まってる!」って(笑)

オノウエ:こっちが勝手に呪われて勝手に失望していくんだけど(笑)で、それはアーティスト側は負担に思ってるはず。この前『あちこちオードリー』で星野源もそんな話してたけど。「勝手に自分になにか託されて、勝手に裏切られる」っていう。

YOU:それをちゃんと話すのは偉いよね。

カンノ:俺は学生時代が星野源とオードリーが呪いだったからね。『あちこちオードリー』で星野源が若林に「あなたは日本のテレビ界の希望です」みたいな話をして、若林が「どうも希望でーす!」って言ってたけど、俺からすると「希望」と「呪い」は表裏一体ですから。こっちはその「希望」に苦しめられてたから、勝手に(笑)

YOU:ラジオも2組とも長いもんね。

カンノ:ラジオって呪いをかけるやり方の一つだよね。

オノウエ:カンノは星野源やオードリーの呪いが解けた瞬間っていつなの?明確にどこかのタイミングで呪いが解けたじゃん。

カンノ:そうだね、ラジオも聞かなくなったしね。星野源の呪いはSAKEROCK解散くらいのときに解けたかな。やっぱり2015年のときにSAKEROCK解散して、カクバリズム抜けてアミューズ行って、紅白出てってタイミングでそんなに必要としなくなったかな。オードリーはいつだっけかな~?思うのが、こういうのって自分の体調次第で呪いのかかり方も変わってくるじゃん。自分自身の心身ともに体調がだんだんと良くなってきたタイミングでオードリー若林の持つ自意識の語り口みたいなものが必要なくなってきたのはあるかな。

オノウエ:健康になった(笑)

カンノ:そうそう(笑)オードリーや星野源って不健康のときに効くお薬だから。

YOU:なるほどね。

カンノ:体調が良くなったから摂取しなくなった。卒業した感覚はあるかも。特にオードリーは「もういらなくなった」という感覚は強いね。

YOU:病みがちな人はある一定のそういうものは必要だったりするもんね。

カンノ:だって『社会人大学人見知り学部卒業見込』なんてめちゃくちゃマーカー引いて読んでたよ。あの薬はすごく効いたね(笑)そういう薬がもう必要なくなった感覚だね。

オノウエ:「卒業」ね。なるほど。

YOU:そればっかりだと生活なんてままならないからね。

カンノ:ただ卒業したのが29歳くらいだから、めちゃくちゃ遅い(笑)たった2年前ですよ。27歳くらいまでは絶対に必要な薬だったから。

YOU:今までカルチャーを「呪い」とか「薬」みたいなかたちで喋ってきたけど、一方でカルチャーから小ざっぱりしたかたちで「卒業!」って感じで仕事に勤しんでいる人や生活を頑張っている人を見ると、それはそれで悲しい気持ちになるんだよね(笑)「お前、昔はカルチャー好きだったじゃん」っていう。

カンノ:完全に映画『花束みたいな恋をした』の話だね。

YOU:俺はあの映画を観て号泣したんだけど(笑)、なおさら俺は「菅田将暉みたいにはならないぞ!」って思ったよね(笑)

カンノ:それは『花束みたいな恋をした』に呪われてるね(笑)音楽の話に戻すと、やっぱり一大ムーブメント的な呪いはないよね。「ハイスタ世代」とか「渋谷系」とか。

YOU:そういう呪いはないね。島宇宙化してる。

オノウエ:たしかに、小さいものがポンポン出てきているだけ。

カンノ:手足がしびれる程度の小呪いしかないよね(笑)

YOU:その小呪いのすべてが社会的に承認されるかのような勘違いをしている人が多いよね。

カンノ:それは自分のTwitterのタイムラインしか見てないんでしょ。自分のフォローしている人だけで構成されたタイムラインと世間とのズレってすごいもんね。

YOU:たまに「映画が好きで1日2本観てるんです」みたいな人がいるわけですよ。でもそれって堂々と言うことじゃないよね。

カンノ:僕たちの知り合いで身内音楽収集家(学校の卒業式での合唱や町内会の合唱団などのCDやレコード集める人)である数の子ミュージックメイトさんが言ってたことだけど、「言わない趣味を持っている人がマジ」って本当にそうだと思うな。

YOU:「言わない人がマジ」はそうだね。

カンノ:やっぱりTwitterとかで言った時点で、その発信した人の意図や野心があるわけだから。「映画を観ました」っていうのも「映画を観た」ということを言うことによる承認欲求を満たすためとか、そういうことを仕事にしたい意図だとかね。本当の人ってSNSもやらず、ただそれを粛々とこなす人だからね。まぁ、それが一番の「呪い」だけどね(笑)

オノウエ:その人は一生解除できない「呪い」にかかってるよね。

カンノ:素晴らしい人ですよ。

オノウエ:一番ヤバい奴は、誰にも言わない。

カンノ:肩書にもしない人が最強ってことです。

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Radio OK?NO!! Podcast #008「うっせぇわ特集」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組内で紹介した楽曲のプレイリストと、放送後記も記載します。今回は2021年8月1日に放送した「うっせぇわ特集」を配信します。

 

#008「うっせぇわ特集」放送後記

カンノ:いろんなうるさい曲を流しました(笑)「うるさい」っていろんな面で語れるじゃないですか。音圧はもちろん、「歌詞がうるせぇな」とか(笑)歌っているときのうるさい顔が浮かんでくる様子とか(笑)

上野:圧が強いってことだよね(笑)

カンノ:そういうことを考えると、Adoの「うっせぇな」はまだまだ圧が足りないですね(笑)

上野:Adoの「うっせぇな」は全然静かでしたね(笑)

カンノ:いろんなうるさい曲を流しましたが、たとえばFLOWの「贈る言葉」を流しました。発売当初の2003年に僕はこの曲に対して「海援隊贈る言葉をこんなうるさい曲にしやがって!」と結構怒っていたんですが(笑)、時間が経つと気付きますね。「海援隊贈る言葉がそもそもうるさかった」と(笑)

上野:下手するとそっちのほうがうるさい気がする(笑)

カンノ:FLOWの「贈る言葉」はもうかわいいもんね(笑)「武田鉄矢のほうが全然うるさいな」っていうか(笑)

上野:武田鉄矢ってうるさいよね(笑)

カンノ:あとドリカムの「何度でも」を流したじゃないですか。あのじわじわくるうるささ。だんだん首を絞めてくる感じ(笑)ちょっと面白いなと思ったのが、大多数の人があの曲で励まされているという事実。

上野:まぁ、そうだろうね。

カンノ:でも、そこから零れる人もいるはずだよね。

上野:昔、有吉弘行ベッキーにつけたあだ名みたいなことだよね。「元気の押し売り」っていうあだ名があったじゃん(笑)

カンノ:たしかに「何度でも」は元気過ぎる(笑)

上野:あれにやられちゃう人も少しはいるってことだよね。

カンノ:「何度でも」で励まされる人は9割以上いると思うんだけど、1割未満はちょっときつくなって泣いちゃう人もいる気がしたんだよね。そういう意味での「うっせぇわ」って感じですかね。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年8月22日(日)「今更ミュージック特集」です。お楽しみに!

イベント『ハードオフで非売品だけを買う男』一部文字起こし

8月21日(土)に下北沢THREEで『ハードオフで非売品だけを買う男』というイベントを行います。身内音楽収集家(学校の卒業式のCDや町内会の合唱団のレコードなどを集める人)である数の子ミュージックメイトさんから最近収集したCDやレコードをカンノアキオがお話を伺うトークイベントです。今回は、前回5月4日に行われたイベントの一部文字起こしを掲載致します。面白いと思った方は是非、8月21日(土)のイベントにお越しください!

 

カンノ:最近のハードオフはどうですか?

数の子:みんな知ってるかな?「新型コロナウイルス」というのが流行していて…。

カンノ:知ってるよ!

数の子:それで結構、人が少ないんですよ。これはあるあるなんですけど、ハードオフに入ったらレコードを探している人がいました。それでまた別のハードオフに行きます。するとまた同じ人がいたりするんです。そういうことがコロナ前は頻繁にあったんですけど、最近はレコードを見ている人がそんなにいないですね。

カンノ:メルカリとかになっちゃってるんですかね。

数の子これは結論じみてるんですけど、ハードオフでレコードを探してもそんなに良いのは出て来ないです(笑)

カンノ:アハハハハッ!

数の子:俺が探しているようなレコードは出るけどね。

カンノ:レコ屋としてはそんなに活用し甲斐がない感じですかね。

数の子:そうだね。所謂「和モノ」とか「山下達郎のレコードが欲しい」とか思って行っても、あるっちゃあるけどそれなりの値段が付いていて、レコード屋で買うのとあまり変わらないんですよ。それが正直なところですね。

 

カンノ:じゃあ早速、曲を聴いていきますか。

数の子:まずは僕がどんなレコードやCDを探しているのかをちゃんとお伝えしたほうが良いかなと。これはちょっと前に神奈川県のハードオフで見つけたCDなんですけど。横須賀市立の中学校の1995年度の卒業記念のCDですね。最初に言っておくと、こういう卒業記念のCDってあまり見つからないんですよ。レコードはいっぱい出てくるんですけど、CDは全然出て来なくて。これは相当久々にハードオフで手に入ったCDですね。まずはこれを聴いて、「この人はこういうものを探しているんだな」と思ってもらえたら。もちろん非売品です(笑)

上野:「非売品が買える」ってどういうことなんですか?(笑)

数の子:矛盾してますよね(笑)「非売品が買える」「非売品を売っている」(笑)まぁ、でも出てくるんです。

カンノ:何を聴きますか?

数の子:じゃあ3年3組の「さようならの季節に」という曲を聴きましょう。最初のナレーションも面白いので。

カンノ:合唱の前に生徒が今までの感謝を述べたりするやつですね!良いですね。まぁ、学校の合唱のテンプレートですよね。

数の子:そうだね。これを聴いたら身内音楽とは何かが分かると思います。聴いてみましょう。

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(拝聴)

カンノ:語りの生徒、舐めてるな~(笑)

上野:「反省しています」だって(笑)

カンノ:本読みが0点ですね(笑)

数の子2人目の子の声が舐達麻のG-PLANTSに似てるんだよ(笑)もう1回聴こう(笑)

(拝聴)

上野:クラスって30人ぐらいいるじゃないですか。何でこいつを選んだんでしょうか?(笑)

数の子:分からないよね~。

カンノ:ガキ大将感が強い人が選ばれてるよね。野球部っぽい声というか。意外と合唱自体はそんなに下手でもなく聴けますね。やっぱり最初の生徒の挨拶の出オチ感が半端ない(笑)

数の子:まぁ、僕はこういうのを集めています。今さっきG-PLANTSが喋っていましたが(笑)、他のクラスでも語りがあるので聴いてみますか。では3年4組の語り部分だけ。

(拝聴)

カンノ:良いですね。「まとまりました」と言ってますが、まとまってはいないでしょうね(笑)

数の子なんかお喋りが達者じゃない人を選びがちだよね(笑)そういう人を逆に選ぶことで、参加意識を高めるというのはあるかもね。学校の思惑として。

カンノ:でもやらされている子には大分重たい罰ですよね。

数の子:まあね。CDに残っちゃうからハードル高いよね(笑)でもこれをやらなきゃどうせこいつらは歌を歌わないからということで、そういう子たちをチョイスして喋らせるという風になったんだと思うけどね。

カンノ:ガラの悪い子が選ばれてる感はありますよね。

数の子:前向きじゃない子だよね。その辺りが見えてくるのも面白いですよね。

 

カンノ:ハードオフに行ったら、大体何枚ぐらい身内音楽のCDやレコードは手に入るんですか?

数の子:平均したら2枚ぐらい。というのは、見つからない店もいっぱいあるし、たくさん見つかる店もあるから、平均したら2枚ぐらいかなと。

カンノ:じゃあ2枚手に入ったらもう御の字なんですね。

数の子:そうだね。手に入らない店もいっぱいあるからね。いっぱい出てくるときはいっぱい出てくるんだけど…。

カンノ:「いっぱい出てくる」ってあるんですね。その「いっぱい出てくる」店って何なんですか?非売品なんでしょ?(笑)

数の子いっぱい買い取ったんでしょうね(笑)

カンノ:バカ店員が?(笑)

数の子:当たり前ですが、身内音楽は非売品なのでハードオフもそりゃ買い取らないんですよ。

カンノ:そうだと僕も聞いてますよ。

数の子:マニュアル上は弾きます。とはいえ、ハードオフも買い取るときってそんなに1枚1枚ちゃんと見て、ということもしなくて。

カンノ:例えば引っ越しのときに大量に売ったときに見過ごしちゃうとか。

数の子ダンボール箱のまま買い取ってね。それでハードオフにはジャンクコーナーというのがあって。「返品は出来ないし、壊れて聴けないかもしれないけど、それでいいなら安く売りますよ」っていうコーナーがあるんです。それでハードオフは普通にレコードのコーナーもあるんですけど、そこはちゃんとビニールに入ってて、検盤もされていて、すごく綺麗で、しかも今はネットが発達しているからちゃんと高めな値段が付いているんですよ。そういうコーナーもあるんですが、基本的に僕はそこは見なくて、ジャンクのレコードのコーナーを見ていて。そうするとこういうものがたまにチラッと出てくるんですけど、元々は買い取りはしません。でもたまに出てきちゃうということですね。あと新入荷があるハードオフには割と身内音楽は出てきがちですね。新入荷ってジャンクコーナーというよりは、お店のレジのところとかに積まれていることが多くて。レコードやCDが。そこには買い取ってすぐのものとかが置いてあることが多いんです。割とそこで見つかることが多いのですね。これは身内音楽に限らず、どのジャンルの音楽でも言えますが、割といろんなものが出てきますね。ただ、ローカルという人たちがいて。

カンノ:ローカル?

数の子「ローカル」って僕は呼んでるんですけど、ハードオフのようなお店に毎日のように行っている無職のおじさんのことです(笑)

カンノ:アハハハハッ!

数の子:多分超暇で、毎日行って何も欲しいわけでもないのに見て帰るおじさんが、どの店にも必ずいるんですよ。そういう人たちって目新しいものを見ると安いから買う感じで、惰性で動いてるんですよ(笑)

カンノ:惰性のルーティーン(笑)

数の子:だからレコードとかも別に欲しくもないのに買うんですよ。毎日来てるから、店のものも全部知ってるんですよ。だから珍しそうなものを見つけたら買っちゃうんだよね。

カンノ:聴きもしないのに。

数の子:そうそう。僕も大学のときにブックオフでバイトしていて、ブックオフにもローカルがいるんですよ。その人も別に欲しいものもないのに毎日来て、やたら新入荷のものを上手く取って買っていくんですよ。毎日見てるから、この店に普段ないものが分かるんですよね。それでレコードやCDに限らず、パーツとかもローカルは毎日見てるから(笑)

カンノ:なるほど、「キラキラした石、見つけた!」みたいな。

数の子:そうそう!ジャンクって基本はレコードやCDよりもパーツとか壊れた機械とかがメインに置いてるので、割とそういうものを漁って、「おっ、これは新入荷だな」と思って買われていくと思うんですよね。

カンノ:もうそれは収集癖ですよね。

数の子:そうそう。多分ゴミ屋敷なんだよ。なんとなく買っちゃう惰性の動きになってるローカルが買っているような気がするね。だから身内音楽を集めるときも、同じようなものを集めているライバル的な人というよりは、ローカルのほうが僕にとってはライバルですね。

上野:名前を付けてるのがすごいな…(笑)

数の子:ローカルが面倒臭いのは、僕なんかは3人ぐらいでまとまって行くんですよ。それでハードオフに行くじゃないですか。多分、物珍しいんでしょうね。ローカルも「新参者が来たぞ」と思うんですよ。そうするとなんか寄って来るの(笑)「なんか面白いものがあるのかもしれない」と思われて、必要でもないのにレコードとか見出すわけ(笑)それが邪魔なんだよね(笑)

カンノ:ハイエナだ(笑)

数の子:それでレコード棚って重たいから下のほうにあるの。3段あれば一番下のところとかに。その上は大体CDや昔のプレイステーションのソフトとかが並んでて。ローカルがそっちを見出していると、「俺、その下の棚が見たいんだけどなぁ」って思っちゃうの(笑)「足邪魔だなぁ~」とか(笑)だからローカルは本当に面倒臭いんですよ!

カンノ:初めて聞けたワードでしたね、「ローカル」は。

数の子:1店舗に2~3人のローカルはいるからマジで注意ですよ。「ローカルは注意」はハードオフに行くときは覚えといてください!

 

ハードオフで非売品だけを買う男』

8/21(土)@下北沢THREE

OPEN 12:00 START 12:30

1ST DRINK ¥1,000

出演:数の子ミュージックメイト、カンノアキオ

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サムオブ井戸端話#004「サブスク全盛時代での音楽の”呪い”」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

ミュージシャンに憧れてハマることを「呪い」としたときに、「そういった呪いはサブスク全盛の時代で成立するのか?」とオノウエメンバー。3000円払ってアルバムを買うことと定額で音楽を聴くことの聴取態度の違いや、人をカルチャーの沼にハマらせる「呪い」を持続させる仕組みについて語り合いました。

 

カンノ:たとえば「ミュージシャンになりたい」という思いって「ミュージシャンになりたい」と思わせるなにかがあってそうなるわけじゃないですか。ここではそれを「呪い」と呼びましょう。そこでみなさん、それぞれ「呪い」ってありませんか?「これがあったからこうなっちゃった」みたいなやつ。逆に言えば「これさえなければもうちょっとまともに生きられたのに」とも言えるんだけど(笑)そういうのってありますよね。

オノウエ:それぞれあると思う。あとキャリアの長いミュージシャンにどこかのタイミングで失望する瞬間ってあるじゃん(笑)

YOU:そうね、勝手にね(笑)

オノウエ:勝手に呪われて、勝手に裏切られた気持ちになってるんだけど(笑)

YOU:「お前、あのときにかけた俺への呪いはなんだったんだ!話が違うじゃないか!」(笑)

オノウエ:そういう勝手な被害者意識みたいなやつね。そういう「呪い」って今存在するのかな?僕らやその上の世代ってちゃんと呪われてきたと思うんだけど、今の若い世代って誰に呪われているんだろう?こと音楽の世界に関して。

YOU:「呪い」って言葉だと観念的すぎるけど、ようは「ハイスタ世代」みたいな言葉だよね。みんなハイスタのコピバン組んでたみたいな。

オノウエ:俺が知らないだけなのかもしれないけど。なんでこれを思ったのかというと、サブスクの時代における音楽聴取の態度ってどういうものなのかが根本的に俺はあまり分かっていないんです。たとえば僕らの時代だったら、今月のお小遣いが3000円しかないのに3000円でアルバムを買っちゃうわけじゃん。で、買っちゃうと呪われるの(笑)

カンノ:来月3000円が入ってくるまで、このアルバムを聴き続けなければならない。

オノウエ:そうそう。それで今のサブスクの聴取態度でそういった呪いは発生し得るのか。そこから考えると、まつきあゆむがやっていたモデルは結構良かったんじゃないかって最近思うようになった。

カンノ:まつきあゆむはどういうモデルだったの?

オノウエ:まつきあゆむはCDを無くしただけなんだよ。2000円払ってMP3が来るっていう。

オノウエ:で、CD代としての3000円みたいなものを払ってるじゃん。あの方向に音楽のデリバリーの仕方が行かなかったよね。CAMPFIREみたいなモデルにもうちょっとうまく使われたら良かったのかもしれないけど。だからサブスクみたいな定額でばら撒かれるものって「呪い」は生まれにくいのかなって思ったんだよね。モノに対する執着って、その作品に対するインパクトもあるけど、「俺はこんだけ金を払った」というのもあるじゃん。「金を使っちゃった」っていう。それってもう嫌いになれないじゃん。嫌いになることすらできないんだよ。なぜなら金を払っちゃったから。

カンノ:ザルな商売だね(笑)

オノウエ:それもある種、共犯な仕組みだよね。

カンノ:しかも3000円払う前から呪いにはかかってるわけだもんね。呪われたから3000円払ってるんじゃないの?

オノウエ:たとえば「これ良さそう」と思うミュージシャンがいて、シングルを聴くには1000円が必要じゃん、自分の環境で聴くには。だからお金を払うしかない。その「お金を払う」行為をもって呪いが成立していて。逆に言うと、払わなかったから呪われなかったとも言える。

カンノ:お金を払ってCDを買おうかどうか悩んでいる状態は「半呪い」だ。

オノウエ:そうだね。CDを買おうかどうか悩んでいるときは半分呪いにかかっていて、CDを買ったら完全に呪いが成立する。

カンノ:霊的効力が財布からお金を出させようとする(笑)

YOU:後先考えずにアルバムを買っちゃう瞬間はあったよね。

オノウエ:そういうものって今はあるのかな?あと、まつきあゆむの仕組みがもうちょっと一般化していたら、良いか悪いかは一旦置いといて、ちょっと状況が違っていたのかなと思うわけです。っていうのは、一発屋で売れる人たちがボンボン出てくるみたいなことにはならなかったのかなって。持続性の問題というか。持続させる方法って「どれだけ呪われた人を多く作るか」じゃん。あと同時に自分が思うのは、僕はもう最近なにかにハマるような体験がほとんどなくなっちゃってるんですけど。それは仕組みのせいにしてはいけないんだけどさ。

カンノ:好きなものがないってこと?

オノウエ:昔みたいな熱量で接せられるものってないんだよね。

YOU:それは老化なんじゃないか?(笑)

オノウエ:老化なんだけどね(笑)

YOU:多分、今の若者は今の若者でなにかほかの文化にちゃんと呪われていると思うよ。

オノウエ:そういうことを知りたいんだけど、どうすれば知ることができるんだろう…?

カンノ:10代と喋る機会がないもんね。2人は妹がいるけど、なにかにハマってたりしてる?

YOU:うちの妹は普通にジャニーズかな。

カンノ:なるほどね。

YOU:ジャニーズって呪いの再生産をちゃんと成功させてるから(笑)

オノウエ:「呪いの再生産」(笑)

YOU:芸能史的にいうと、今めちゃくちゃゴタゴタしててさ。最近もマッチが退所したりさ。ゴタゴタしてるけど、でも若い子からしてみると、マッチが抜けようが関係ないよね。

カンノ:ジャニーズのカウントダウンコンサートで先輩の往年の楽曲を歌っても関係ないもんね。

YOU:そうそう。すごいのが、ちゃんといる人だけで盛り上がれるんだよ。抜けた人に対してそんなに思いを馳せていない。ようはアイドルってちゃんと呪いの再生産の機能ができているんだよ。

オノウエ:そっか、ほかの文化には再生産の機能ができていないのか。

YOU:たとえば「このレーベルのミュージシャン、全員推しです」みたいな機能が今はないよね。供給側も需要側もそんな意識なくて。ちょっと前の東芝EMIって「こういうロックバンド集めました」って感じがあったじゃん。Victorがやってる『ビクターロック祭り』はかなりマシなことやってると思うもん。「日本のロックをうちのレーベルから打ち出していきますよ」という意思は分かるじゃん。テクノだと「Warp Recordsのアーティスト、いっぱい聴いてます」みたいな。それが呪いの再生産の仕組みなんだと思うんだよ。

オノウエ:そうだよね。呪いを解いちゃいけないんだもんね。呪わせ続けないといけない。

YOU:それでいったら音楽よりも映画のほうが呪いは強い気がするな。もっというとMCUね。MCUって超巨大な呪いなんですよ。既存の作品ですら量が多くて観るのが面倒臭いけど、呪いにかかる人はどんどんコンテンツを消費して、グッズ買って。スターウォーズとかもそうかもしれないけど、直近だとMCUかな。

オノウエ:それでいうと、僕は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ですね。『シン・エヴァ』を観るために『エヴァンゲリオン』は全部観ました。

カンノ:ハマってるもの、あるじゃん(笑)

オノウエ:でもそれは『シン・エヴァ』が上映されるから観るのであって、ようは終わりを知るために観てるの。だから僕は呪われていません(笑)でも当時、リアルタイムで観ていた人はこの『シン・エヴァ』に対してめちゃくちゃ怒ってるじゃん。あれは「俺たちにあれだけの呪いをかけたのに、綺麗に呪いを解こうとするなよ!」っていう怒りが出ている気がした。

YOU:いや、本当に大人になってほしいよね。「いつまでもアニメなんか見てんじゃねえよ!」って思ったよ。

カンノ・オノウエ:(笑)

オノウエ:でもそれこそがあの映画のテーマだったけどね。「大人になれよ」って。碇シンジは大人になっちゃったからね。

YOU:「大人になっちゃった」って結構大事なことだと思っていて。「大人になっちゃった」ということに対して、ギアを思春期のままにするんじゃなくて、ちゃんと諦めるってことは大事だと思うんですよね。まぁ、こと音楽に関しては呪いの磁場はなくなってきている気はするね。アーティストそれぞれで小さな呪いはあるだろうけど、「〇〇世代」って呼ばれるようなミュージシャンの呪いはないよね。

カンノ:たとえばヒゲダンに呪いの作用はない気がする。

オノウエ:ヒゲダンからは魔術の匂いはしないよね(笑)

カンノ:ヒゲダンによって人生を変えられる気はしない(笑)

YOU:ポルノグラフィティっぽいよね。

カンノ:分かる。ポルノは基本、人を呪わないよね(笑)

YOU:ポルノのすごいところはそこ。誰も呪っていないけど、誰にも嫌われてもいない。

オノウエ:でもYOU-SUCKメンバーは数少ない、ポルノグラフィティに呪われた人なんじゃないの?

YOU:俺はポルノに呪われたね(笑)ポルノグラフィティを一時期聴きまくっていたせいで、音楽的に詳しくなったほうがいい部分をあまり詳しくなれなかった(笑)

オノウエ:逆に「ポルノグラフィティ年表」を作れるくらいポルノグラフィティに呪われたからね(笑)

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Radio OK?NO!! Podcast #007「第2回東京特集」

OK?NO!!の上野翔とカンノアキオで市川うららFMにて『Radio OK?NO!!』を放送しています。そしてこの番組のPodcastが始動しました。楽曲部分をカットして、トーク部分のみを配信しています。ここでは合わせて番組内で紹介した楽曲のプレイリストと、放送後記も記載します。今回は2021年7月25日に放送した森内寛樹 vs 森進一カバー対決」を配信します。

 

#007「第2回東京特集」放送後記

上野:以前にも「東京」というタイトルの曲についての特集を行いました。

カンノ:そのときは70年代、80年代の東京ソングが多めだったね。「東京っていう曲はこういうイメージだよね」というベタなものをわりと流した感じだったね。

上野:「東京」という曲にはステレオタイプなイメージがいくつかあるという話をしたね。

カンノ:そして今回の「東京特集」は新しめの曲が多かったね。

上野:2021年の楽曲を多めにかけました。

カンノ:面白かったね。「東京」という曲の、いわゆる「欲望の街」とか「夢を追っかけて」とか「生まれ育った故郷を捨てて」とかステレオタイプなイメージがあるじゃん。もうそれとは全然違うね。

上野:共通認識としての「東京」がもうなくなってるんだよね。

カンノ:「東京で夢を追う」とかないもんね。そういうことを歌った曲が。

上野:もうないね。あと番組では喋れなかったけど、「東京」というテーマでイメージする具体的な場所ってどこなんだろうね。これはいろいろありそうな気がする。

カンノ:たとえば歌詞で「京王線」とか「中央線」とか出てきても、ちょっと記号に過ぎない感じはあるよね。絶対に「中央線」である必要があるのかと言われたら、そこまででもないというか。

上野:ちょっと「東京」というタイトル楽曲は引き続き定点観測していきたいなと思いました。

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『Radio OK?NO!!』は毎週日曜23:30から放送です!市川うららFMにて、是非お聴きください!インターネットでも下記リンクから聴取可能です!次回の本放送は2021年8月15日(日)「Sotte Bosseカバーイントロドン」です。お楽しみに!

サムオブ井戸端話#003「アニメ音楽の疾走感ロックサウンド問題」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

映画『映画大好きポンポさん』を観て、内容は面白かったが音楽が苦手だったと感じたYOU-SUCKメンバー。アニメ作品で使われがちな疾走感溢れるロックサウンドはいつ頃から出てきたのかを語り合いました。

 

YOU:『映画大好きポンポさん』って知ってます?

オノウエ:知らない。

カンノ:知らないっすね。

YOU:これは劇場公開しているアニメなんです。

YOU:簡単にあらすじを説明すると、舞台はハリウッドを模したニャリウッドという場所で、そこで映画制作会社の代表をしているのがポンポさん。彼女は幼女のキャラクターでロリロリな服を着てツインテールで。その子がめっちゃ映画に詳しくて、年齢は不詳。このポンポさんのなにが面白いかというと、映画の制作過程をリアルに描いているの。クランクインがあって、衣装選びがあって、本に対してどういう撮り方が効果的かなど、映画論が結構盛り込まれているんですよ。この作品は2017年にpixivコミックで無料でアップされたのがきっかけで書籍化されて人気になり映画化されたんだけど。

カンノ:そっか、もともとは漫画なのね。

YOU:そうそう。ポンポさんは作品では狂言回し的な人で、主人公はジーン君という根暗な映画好きで、ポンポさんのもとで下積みをしてるんだけど、才能を見出されて監督として成功していく話なんです。典型的なビルディングスロマンなんだけど。でも演出とかが結構面白くて、わりとテンポ良く観れるので僕は結構好きなんです。で、なんでこの話をしているのかというと、音楽がちょっとキツくて…。

カンノ・オノウエ:(笑)

YOU:この舞台はハリウッドを模したところなのに、日本のアニメで使われるような音楽が流れてくるから違和感を覚えるの。いわゆる歌い手文化の人とかVtuberの音楽なんですよ。ようは『化物語』の主題歌みたいな。

YOU:もっと分かりやすいところでいうと、米津玄師とDAOKOの「打上花火」とかね。あれもアニメ映画の主題歌だから。

YOU:なんかこの辺のイメージ分かりますかね?疾走感あるテンポでピアノが入ってて泣きのメロでギターがギュンギュン鳴ってるやつ。

オノウエ:日本的な壮大感だよね。

カンノ:新海誠×RADWIMPSなんかもそうだよね。

YOU:あの音楽だけはあんまり好きじゃなくて。たとえばなにか壁を突破するときの音楽が、いちいちエモかったりさ(笑)「こうやったらエモくなるんでしょ?」って感じ。

カンノ:壁を突破するときの音楽それ自体が全然音楽の壁を突破していない(笑)既視感バリバリなんだね。

オノウエ:その映画は音楽以外の演出も日本的なの?

YOU:日本的だね。ハリウッド女優みたいな女の子がいるんだけど、どう見ても日本のアニメの萌えキャラなの。ちょっとロリっぽいようなお姉ちゃん。そんでヒロインの女の子もロリっぽいドジっ子な感じ。それでポンポさんに至っては幼女だから。

カンノ:ギャグっぽいの?

YOU:ギャグ要素もあるけど、基本はちゃんとストーリーに沿ってる。

オノウエ:だから「ゴールがハリウッド」ってことがおかしいんじゃないの?

YOU:妙なアニメなんだよ。ハリウッドでアカデミー賞を獲ることがモデルなんだけど、ずっと日本のアニメのフォーマットで進んでいる面白さ。で、ポンポさんは幼女だけど年齢不詳で敏腕プロデューサーという設定で、ようは「ファンタジーですよ」っていう。

カンノ:「この世界はフィクションですよ」っていうことね。

YOU:それが示されてるからギリギリ見られる。でも音楽だけは許せない(笑)

オノウエ:なんか演出の整合性とかではなく、単純に「ムカつく」っていう話…?(笑)

YOU:透明感のある歌声を持った女の人がピアノとギターがギャンギャン鳴っているエモエモな音楽で、それで壁を突破する描写が「もうやめてくれ…」っていう(笑)

オノウエ:ああいう音楽とアニメの親和性ってどこから生まれたんだろうね?

YOU:『化物語』が大きい気はするかな。その前もあるけどね。たとえば『涼宮ハルヒ』のシリーズなんかは劇中歌が結構大きな意味を持ったりする。

オノウエ:なんかテンポがむちゃくちゃ早い電波系ソングとの親和性が高いのは分かるの。完全にマッシブな日本のアニメ表現とリンクする様っていうのは。でも米津×DAOKOみたいな壮大な感じとか、ああいう音楽とアニメの親和性が高くなったのはどこからなんだろう?これはセカイ系みたいな話なのかな?

YOU:日本のロックはほぼアニソンみたいな。よく「いろんなものがガラパゴス化されてる」なんて言われているけど、日本のロックって世界のトレンドとはちょっと違う流行り方してるじゃん。未だにロックバンドがちゃんとロックバンドとして売れているみたいな。なんでそれが保たれているかというと、アニメの影響がデカいんだと思う。ロックの音楽とアニメのストーリー展開が相互補完的に成り立ってて、それが未だに続いている感じがしたんですね。「これ以外の方法はないのか?」って思いつつ、「良い映画だったな」と思ってパンフレット買って出たんだけど、音楽だけはダメだった…(笑)

オノウエ:本当にダメだったんだな(笑)

YOU:『映画大好きポンポさん』が良かったのは、所謂「萌え系」と呼ばれるアニメの作り方のうえで、結構ガチなクリエイター賛歌みたいなことをやってるから、そこのギャップが面白かった。でも音楽がアニメ方向に寄せすぎてるんだよなぁ。あと映画のなかで映画をテーマにするなら、そこはむしろアニメに音楽を寄せなくても良かったんじゃないかなと思っちゃった。

オノウエ:「映画のなかで映画をやる」の演出が日本のアニメに寄せたことをやって、音楽はそのなかに入ってたってことだよね。

YOU:ちなみに劇中作は『MEISTER』って映画で、それは指揮者の話なの。だからクラシック音楽とかが映画のなかで鳴ってるわけよ。それなのにも関わらず、普通の日本のニコ動っぽい音楽というか、歌ってみた系のロックが流れてくるのが変だなと思っちゃった。

オノウエ:たしかに歌ってみた系って素人の文化じゃん。素人文化発の音楽がハリウッドを目指す映画のなかで使われているってたしかに変な感じがするね。

YOU:もったいないなと思っちゃって。あそこの音楽を差し替えるだけでもうちょっと印象が変わる気がする。

カンノ:たとえばどんな感じだったらまだマシになりそう?

YOU:歌がないとか。

カンノ:歌が入るとガッカリする感じってあるよね。

YOU:あとピアノがダサい、俺はこれをずっと言い続けてるけど(笑)

カンノ:お前は本当にピアノが嫌いだもんな(笑)あれだよね、「疾走感を生み出そうとするピアノの音」だよね。

YOU:そう、それが本当に嫌いなの(笑)

カンノ:ネット発の音楽が、ゼロ年代のころに多かった疾走感のあるロックバンド風な音が多いの、あれはなんでなの?

YOU:BUMP OF CHIKENの影響が大きいんじゃない?

カンノ:バンプは大きいかもね。

YOU:BUMP OF CHIKENとアニメ文化ですよ、犯人は(笑)

カンノ:バンプの影響下から動いてない感じはあるね。

YOU:バンプは『ワンピース』もやってるし『ファイナルファンタジー零式』っていうのもやってるし、幅広いんだよね。

カンノ:本人たちも好きだもんね。

オノウエ:「アルエ」だからね(笑)

カンノ:バンプの呪縛だ。

YOU:バンプは呪いですよ。バンプのせいで思春期の疾走感が量産され続けている(笑)

カンノ:制服を着たら走らなきゃいけない(笑)

オノウエ:思春期の呪いね~。

YOU:あんまりアニメとかは見ないんだけど、急にギャンギャンしたギターロックが流れてきて、疾走感や焦燥感や切なさを表さられると、アニメとのギャップを感じちゃう。

オノウエ:でも日本でビルディングスロマンをやろうとすると、どうしても音楽はそうなっちゃうんじゃない?

カンノ:アニメとロックバンドの親和性の呪縛はまだまだ強いよね。

YOU:現状ロックバンドはアニメにしかいないもんね。

オノウエ:そうやって生き残るしかないもんね。

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