POLLYANNA、侍文化、サンプリエのギタリストであるqurosawaさんをお迎えして、オノウエ、YOU−SUCK、カンノと「人前で振る舞うこと」を中心とした音楽駄話(全5回)。第1回目はqurosawaさんがなりたいと思うギタリストのイメージの話から、ストーリーを持つギタリストにはスター性があり、その反対はエンタメ性、作家性だよねという話。
カンノ:クロサワ君と喋りたかったことって、エンターテイメントなギタリストになりたい方向の話をもうちょっと聞いてみたいなと思ってね。
qurosawa:その方向のイメージはROLLYですね。
カンノ:”ちんかす”ですね。
qurosawa:ROLLYに行き着くまでも色々あって。音楽の専門学校通ってたんですけど、ある社交性ゼロの同級生のギタリストが最高に好きだったんです。この学校は皆ドリーム・シアターが好きで…
オノウエ:あ〜、イメージ湧くなぁ〜!(笑)
カンノ:この時点で良い話だよね(笑)
qurosawa:その中で唯一、邦楽ロックとかレディオヘッドとかにも耳を貸してくれる、ジョン・フルシアンテとかポール・ギルバートとかが好きなギタリストなんですけど。
YOU:唯一の救いね(笑)
qurosawa:僕はその子に卒業まで勝てないと思ってて。その子のギターで泣いたこともあって。卒業ライブでレッチリの「Wet Sand」って曲をその子が演奏してて、その泣きのギターソロは僕は出来ないなと思ったんですね。そこから、「じゃあ、どうしよう?」って思って、ROLLYだったり。僕が参考してたのは日常系アニメだったんです。間の3,4話飛ばしたって別に支障なく、見たときに楽しめるという観点を参考にしたんです。
オノウエ:ストーリーがなくても楽しめるという話だよね、プレイとして。このバンドにコミットすると決めたら、バンドのストーリーに入り込むってことだもんね。それを飛ばして、いつでも見たいときに見たら楽しめると。
qurosawa:良くも悪くも内容がないですね。ストーリーが必要ないという方向は目指してます。
オノウエ:対して、カンノは完全にストーリーだもんね。
YOU:文脈しかない。
オノウエ:自分のライブの設計を全部ストーリーにしてるもんね。
カンノ:構成するのが好きだからね。
オノウエ:「これを見なきゃ分からない」とか、「これを知らなきゃ分からない」みたいなことをずっとしてるもんね。クロサワ君は、いつ誰が見ても楽しめる方向を目指してるからね。
カンノ:人の感情を揺さぶるようなギターを弾くというのは、ストーリーが必要だってこと?
オノウエ:その人が何でこの時にこのギターを弾くのかという理由ってことだと思う。
カンノ:こういう曲展開で、こうアガってきたから、こういうギターを弾くことが大事、みたいな?
オノウエ:それもそうだし、バンドのストーリーと個人のストーリーが乗っかってくることかな?
カンノ:そうじゃないという観点で参考にしているのがROLLYってことかな?
qurosawa:そう捉えている感じですかね。
カンノ:「ROLLYっていつ見てもROLLYだな」みたいな。
qurosawa:あぁ〜、そうですね。
YOU:ROLLYは文脈ないっすよ。グラムロックだけど、アホみたいなことしか歌ってないし。でもカッコいい。そして消費的であることに自覚があるギタリストだと思う。
カンノ:消費的であるギタリストね。なるほど。
qurosawa:かつ『さよなら絶望先生』に曲提供するみたいな作家的柔軟性もあって。
YOU:作家性の塊でもあるね。
カンノ:クロちゃん、作家願望もあるわけだもんね。
オノウエ:作家性や柔軟性って裏を返したら消費性だったりするよね。
カンノ:そうね、売れる曲を作るわけだからね。
オノウエ:聴く人に合わせてチューニングすることが出来る。
カンノ:「この時代、何が求められているのか?」が分かる人ね。
オノウエ:泣くギターを弾ける人ってチューニングは出来ないけど、付いて来てくれる人をどれぐらい作れるかだからね。
カンノ:ある種、スター性の方向ね。
オノウエ:カリスマとかね。
カンノ:変な話、クロちゃんは「俺はスターになれない、じゃあどうする?」だもんね。
qurosawa:所謂そういうスターになれないってことですね。恋もしてないし(笑)その劣等感はめっちゃあったんですよね。