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Radio OK?NO!! Podcast #018「このラップが変!」特集文字起こし(後編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回はカンノが好きな、ギミックや仕組みや展開などを用いて面白い作りになっているラップ曲を紹介する「このラップが変!」特集の文字起こし(後編)を掲載します。(前編)は下記リンクから。

 

Radio OK?NO!! Podcast #018「このラップが変!」特集音声は下記リンクから。

 

カンノ:このラジオでまだジャニーズの曲をかけていませんね。

上野:あ~、かけてないね。

カンノ:ジャニーズもちらほらSpotifyで聴けるようになってきたので、この曲もいってみようかなと思います。それではお聴きください、嵐で「a Day in Our Life」

上野:カンノはこの曲、超好きだよね。ずっと言ってるもんね。

カンノ:サビで歌とラップが重なってるんだよ!それってアリなの?

上野:ずっと重なってるよね。

カンノ:そんな構造的な実験をジャニーズでやっていいんだっていう。音楽をいろいろ聴いていくなかで、改めてこの曲のすごさを感じるなと。歌とラップがずっと重なっていくままで終わるからね。

上野:改めて聴いたけどずっと被ってたね。

カンノ:その結果、ラップ曲という印象だもんね。こんな構造の曲、ジャニーズ以外でもないよ。こういうの、いいよな~。あ~、変なラップやりたいな~。

上野:アハハハハッ!

カンノ:やっぱり僕は構造が好きなんだなと思いました。今までクチロロNona Reeves、嵐とラップグループが一組も出てきてません(笑)

上野:べつに統一感もないし(笑)

カンノ:じゃあここで初めてラッパーを出しましょう(笑)逆にいうと、こういうことってあんまりラッパーがやらないんだよね。ラッパーって王道があるから。その型みたいなものからなかなかはみ出ないから。そのなかでも好きなラッパーでイルリメさんという人がいるので、そのヘンテコなラップ曲を紹介したいなと思います。イルリメで「フィジカルグラフィティ」

上野:今までとはちょっと毛色が違うね。

カンノ:じゃあ説明していいですか!?

上野:どうぞ(笑)

カンノ:僕が今、すごくニコニコしているのが伝わればいいんですが(笑)この曲って二段構えなんですよ!ラップしながら曲を構成する音が増えていくんですね。それを「こういう音が鳴ってきた」みたいなラップをしながら増やしていくんです。ギターのカッティングやハイハットやベースやパーカッションが足されていって。それをラップで説明しながら、「踊れるだろ」という体感をお客に促すというか。それでボイスサンプルのパートでダンスパートになる仕組みになったあとに、音が全部引かれるんですね。そこでさっき序盤で行った音がどんどん足される仕組みをまた再現するんです。それが「ハイハット!」とか「ベース!」とか「ボイスサンプルの波!」みたいな感じで。それで最後に自分のラップが足されて完成する、という仕組みなんですね。で、ラップで口頭で説明しながら、でも踊らせるっていう。ダンスミュージックとして踊らせるというベタなことをしながら、でも言っていることはかなりメタ的。だからやってることはメタなんだけど、そのメタ感を感じさせないシステムになってるというか。それを1曲のなかで体現していることに、1ヶ月前に気が付きました(笑)

上野:超最近ですね(笑)

カンノ:この曲は2010年くらいに出てるので、10年経って気が付きましたね(笑)「この曲ってこういう仕組みじゃーん!」っていうのは。確実に理屈屋なんだけど、そこはあんまり出さないようにしている。「お客さんは踊っているだけで充分ですよ」ということにしてるんだけど、「音楽ってこういうふうに構成されているんですよ」というシステムも同時に伝えている。こういうものを作れるって相当な理屈屋だと思うんだよね。そしてそういうふうに曲って作れるんだということを、この後々の理屈屋こと私がですね(笑)

上野:「理屈屋こと俺」(笑)

カンノ:それが希望になるというね。

上野:でもイルリメはラップも曲も変だし、今まで聴いたことがない種類のものをやってる記憶がありますね。

カンノ:仕組み先行で作られた良い曲な気はしますね。説明が体感で入ってくるのはいいなと思いました。

 

カンノ:じゃあ続いてレジェンドラップグループいきましょう。スチャダラパーです。

上野:なるほど。

カンノ:スチャダラパーの変なラップ曲です。システムが分かりやすいので聴いてもらえたらと思います。スチャダラパーで「後者 -THE LATTER-」

上野:これも何度も聴いたな~。

カンノ:どの歌詞が好き?俺は「根がいい奴 目がいい奴」かな~(笑)「使える奴 つっかえる奴」もいいな~。

上野:それも面白いよね。

カンノ:ラップって前段の言葉があって、それの掛け合わせじゃん。それの間違った解釈の曲ですよね(笑)

上野:この曲のアイデアが思いついたとき、メンバーは「これ面白いんじゃね?面白いんじゃね?」って言いながらゲラゲラ笑いながら作ってる感じが目に浮かんでいいよね。「竹を割るような性格 竹を割るような生活」とかね(笑)

カンノ:「得する人」のあとは?「お得な人」でゲラゲラ笑う感じとか(笑)つまり大喜利だよね。BOSEさんのパートがお題になってて、それに対するANIさんの回答みたいな。フリボケでもあるし。その後者側って意味ですけど。こういうギミックが日本語ラップが出てきた当初からあるのがすごいじゃないですか。ライムスターの宇多丸さんもラジオで「してやられた!」みたいなことを言ってましたね。今回5曲紹介しましたけど、こういったギミックが好きで、それを先人たちがやられていると。ラップという歌唱法をある種利用した方法でね。で、是非そういった歴史があるとするなら、私も名を残させてほしい!というか、なんで俺が音楽をやってるのか。ここに括られたいからです!括ってくれ!

上野:「括ってくれ!」(笑)

カンノ:僕がやってるラッププロジェクトの4×4=16で10月13日に新曲「サマーソング」を配信しました。上野君もトラック制作とラップで参加してもらいましたが。会話をモチーフに、2人で会話していることがラップになっているという曲です。で、1番のラップが終わったあとに上野君が急に歌を口ずさんじゃう。1番では夏のことについてラップしていて、このまま夏のことをラップし続けるのかと思いきや、上野君が口ずさんだ歌について2番以降終わりまでずっと俺がイジり続けるという(笑)「あの歌もう1回歌ってよ」ということでサビが繰り返されるみたいな構造になっています。

上野:曲をかける前に全部説明したね(笑)そんなアーティストなかなかいないんじゃない?(笑)

カンノ:まぁ、この曲は説明しないとなにも伝わらないので(笑)

上野:たしかに変な曲ではあるよね。

カンノ:それでビートに乗っけてラップ調の会話をしているんですが、カップリングではそのビートが完全に排除されて蝉の音がミンミン鳴っているもののうえでその会話をただやるっていう「サマーソング(アカペラ)」という曲も収録されています(笑)この仕組みをシングル内でやりたかったっていう(笑)ということで是非ともこの曲を聴いて、「変なラップに憧れている若者(31歳)がいるんだな」と思って聴いていただけたらと思います(笑)

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