SOMEOFTHEM

野良メディア / ブログ / 音楽を中心に

Radio OK?NO!!第8回「俺のチルアウト」特集

カンノ:今日はチルアウトについて喋ろうかなと思っています。ちょっと前にkojikojiさんの「いつかのDAYS」という曲をかけました。

カンノ:まぁ、この方は20代の世代の人で。僕はこの自粛期間で家でぬぼぉ〜っと聴いてたら、良い曲だなと思ったのですが。それで思ったのが、この20代の世代の人達が歌うチルと、僕ら30代前後ぐらいが思うチルの価値観が結構ズレているのではないかと。そういった知的好奇心がビビッと引っ掛かりまして。それで知り合いで20歳のラッパーのokkaaa(オッカー)君という子がいるんですが、その子に「チルって世代間で違う感覚じゃない?」という話をしたら、それを面白がってくれて、そのkojikojiさん周りのラッパーやトラックメイカーの子たちとですね、この前リモート飲みをしました(笑)えっとですね、令和に入って一番緊張しました(笑)

上野:アハハッ!何で年下と飲むことに緊張するの?(笑)

カンノ:お前、バカヤロウ!!ふざけんじゃないよ!!年上の緊張ってある程度分かるだろ?年下って未知の世界なんだよ!!「嫌われたらどうしよう…」でいっぱいいっぱいなんだよ!!「この子たちに嫌われたくない!!」っていうね。そんな思いでリモート会議をしました。お相手はニューリー君というトラックメイカーの子と、AKSA(アクサ)君というラッパーの子、そしてokkaaa君ですね。

 

(そのリモート対談の内容は、okkaaa君のPodcastで聞くことが出来ます!)

 

カンノ:じゃあまず1曲聴いていただきましょうかね。韻シストのBASIさんのソロに、ニューリー君がトラックを提供した曲ですね。

上野:すごいね〜。

カンノ:しかもフィーチャリングが鎮座DOPENESSですよ。

上野:豪華だね!

カンノ:すごいですよね。で、ある意味この曲のタイトルが、僕の中でもチルを語る上で象徴的なタイトルだなという思いもあるので、聴いていただきましょう。BASI feat.鎮座DOPENESSで「普通」

上野:すごいね、このトラックを作っている方と知り合いなの。

カンノ:まぁ、知り合いの知り合いだね。okkaaa君とは知り合いで。そのokkaaa君がニューリー君やAKSA君を「マイメンですよ」と言ってくれて。で、この二人とkojikojiさんが一緒にやっている「せもたれ」という曲も大好きだったから、緊張しちゃってね(笑)

カンノ:それでokkaaa君とはね、元・BEAT CRUSADERSで現・THE STARBEMSの日高央さん、元々僕もお知り合いなのですが。その日高さんがソロでやられているネオアコプロジェクトのGALLOWのライブの対バンがokkaaa君だったんだよね。それを観に行って知り合いになった経緯があって。

カンノ:で、僕らがやっている『SOMEOFTHEM』とかさ。このラジオもそうだけど、音楽と屁理屈を語るようなことを面白がる子なんだよね。で、その若い世代だと珍しいよね。

上野:こういう話に興味があることがね。

カンノ:若い子はもうちょっと体感的というかさ。理屈じゃない感じはあると思うんだよね。それでいうとokkaaa君はこちら側の感性かなと思いますね。

上野:その会ではどんな話をしましたか?

カンノ:僕らが思春期のころ聴いていたヒップホップ、2000年代ですね。今の30歳前後ぐらいの人たち。この頃のヒップホップでソロじゃなくてグループが多かったですよね。で、ヒップホップグループが多かったから、どういう曲が多かったかというと、「ラップって楽しいぜ!ウェーイ!」みたいな曲が多かったと思うんです。「エンジョイ!音楽は鳴り続ける!」とか、「かませ、イエイ!イエイ!イエイ!」なんですよ、僕らのヒップホップは!

上野:「気分上々↑↑」ね(笑)

カンノ:だからアゲていくような曲がシングルの表題曲とか、アルバムのリード曲になったりするじゃないですか。それでいうとチルってその反動だと思うんですね。シングルだとアゲる表題曲のカップリングとか。アルバムの5〜6曲目にちょっとしたアクセントとして入ったりね。スイカに塩かけるみたいな。

上野:メインの表題曲がアッパーで、その裏がチルっていうね。

カンノ:アッパーに対してのチルという感覚があったと思うんだよね。でも今の子たちは、さっき「普通」という曲をかけましたが、例えば通勤・通学・仕事や勉強のBGMで聴きたい曲って多分チル方向じゃん。日常と音楽が密接につながったとき、「アッパーなのは聴きたいのか?」という話で。だから、どんどんチルの方がノーマル化している。「アッパーの方が実はそんなに求められていないのではないか?」ということを思ったりね。そんな話を投げたりしました。作っている本人たちは本人たちなりの反動はあったみたいですけどね。それは是非、Podcastを聞いてもらえたらと思います。ではここで、僕ら世代の反動としてのチルな曲を紹介しようかなと思います。先々週にRIP SLYME特集をやりましたね。

カンノ:それこそRIP SLYMEは2000年代の「ラップ楽しいぜ、ウェーイ!」グループの象徴的な存在だと思うんですが、この人たちのシングル『BLUE BE-BOP』のカップリングであり、アルバム『TIME TO GO』の6曲目に収録されている曲を聴いていただきましょう。RIP SLYMEで「WHY」

カンノ:「なぜ今、RIP SLYMEが活動休止しているのか?」という意味の「WHY」ではありませんよ。

上野:誰も思ってないし、皆知ってるよ(笑)

カンノ:あっ、知ってましたか?(笑)知らない方は是非調べてもらって。そうしたら、ガチャガチャしたサイトに飛びますので(笑)

上野:たくさんのツイートが見れるよね(笑)

カンノ:全然チルじゃないサイトに飛びます(笑)

上野:そんな話がしたかった訳じゃないだろ!

カンノ:すみません(笑)まぁ、そういう反動があったと思うんです。

上野:でも今この曲聴くとさ、もはやチルじゃなくてスタンダードな曲に聴こえるね。当時は確かにチル感はあったんだけど。

カンノ:やっぱり対比としてのチルだったと思うんだよね。もう何とも比べられないからさ。だから普通の曲になるよね。

上野:そう聴こえちゃうよね。

 

 

カンノ:1曲目にBASIさんの曲をかけまして、それで思ったのが、僕ら世代と若い子たちの”韻シスト観”も違うんじゃないかと。

上野:韻シストも長いバンドだからね。

カンノ:それでokkaaa君に韻シストをどう思うか聞いたら、ジャジーでメロウでサビも歌っててカッコ良くてオシャレなイメージでしかもチルいと。そんな聴き方をしていたと言っていて、それに対して僕らの韻シストって「大阪から来てまんねん!」イメージはあったじゃん?(笑)もちろんジャジーでメロウな曲もあったんだけど、それよりはファンクとかブルースみたいな、もうちょっとルーツミュージック全般をどうバンドで鳴らすかみたいなことをやっていたと思うんだよね。という感覚も世代で違うのかなと思いましたね。2000年代当時ってヒップホップグループの人たちがサビで歌うみたいなこともあまりやってなかったんだよね。韻シストはそれを途中から歌う方向に持って行ったりね。メンバーもメジャーから離れてから結構コロコロ変わったりして。それで色々苦労されながらだと思うんですが、その紆余曲折を経て、例えばkojikojiさんみたいな若い人がBASIさんのソロ曲を弾き語りした動画がバズったりね。

カンノ:それでkojikojiさんの「いつかのDAYS」を含めたEPは全てBASIさんの作詞だったりするのでね。この若い世代との密接なつながりも凄いなと。そしてこちらも20歳ぐらいの方だと思うんですが、空音さんというラッパーの方ともBASIさんは一緒に曲をやっていますが、そのタイトルが「相棒」というね。なかなか言えないよね。

上野:世代を超えてるね。

(この曲のトラックもニューリー君!)

 

カンノ:というところで、では今回はそういったチルの方向ではない、僕らが青春時代に聴いていたアッパーな方の韻シストを比較的な意味も込めて聴いてみましょう。

上野:それを考えたときにこれからかける曲のタイトルとアルバム名がごちゃごちゃしていて面白いね(笑)

カンノ:そうですね(笑)それじゃあ聴いてもらいましょうかね、EP『Relax Oneself』収録の「Let's☆Dance」です(笑)

上野:確かにこういうイメージだよね。

カンノ:そうなんだよ。今でいうとセンスがあってオシャレでみたいなね。若い子からするとあれですか、ジャルジャルみたいなさ(笑)僕らにとっての韻シストやすきよですから(笑)

上野:そこまで両極端じゃないだろ(笑)

カンノ:歌詞で「なにわの掛け合い 漫才みたい」と出てきますから(笑)もともとはそういう人たちだったのが20年経ってそういう風に変わっていくのは面白いなと思うんです。

 

 

上野:僕らもラジオとは別で普通にチルの話はしていたじゃないですか。それで面白いなと思ったのは「”チル”と”エモ”の意味が同じになっている」という話でさ。

カンノ:この話もokkaaa君のPodcastでしてるんだけど、その時に俺が例で出したのが、「縁側に座って花火がぽーっと上がっててスイカでも食べながらそよ風に当たっている」みたいな風景があるじゃないですか。それって俺らからするとチルじゃないですか。でもこの感覚が、5年後ないし10年後とかに「これも良い思い出になるんだろうな」というある種のメタ視点の自分が同居していて、それを汲みするとエモになるというね。チルとエモが同時にあるんだよね。ここで行われている現象は同じなんだけど、その瞬間の切り抜きと、長期的目線に立つことで意味合いが全然変わってくるというかね。それがチルとエモの違いみたいなね。

上野:「この瞬間、風に当たっている」ことはチルで、「この瞬間を思い出す5年後はきっとエモい」ということでチルとエモの見た目の行動は同じというね。

カンノ:「オイ!オイ!」と拳を突き立てることがエモじゃないんですよ!

上野:その昔、「オイパンク」という言葉があったんですよ〜(笑)

カンノ:そんな話を緊張しながら話しましたという回でした。最後okkaaa君から「最初に出会ったチル曲って何?」と聞いたときに挙げてもらった曲を紹介したいなと。で、この曲は確かに俺も、そのときはチルと言語化していなかったけどそういう風に聴いていたなと思ってね。この曲はぼ〜っとしたときに聴いてた。

上野:この曲はぼ〜っとしたときに聴いてたし、それと同時に俺らとしてはエモい曲だよね(笑)

カンノ:俺たちからするとかなり特別な意味を持った曲だよね(笑)じゃあ最後の曲です、tofubeats feat. オノマトペ大臣で「水星」

 

(上野とカンノにとって特別な意味を持つ「水星」)

 

 

f:id:someofthem:20200611201452j:plain