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サムオブ井戸端話 #130『テイラー・スウィフトを観た!~アメリカ人になりたい~』(後編)

SOMEOFTHEMのメンバーであるカンノアキオ、YOU-SUCKで音楽にまつわる井戸端話の文字起こしを毎週アップします。

 

テイラー・スウィフトの東京ドーム公演について語るサムオブメンバー。後編では、東京ドームの規模でファンを熱狂させるテイラー・スウィフトの圧倒的な力を見て、YOU-SUCKメンバーは「アメリカ人になりたい」と思いました。前編は下記リンクから。

 

 

YOU:もう一つ圧倒されたのが周りのファンの人たち。俺の横にいた女の子は熱狂的なファンで、全曲英語で歌ってたの。歌というか叫び。東京ドーム3階席の最後列から2番目の席なんだけど、バキバキに歌ってるの。最初は正直「うるせえな」と思ってたんだけど(笑)「俺はテイラーの音楽を聴きに来たんだぞ」と思ってたんだけど、みんな超楽しそうで超熱狂してたの。ほかのお客さんも「テイラー!」と叫んでて。みんな歌ってるし。俺は1曲も歌えないんだけど(笑)で、ほぼ全曲振付があるみたいで、テイラーと同じ踊りをみんながするの。それを東京ドームを埋めてるわけですよ。「スーパースターって人をこんなふうにさせるんだ」と思ってね。

カンノ:テイラーそのものにも圧倒されたし、それに熱狂する人々にも圧倒されたんだね。

YOU:そう。で、テイラーは演出上、曲の途中でステージからはけたりするの。そのとき、みんな座るんだよね(笑)

カンノ:アハハハハッ!あんなに熱狂していた人々が(笑)

YOU:「すんっ」ってなるの(笑)で、テイラーが出てくるとまた「テイラー!」って熱狂するの(笑)「お前ら、すごいな」と思って。

カンノ:切り替えがすごい(笑)

YOU:だから本当にテイラーに会いに来てるんだよ。俺はライブに行くって、会いに行くという感覚というより、音楽を聴きに行くが第一だからさ。それがカルチャーショックだった。で、こんなにファンしかいない環境ってあんまり経験してこなかったなと思って。

カンノ:それが東京ドームの規模だからよりすごいね。

YOU:それが日本人だけじゃないからね。もう圧倒されましたね。このテイラーのパフォーマンスを観て、「アメリカ人になりたい」と思ってしまいました。

カンノ:アハハハハッ!僕たちはこれまで、音楽に対してすごく知的好奇心溢れる話をしてきたと思うんですけど、YOU-SUCKさんは今、「アメリカ人になりたい」と言ってます(笑)

YOU:だってこのステージの演出は絶対に日本人じゃできないですよ。

カンノ:そうかもしれないね。

YOU:もちろんユーミンのステージとか、ドリカムのステージの派手さも知ってますよ。けど、このテイラーのステージは液晶画面の演出とテイラーの動きと、バンドメンバーも楽器はコードレスで動きながらの演奏もあるんです。しかもダンサーも大人数携えてる。その演出が全部楽曲ごとに有機的につながってるの。だから当然めちゃくちゃリハーサルもしてると思うの。それを総合的にコントロールできる技術やシステムは日本にはないんじゃないかと思う。しかもそれを自国だけでなくワールドツアーでやってるの。世界中に運んでるのよ、このステージを。おかしいよ!こんなことができるのはアメリカ人だけ。でも、俺もアメリカ人になりたいって言っているけど、アメリカもべつにろくでもない国なのは知っているんですよ。

カンノ:フフッ。

YOU:核兵器持ってるし、人々の分断もヤバいし、格差社会も露骨だし。ろくでもない国なんだけど、それを全部無化できるんじゃないかっていうくらい、札束で人を笑顔にできるというか(笑)「これがエンターテインメントだ!!」という感じがある国は強いよな。

カンノ:僕たちは基本的にずっとJ-POPの話をしてきたけど、なんかテイラーに比べるとどうしても貧乏臭いよね(笑)

YOU:もちろん、そういうJ−POPも好きだよ。でもスケール感があまりに違いすぎた。で、テイラーも歌ってるのに周りの人たちも歌うから最初は全然聴こえないんだけど、周りの人たちはだんだん疲れてきて、結果的に最後のほうの曲ではテイラーの声がはっきり聴こえるの(笑)

カンノ:テイラーは疲れないから(笑)

YOU:テイラーは疲れない(笑)この公演を4日間やって、そのままスーパーボウルの試合を観に行ってるんだから。どうかしてるよ(笑)圧倒されましたね。そしてアメリカ人になりたいと思った(笑)でも、これは抑圧の話になるんだけど、この人たちはものすごい訓練をされてるんですよ。演者スタッフ全員、超エリート。全員にめっちゃ金かかってる。それって自由ではないじゃん。

カンノ:ある種の軍隊だよね。

YOU:そう。でも、そういうものに人は熱狂するし、俺も圧倒されちゃった。だから「自然体で」みたいなものを言祝ぐ傾向があるけどさ…。

カンノ:J-POPにおける「ありのまま」理論ですね(笑)

YOU:やっぱりそんなのは嘘なんだよ(笑)ギチギチに訓練された完璧なものを観たいという欲望はあると思っちゃった。正直、俺は普通に素で聴くとテイラー・スウィフトは全然好きじゃないんだよ。前述した通り、「ふ~ん、アメリカのヒット曲だな」と思うだけ。そうだったはずなのに、目の前にすると「マジですげぇ…」と思ってしまう。「そりゃアメリカに戦争で勝てるわけないよな」とも思ってしまった。

カンノ:アハハハハッ!

YOU:だから、いろいろ思ったけど、テイラー・スウィフトを観て圧倒的なアメリカを感じた。

カンノ:アハハハハッ!「圧倒的なアメリカを感じた」って言われたら返す言葉がないよな(笑)

YOU:最後にサムオブっぽい話をすると、日本のミュージシャンも世界で聴かれてきてるじゃん。

カンノ:最近だとCreepy Nutsの新曲が世界でバズってますね。

YOU:ただ、この演出と札束に日本が勝てるわけないって思ってしまったんだよね。もちろん勝つ必要もないんだけど、テイラー・スウィフトというすべての一番を観ちゃったから、グローバル市場で戦うってこんなに大変なのかと思ってしまったね。もちろん現地でもテイラー・スウィフトのライブを観ようとしてもチケットを取るのは大変だと思うの。でも、アメリカ人なら日本よりは頻度が高く観られるわけじゃない。そんな国民には敵わないよ。

カンノ:アハハハハッ!

YOU:アメリカに勝てないことがわかりました!

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