SOMEOFTHEM

野良メディア / ブログ / 音楽を中心に

Radio OK?NO!! Podcast #045「2004年」特集文字起こし(前編)

宅録ユニット・OK?NO!!の上野翔とカンノアキオでSpotifyで聴けるポッドキャスト番組『Radio OK?NO!!』を配信しています。こちらではその文字起こしを前編、後編に分けて掲載します。今回は"2000年代を1年毎に語り合おう"シリーズの第1弾として、上野とカンノが共に音楽にハマり始めた年である「2004年」特集(前編)を掲載します。

 

Radio OK?NO!! Podcast #045「2004年」特集音声は下記リンクから。ポッドキャスト登録を是非、よろしくお願いします!

 

カンノ:このラジオで「ゼロ年代に生きて、ゼロ年代に死ぬ」って僕らよく言ってるじゃないですか(笑)

上野:「永遠に令和の世界に出られない僕たち」(笑)

カンノ:そんな僕らが注目しなければいけないランキングがありました。関ジャムです。関ジャムで「令和に活躍する若手アーティストが選ぶ最強平成ソングベスト30」というものが発表されました。

カンノ:これを見ると、2位がキリンジ「エイリアンズ」、6位にBUMP OF CHICKEN「天体観測」が入ってると思ったら4位にフジファブリック若者のすべて」が入っていたり。ラップ楽曲のトップが9位のORANGE RANGEロコローション」だったり。こんなランキング、僕からするととんちきです!

上野:アハハハハッ!

 

カンノ:とんちきランキングです(笑)平均年齢25歳くらいのアーティストたちが選んで集計されたランキングなんですが、よく見ると後々に語られるような楽曲が多くランクインしている印象です。たとえば発売当時のキリンジ「エイリアンズ」とかフジファブリック若者のすべて」って正直そんなに語られてた印象はありません。12位の「マツケンサンバⅡ」とかも普通にネタ曲として舐められてたじゃん。

上野:発売当時は今ほど語られる曲じゃなかったね。

カンノ:色物だったじゃん。それが「今聴くと良いよね」みたいなのって後々起きたというか。発売当時は別に語られる曲じゃなかったよね、ゼロ年代おじさんからすると。

上野:たしかにね(笑)

カンノ:だからこのランキングってどこか大味で、それがテレビで放送されちゃうと正義になっちゃうなと。つまりこのランキングが軸として平成が語られる可能性がある。「やっぱりフジファブリックは「若者のすべて」だよね~」とか、「キリンジは「エイリアンズ」に限るね~」みたいな固定化されちゃうというか。そんなものはぶっ壊していきたい!

上野:戦っていきますな~(笑)

カンノ:そんなランキングもあったので、ちょっとやりたい企画があります。それは2000年代を1年毎でピックアップして、その年における重要な曲ないし重要アーティスト、そして重要な出来事、それを個人史と結びつけながら、自分たちの実感や体感を踏まえながら「この曲重要だよね」「あの曲も大事だよね」っていうことを喋っていきたい。

上野:なるほど。

カンノ:ということで今回は「2004年」特集をやりたいなと思います。2004年って僕も上野君も音楽に対して結構重要な年だと思うんです。

上野:僕が本格的に音楽を聴き始めたのは2004年ですね。

カンノ:なるほど。ちなみに僕の2004年は中学2年生で、学校のいろんな人に無視されて寂しくなってBUMP OF CHIKCKENの「オンリーロンリーグローリー」の「孤独を知ったから また出会えた 孤独じゃない」っていう歌詞を聴いて泣いてたときです(笑)

上野:めっちゃ個人史だな~(笑)

上野:僕は初めて自分のお小遣いでCDを買ったのは2004年でしたね。

カンノ:今回はお互い個人史的にも超重要な2004年を選んで、2004年のJ-POPではこんな潮流があって、そのうえでこういうアーティストが重要だったという話をしていこうと思います。で、2000年代の各年をピックアップしながら語る回を長いスパンで定期的にやっていこうと思います。その初回は「2004年」特集です。まず1曲目は2004年のオリコンのシングル年間チャート1位の楽曲を聴きたいなと思います。それではお聴きください、平井堅で「瞳をとじて

上野:これが2004年を代表する曲なんですね。

カンノ:これは映画『世界の中心で愛を叫ぶ』の主題歌でした。じつはこの曲、100万枚も売れてません。

上野:なるほど。

カンノ:年間チャート1位の楽曲が100万枚売れてません。つまりこの2004年というのは、シングルCDのミリオンセラーが1989年以来15年ぶりになかった年なんです。で、多分89年ってレコードからCDへの移行期でしょ。だから本当にCDが売れなくなったのが数字でわかるのはここなの。「瞳をとじて」の総売り上げ枚数は約83万枚らしいです。90万枚もいってない。

上野:全然だったんだ。

カンノ:で、そのときに台頭してきたのが着うた。

上野:着うたってあったね~。

カンノ:この年、着うたは13件の100万ダウンロード作品があったそうです。だから音楽市場がCDから配信へ入れ替わっていく最初の年と言われているそうです。それを踏まえたうえで、2004年の重要楽曲やアーティストを探っていこうと思います。今回は僕と上野君で2曲ずつ重要だと思う楽曲を持ってきました。それで最後に2人が思う2004年の重要アーティストの楽曲を流そうと思います。じゃあまず僕からいきましょう。僕の思う2004年の重要曲はこちらです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONで「ループ&ループ」

上野:これは重要です!

カンノ:なんせ上野君が最初に買ったCDというのは?

上野:僕が最初に買ったCDはこの曲が入っているアジカンのセカンドアルバム『ソルファ』です。

カンノ:アジカンとしても一番ヒットしたアルバムですね。

カンノ:そして2004年の日本のロックバンドにおいて大きいタームだったと思うのですが、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2004』でかなりダイブ・モッシュ禁止を言っていたみたいです。これをすごく打ち出してきたのが2004年。

上野:この時期くらいなんだね。

カンノ:ようは暴れながらロックを見ることができなくなる。暴れながらロックを見ることができなくなって以降のロックの楽しみ方をどうロックバンドは提示してきたのか。それが4つ打ちです。4つ打ちで人々を踊らせる方向にいきます。それでいうと前年の2003年にアジカンは「君という花」という曲を発表します。

カンノ:そして2004年の「ループ&ループ」、この2曲は大きかったんじゃないかなと。

上野:なるほどね。

カンノ:2003年にアジカンは『君繋ファイブエム』というアルバム、2004年に『ソルファ』というアルバムを発表していますが、ここで相当バンドとしての毛色は変ったよね。

カンノ:疾走感あふれるバンドサウンド系統からJ-POP方向といいますか。

上野:たしかに広いリスナーがつくようなアルバムに変化したよね。

カンノ:ストイックなロックバンドから開かれた感じになったよね。そして「ループ&ループ」を皮切りにロックバンドは4つ打ち楽曲が増えていったんじゃないかなと。たとえば後続バンドはもうちょっとBPMを早めたりね。そういう進化の過程で今につながってくるのがフレデリックだったりするのかなと思います。

カンノ:フェスの事情込みでバンドが変化していくなかで生まれた現象なのかなって思いますね。この最初が2004年なのではないか。

上野:なるほどね。では次は僕の選曲です。これもかなり今につながる楽曲として重要だと思います。お聴きください、東京事変で「群青日和

カンノ:今日は30歳前後を殺しにきてる回だね(笑)

上野:「あのときのあの曲が…」(笑)

カンノ:泣いちゃうやつだよ(笑)まぁ、東京事変は入るか。

上野:最初に話した関ジャムのランキングにも入ってましたね。やっぱりその後に対する影響力とか強いじゃないですか。

カンノ:もちろん椎名林檎としての影響力は絶大なんだけど、それがバンド化するっていうね。ここで改めてリスナーを獲得したのもあると思う。というか僕がそうなの。東京事変から聴き始めた。椎名林檎のソロって当時ももちろん人気はあったんだけど、ちょっと人を選ぶ感じだったと思うの。それがバンドになって中和された感じがする。

上野:あと東京事変が出てきたことによって、当時の軽音楽部の人たちは必ず演奏していた。

カンノ:東京事変をやってたバンドたくさんいたわ~(笑)女子がボーカルだと必ずいたね。椎名林檎じゃなくて東京事変だった。

上野:じつは椎名林檎単体の曲ってそんなにバンド感がないんだよね。やりたくてもやれなかった人たちが東京事変にいってた。

カンノ:やっぱり椎名林檎は人選ぶって。本当に自分に自信がある人じゃないと歌えないっていうか(笑)それがバンドになることでできるようになる。

上野:あと大事なのが、東京事変のメンバーである亀田誠治のプロップスがここまで上がったのは、確実に東京事変があったから。

カンノ:なるほどなぁ~!

上野:亀田誠治がここまで表に出るようになるのは東京事変が大きい。

カンノ:「表に出る裏方」特集はできるよ(笑)90年代には小室哲哉小林武史という人がいて、2000年代には確実に亀田誠治はいるね。

上野:それが今だとヒャダインとかね。

カンノ:中田ヤスタカであるとか。その流れでいうと2000年代前半には亀田誠治が確実にいましたね。

f:id:someofthem:20220530160851j:image

 

『Radio OK?NO!!』はパーソナリティーの上野翔とカンノアキオが、最新J-POPやちょっと懐かしい曲をクイズやゲーム、時には曲同士を戦わせつつ(?)、今までになかった音楽の切り口を発見しようとする音楽バラエティ番組です。感想は是非「#okno」をつけてツイートしてください!お問い合わせはメール:radiookno830@gmail.com まで。