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サムオブ井戸端話 #017「オレンジスパイニクラブがかわいい」(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、オノウエソウ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週水曜日にアップします。

 

前編で「軽音楽部っぽいものを愛でていることに気付いた」とカンノメンバー。後編では軽音楽部感のあるバンドでもいろんな種類のいることや、ほかに「愛で」の目線で見ているミュージシャンはいるのかという話をしました。前編は下記リンクから。

 

YOU:たしかに「軽音楽部っぽいものを愛でる」のは面白いね。今の話を聞いて俺は、自分たちより年上だけどナードマグネットというバンドにその「愛で」の目線がちょっとあるなと思った。

YOU:それでナードマグネットってWeezerとかパワーポップのバンドの影響下なんですよ。だから洋楽志向なの。でもオレンジスパイニクラブはあんまり洋楽の片鱗を感じないよね。

オノウエ:KANA-BOONが「アジカンエルレが好き」みたいな感じのニュアンスだよね。

YOU:同じ軽音楽部なんだけど、ナードマグネットのほうが部活内の居心地は悪そうだよね。

オノウエ:軽音楽部内のマイナーなやつらがナードマグネットってことだよね。

YOU:「みんなRADWINPSしかカバーしてねえんだよ」っていう文句を垂れてそう(笑)

カンノ:なかなかな印象論だけどね(笑)

オノウエ:あと気になるのは、今後カンノはオレンジスパイニクラブ的なバンドを自ら探して聴きにいくのかどうかだよね。

カンノ:オレスパはワーナーからのメジャー作品だから、売れた状態で知ったからね。

オノウエ:オレンジスパイニクラブをはじめて聴いたとき、俺らが大学生のころに流行ったBandcampの感じを思い出すというか。Bandcampとかにあって、そういう音源を掘ったりしたじゃん。そういうことをカンノが今後やるかどうか。愛でる対象をどんどん広げるのかどうか。

カンノ:オレスパは新譜を聴くことに疲れた状態のときに出会ってるから、疲れたときにそういった音源を掘る労力を費やせるかどうかだよね。

オノウエ:アイドルファンも仕事で疲れたときにたまたま見たアイドルにハマって、現場に行くようになってアイドル沼にハマっていくことってあるじゃん。その可能性があるかどうか。

カンノ:とりあえず現場には行く!

オノウエ・YOU:アハハハハッ!

カンノ:オレスパのライブには必ず1回は行きます。

オノウエ:いいね、ちゃんと沼に片足突っ込んでるね(笑)

YOU:でも分かるよ。俺もナードマグネットのアルバムをちゃんと買ったりしたもん。「軽音楽、やってんな~」って感じだよね。

カンノ:そう!「やってんな~」を感じられるの。あと「俺、高校のときこれやりたかったなぁ~!」とか。もうウキウキした気持ちになっちゃうの。

オノウエ:これは確実に加齢の話だな(笑)あとバンド側からしたら超ウザい話だな(笑)

カンノ:こんなファンはキツい(笑)

YOU:引き笑いで握手だね(笑)「今日は高音キツかったね~」とか(笑)

カンノ:最悪だね(笑)「俺にPAやらせてくれよ!」(笑)

オノウエ:面倒なオヤジだな~(笑)

YOU:カンノがそうなったら殺そう(笑)

カンノ:そうならないように努力はしますが(笑)やっぱりアイドルじゃなくて軽音楽部をかわいいと思う感覚はちょっと腑に落ちるんだよね。自分っぽいなと。

YOU:ギターを持った若者を見ると「ツェッペリンとか好き?」みたいに話しかけるロックおじさんとはちょっと種類が違うもんね。

カンノ:知識でマウントを取るとかはないね、あんまり知らないし(笑)ただかわいいだけだから。あと「こういう音楽をやる高校生活を過ごしてみたかったなぁ~」はあったかもね。

オノウエ:それは分かるね。

カンノ:「煙草吹かして~」みたいな歌詞や「女」って歌詞がよく出てくるんだけど、全然生々しくないんだよね。煙草は吸ってると思うんだけど、変な生々しさや嫌さはなくて。自分の言葉というよりは、すごく背伸びした感じの言葉に聴こえるんだよね。「若いな~!」と思わせる力だよね。あと「歌詞に出てくるセックス描写をどう表すか?」っていうのを勝手に「セックス大喜利」って呼んでるんだけど(笑)、オレスパの「リンス」って曲のセックス大喜利の回答がその1歩目みたいな歌詞で(笑)「君は大股開いて 慣れた顔で初めての春を知るのさ」っていう歌詞を聴いたときに、「うわぁ~、最初に書くセックス描写の歌詞っぽい!」って思ったり(笑)

オノウエ:95年生まれなんだね。

YOU:5歳下くらいか。

カンノ:2人は「愛で」の目線でミュージシャンを見ることはない?

YOU:betcover!!というソロのアーティストがいるんですけど、最近出した『時間』というアルバムがそれまでのとは全然違ってて。

YOU:すごいこもった音で、全曲1発録り。ダウナーでローファイな録音なの。それまでは宅録のソロプロジェクトなんだけど、いきなりバンドで1発録りになって。それを聴いたときに「やるじゃん」と思ってCD買ったよね。それまでは普通にいいなと思って聴いてたアーティストが急に化けたりすると「金、やるよ」っていう気分になる(笑)まぁ、「愛で」とは少し違うのかもしれないけど。

カンノ:化ける変化に愛着が湧く感じかな。まぁ、音楽に対して「愛で」を感じたのはかなり新鮮だったんだけどね。

オノウエ:「愛で」の感情って自分自身もある程度の年齢にならないと生まれないもんね。

カンノ:そうだね。

オノウエ:高校生のころにアイドルにハマるのは「愛で」じゃなくて「好き」じゃん。だからだんだんとその感情が僕らにも出始めるんですかね。

カンノ:僕は31歳になって出始めたのかもしれないね。それを自覚するようになった。

オノウエ:もうちょっとしたら出てくるのかなぁ~。でも35歳になっていきなりアイドルにハマるのはちょっとキツいよな~(笑)

カンノ:アイドルって技術とマーケットの両方を感じちゃうんだよね。当てる層は決まってるし、歌って踊れるパフォーマンス力や見せ方の技術の品評会に思えちゃって。愛でる気持ちは到底出て来ないというか。

YOU:だからその気持ちがアイドルには行かずに、軽音楽部に行ったと。

カンノ:だから結局、オレスパはかわいいんです。

オノウエ・YOU:アハハハハッ!

オノウエ:締めの言葉が出ましたね(笑)

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