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サムオブ井戸端話#005「"呪い”から解かれるとき~星野源とオードリー~」

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週火曜日にアップします。

 

星野源には呪われましたか?」とカンノメンバー。表現やカルチャーにドハマりすることを「呪われる」としたときに、その「呪い」から解かれることについて語り合いました。

 

カンノ:みなさんは星野源には呪われましたか?

オノウエ:さっき「キャリアが長くなったミュージシャンに対して途中で失望する瞬間がある」って話をしたけど、星野源はそれです(笑)

カンノ:こっちが勝手にね(笑)

YOU:星野源に関しては「お前、そんなんじゃなかったじゃん」の一言だよね。

オノウエ:本当にそれ。

YOU:いや、それでいいんだよ。人は変わるから。でもなぜか星野源に対しては「お前、そんなんじゃなかったじゃん」って言いたくなる(笑)

カンノ:「そんな良い奴じゃないに決まってる!」って(笑)

オノウエ:こっちが勝手に呪われて勝手に失望していくんだけど(笑)で、それはアーティスト側は負担に思ってるはず。この前『あちこちオードリー』で星野源もそんな話してたけど。「勝手に自分になにか託されて、勝手に裏切られる」っていう。

YOU:それをちゃんと話すのは偉いよね。

カンノ:俺は学生時代が星野源とオードリーが呪いだったからね。『あちこちオードリー』で星野源が若林に「あなたは日本のテレビ界の希望です」みたいな話をして、若林が「どうも希望でーす!」って言ってたけど、俺からすると「希望」と「呪い」は表裏一体ですから。こっちはその「希望」に苦しめられてたから、勝手に(笑)

YOU:ラジオも2組とも長いもんね。

カンノ:ラジオって呪いをかけるやり方の一つだよね。

オノウエ:カンノは星野源やオードリーの呪いが解けた瞬間っていつなの?明確にどこかのタイミングで呪いが解けたじゃん。

カンノ:そうだね、ラジオも聞かなくなったしね。星野源の呪いはSAKEROCK解散くらいのときに解けたかな。やっぱり2015年のときにSAKEROCK解散して、カクバリズム抜けてアミューズ行って、紅白出てってタイミングでそんなに必要としなくなったかな。オードリーはいつだっけかな~?思うのが、こういうのって自分の体調次第で呪いのかかり方も変わってくるじゃん。自分自身の心身ともに体調がだんだんと良くなってきたタイミングでオードリー若林の持つ自意識の語り口みたいなものが必要なくなってきたのはあるかな。

オノウエ:健康になった(笑)

カンノ:そうそう(笑)オードリーや星野源って不健康のときに効くお薬だから。

YOU:なるほどね。

カンノ:体調が良くなったから摂取しなくなった。卒業した感覚はあるかも。特にオードリーは「もういらなくなった」という感覚は強いね。

YOU:病みがちな人はある一定のそういうものは必要だったりするもんね。

カンノ:だって『社会人大学人見知り学部卒業見込』なんてめちゃくちゃマーカー引いて読んでたよ。あの薬はすごく効いたね(笑)そういう薬がもう必要なくなった感覚だね。

オノウエ:「卒業」ね。なるほど。

YOU:そればっかりだと生活なんてままならないからね。

カンノ:ただ卒業したのが29歳くらいだから、めちゃくちゃ遅い(笑)たった2年前ですよ。27歳くらいまでは絶対に必要な薬だったから。

YOU:今までカルチャーを「呪い」とか「薬」みたいなかたちで喋ってきたけど、一方でカルチャーから小ざっぱりしたかたちで「卒業!」って感じで仕事に勤しんでいる人や生活を頑張っている人を見ると、それはそれで悲しい気持ちになるんだよね(笑)「お前、昔はカルチャー好きだったじゃん」っていう。

カンノ:完全に映画『花束みたいな恋をした』の話だね。

YOU:俺はあの映画を観て号泣したんだけど(笑)、なおさら俺は「菅田将暉みたいにはならないぞ!」って思ったよね(笑)

カンノ:それは『花束みたいな恋をした』に呪われてるね(笑)音楽の話に戻すと、やっぱり一大ムーブメント的な呪いはないよね。「ハイスタ世代」とか「渋谷系」とか。

YOU:そういう呪いはないね。島宇宙化してる。

オノウエ:たしかに、小さいものがポンポン出てきているだけ。

カンノ:手足がしびれる程度の小呪いしかないよね(笑)

YOU:その小呪いのすべてが社会的に承認されるかのような勘違いをしている人が多いよね。

カンノ:それは自分のTwitterのタイムラインしか見てないんでしょ。自分のフォローしている人だけで構成されたタイムラインと世間とのズレってすごいもんね。

YOU:たまに「映画が好きで1日2本観てるんです」みたいな人がいるわけですよ。でもそれって堂々と言うことじゃないよね。

カンノ:僕たちの知り合いで身内音楽収集家(学校の卒業式での合唱や町内会の合唱団などのCDやレコード集める人)である数の子ミュージックメイトさんが言ってたことだけど、「言わない趣味を持っている人がマジ」って本当にそうだと思うな。

YOU:「言わない人がマジ」はそうだね。

カンノ:やっぱりTwitterとかで言った時点で、その発信した人の意図や野心があるわけだから。「映画を観ました」っていうのも「映画を観た」ということを言うことによる承認欲求を満たすためとか、そういうことを仕事にしたい意図だとかね。本当の人ってSNSもやらず、ただそれを粛々とこなす人だからね。まぁ、それが一番の「呪い」だけどね(笑)

オノウエ:その人は一生解除できない「呪い」にかかってるよね。

カンノ:素晴らしい人ですよ。

オノウエ:一番ヤバい奴は、誰にも言わない。

カンノ:肩書にもしない人が最強ってことです。

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