身内音楽(学校の卒業記念や地域の合唱祭など、プロではない普通の人達が歌ったCDやレコードなど)を日夜集める数の子ミュージックメイトさんをお迎えして、カンノ、YOU-SUCKと「ディグ」についての駄話会(全6回)。第2回はエンタメ界に入ってくる「なんとなくな和」が善しとされる事と、身内音楽における「ソーラン節問題」について。
カンノ:様々な身内音楽を掘られているかと思うんですが、一番最新のCDって何年になるんですか?
カンノ:めっちゃ最近ですね。合唱のCDですか?
数の子:うん。メルカリで買ったかな。
カンノ:何が入ってるんですか?
数の子:それは俺らのときと変わらないよ。「消えた八月」とか、「親知らず子知らず」とか、「大地讃頌」とか。
カンノ:なるほど。古風ですね。
数の子:合唱曲って変わらないんだよね。多分、教育課程がそんなに変わってないから。学習指導要領みたいなのが。そもそも教科書とか指導要領みたいなのに載ってる合唱曲って変わってないんだよね。これからもまだ変わらないんじゃないかな。この20〜30年変わってないと思うよ。
カンノ:この前、荻窪のベルベットサンに『ジャニ研!』というイベントに行ったんですよ。ジャニーズについて語るイベントですね。そのメンバーの大谷能生さんが過去30年の音楽の教科書を研究された本を出されて、こちらもメンバーの矢野利裕さんは現役の教員なんですね。で、そのイベントで、ジャニーズのライブの映像を見ながら、ジャニーズ的な和の様式について触れてて。殺陣のシーンとかね。でもやっぱりおかしくて。
数の子:腹筋太鼓みたいな?
カンノ:そうですね。ジャニーズの舞台の中にめちゃくちゃ和の要素を入れ込んでいるんだけど、その和っていうのがかなり抽象的な和なんですよね。
カンノ:あぁ〜、えっと、外国人が思い浮かぶ和みたいな感じですかね。
数の子:桜、琴、川みたいな。
カンノ:そうですね。三味線!みたいな。だから日本人からすると、「これって本当に和だったっけ?」みたいな。で、その感じの和が学校教育にも普及していてという話があって。
数の子:これって俺がずっと前から思っている「ソーラン節問題」と繋がりそうだね。
カンノ:うわぁ、それ、すっごいありそう!
数の子:俺、学校がやるソーラン節がすごく嫌いで。身内音楽とソーラン節ってすごく近い距離にあるんだけど、すごく嫌いなんだよね。あの和ってさ、ほら、あの和じゃん(笑)
カンノ:あの和ですね(笑)
カンノ:「和ってこれだよねぇ〜」の和。
カンノ:すごくよく分かりますね。
YOU:しかもソーラン節って別に和でもないですよね。
数の子:そこがたちが悪いよね。ソーラン節嫌いなんだよ。かっこ悪いじゃんね。「やぁ!」とかさ。「はぁ?」って思うよね。あれは絶対金八のせいだよ。金八がソーラン節をやり出したとき、唖然としちゃったよ。狂ったのかと思ったよ。
カンノ・YOU:(笑)
カンノ:ジャニーズの和も、和が狂ってる様相なんですよ。
数の子:金八もジャニーズ出てるもんね。繋がるね(笑)
カンノ:ライブ映像で光る三味線使ってて、「あれって和だったっけ?」と思って(笑)
YOU:大衆演劇じゃないの?
数の子:パチンコの『CR吉宗』の和ね。そのテイストの和ってしんどいよね。
カンノ:何でそれが善しとされてるんですかね?
数の子:分かるよ。これは根が深いよね、「和問題」って。根源的なところでにゅるっと入ってくるよね。
カンノ:なんとなくでやっている感じですよね。
数の子:イメージ先行だよね。
YOU:和楽器バンドに対する違和感も同じ感じですよね。
数の子:なるほどね。あの和は外国の人にウケる和だよね。和楽器バンドの和の感じもそうだけど、もっとちゃんとした人の千本桜の動画があってさ。それもそれでどうなんだ?みたいな(笑)
カンノ:和って本当は全然大雑把ではないじゃないですか。エンタメの和ってなんか全部大雑把ですよね。
数の子:「和問題」はあるね。もっと考えてみてもいいかもね。
カンノ:ソーラン節聴いたら分かるかもしれないですよ。
数の子:絶対嫌だね(笑)